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変わったもの
妹には勝てない
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「お兄ちゃん!!何で電話に出ないの!!今日六時前には帰ってるって言ってたのに全然帰って来ないし、今どこにいるの!!」
慌てて電話を掛けた俺に開口一番凄まじい怒鳴り声が聞こえてくる。
「ごめん、光花ほんとにごめん、ちょっと訳があって今病院にいるんだけど、ほらあの家の近くのーーー病院」
「もうこんな……え?病院?まさか事故にでもあったの?お兄ちゃん大丈夫なの?」
「ああうん、詳しくは後で話すけど俺は大丈夫、ちょっと付き添いで来てるようなものだから」
「付き添いっていうのは気になるけど……あぁでもよかったぁ……本当に心配したんだからね、大丈夫だったら連絡ぐらいしてよ」
微かに鼻をすする音がした……安心したのだろうけど、それまでかなり心配をかけたようだ、後でしっかりフォローしないと。
「それで今日は帰ってこれるの?もし無理だったりするのなら今からそっちに向かうよ」
「帰れるのかどうか聞いてはなかったけど……多分大丈夫だと思う、怪我も大したことないし」
「怪我してるの!!今すぐ行くから待ってて!!」
「まてまてまてまて、ほんとに大丈夫だから、家で待っててくれ、もうすぐ帰るから」
落ち着いたと思いきや、また不注意な一言で心配させてしまった……どこがフォローするだよ、駄目駄目じゃんか。
とりあえず電話を保留し、近くにいた看護師さんに帰ってもいいかの確認をする。怪我は問題ないということと、手続きやその他のことは俺が未成年のため親に任せないといけないから今できることはないと言われたので帰れると光花に伝えたところで電話を切る。
さて帰る前に夢ヶ島家族の部屋に挨拶しにいかないと、もう色々と落ち着いているかな?
「ごめんなさい、今大丈夫ですか?」
ノックして反応を待つ。
「嬉野くんか?入ってきて大丈夫だよ」
「あ、はい失礼します」
お父さん(語弊はない)からの返答があり中に入る、先程と状況は変わらず夢ヶ島親子と烏丸先生がいた。
「おーい大月、逃げるように出ていったけど、もう大丈夫になったのか?」
「あれだけ質問攻めされたらしんどいよ……陽彩は病院に泊まるの?」
「なんか精密検査のために数日入院しないといけないだかなんだか……ちょっとたんこぶになってるぐらいなのに大袈裟だよ」
「忘れてるかもしれないから言っとくけど記憶失ってるんだよ君は……まぁ今はいいけどさ」
良いとは言ったもの勿論良い訳がない、特に娘が記憶喪失の親とはどういう心境なのだろうか、今は俺や烏丸先生がいるからまだなんとかなってるけど、三人だけになった時どう接していいかわからず困るだろうということは想像に難くない。
「ああそれと、俺の連絡先渡しておくから何かあったら連絡してくれ、ここからだと家も近いし力を貸せることがあるかもしれないから」
「あ、そうなんだ連絡先も知らなかったんだわたしたち……まあいいや、多分何日かは暇だろうし連絡するわ、いろいろ知りたいことあるし」
「そうしてくれ……今日はすいませんでした、またお見舞いに来ます、さようなら」
「嬉野君気を付けて帰ってね、それと今日はお疲れ様ゆっくり休んでね」
「ばいばーい、またね大月」
「今日はありがとう、気を付けて帰るように」
部屋にいた四人に見送られて病室を出て病院を後にした。
……あれ?夢ヶ島のお母さん今日一言も声聞いてない気がする……まあ無口な人なのだろう。
10分ほど歩いたところで家についた、もう扉を開けるだけで家に入れるがこれから二回目の尋問が待っていることは想像に難くない、一旦深呼吸をしてタイミングを取る。
よし
「ただい「こんの心配させやがってーーーーーーーーーー」」
扉を開けた瞬間何かとてつもない衝撃が胸の辺りを襲った、それは奇しくも先ほどバットで殴られた場所と同じだった。
