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弐章 国づくり
27 人間の村
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会議は中断。
その代わりに今は社に3人の人間を招き入れている。
「ありがとーー!!
ルークちゃん助かったよー!」
そのうちの一人、アオイは縄から解き放たれるとすぐさま近くに駆け寄り塩むすびを風呂敷からだし、渡してきた。
どうやら、これでどうにかなると思ったらしい。
美味いけど……。
モグモグ…。
まあ、しかし…これは研究の一環そう、一環として胃袋に採取しておこう。
俺だけで無くテンとイナリもそのおにぎりを美味しそうに頬張って味わっている。
「所で、どうしたんだ?
お前たち。
戦いに来たというわけではないのだろ?」
そう俺が問うと彼等は慌てて話し始めた。
「そんな! 戦うなんてとんでもない!!」
「そうそう、ルークちゃん。
私達は少しお願いに来ただけなの」
お願い? またか…。
ここの蜘蛛達と言い次はなんだ?
面倒じゃないので頼む。
「それで…お願いとはなんだ?」
そう俺が聞き返すと一瞬であったが俺にははっきりと、この一行の中、唯一の男、イタズキが しめたと笑うところをはっきりと目撃した。
それから、わざとか話に少し間を開け話していく。
内容は、蜘蛛達の事だ。
曰く、近くの村で家畜が殺され持ち去られる被害が出ているとの事。
曰く、それは蜘蛛達の仕業で、何とか話し合いで解決できないかと彼らはここまで来たそうな。
「ふーん…なるほど…」
俺はこれまでの話を聞き、少し思考していた。
まず問題を頭に上げていく。
このまま行けばと仮定しシュミレートし予想する。
とは言ってもこの世界の事を全て知っている訳では無いのであくまで想像だ。
まず…このまま行けば、彼らの様な冒険者じみた組織が出てくるのは理の当然の事。
現にここに来ている訳だし。
しかしだ。
この家畜を盗む行為をやめれば食料はどうなる……?
見ると大半が牛や馬の獲物が社近くにお供えとして置かれている。
これを見るからに少しまずいか…。
なら代わりの食べ物が必要だ。
そう考え事をしながら塩むすびを食べていた。
「美味しいね!」
「うん、お米久しぶりに食べた」
米…、俺は手に持っている食べ物を見据え思いつく。
「これだ!」
陰陽師の一行はビクッと肩を震わせ驚き俺の様子を恐る恐る見た。
「お前達、この美味い米という食べ物と交換だ。
この米を持ってこれば家畜を襲わないと約束しよう」
……
米…不思議だ。
いったいどんな植物なのかと気になり付いてこようとするイナリやテン、蜘蛛たちをなんとか説得し俺一人、彼等に同行し村までついてきたのだが……。
「米があれば家畜を襲わない?
本当ですか!?
………いや……でもしかし…」
「なんだよ長老、米と家畜どっちを取るかの話だろ?
悪い事は言わね、米渡しときなよ」
さり気なくイタズキが話を丸く収まる方へと誘導していく。
だが、問題はそこでは無かったらしい。
「その…米はもうついさっきまでいた偉いお侍様に年具米として献上してしまいまして。
もう米は無いのです…」
「なんだ? 無いのか?」
そう俺が問うと村の人達と長老、3人組がざわざわと慌て始めた。
ふむ…なら、アイラに頼んで食料を向こうの世界から運ぶか………でもな~、米…欲しいな。
「ちょっと待ってねルークちゃん。
まだ村はあるから!
そこにも行ってみよ! ねっ!」
アオイがそう言い背中を押してくる。
「いや…作り方を教えてくれ」
無いのならば作ればいい。
人類はそうやって進歩してきたのだ。
あの蜘蛛達の里もどんどん技術を取り入れ、大きな都市にでもして正確な情報を効率的にかき集められるようにする。
聞きながら宛もなく旅をするよりはましだろう。
「お米の作り方ですか?
そんな事ならどうぞこちらへ」
ふむふむ…ほうほう…なるほど…。
これは、面倒だなぁ。
期間が6ヶ月くらい育てるのに必要なのと場所が必要。
平たく、水源(川)がある場所。
思い浮かぶのは蜘蛛のステラ達が住んでいる山の下。
ちょうどその条件に当てはまる。
「だが…食料が足りんな…」
同時進行で行くしかないか。
この村はあまり宛にできなさそうだし。
他の使い道で利用しよう。
そう決め俺は提案する。
「食料がこの村に無いのは分かった。
だから俺は一つ提案を出す。
こちらで作る服や布…最悪、糸を売りに行ってくれ。
俺の様な妖魔だと人間は相手しないのだろ?」
当然だ、俺がいた世界でも魔族や魔物と取引する亜人は聞くが人間は聞いたことがない。
なので取引を変わりに行う人間の仲介があるのはとても助かる。
何よりわざわざ自分で取引しなくてすむ、大量生産する予定の為、もしそうしてくれるのなら渡りに船だ。
「えっ?
それで家畜を襲わないの?」
アオイが確認してくる。
失敬な…。
「いいかな? なぜ家畜を襲うのか、考えてみろ。
問題は食料だ。
山の恵みはあるがそれは必要量取れることもあれば取れないことも多く供給が安定していない。
故に、食料が無くなった際は人間の家畜を襲い食って生きている。
ならその問題を解決さえすればわざわざ家畜が襲われる事もあるまい?
簡単な話だ」
そう淡々と話し終え陰陽師共を見たのだが顔を見合わせ話し合っている。
「えっ…えっと。
ルークちゃんは頭がいいんだねー」
そう言い頭を撫でてくるだけだった。
コイツら…理解したのか?
