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弐章 国づくり
37 式神
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嫌な気配、視線を感じる。
「シュラ」
この感じる気配があっているか確かめるべくシュラに確認を取るつもりで名を呼ぶ。
『なんじゃ?
ルーク、どうかしたのか?』
ふわぁ…と欠伸をしているのか知らないがシュラがそう聞き返してくる。
「周りに何かいる…と言うか取り囲まれている気がするんだが…」
俺は戦闘に長けている訳でもなく直感に優れている訳でもない。
魔術研究者…どちらかと言えば前線に出るタイプではなく、どちらかと言えば裏方。
戦闘などする必要もなく。
もとは数日研究室にこもり切ったりと戦闘や直感とは無縁だ。
専門な事はその道の専門家に聞くに限る。
『ほう、分かるのか?
妖気をうまく隠してはいるが完璧ではない。
4…いや5匹と言った所か。
殺意を感じるなぁ』
何処か嬉しそうに聞こえる。
間違いなくこれは戦闘が近い証拠だろう。
と言うことは俺の直感は正しかったのだろう…。
ふむ…武にひいでた達人にはそういうのが分かるものだと話には聞いたことがあったがこういう感覚なのか。
「なるほど…」
この世界に来てからによる戦闘経験のおかげだろう。
正直あの暗闇の中での死闘はかなりやばかったからな…。
そんな事を考えていると風斬り音が聞こえた。
動いた。
音がした方を見ると鎌鼬が後方より1匹が巨大な体躯でその尾と両の手に生えている巨大な鎌で襲いかかって来ていた。
狙いは俺たちでは無く陰陽師の一行。
この速度なら恐らく問題ないはず。
せっかくだこちらの世界の冒険者…それも陰陽師、セイヨウと言う名の者の実力が気になる。
何でも有名らしい、おそらくこちらの世界で言うところのA~Sクラスの冒険者だと言うことは彼の取り巻きの態度、反応から見て取れた。
一応、保険はかけておくけれど…。
案の定と言うべきかこの襲撃に反応できたのは数名。
俺とアンリ、テルマの二人。
そしてセイヨウ。
この4人のみ。
セイヨウはかすかに膨れ上がった妖気に気づいたのか。
素早く後ろを向き懐から複数の札(ふだ)を取り出し空中に展開した。
見た事のない魔法…おそらくはこの世界で作られた術。
恐らくはあのシュラと出会った時に出会った狛犬と同じ術だろう。
「陰陽道…空断」
セイヨウがそう唱えると空中に浮かぶ5枚の札が円を書くように配置され鎌鼬の攻撃をまるでバリアで守るかのように見えない壁で遮って見せた。
そして次にセイヨウは人の形をに折られた紙を取り出し頭上に掲げた。
「眼 耳 鼻 舌 身 意 を清めよ。
式神召喚……犬神!!」
セイヨウの折り紙が輝いたと思った瞬間、犬の遠吠えと共に火の玉が鎌鼬を襲う。
気づけば空中を駆ける白い犬がセイヨウを護る様に周りを走っていた。
この異世界の召喚獣か?
元いた世界にも似た魔法はある。
だがその前に使った空断という術は知らない。
「おもしろいな…」
未知の術は一人の1、研究者としてとても気になる物だ。
パン3個はいける。
鎌鼬は攻撃を防がれた事に動じる事は無かったが流石に炎は効いたらしく鎌鼬は身をよじり炎を消そうと地面に体を擦りつけていた。
「終わりです」
セイヨウがそう言った時今度は更に大きい火の玉が再び鎌鼬に向かって飛んだ。
だがその火の玉は届く事は無く風切り音がしたと同時に炎が消え去った。
「!?」
セイヨウは驚き辺りを見渡す。
1…2…3…4…5…匹。
あのセイヨウの攻撃を仲間が受け出てきたらしい。
恐らくはこちらの力量を測るために送られた斥候が早々にセイヨウにやられた為出て来たのだろう。
あるいはこちらの最大戦力をセイヨウだと誤認し出てきたかだ。
「シュラ」
この感じる気配があっているか確かめるべくシュラに確認を取るつもりで名を呼ぶ。
『なんじゃ?