「……ごめん……悪かったから、説明させてくれ……」
とりあえずそこまで言ったはいいものの、今日二回目の痛みで悶絶することになった。
なんとか回復した俺はようやく落ち着いた様子の光花に今日あったことをに話した、無論夢が島と付き合った云々は抜きで。
「なるほどね、大変だったねお兄ちゃんもその夢ヶ島って人も、しかも怪我は大したことなくても娘が記憶を無くすなんて両親は辛いだろうね……」
「そう思うよほんとに、とりあえず記憶が戻るように俺も手伝うつもりかな、責任の一端は俺にあるし」
「それはいいんだけどね……あんまり自分を責めないようにね、お兄ちゃんは悪くないよ、悪いのはその3人組だし……ただ気になるのは、そいつらだよね、この辺って治安はいいほうだから油断してたけど、どこの学生だろう?」
「いやぽいって言っただけで学生かどうかはわからんよ、制服着ていたとかいうわけでもないし……たまたまあそこにいただけかも知れないしね」
「まあそうかもしれないね……それにしてもごめんね、まさか怪我してる場所が胸だとは思わなくて思いっきり突っ込んでしまったよ……大丈夫?」
「今更感すごいけど……もう駄目かと思ったわ、まあでも連絡しなかった罰と思うことにするよ」
「そうほんとそれ、なんで連絡を怠るのよ、そんなに大した怪我でも無かったのに」
理由があって忘れていたが勿論話すことはできない。
「色々考えることがあってね、それに少しパニックになって焦ってしまったみたい、次からは気を付けるよ」
「ほんとそうしてよ、あ、そうそうお父さんお母さんには連絡しておいたよ、今日は行けないから病院には明日連絡するってさ」
「そうなのかありがとう……心配かけてしまったから悪かったな、俺からも連絡しておくわ」
ふう、とりあえず説明は終了したし、後は親に連絡すれば俺がすべきことは無くなる。
因みに明日の学校を欠席することは烏丸先生に伝えて了承はもらったから、明日は存分に体を休めよう、それに色々とこれからの身の振り方を考えなければいけないからそれに時間を割くことにしようか。
そこまで話したところで不意に空腹を感じた。
「そういえば光花、俺のご飯はあるの?」
「うんその質問が来るってことはすっかり忘れてるね……お米買ってきてって言ったの覚えてない?」
「あ…………」
「まああんなことがあったから仕方ないか……お腹減ってるならあり合わせになるけど今から何か適当に作るね」
サンキュー光花!!と心で思いながら食べたご飯は涙が出るほど美味しかった。
慌てて電話を掛けた俺に開口一番凄まじい怒鳴り声が聞こえてくる。
「ごめん、光花ほんとにごめん、ちょっと訳があって今病院にいるんだけど、ほらあの家の近くのーーー病院」
「もうこんな……え?病院?まさか事故にでもあったの?お兄ちゃん大丈夫なの?」
「ああうん、詳しくは後で話すけど俺は大丈夫、ちょっと付き添いで来てるようなものだから」
「付き添いっていうのは気になるけど……あぁでもよかったぁ……本当に心配したんだからね、大丈夫だったら連絡ぐらいしてよ」
微かに鼻をすする音がした……安心したのだろうけど、それまでかなり心配をかけたようだ、後でしっかりフォローしないと。
「それで今日は帰ってこれるの?もし無理だったりするのなら今からそっちに向かうよ」
「帰れるのかどうか聞いてはなかったけど……多分大丈夫だと思う、怪我も大したことないし」
「怪我してるの!!今すぐ行くから待ってて!!」
「まてまてまてまて、ほんとに大丈夫だから、家で待っててくれ、もうすぐ帰るから」
落ち着いたと思いきや、また不注意な一言で心配させてしまった……どこがフォローするだよ、駄目駄目じゃんか。
とりあえず電話を保留し、近くにいた看護師さんに帰ってもいいかの確認をする。怪我は問題ないということと、手続きやその他のことは俺が未成年のため親に任せないといけないから今できることはないと言われたので帰れると光花に伝えたところで電話を切る。
さて帰る前に夢ヶ島家族の部屋に挨拶しにいかないと、もう色々と落ち着いているかな?
「ごめんなさい、今大丈夫ですか?」
ノックして反応を待つ。
「嬉野くんか?入ってきて大丈夫だよ」
「あ、はい失礼します」
お父さん(語弊はない)からの返答があり中に入る、先程と状況は変わらず夢ヶ島親子と烏丸先生がいた。
「おーい大月、逃げるように出ていったけど、もう大丈夫になったのか?」
「あれだけ質問攻めされたらしんどいよ……陽彩は病院に泊まるの?」
「なんか精密検査のために数日入院しないといけないだかなんだか……ちょっとたんこぶになってるぐらいなのに大袈裟だよ」
「忘れてるかもしれないから言っとくけど記憶失ってるんだよ君は……まぁ今はいいけどさ」
良いとは言ったもの勿論良い訳がない、特に娘が記憶喪失の親とはどういう心境なのだろうか、今は俺や烏丸先生がいるからまだなんとかなってるけど、三人だけになった時どう接していいかわからず困るだろうということは想像に難くない。
「ああそれと、俺の連絡先渡しておくから何かあったら連絡してくれ、ここからだと家も近いし力を貸せることがあるかもしれないから」
「あ、そうなんだ連絡先も知らなかったんだわたしたち……まあいいや、多分何日かは暇だろうし連絡するわ、いろいろ知りたいことあるし」
「そうしてくれ……今日はすいませんでした、またお見舞いに来ます、さようなら」
「嬉野君気を付けて帰ってね、それと今日はお疲れ様ゆっくり休んでね」
「ばいばーい、またね大月」
「今日はありがとう、気を付けて帰るように」
部屋にいた四人に見送られて病室を出て病院を後にした。
……あれ?夢ヶ島のお母さん今日一言も声聞いてない気がする……まあ無口な人なのだろう。
10分ほど歩いたところで家についた、もう扉を開けるだけで家に入れるがこれから二回目の尋問が待っていることは想像に難くない、一旦深呼吸をしてタイミングを取る。
よし
「ただい「こんの心配させやがってーーーーーーーーーー」」
扉を開けた瞬間何かとてつもない衝撃が胸の辺りを襲った、それは奇しくも先ほどバットで殴られた場所と同じだった。
「……ごめん……悪かったから、説明させてくれ……」
とりあえずそこまで言ったはいいものの、今日二回目の痛みで悶絶することになった。
なんとか回復した俺はようやく落ち着いた様子の光花に今日あったことをに話した、無論夢が島と付き合った云々は抜きで。
「なるほどね、大変だったねお兄ちゃんもその夢ヶ島って人も、しかも怪我は大したことなくても娘が記憶を無くすなんて両親は辛いだろうね……」
「そう思うよほんとに、とりあえず記憶が戻るように俺も手伝うつもりかな、責任の一端は俺にあるし」
「それはいいんだけどね……あんまり自分を責めないようにね、お兄ちゃんは悪くないよ、悪いのはその3人組だし……ただ気になるのは、そいつらだよね、この辺って治安はいいほうだから油断してたけど、どこの学生だろう?」
「いやぽいって言っただけで学生かどうかはわからんよ、制服着ていたとかいうわけでもないし……たまたまあそこにいただけかも知れないしね」
「まあそうかもしれないね……それにしてもごめんね、まさか怪我してる場所が胸だとは思わなくて思いっきり突っ込んでしまったよ……大丈夫?」
「今更感すごいけど……もう駄目かと思ったわ、まあでも連絡しなかった罰と思うことにするよ」
「そうほんとそれ、なんで連絡を怠るのよ、そんなに大した怪我でも無かったのに」
理由があって忘れていたが勿論話すことはできない。
「色々考えることがあってね、それに少しパニックになって焦ってしまったみたい、次からは気を付けるよ」
「ほんとそうしてよ、あ、そうそうお父さんお母さんには連絡しておいたよ、今日は行けないから病院には明日連絡するってさ」
「そうなのかありがとう……心配かけてしまったから悪かったな、俺からも連絡しておくわ」
ふう、とりあえず説明は終了したし、後は親に連絡すれば俺がすべきことは無くなる。
因みに明日の学校を欠席することは烏丸先生に伝えて了承はもらったから、明日は存分に体を休めよう、それに色々とこれからの身の振り方を考えなければいけないからそれに時間を割くことにしようか。
そこまで話したところで不意に空腹を感じた。
「そういえば光花、俺のご飯はあるの?」
「うんその質問が来るってことはすっかり忘れてるね……お米買ってきてって言ったの覚えてない?」
「あ…………」
「まああんなことがあったから仕方ないか……お腹減ってるならあり合わせになるけど今から何か適当に作るね」
サンキュー光花!!と心で思いながら食べたご飯は涙が出るほど美味しかった。
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