3獣と檻の中

蓮雅 咲

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第七十一話【財田さんの香り】※

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「コレ、思ったよりセクシーだなァ」

すっと首元の金属に触れる節だった指。
そのまま鎖骨…と触れるか触れないかの感覚でそっと撫でられる。

自然と息が口から洩れる。
腕をほどかずに男の顔から視線を外し右を向いたままの私の体を、ゆっくりと男の手が撫でていく。
心臓の音がうるさい。

「白いな…肌も吸い付くみたいにきめ細やかですべすべだ。」

腰、肋骨、おなか、太もも。

撫でられるたびに、くすぐったさとは違う、ゾワっとした感覚が襲う。
身じろぎ、その手から逃れるように態勢を変える。

「…どうした?まだ撫でてるだけだぞ?」
「っ!くすぐったいだけです!」
「ほォ?」

上になっている肩をベッドに押し付けられ、あおむけにされ、ふいに財田さんと見つめあう形になった。
ギラっとした彼の瞳に息をのむ。
欲情した黒獅子は舌なめずりをして首筋に顔をうずめ、べろりと濡れた舌が触れる。

首の金属から少し上の首筋をべろり、じゅるり、はむっとひとしきり味わい、

「興奮してんのはお前もだろ…?息も上がって、汗ばんでる…」

そう告げると、彼の右手が下半身に伸びて、ショーツに触れた。

「ほら、パンツも濡れてんじゃん」

足を閉じていたはずなのに、スルリと割れ目を撫でられ、実況される。
恥ずかしいなんてもんじゃない。
佐竹さんの時も、三嶋さんの時も、なんでこんなに体が勝手に反応するのか本当にわけわからない。
ていうか実況しないで!マジで恥ずかしくて死ぬ!

「言わな…で…」

んー…と財田さんがつぶやき、「手、邪魔だな」と手首をひょいとつかみ、私の頭の上に縫い留めた。

「ぁっ!」

明るい室内に、あらわになった自分の胸の頂が、ツンと主張しているのが見える。

「おーおー…いいねェ…ちゃんとカワイイわ、アンタ。」

ふぅーと胸の頂に息を吹きかけられ、プルっと体が震えた。
下半身にじわっと何かが広がる感覚がした。

「感度良好。感じやすすぎねェか?」
「こんなこと、今までなかったんです!あなた達がおかしいんです!!」

クツクツと笑われ、もはや涙目だ。
だって、過去の自分はいつだって無表情で、痛みと内臓をかき回されているような気持ち悪さと吐き気しかなかった。

「だーいじょうぶだって、怖いことなんか何にもねェよ」

ベッドに縫い留められていた手を外され、ゆっくり。
安心させるように財田さんが私を抱きしめる。
触り心地のいいシャツと、シャンプーと香水の混じった財田さんの香り。

頭を撫でられながら、耳、頬、唇とキスをされ、つい財田さんの背中に手を回してしまった…。



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