ルーク、どうかしたのか?』
ふわぁ…と欠伸をしているのか知らないがシュラがそう聞き返してくる。
「周りに何かいる…と言うか取り囲まれている気がするんだが…」
俺は戦闘に長けている訳でもなく直感に優れている訳でもない。
魔術研究者…どちらかと言えば前線に出るタイプではなく、どちらかと言えば裏方。
戦闘などする必要もなく。
もとは数日研究室にこもり切ったりと戦闘や直感とは無縁だ。
専門な事はその道の専門家に聞くに限る。
『ほう、分かるのか?
妖気をうまく隠してはいるが完璧ではない。
4…いや5匹と言った所か。
殺意を感じるなぁ』
何処か嬉しそうに聞こえる。
間違いなくこれは戦闘が近い証拠だろう。
と言うことは俺の直感は正しかったのだろう…。
ふむ…武にひいでた達人にはそういうのが分かるものだと話には聞いたことがあったがこういう感覚なのか。
「なるほど…」
この世界に来てからによる戦闘経験のおかげだろう。
正直あの暗闇の中での死闘はかなりやばかったからな…。
そんな事を考えていると風斬り音が聞こえた。
動いた。
音がした方を見ると鎌鼬が後方より1匹が巨大な体躯でその尾と両の手に生えている巨大な鎌で襲いかかって来ていた。
狙いは俺たちでは無く陰陽師の一行。
この速度なら恐らく問題ないはず。
せっかくだこちらの世界の冒険者…それも陰陽師、セイヨウと言う名の者の実力が気になる。
何でも有名らしい、おそらくこちらの世界で言うところのA~Sクラスの冒険者だと言うことは彼の取り巻きの態度、反応から見て取れた。
一応、保険はかけておくけれど…。
案の定と言うべきかこの襲撃に反応できたのは数名。
俺とアンリ、テルマの二人。
そしてセイヨウ。
この4人のみ。
セイヨウはかすかに膨れ上がった妖気に気づいたのか。
素早く後ろを向き懐から複数の札(ふだ)を取り出し空中に展開した。
見た事のない魔法…おそらくはこの世界で作られた術。
恐らくはあのシュラと出会った時に出会った狛犬と同じ術だろう。
「陰陽道…空断」
セイヨウがそう唱えると空中に浮かぶ5枚の札が円を書くように配置され鎌鼬の攻撃をまるでバリアで守るかのように見えない壁で遮って見せた。
そして次にセイヨウは人の形をに折られた紙を取り出し頭上に掲げた。
「眼 耳 鼻 舌 身 意 を清めよ。
式神召喚……犬神!!」
セイヨウの折り紙が輝いたと思った瞬間、犬の遠吠えと共に火の玉が鎌鼬を襲う。
気づけば空中を駆ける白い犬がセイヨウを護る様に周りを走っていた。
この異世界の召喚獣か?
元いた世界にも似た魔法はある。
だがその前に使った空断という術は知らない。
「おもしろいな…」
未知の術は一人の1、研究者としてとても気になる物だ。
パン3個はいける。
鎌鼬は攻撃を防がれた事に動じる事は無かったが流石に炎は効いたらしく鎌鼬は身をよじり炎を消そうと地面に体を擦りつけていた。
「終わりです」
セイヨウがそう言った時今度は更に大きい火の玉が再び鎌鼬に向かって飛んだ。
だがその火の玉は届く事は無く風切り音がしたと同時に炎が消え去った。
「!?」
セイヨウは驚き辺りを見渡す。
1…2…3…4…5…匹。
あのセイヨウの攻撃を仲間が受け出てきたらしい。
恐らくはこちらの力量を測るために送られた斥候が早々にセイヨウにやられた為出て来たのだろう。
あるいはこちらの最大戦力をセイヨウだと誤認し出てきたかだ。
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