101 / 106
❹
【九十六話】幼児的おねだり
しおりを挟む
世間はどうやらお花見シーズンらしい。
私もお花見したい。
したいんだ。
だってさぁぁぁぁぁぁ!!!
聞いてよそこの奥さん!!おねぇさんん!!
よくわからんシェルターに突っ込まれてからもう何週間もたってるんです!
日に当たってないんです!
セロトニンが出なくて死んじゃうよ!鬱になっちゃうよ!!
幸せ成分の生成能力死んじゃうよ!!
紫外線にあたりたいよぉぉぉぉ!!!
ってなってもおかしくないんだよ・・・ほんとに。
日々えっちなことかハチくんとのボードゲーム。
頼んだ時に買ってもらえる漫画や本。
あとはレンタルショップで借りてくるB級映画だったりドラマだったりの繰り返し。
暇なの。
マジで暇。
お外の空気が吸いたいですぅぅぅぅ
普段引きこもり万歳な私でもさすがに飽きる。飽きるよ。
やることなくてベリーダンスとかやりたくなるくらいには暇だよ。
やらないけど。
ってことで、下界の話はもっぱらハチくんからいただくわけですが、桜がきれいに咲き始めたよって教えてくれたのでお外行きたい病です。
珍しく本日は獣勢ぞろい+α(ハチくん・佐々木さん・山村さん)で夕食をとるらしいのでその席で話をしてみることにする。
久しぶりにシェルターから出て、あのバカでかいリビングにハチくんと入ると、大きな窓ガラスにはきらびやかな夜景が映っていた。
シェルターに窓なんてないので、本当に久しぶりの外の景色だ。
眠らない街、東京なていう文言があるくらいだし、一昔前には百万ドルの夜景みたいな言い方もあったじゃない。
ドルってことは日本の話じゃないかもしれないけど、そこは置いといて。
思わず「綺麗・・・」って感嘆しちゃうくらいには素敵な景色だった。
景色を堪能する暇なんかないくらい、この家に来たときは余裕もないし、暇だ暇だと嘆いていたけど
少しは心に余裕ができたのか、この生活に慣れてしまったのか。
「深月、おいで」
佐竹さんがダイニングテーブルの椅子を引いて声をかけてきた。
珍しく膝に座れっていう意思表示はないっぽい。
大人しく引かれた椅子に座り、目の前の食事に目をやる。
大きなダイニングテーブルの少し離れたところに丸テーブルがあり、+αのみなさんはそちらで食事。
私と獣たちは大きなテーブルのほうで食べるようでカレーとサラダとお水がそれぞれの卓に置かれていた。
「揃いましたね、じゃぁいただきましょうか」
そう三嶋さんが言うと野太い声で「頂きます」という合唱が聞こえた。
いただきます。と私も一言言っておかれているスプーンに手をかけた。
シェルターに居るときは基本的に自分で簡易キッチンで食事を作るか、今日のように誰かが作ってくれたものを私のもとで運んでくれた誰かと食べるか・・・という形だったから、こうやって呼ばれてご飯を食べることに驚きを隠せないんだけれど、どうやらハチくんがせっかくみんないるし、深月さんも呼びましょうよと言ってくれたみたい。
イイコや・・・
なんて感慨深く食べながら今日のチャレンジ。
お外に行きたいアピールを開始する。
「財田さん。すいません。私いい加減太陽の光浴びないと病みそうです」
という提案をしてみた。
「…だめだ」
「なーーんーーーでーーーーー」
「お前監禁されてる自覚あるか?」
「ない」
「ないじゃねぇんだよなぁ・・・」
「ハチくんが桜綺麗だっていってた」
「桜は満開だな」
「見たい」
「無理」
「一人でなんて言ってないです」
「誰と行くんだよ」
「誰とでもいいです。近くでも構わないです。お外行きたい。太陽浴びたい。空気吸いたい」
「空気は吸ってんだろ」
「外気」
「昼間にここからみればいいだろ」
「そもそもシェルターから出してもらえてない」
「今」
「今は桜見れない。太陽出てない」
「…」
「何人付けてもいいから!外行きたい!お花見したい!太陽浴びたい!風を感じたい!」
スプーンをグーで握り、足をパタパタさせつつおねだり攻撃だ!!!
