3獣と檻の中

蓮雅 咲

文字の大きさ
上 下
76 / 106

第七十一話【財田さんの香り】※

しおりを挟む
「コレ、思ったよりセクシーだなァ」

すっと首元の金属に触れる節だった指。
そのまま鎖骨…と触れるか触れないかの感覚でそっと撫でられる。

自然と息が口から洩れる。
腕をほどかずに男の顔から視線を外し右を向いたままの私の体を、ゆっくりと男の手が撫でていく。
心臓の音がうるさい。

「白いな…肌も吸い付くみたいにきめ細やかですべすべだ。」

腰、肋骨、おなか、太もも。

撫でられるたびに、くすぐったさとは違う、ゾワっとした感覚が襲う。
身じろぎ、その手から逃れるように態勢を変える。

「…どうした?まだ撫でてるだけだぞ?」
「っ!くすぐったいだけです!」
「ほォ?」

上になっている肩をベッドに押し付けられ、あおむけにされ、ふいに財田さんと見つめあう形になった。
ギラっとした彼の瞳に息をのむ。
欲情した黒獅子は舌なめずりをして首筋に顔をうずめ、べろりと濡れた舌が触れる。

首の金属から少し上の首筋をべろり、じゅるり、はむっとひとしきり味わい、

「興奮してんのはお前もだろ…?息も上がって、汗ばんでる…」

そう告げると、彼の右手が下半身に伸びて、ショーツに触れた。

「ほら、パンツも濡れてんじゃん」

足を閉じていたはずなのに、スルリと割れ目を撫でられ、実況される。
恥ずかしいなんてもんじゃない。
佐竹さんの時も、三嶋さんの時も、なんでこんなに体が勝手に反応するのか本当にわけわからない。
ていうか実況しないで!マジで恥ずかしくて死ぬ!

「言わな…で…」

んー…と財田さんがつぶやき、「手、邪魔だな」と手首をひょいとつかみ、私の頭の上に縫い留めた。

「ぁっ!」

明るい室内に、あらわになった自分の胸の頂が、ツンと主張しているのが見える。

「おーおー…いいねェ…ちゃんとカワイイわ、アンタ。」

ふぅーと胸の頂に息を吹きかけられ、プルっと体が震えた。
下半身にじわっと何かが広がる感覚がした。

「感度良好。感じやすすぎねェか?」
「こんなこと、今までなかったんです!あなた達がおかしいんです!!」

クツクツと笑われ、もはや涙目だ。
だって、過去の自分はいつだって無表情で、痛みと内臓をかき回されているような気持ち悪さと吐き気しかなかった。

「だーいじょうぶだって、怖いことなんか何にもねェよ」

ベッドに縫い留められていた手を外され、ゆっくり。
安心させるように財田さんが私を抱きしめる。
触り心地のいいシャツと、シャンプーと香水の混じった財田さんの香り。

頭を撫でられながら、耳、頬、唇とキスをされ、つい財田さんの背中に手を回してしまった…。



しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

お兄ちゃんはお医者さん!?

すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。 如月 陽菜(きさらぎ ひな) 病院が苦手。 如月 陽菜の主治医。25歳。 高橋 翔平(たかはし しょうへい) 内科医の医師。 ※このお話に出てくるものは 現実とは何の関係もございません。 ※治療法、病名など ほぼ知識なしで書かせて頂きました。 お楽しみください♪♪

ナイトプールで熱い夜

狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…? この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。

元彼にハメ婚させられちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
元彼にハメ婚させられちゃいました

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~

あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……

処理中です...