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弐章 国づくり
26 異変
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最近、おかしな事が起きた。
「ルーク様、おはようございます」
朝起きると裸の女性が挨拶をしてきた事だ。
いや…女性だけでは無い男もそうだった。
「お前ら……服を着ろ!!」
男の裸なんて見たくは無い。
しかし、服が無いようなのですぐさまアイラに通信を送った。
一体どこからこんな原始的な奴らが?
てか、なんであいつらは俺の名を知ってるんだ?
ピコン
「はい、こちらアイラです。
どうしましたか? 先生」
画面が空中に表示されアイラの顔が映し出される。
「No.10の白衣を転送してくれ。
確か倉庫にあまりがあっただろ?」
「はい、分かりました。
ちょっと待っててください」
そう言うと通信を切り、アイラは消えた。
しばらくするとブレスレットに反応があった。
ピコン
向こうから通信が来た時の通知だ。
通信を開くと白衣を両手一杯に持っているため顔が隠れているアイラの姿があった。
「アイラ、白衣はあったか?」
「はい、ありました!
今から、No.71の転送装置を使ってそちらに送りますね」
また画面から消える。
そしてすぐにそれは起こった。
バチン
と言う音と共に白衣が目の前に現れた。
転送機能に問題無し。
「よし、お前らこれを着ろ」
…
できる限り着せたがまだ足りない。
「てか、こいつら。
やっぱりあの蜘蛛達か?
でも何故だ?」
それに対し答えたのは白衣を着た女性だった。
上半身は人で下半身は蜘蛛とその姿はアラクネに似ている。
そして一方腕が6本ある人間は見た事が無い。
『進化だ…。
奴らはお前の配下だからなぁ…。
妾を取り込んだ貴様の妖気だ。
その膨大な妖気に影響され亜人となってもおかしくは無い』
このシュラの答えには納得出来なかった。
「どういう意味だ?」
シュラはその問に面倒くさそうに答える。
『契約だよ…。
貴様の肉体はそう約束したはずだ。
奴らの命をもらうとな』
「それはお前がっ…」
『いや?…同じだ。
今…貴様と妾は同じ器の中にいる。
奴らは妾らの配下となったのさ。
もっとも、この契約は妖王である妾がいたから出来た事だがな』
シュラは褒めても良いぞと言わんばかりの口調で話した。
…
それからしばらくして、蜘蛛の長である蜘蛛とその息子を呼び出し社へと招いた。
取り敢えず状況整理だ。
「よく集まってくれたな」
「もちろんです」
俺はここに集まった蜘蛛達を見据え話を始める。
まず確認すべきは…。
「まずは名を聞きたい。
お前達の名前はなんだ?」
「名前…ですか?」
別に不思議な事を聞いたつもりは無かったのだが困った表情を二人共している。
そしてようやく蜘蛛の女族長が口を開き話し始めた。
「名はありません…。
と…言うより名は妖魔の中でもルーク様や今の我らの様な亜人種が使う物です。
なのでなった私達にはまだ…その…名前は」
なるほど、理解した。
「よし、なら俺が名をつける。
良いな?」
その問の後には沈黙があった。
二人の顔を見ると固まっている。
嫌だったのか?
確かに自分の名だ…。
「ああ、別に嫌なら自分で名前をつけてもいいぞ」
「そんな、めっそうもない」
「そうです母の言うとおりです。
この様な栄誉。
受け取らぬ筈がありませぬ」
二人は俺に頭を下げそう言ってくれている。
ほうほう、なら名前を決めるか。
だが……栄誉か、重いな。
そんな事を思いながらも考える。
「そうだな…」
まあ、あまり考えず…。
「ステラとテルマ、でどうだ」
族長がステラ 子供がテルマだ。
不安ながらも様子を見たが問題ないらしい。
「ステラ、私の名前…」
「この名を一生大切にします」
よし、で…次だ。
衣食住 これは生活において必要なもの等なのだが…。
衣類か…。
彼等はもともと知性があるとはいえただの妖魔。
当然その様な文化は持ち合わせてはいない。
それで少し問題があるのだ。
裸でほっつき歩く彼らに対しありったけの衣類を提供したのだが…。
もう、そのアイラに送ってもらった白衣が無い。
だがそれでも足りていない現状。
そこで俺は少し考え以前考えていた案を引っ張り出す。
「そういえば…お前達の糸で服は編めないか?」
まあ、無理なら衣類をアイラに頼んで街で買ってきて貰えばいい。
だが…できるなるこちらで生産した方がいいだろう。
その方が、金になる…と思う。
向こうの世界の品をこちらで売ると言う方法も頭をよぎったが取り敢えず頭の片隅に置いておく。
「服? ですか…。
これの事ですね?」
ステラは貰った白衣を大事そうに撫でると俺を見て確認した。
それに俺は頷き答える。
「作った事はありませんが…。
しかし…ルーク様の命(めい)、必ずや作ってみせます」
重いな…。
まあいいか。
会議はそんな感じで進んでいく。
次に人との関係の話に差し掛かった時、声がかけられた。
「ルーク様、不審な者達を捕えて参りました。
なんでもルーク様に話があるのだと申しておりますが…。
いかがなさいましょう?」
「離せーー!!」
「あっルークちゃん!!
