目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件

水野七緒

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第7話

18・迷惑女、再び

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 俺と八尾さんだけでなく、周囲にいた生徒たちの多くが、ほぼ一斉に同じ方向に顔を向けた。
 案の定、その先にいたのは、いつかの傍迷惑女・江頭由芽と、その友人の金髪ロングだ。

「ほんと、いい加減にしろって! さっきの大倉の顔を見ただろ、明らかに迷惑そうにしてただろ?」
「そんなことないもん! 大倉くん、由芽のことが好きだから嬉しかったはずだもん!」

 ──あの勘違い女、また別のヤツを好きになったのか。
 元被害者としては、相手の男にただただ同情するしかない。思い込みが強すぎる相手とのやりとりは、本当に心が折れるのだ。
 ああ、くそ、と金髪ロングは舌打ちした。

「いいか、由芽。まずは落ち着け。立ち止まって、我が身を省みろ」

 金髪ロングにじっとりと睨まれて、江頭由芽は「わかった」と両足を揃えた。
 その時点で、なんとなく嫌な予感がした。金髪ロングのいう「立ち止まれ」は、あくまで比喩的なものだと思うのだが──

「──はい、立ち止まったよ。これでいいよね?」
「良くねぇよ!」

 金髪ロングのつっこみと、俺の心の声が見事に重なった。

「『立ち止まれ』はそういう意味じゃねぇ! それに『我が身を省みろ』って言ってんだろうが!」
「省みるって?」
「反省しろってことだよ!」
「どうして? 由芽、なにも悪いことしてないよ? 大倉くんのことを好きになっただけだよ? なのに、なんで反省しないといけないの?」
「だからぁ……」

 ほら、やっぱり会話がかみ合っていない。
 金髪ロングは、イライラしたように「ああっ」と頭を抱えている。それでも、なんとか説得を試みようとするのだから、彼女はああ見えてかなりのお人好しなのかもしれない。

(俺なら、絶対耐えられないな)

 そう結論づけると、俺は彼女たちから視線を外そうとした。
 ところが、だ。同じようにふたりを眺めていた八尾さんが、隣でしみじみ呟いたのだ。

「お前と江頭、足して2で割るとちょうどいいのになぁ」
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このシリーズの前のお話です。よろしければ…
「目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件」


こちらはBL未満のお話です
「モフモフ野郎と俺の朝ごはん」
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