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第6話
1・混乱中(その1)
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高校の最寄り駅にも関わらず、下校する生徒の姿はそれほど多くはない。
それもそのはず、時刻はすでに夜の7時だ。この時間帯に駅周辺をうろついているのは、遅くまで部活動に励んでいた運動部員か、このあたりで遊びほうけていた生徒くらいだろう。
完全に後者である俺は、ロータリーにあるベンチに腰を下ろし、ぐったりとうなだれていた。
(ダメだ、意味がわからない)
なぜだ? なぜ、俺はナツさんとキスをした?
(……いや、違う)
正確には「された」のだ。
つまり、俺は何も悪くない。むしろ、好きでもない人に唇を奪われた「被害者」であるはずだ。
なのに、あれからずっと身体の奥が火照っている。
なんだこれは、どういうことだ?
未だ混乱したままの俺に「やっと見つけた」と迷惑そうなため息がぶつかった。
「あのさ。わざわざここまで来るの、ほんと面倒だったんだけど」
仁王立ち状態の星井ナナセに、俺は「ごめん」と小さく謝った。
「でも、話せるの星井しかいないし」
「じゃあ、さっさと話してよ」
「それは、もちろん、話す、つもりだけど」
いちいちつっかえる上に、なかなか本題に入れずにいる俺に、星井は「あのさぁ」とまなじりをつりあげた。
「さっきから言ってるじゃん! さっさと説明して!」
「わかってる! だから、その……」
キス、されて。
どうしても小声になってしまう俺に、星井は「聞こえない!」と容赦ない。
半ばやけっぱちになった俺は、人目もはばからず半ば声をはりあげた。
「だから、キスされたんだって!」
「誰に!」
「ナツさんに!」
どうだ、驚いたか!
それもそのはず、時刻はすでに夜の7時だ。この時間帯に駅周辺をうろついているのは、遅くまで部活動に励んでいた運動部員か、このあたりで遊びほうけていた生徒くらいだろう。
完全に後者である俺は、ロータリーにあるベンチに腰を下ろし、ぐったりとうなだれていた。
(ダメだ、意味がわからない)
なぜだ? なぜ、俺はナツさんとキスをした?
(……いや、違う)
正確には「された」のだ。
つまり、俺は何も悪くない。むしろ、好きでもない人に唇を奪われた「被害者」であるはずだ。
なのに、あれからずっと身体の奥が火照っている。
なんだこれは、どういうことだ?
未だ混乱したままの俺に「やっと見つけた」と迷惑そうなため息がぶつかった。
「あのさ。わざわざここまで来るの、ほんと面倒だったんだけど」
仁王立ち状態の星井ナナセに、俺は「ごめん」と小さく謝った。
「でも、話せるの星井しかいないし」
「じゃあ、さっさと話してよ」
「それは、もちろん、話す、つもりだけど」
いちいちつっかえる上に、なかなか本題に入れずにいる俺に、星井は「あのさぁ」とまなじりをつりあげた。
「さっきから言ってるじゃん! さっさと説明して!」
「わかってる! だから、その……」
キス、されて。
どうしても小声になってしまう俺に、星井は「聞こえない!」と容赦ない。
半ばやけっぱちになった俺は、人目もはばからず半ば声をはりあげた。
「だから、キスされたんだって!」
「誰に!」
「ナツさんに!」
どうだ、驚いたか!
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