助けて」
ゆっくりと立ち上がり、外を見るとそこには、蜘蛛糸に縛られた見覚えのある3人組の姿があった。
「ルーク様、おはようございます」
朝起きると裸の女性が挨拶をしてきた事だ。
いや…女性だけでは無い男もそうだった。
「お前ら……服を着ろ!!」
男の裸なんて見たくは無い。
しかし、服が無いようなのですぐさまアイラに通信を送った。
一体どこからこんな原始的な奴らが?
てか、なんであいつらは俺の名を知ってるんだ?
ピコン
「はい、こちらアイラです。
どうしましたか? 先生」
画面が空中に表示されアイラの顔が映し出される。
「No.10の白衣を転送してくれ。
確か倉庫にあまりがあっただろ?」
「はい、分かりました。
ちょっと待っててください」
そう言うと通信を切り、アイラは消えた。
しばらくするとブレスレットに反応があった。
ピコン
向こうから通信が来た時の通知だ。
通信を開くと白衣を両手一杯に持っているため顔が隠れているアイラの姿があった。
「アイラ、白衣はあったか?」
「はい、ありました!
今から、No.71の転送装置を使ってそちらに送りますね」
また画面から消える。
そしてすぐにそれは起こった。
バチン
と言う音と共に白衣が目の前に現れた。
転送機能に問題無し。
「よし、お前らこれを着ろ」
…
できる限り着せたがまだ足りない。
「てか、こいつら。
やっぱりあの蜘蛛達か?
でも何故だ?」
それに対し答えたのは白衣を着た女性だった。
上半身は人で下半身は蜘蛛とその姿はアラクネに似ている。
そして一方腕が6本ある人間は見た事が無い。
『進化だ…。
奴らはお前の配下だからなぁ…。
妾を取り込んだ貴様の妖気だ。
その膨大な妖気に影響され亜人となってもおかしくは無い』
このシュラの答えには納得出来なかった。
「どういう意味だ?」
シュラはその問に面倒くさそうに答える。
『契約だよ…。
貴様の肉体はそう約束したはずだ。
奴らの命をもらうとな』
「それはお前がっ…」
『いや?…同じだ。
今…貴様と妾は同じ器の中にいる。
奴らは妾らの配下となったのさ。
もっとも、この契約は妖王である妾がいたから出来た事だがな』
シュラは褒めても良いぞと言わんばかりの口調で話した。
…
それからしばらくして、蜘蛛の長である蜘蛛とその息子を呼び出し社へと招いた。
取り敢えず状況整理だ。
「よく集まってくれたな」
「もちろんです」
俺はここに集まった蜘蛛達を見据え話を始める。
まず確認すべきは…。
「まずは名を聞きたい。
お前達の名前はなんだ?」
「名前…ですか?」
別に不思議な事を聞いたつもりは無かったのだが困った表情を二人共している。
そしてようやく蜘蛛の女族長が口を開き話し始めた。
「名はありません…。
と…言うより名は妖魔の中でもルーク様や今の我らの様な亜人種が使う物です。
なのでなった私達にはまだ…その…名前は」
なるほど、理解した。
「よし、なら俺が名をつける。
良いな?」
その問の後には沈黙があった。
二人の顔を見ると固まっている。
嫌だったのか?
確かに自分の名だ…。
「ああ、別に嫌なら自分で名前をつけてもいいぞ」
「そんな、めっそうもない」
「そうです母の言うとおりです。
この様な栄誉。
受け取らぬ筈がありませぬ」
二人は俺に頭を下げそう言ってくれている。
ほうほう、なら名前を決めるか。
だが……栄誉か、重いな。
そんな事を思いながらも考える。
「そうだな…」
まあ、あまり考えず…。
「ステラとテルマ、でどうだ」
族長がステラ 子供がテルマだ。
不安ながらも様子を見たが問題ないらしい。
「ステラ、私の名前…」
「この名を一生大切にします」
よし、で…次だ。
衣食住 これは生活において必要なもの等なのだが…。
衣類か…。
彼等はもともと知性があるとはいえただの妖魔。
当然その様な文化は持ち合わせてはいない。
それで少し問題があるのだ。
裸でほっつき歩く彼らに対しありったけの衣類を提供したのだが…。
もう、そのアイラに送ってもらった白衣が無い。
だがそれでも足りていない現状。
そこで俺は少し考え以前考えていた案を引っ張り出す。
「そういえば…お前達の糸で服は編めないか?」
まあ、無理なら衣類をアイラに頼んで街で買ってきて貰えばいい。
だが…できるなるこちらで生産した方がいいだろう。
その方が、金になる…と思う。
向こうの世界の品をこちらで売ると言う方法も頭をよぎったが取り敢えず頭の片隅に置いておく。
「服? ですか…。
これの事ですね?」
ステラは貰った白衣を大事そうに撫でると俺を見て確認した。
それに俺は頷き答える。
「作った事はありませんが…。
しかし…ルーク様の命(めい)、必ずや作ってみせます」
重いな…。
まあいいか。
会議はそんな感じで進んでいく。
次に人との関係の話に差し掛かった時、声がかけられた。
「ルーク様、不審な者達を捕えて参りました。
なんでもルーク様に話があるのだと申しておりますが…。
いかがなさいましょう?」
「離せーー!!」
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