「逃げない!」
「…」
「コレ付けてるじゃん!いいじゃん!」
首輪をクイっと触りながらコレ!コレあるでしょ!と主張する。
「佐竹さん!外!行きたい!!三嶋さん!!わかるでしょ!セロトニン!大事!!」
佐竹さんと三嶋さんにも訴えかける。
この人たちはなんでか知らんけど私に甘い。甘いなら甘えたらいいのだ。
子供のようにお願いをし続ける。
「一生のお願い!1時間!いや30分でもいいからお外行かせて!近くの小さい公園とかあればそこでもいい!」
懇願し続ける。
わがままだと言われようが、立場がどうとか言われようが。
見張りがいようが、何ならハーネスとかつけられてもいい。
真面目に刺激が足りなさ過ぎて腐りそうなんだという主張を続ける。
ぶっちゃけ逃げる気はない。逃げても追われる生活は面倒臭い。ただ「逃げない」という実績とガチでお外行きたい病で外出したいだけだ。
私にはやることがある。
やらなければならないことがある。
時間はかかってもそれに向けて動かなくてはいけないのだ。
だだをこねる3歳児のように思われてもかまわない。
春生がここまで私に何もしてこないってことは何もできないってことなのだ。
私は自力で少しでも自分のやるべきことに向けて動かなくてはいけない。
「わかったわかった、分かったから喚くな・・・」
かくして、今までここまで子供のように喚くことがなかった私に対して、獣達はヤレヤレといった顔で根負けしたのである。
「やったぁぁぁぁぁぁ!!!!」
お花見もしたい。
外の空気が吸いたい。
太陽の光が浴びたい。
全て本当の事で、本当に私はその為だけに公園に行くことを希望した。
警備という名の監視は、佐竹さんとハチくん。そして佐々木さんが担当することになった。
山村さんはお留守番だがお花見のご飯を作ってくれるらしい。
楽しみで仕方がない。
桜なんて本当に久しぶりだ。
私もお花見したい。
したいんだ。
だってさぁぁぁぁぁぁ!!!
聞いてよそこの奥さん!!おねぇさんん!!
よくわからんシェルターに突っ込まれてからもう何週間もたってるんです!
日に当たってないんです!
セロトニンが出なくて死んじゃうよ!鬱になっちゃうよ!!
幸せ成分の生成能力死んじゃうよ!!
紫外線にあたりたいよぉぉぉぉ!!!
ってなってもおかしくないんだよ・・・ほんとに。
日々えっちなことかハチくんとのボードゲーム。
頼んだ時に買ってもらえる漫画や本。
あとはレンタルショップで借りてくるB級映画だったりドラマだったりの繰り返し。
暇なの。
マジで暇。
お外の空気が吸いたいですぅぅぅぅ
普段引きこもり万歳な私でもさすがに飽きる。飽きるよ。
やることなくてベリーダンスとかやりたくなるくらいには暇だよ。
やらないけど。
ってことで、下界の話はもっぱらハチくんからいただくわけですが、桜がきれいに咲き始めたよって教えてくれたのでお外行きたい病です。
珍しく本日は獣勢ぞろい+α(ハチくん・佐々木さん・山村さん)で夕食をとるらしいのでその席で話をしてみることにする。
久しぶりにシェルターから出て、あのバカでかいリビングにハチくんと入ると、大きな窓ガラスにはきらびやかな夜景が映っていた。
シェルターに窓なんてないので、本当に久しぶりの外の景色だ。
眠らない街、東京なていう文言があるくらいだし、一昔前には百万ドルの夜景みたいな言い方もあったじゃない。
ドルってことは日本の話じゃないかもしれないけど、そこは置いといて。
思わず「綺麗・・・」って感嘆しちゃうくらいには素敵な景色だった。
景色を堪能する暇なんかないくらい、この家に来たときは余裕もないし、暇だ暇だと嘆いていたけど
少しは心に余裕ができたのか、この生活に慣れてしまったのか。
「深月、おいで」
佐竹さんがダイニングテーブルの椅子を引いて声をかけてきた。
珍しく膝に座れっていう意思表示はないっぽい。
大人しく引かれた椅子に座り、目の前の食事に目をやる。
大きなダイニングテーブルの少し離れたところに丸テーブルがあり、+αのみなさんはそちらで食事。
私と獣たちは大きなテーブルのほうで食べるようでカレーとサラダとお水がそれぞれの卓に置かれていた。
「揃いましたね、じゃぁいただきましょうか」
そう三嶋さんが言うと野太い声で「頂きます」という合唱が聞こえた。
いただきます。と私も一言言っておかれているスプーンに手をかけた。
