3獣と檻の中

蓮雅 咲

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第七十七話【産まれたての小鹿】

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今ほど引きこもりだったことを後悔したときはないんじゃないだろうか。

ベッドは汗やら何かの汁や液や汁でびしゃびしゃというかベタベタというか、とても横になれる状態ではないのでとりあえずトイレに行きたい。そしてお風呂に入りたいとベッドを降りたが最後。
私はべりゃりとそのまま崩れ落ちてしまったのだ。
膝に力が入らない。
なんなら体中ギシギシと軋んでいて、数時間後には筋肉痛になりそうな予感さえする。
どうにかベッドに手をかけ、立ったはいいが足に力が入らないというか、産まれたての小鹿という表現が当てはまりすぎるくらい膝がガクガクと笑っているというか震えているというか
まじでガクガク。
ゆっくりとどうにかこうにか足を動かし、ベッドを伝って端まできたけどベッドから手を離した瞬間に再びべしゃりと体が重力に負けて座り込む。

「這えと。這って行けと。」

トイレにも行きたいし、お風呂にも入りたい。
体力がないのはわかるけど、筋肉の衰えも激しすぎではないだろうか。
自分の筋力のなさに愕然とする。
筋トレくらいしておくべきだった。
監禁されている間、暇に任せて海外ドラマ一気見とかするんじゃなかった。
いや、今そんなこと考えても仕方ない。
催した尿意をどうにか回避したい。

ふんっ
どうにか体を起こして立とうとするが、膝から下が一切力が入らない。
なんなら体重をかける腕ですらぷるぷるする。

……最終手段。

秘儀!赤さん流!ハイハイの術!!

術でも何でもない。
単なるハイハイである。

匍匐前進だと腕がね。ただでさえプルプルするのに、これ以上負担掛けたら明日全身筋肉痛でベッドから這い出ることもできなくなりそうだしね。

ハイハイも足と腕を使うためプルプルするけどどうにかなる。どうにかなるのだ。

永遠のように感じたドアもあと2mというところでドアが開いた。

ドアが開くのは嬉しい。
なにせドアノブまで体を起こさないと手が届かなかったから。
でもね。
ドアが開くってことはだ。
ソコに誰かがいるわけです。
2DKのこの部屋のすべてのドアは手動なの。自動じゃないの。

ドアを開けた人間の視線が痛い。

「何してんだァお前。赤ちゃんプレイがしたいのか?それとも四つん這いプレイがしたいのかァ?」

案の定、私をこんな状態に貶めた男の声がはるか頭上から降ってくる。
恥ずかしさに涙が目にたまる。
こんな私に誰がした!!そうだ!!そこのお前だお前!!!

固まって顔を上げられない。
それでも腕はプルプルし続け。
体は正直。尿意は増すばかり。

「………なわけあるか!!!立てないの!!トイレつれてって!!!!!」
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