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第5話
10・さて、翌日
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八尾さんの言葉どおり、翌日になると俺の頬はさらに腫れあがっていた。
できれば顔を洗ってから湿布を貼り直したかったけれど、少し触れるだけで跳ね上がりそうなほど痛い。身体の痣も、紫色だけでなく、赤、黄色、灰色となかなか派手な仕上がりだ。
できるだけ満員電車を避けたかったので、いつもよりも早く家を出て、各駅停車の電車に乗った。俺に向けられる視線は、学校に近づけば近づくほど多くなり、野次馬が教室を覗きに来るほどになった。
おそらく、昨日のあれこれを見ていた誰かが、ここぞとばかりに噂を広めたのだろう。
始業10分前、星井が登校してきた。意外にも、彼女は俺を見るなり痛ましそうな顔つきになった。
「なっちゃんから聞いたよ、おつかれ」
こつん、と机の上に置かれたのは麦茶だ。どうやらプレゼントのつもりらしい。
「こんなはずじゃなかったんだけど──ていうか、冷やかさないんだ?」
「なんでよ」
「いや、なんとなく……」
星井のことだから「やっぱりなっちゃんのこと放っておけないんじゃーん」と、にやつきながらからかってくるものだとばかり。
素直にそう答えると、星井は「そこまでひどいやつじゃないし」と眉間にしわを刻み込んだ。
「今のあんたに、そんな冗談言えるわけないでしょ」
それもそうか。
なんだかんだ言っても、星井は空気を読めるタイプだ。
「あ、そうだ。なっちゃんから伝言。放課後、いつものパンケーキのカフェに来てくれ──だって」
「えっ、この顔で?」
あのおしゃれな空間に? どう考えても場違いなんだけど。
俺がこぼすと、星井は「たしかに」と頷いて、ナツさんと連絡をとってくれた。
結果、顔の腫れが引いてからカフェに行くことになった。
できれば顔を洗ってから湿布を貼り直したかったけれど、少し触れるだけで跳ね上がりそうなほど痛い。身体の痣も、紫色だけでなく、赤、黄色、灰色となかなか派手な仕上がりだ。
できるだけ満員電車を避けたかったので、いつもよりも早く家を出て、各駅停車の電車に乗った。俺に向けられる視線は、学校に近づけば近づくほど多くなり、野次馬が教室を覗きに来るほどになった。
おそらく、昨日のあれこれを見ていた誰かが、ここぞとばかりに噂を広めたのだろう。
始業10分前、星井が登校してきた。意外にも、彼女は俺を見るなり痛ましそうな顔つきになった。
「なっちゃんから聞いたよ、おつかれ」
こつん、と机の上に置かれたのは麦茶だ。どうやらプレゼントのつもりらしい。
「こんなはずじゃなかったんだけど──ていうか、冷やかさないんだ?」
「なんでよ」
「いや、なんとなく……」
星井のことだから「やっぱりなっちゃんのこと放っておけないんじゃーん」と、にやつきながらからかってくるものだとばかり。
素直にそう答えると、星井は「そこまでひどいやつじゃないし」と眉間にしわを刻み込んだ。
「今のあんたに、そんな冗談言えるわけないでしょ」
それもそうか。
なんだかんだ言っても、星井は空気を読めるタイプだ。
「あ、そうだ。なっちゃんから伝言。放課後、いつものパンケーキのカフェに来てくれ──だって」
「えっ、この顔で?」
あのおしゃれな空間に? どう考えても場違いなんだけど。
俺がこぼすと、星井は「たしかに」と頷いて、ナツさんと連絡をとってくれた。
結果、顔の腫れが引いてからカフェに行くことになった。
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