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弐章 国づくり
48 『①』
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「水仙 (すいせん)」
彼女の攻撃はルークに向け手刀を放つ。
そしてその手刀は止まることなく首を掻き切った。
ルークの首が飛び、ポトリと地面に転がる。
しかし、ムメイは喜ぶことも無く。
すぐさま後方へと飛びのきアンリが張った蜘蛛の糸の上に移動する。
「ルーク様!!」
アンリや他のハチロクを含む面々はあまりの一瞬の出来事に驚き目を見開き硬直していた。
だがルークの首を跳ねたムメイは驚いた表情で先程いた場所を見る。
が…そこには何事も無かったかのようにその場に立つ首のないルークの姿があった。
「確かに首を跳ねた筈だけど…空を切った感覚しか無かった…」
ムメイは警戒し、あたりを観察する。
ルークの首からは血が流れることなくその切断面は黒くまるで墨で塗り潰されているかのようだった。
「一体何を…まさか…妖術ですか?」
山賊団マムシの情報によれば火と風を操ると聞いてはいたが…。
まだ他の種類の妖術を使えるというのか!?
そう結論に至ったムメイは、まだ未知が多い異常、本丸に手を出すべきでは無いと判断し標的を一番近くにいる妖魔アンリへと標的を変えた。
「なら…雑魚を先に狩らせてもらいます」
アンリがそれに気づき蜘蛛の糸を張り巡らし壁を作ろうとするが遅い。
ムメイが飛びかかろうと足に力を込めた瞬間。
森の中から轟々と燃える火の玉が複数、ムメイに向かい飛翔してきた。
「ちっ…速い!!」
ムメイは次々と襲い来る火の玉に無名は舌打ちするとアンリから目を離し先に飛んでくる火の玉をすれすれの所で躱す。
だがムメイは避けきったと思った瞬間、違和感を感じた。
暗闇の中…月の光を反射しキラリと光る一本の糸が円を描くようにムメイを囲み小さく収束を始めている。
「しまっ……ぐっ!!」
火は陽動…本命は……。
そう考えが働く前に一本の糸はムメイの身体を縛り。
そして身体が宙に浮き、まるで森の中へと吸い込まれると錯覚するほどに強く引っ張られ自分の意志など関係なく体が森へと持って行かれる。
おまけに、その縛る一本の細い糸は手刀で切ることすらできず、そのままなされるがままに地面へと打ち付けられた。
彼女の攻撃はルークに向け手刀を放つ。
そしてその手刀は止まることなく首を掻き切った。
ルークの首が飛び、ポトリと地面に転がる。
しかし、ムメイは喜ぶことも無く。
すぐさま後方へと飛びのきアンリが張った蜘蛛の糸の上に移動する。
「ルーク様!!」
アンリや他のハチロクを含む面々はあまりの一瞬の出来事に驚き目を見開き硬直していた。
だがルークの首を跳ねたムメイは驚いた表情で先程いた場所を見る。
が…そこには何事も無かったかのようにその場に立つ首のないルークの姿があった。
「確かに首を跳ねた筈だけど…空を切った感覚しか無かった…」
ムメイは警戒し、あたりを観察する。
ルークの首からは血が流れることなくその切断面は黒くまるで墨で塗り潰されているかのようだった。
「一体何を…まさか…妖術ですか?」
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まだ他の種類の妖術を使えるというのか!?
そう結論に至ったムメイは、まだ未知が多い異常、本丸に手を出すべきでは無いと判断し標的を一番近くにいる妖魔アンリへと標的を変えた。
「なら…雑魚を先に狩らせてもらいます」
アンリがそれに気づき蜘蛛の糸を張り巡らし壁を作ろうとするが遅い。
ムメイが飛びかかろうと足に力を込めた瞬間。
森の中から轟々と燃える火の玉が複数、ムメイに向かい飛翔してきた。
「ちっ…速い!!」
ムメイは次々と襲い来る火の玉に無名は舌打ちするとアンリから目を離し先に飛んでくる火の玉をすれすれの所で躱す。
だがムメイは避けきったと思った瞬間、違和感を感じた。
暗闇の中…月の光を反射しキラリと光る一本の糸が円を描くようにムメイを囲み小さく収束を始めている。
「しまっ……ぐっ!!」
火は陽動…本命は……。
そう考えが働く前に一本の糸はムメイの身体を縛り。
そして身体が宙に浮き、まるで森の中へと吸い込まれると錯覚するほどに強く引っ張られ自分の意志など関係なく体が森へと持って行かれる。
おまけに、その縛る一本の細い糸は手刀で切ることすらできず、そのままなされるがままに地面へと打ち付けられた。
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