その代わりに今は社に3人の人間を招き入れている。
「ありがとーー!!
ルークちゃん助かったよー!」
そのうちの一人、アオイは縄から解き放たれるとすぐさま近くに駆け寄り塩むすびを風呂敷からだし、渡してきた。
どうやら、これでどうにかなると思ったらしい。
美味いけど……。
モグモグ…。
まあ、しかし…これは研究の一環そう、一環として胃袋に採取しておこう。
俺だけで無くテンとイナリもそのおにぎりを美味しそうに頬張って味わっている。
「所で、どうしたんだ?
お前たち。
戦いに来たというわけではないのだろ?」
そう俺が問うと彼等は慌てて話し始めた。
「そんな! 戦うなんてとんでもない!!」
「そうそう、ルークちゃん。
私達は少しお願いに来ただけなの」
お願い? またか…。
ここの蜘蛛達と言い次はなんだ?
面倒じゃないので頼む。
「それで…お願いとはなんだ?」
そう俺が聞き返すと一瞬であったが俺にははっきりと、この一行の中、唯一の男、イタズキが しめたと笑うところをはっきりと目撃した。
それから、わざとか話に少し間を開け話していく。
内容は、蜘蛛達の事だ。
曰く、近くの村で家畜が殺され持ち去られる被害が出ているとの事。
曰く、それは蜘蛛達の仕業で、何とか話し合いで解決できないかと彼らはここまで来たそうな。
「ふーん…なるほど…」
俺はこれまでの話を聞き、少し思考していた。
まず問題を頭に上げていく。
このまま行けばと仮定しシュミレートし予想する。
とは言ってもこの世界の事を全て知っている訳では無いのであくまで想像だ。
まず…このまま行けば、彼らの様な冒険者じみた組織が出てくるのは理の当然の事。
現にここに来ている訳だし。
しかしだ。
この家畜を盗む行為をやめれば食料はどうなる……?
見ると大半が牛や馬の獲物が社近くにお供えとして置かれている。
これを見るからに少しまずいか…。
なら代わりの食べ物が必要だ。
そう考え事をしながら塩むすびを食べていた。
「美味しいね!」
「うん、お米久しぶりに食べた」
米…、俺は手に持っている食べ物を見据え思いつく。
「これだ!」
陰陽師の一行はビクッと肩を震わせ驚き俺の様子を恐る恐る見た。
「お前達、この美味い米という食べ物と交換だ。
この米を持ってこれば家畜を襲わないと約束しよう」
……
米…不思議だ。
いったいどんな植物なのかと気になり付いてこようとするイナリやテン、蜘蛛たちをなんとか説得し俺一人、彼等に同行し村までついてきたのだが……。
「米があれば家畜を襲わない?
本当ですか!?
………いや……でもしかし…」
「なんだよ長老、米と家畜どっちを取るかの話だろ?
悪い事は言わね、米渡しときなよ」
さり気なくイタズキが話を丸く収まる方へと誘導していく。
だが、問題はそこでは無かったらしい。
「その…米はもうついさっきまでいた偉いお侍様に年具米として献上してしまいまして。
もう米は無いのです…」
「なんだ? 無いのか?」
そう俺が問うと村の人達と長老、3人組がざわざわと慌て始めた。
ふむ…なら、アイラに頼んで食料を向こうの世界から運ぶか………でもな~、米…欲しいな。
「ちょっと待ってねルークちゃん。
まだ村はあるから!
そこにも行ってみよ! ねっ!」
アオイがそう言い背中を押してくる。
「いや…作り方を教えてくれ」
無いのならば作ればいい。
人類はそうやって進歩してきたのだ。
あの蜘蛛達の里もどんどん技術を取り入れ、大きな都市にでもして正確な情報を効率的にかき集められるようにする。
聞きながら宛もなく旅をするよりはましだろう。
「お米の作り方ですか?
そんな事ならどうぞこちらへ」
ふむふむ…ほうほう…なるほど…。
これは、面倒だなぁ。
期間が6ヶ月くらい育てるのに必要なのと場所が必要。
平たく、水源(川)がある場所。
思い浮かぶのは蜘蛛のステラ達が住んでいる山の下。
ちょうどその条件に当てはまる。
「だが…食料が足りんな…」
同時進行で行くしかないか。
この村はあまり宛にできなさそうだし。
他の使い道で利用しよう。
そう決め俺は提案する。
「食料がこの村に無いのは分かった。
だから俺は一つ提案を出す。
こちらで作る服や布…最悪、糸を売りに行ってくれ。
俺の様な妖魔だと人間は相手しないのだろ?」
当然だ、俺がいた世界でも魔族や魔物と取引する亜人は聞くが人間は聞いたことがない。
なので取引を変わりに行う人間の仲介があるのはとても助かる。
何よりわざわざ自分で取引しなくてすむ、大量生産する予定の為、もしそうしてくれるのなら渡りに船だ。
「えっ?
それで家畜を襲わないの?」
アオイが確認してくる。
失敬な…。
「いいかな? なぜ家畜を襲うのか、考えてみろ。
問題は食料だ。
山の恵みはあるがそれは必要量取れることもあれば取れないことも多く供給が安定していない。
故に、食料が無くなった際は人間の家畜を襲い食って生きている。
ならその問題を解決さえすればわざわざ家畜が襲われる事もあるまい?
簡単な話だ」
そう淡々と話し終え陰陽師共を見たのだが顔を見合わせ話し合っている。
「えっ…えっと。
ルークちゃんは頭がいいんだねー」
そう言い頭を撫でてくるだけだった。
コイツら…理解したのか?
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