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第4話
5・ナナセのため息(その2)
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夜遊び──ナツさんが?
「クラスメイトと遊んでいるんじゃない? それか八尾さんとか」
無難な答えを返してはみたものの、胸のざわつきは押さえられない。
なにせ、あの人は人たらしだ。しかも無駄に行動力がある。「好みだから」という理由で、すぐさま夏樹さんのバイト仲間と遊ぶ約束を取り付けるような人なのだ。今回もそのパターンであることは十分考えられる。
案の定、星井も「そうじゃなくてさぁ」と憂鬱そうに顔をしかめた。
「クラスメイトや八尾っちと遊んでるなら、いちいち青野に話さないよ。そうじゃないっぽいから、こうして相談してるわけじゃん」
なるほど、俺からしてみればクラスメイトや八尾さんも十分警戒対象だけど、星井の目にはそうは映っていないらしい。
そんな彼女から見ても「要警戒」の人物──いったい何者なんだ?
「ちなみに心あたりは?」
「ぜんぜんない」
「いつから?」
「3日──4日前くらいから? もうさ、タバコと香水のにおいが臭くて」
しれっと追加された不穏な単語に、俺は思わず「は?」と聞き返した。
「タバコって、ナツさんが?」
「そこはわかんない。本人じゃなくて、夜遊び相手かもしれないし」
「だとしても、ダメだろう! 夏樹さんの身体が副流煙にむしばまれるだなんて!」
そう、あの身体は「夏樹さん」のものだ。それをタバコなんかで汚したかもしれないだなんて。
「ご両親は知ってるの?」
「今んとこ気づいてない。なっちゃん、夜遊びに慣れてるっぽくて、いつもうまい具合に家を抜け出すんだよね」
「でも、タバコのにおいでバレるんじゃ……」
「そんなのシャワー浴びて、消臭スプレーをかけまくればごまかせるでしょ。私が気づいたのも、たまたま帰ってきたところに遭遇したからだし」
夜遊び・タバコ・香水──どれも聞かなかったふりはできない単語だ。
「どうする?」
「どうしたらいいと思う?」
質問を質問で返され、俺は口をつぐんだ。ただ、なんとなくだけど俺と星井は同じ答えを出そうとしているように思えた。
「じゃあさ、『せーの』で言ってみる?」
「わかった」
「いくよ。──せーの!」
同時に発した答えは、ほぼ同じ。「ナツさんのあとをつける」と「なっちゃんを尾行する」──ほら、やっぱり思っていたとおりだ。
「青野、今晩の予定は?」
「特にない」
「じゃあ、今日さっそく決行しよう」
こうして、俺と星井は久しぶりにふたりで出かけることになった。
「クラスメイトと遊んでいるんじゃない? それか八尾さんとか」
無難な答えを返してはみたものの、胸のざわつきは押さえられない。
なにせ、あの人は人たらしだ。しかも無駄に行動力がある。「好みだから」という理由で、すぐさま夏樹さんのバイト仲間と遊ぶ約束を取り付けるような人なのだ。今回もそのパターンであることは十分考えられる。
案の定、星井も「そうじゃなくてさぁ」と憂鬱そうに顔をしかめた。
「クラスメイトや八尾っちと遊んでるなら、いちいち青野に話さないよ。そうじゃないっぽいから、こうして相談してるわけじゃん」
なるほど、俺からしてみればクラスメイトや八尾さんも十分警戒対象だけど、星井の目にはそうは映っていないらしい。
そんな彼女から見ても「要警戒」の人物──いったい何者なんだ?
「ちなみに心あたりは?」
「ぜんぜんない」
「いつから?」
「3日──4日前くらいから? もうさ、タバコと香水のにおいが臭くて」
しれっと追加された不穏な単語に、俺は思わず「は?」と聞き返した。
「タバコって、ナツさんが?」
「そこはわかんない。本人じゃなくて、夜遊び相手かもしれないし」
「だとしても、ダメだろう! 夏樹さんの身体が副流煙にむしばまれるだなんて!」
そう、あの身体は「夏樹さん」のものだ。それをタバコなんかで汚したかもしれないだなんて。
「ご両親は知ってるの?」
「今んとこ気づいてない。なっちゃん、夜遊びに慣れてるっぽくて、いつもうまい具合に家を抜け出すんだよね」
「でも、タバコのにおいでバレるんじゃ……」
「そんなのシャワー浴びて、消臭スプレーをかけまくればごまかせるでしょ。私が気づいたのも、たまたま帰ってきたところに遭遇したからだし」
夜遊び・タバコ・香水──どれも聞かなかったふりはできない単語だ。
「どうする?」
「どうしたらいいと思う?」
質問を質問で返され、俺は口をつぐんだ。ただ、なんとなくだけど俺と星井は同じ答えを出そうとしているように思えた。
「じゃあさ、『せーの』で言ってみる?」
「わかった」
「いくよ。──せーの!」
同時に発した答えは、ほぼ同じ。「ナツさんのあとをつける」と「なっちゃんを尾行する」──ほら、やっぱり思っていたとおりだ。
「青野、今晩の予定は?」
「特にない」
「じゃあ、今日さっそく決行しよう」
こうして、俺と星井は久しぶりにふたりで出かけることになった。
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