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第3話
4・さて、緒形は……
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帰宅ラッシュまっただ中の電車のなかで、緒形はぽつぽつとスマホをいじっていた。
(都内のデートスポットも、ずいぶん変わったよなぁ)
関西に出向いていたのはほんの数年のはずだが、検索結果としてあがってきた「都内の人気デートスポット」の多くは、緒形が足を運んだことのない場所ばかりだ。しかも、このなかから菜穂の好きそうな場所となれば、さらに限られてくるだろう。
(無難に映画かな。それか、水族館か……プラネタリウムか)
プラネタリウムは、高校時代に菜穂と訪れた思い出の場所のひとつだ。緒形は途中で爆睡してしまったけれど、彼女はかなり楽しめたらしい。
(でも、それをなぞるのもなぁ)
菜穂が、当時の思い出を大切に思っているのならそれも有りだろう。けれど、今の彼女を見る限り、そんなふうには思えない。
そもそも、再び緒形と交際すると決めたのも、あまり良い理由ではないはずだ。
(ぜんぜん楽しそうじゃないしなぁ。絶対なにか裏があるだろ)
しかも「裏」とやらも、彼女が交際条件として突きつけてきた内容を思えば、おおよその想像はつく。
(絶対「脱・処女」したいだけだよなぁ)
その相手に自分を選んだことが、緒形としては何よりも信じられなかったが、彼女にしてみればそれだけ切羽詰まった状況なのかもしれない。
(いや、けど……それこそ、俺ともいろいろあったじゃん)
そのあたりを踏まえると、もはや「切羽詰まった」を通り越して「投げやり」にでもなっているのか。
(投げやり……なぁ。意外とそういうところがあるんだよなぁ、三辺って)
緒形の脳裏に、高校時代の出来事がよみがえる。
(都内のデートスポットも、ずいぶん変わったよなぁ)
関西に出向いていたのはほんの数年のはずだが、検索結果としてあがってきた「都内の人気デートスポット」の多くは、緒形が足を運んだことのない場所ばかりだ。しかも、このなかから菜穂の好きそうな場所となれば、さらに限られてくるだろう。
(無難に映画かな。それか、水族館か……プラネタリウムか)
プラネタリウムは、高校時代に菜穂と訪れた思い出の場所のひとつだ。緒形は途中で爆睡してしまったけれど、彼女はかなり楽しめたらしい。
(でも、それをなぞるのもなぁ)
菜穂が、当時の思い出を大切に思っているのならそれも有りだろう。けれど、今の彼女を見る限り、そんなふうには思えない。
そもそも、再び緒形と交際すると決めたのも、あまり良い理由ではないはずだ。
(ぜんぜん楽しそうじゃないしなぁ。絶対なにか裏があるだろ)
しかも「裏」とやらも、彼女が交際条件として突きつけてきた内容を思えば、おおよその想像はつく。
(絶対「脱・処女」したいだけだよなぁ)
その相手に自分を選んだことが、緒形としては何よりも信じられなかったが、彼女にしてみればそれだけ切羽詰まった状況なのかもしれない。
(いや、けど……それこそ、俺ともいろいろあったじゃん)
そのあたりを踏まえると、もはや「切羽詰まった」を通り越して「投げやり」にでもなっているのか。
(投げやり……なぁ。意外とそういうところがあるんだよなぁ、三辺って)
緒形の脳裏に、高校時代の出来事がよみがえる。
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