シェルターに居るときは基本的に自分で簡易キッチンで食事を作るか、今日のように誰かが作ってくれたものを私のもとで運んでくれた誰かと食べるか・・・という形だったから、こうやって呼ばれてご飯を食べることに驚きを隠せないんだけれど、どうやらハチくんがせっかくみんないるし、深月さんも呼びましょうよと言ってくれたみたい。
イイコや・・・
なんて感慨深く食べながら今日のチャレンジ。
お外に行きたいアピールを開始する。
「財田さん。すいません。私いい加減太陽の光浴びないと病みそうです」
という提案をしてみた。
「…だめだ」
「なーーんーーーでーーーーー」
「お前監禁されてる自覚あるか?」
「ない」
「ないじゃねぇんだよなぁ・・・」
「ハチくんが桜綺麗だっていってた」
「桜は満開だな」
「見たい」
「無理」
「一人でなんて言ってないです」
「誰と行くんだよ」
「誰とでもいいです。近くでも構わないです。お外行きたい。太陽浴びたい。空気吸いたい」
「空気は吸ってんだろ」
「外気」
「昼間にここからみればいいだろ」
「そもそもシェルターから出してもらえてない」
「今」
「今は桜見れない。太陽出てない」
「…」
「何人付けてもいいから!外行きたい!お花見したい!太陽浴びたい!風を感じたい!」
スプーンをグーで握り、足をパタパタさせつつおねだり攻撃だ!!!
「逃げない!」
「…」
「コレ付けてるじゃん!いいじゃん!」
首輪をクイっと触りながらコレ!コレあるでしょ!と主張する。
「佐竹さん!外!行きたい!!三嶋さん!!わかるでしょ!セロトニン!大事!!」
佐竹さんと三嶋さんにも訴えかける。
この人たちはなんでか知らんけど私に甘い。甘いなら甘えたらいいのだ。
子供のようにお願いをし続ける。
「一生のお願い!1時間!いや30分でもいいからお外行かせて!近くの小さい公園とかあればそこでもいい!」
懇願し続ける。
わがままだと言われようが、立場がどうとか言われようが。
見張りがいようが、何ならハーネスとかつけられてもいい。
真面目に刺激が足りなさ過ぎて腐りそうなんだという主張を続ける。
ぶっちゃけ逃げる気はない。逃げても追われる生活は面倒臭い。ただ「逃げない」という実績とガチでお外行きたい病で外出したいだけだ。
私にはやることがある。
やらなければならないことがある。
時間はかかってもそれに向けて動かなくてはいけないのだ。
だだをこねる3歳児のように思われてもかまわない。
春生がここまで私に何もしてこないってことは何もできないってことなのだ。
私は自力で少しでも自分のやるべきことに向けて動かなくてはいけない。
「わかったわかった、分かったから喚くな・・・」
かくして、今までここまで子供のように喚くことがなかった私に対して、獣達はヤレヤレといった顔で根負けしたのである。
「やったぁぁぁぁぁぁ!!!!」
お花見もしたい。
外の空気が吸いたい。
太陽の光が浴びたい。
全て本当の事で、本当に私はその為だけに公園に行くことを希望した。
警備という名の監視は、佐竹さんとハチくん。そして佐々木さんが担当することになった。
山村さんはお留守番だがお花見のご飯を作ってくれるらしい。
楽しみで仕方がない。
桜なんて本当に久しぶりだ。
1
お気に入りに追加
546
あなたにおすすめの小説

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。


お兄ちゃんはお医者さん!?
すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。
如月 陽菜(きさらぎ ひな)
病院が苦手。
如月 陽菜の主治医。25歳。
高橋 翔平(たかはし しょうへい)
内科医の医師。
※このお話に出てくるものは
現実とは何の関係もございません。
※治療法、病名など
ほぼ知識なしで書かせて頂きました。
お楽しみください♪♪

ナイトプールで熱い夜
狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…?
この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。


地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~
あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる