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第六十八話【極妻になりたくなんかない!】
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時は戻り………
龍桜会 マンション______
「お前に今話せるところを掻い摘んで説明する。」
佐竹さんが私を膝から下し、体を私に向けた。
「大前提として上げられるのが、本家藤倉組の抗争相手【田辺組】。うちはここと仲が悪い。そして、深月が隣人の男の居場所を教えたあの時より少し前に、田辺傘下である【聖合会】から本家が喧嘩を売られている。
内容についてはざっくり言えば、女がらみだ。
それとは別の件で、龍桜会(うち)は聖合会がらみの調査をしてたんだが、本家絡みのことでバタついてる隙に、例の隣人が調査資料をごっそり持って飛んだ。
どうやら聖合に匿われているという所までは突き止めちゃぁいたんだが、ソッチが火種になって戦争が起きるのは避けたい。と手を付けられないところに、深月から居場所を教えてもらえた。
渡りに船。ってとこだな。
お陰で資料を取り返すこともできたし、ヤツを処分することもできた。」
「なるほど。ざっとした流れは把握しました。」
「聖合に匿われていたヤツが消えた理由を、聖合が調べないわけがない。」
「お、おぅ?」
「龍桜から持って行った聖合の秘密。それを持って居なくなった匿っていたはずの男。それに手を貸した女がいる。どうやら龍桜で囲っているらしい。」
「えぇ…」
「ヒカルが言ったことは雑ですが。聖合が調べていなくても田辺は調べているでしょうね。なので、龍桜側としましては、貴女を保護したほうが、田辺や聖合との被害を少なくできるんです。少なくとも巻き込まれてしまった【一般人】ですし。」
「はぁ…」
いや、だが、なぜに私を龍桜会の女認定するんだろうか。
ていうより龍桜会の女ってなんだ?
固定のだれかならわかるが団体のってことだろ?
……え、嫌だぞ。
極道の妻的組長の嫁はさすがに嫌だぞ。
天涯孤独だからってソレはさすがにちょっと…!
「極道の妻は嫌なんですけど」
「あながち間違ってねェな。お前のその頭の回転の早さは好きだぜ」
「いや、間違っててほしいんですけど!!三嶋さんがたった今私を【一般人】てカテゴライズしたじゃないですか!」
「仮だ、仮。保護目的には変わりねェよ。お前の隣人に関してだけじゃなくて、俺らに関わった女として向こうさんもお前を探してる。それに関していえば、俺らがお前に固執したからとしか言いようがねェ。だからお前を保護するのは当然だろ?だから今回の件がぜぇんぶ落ち着くまで、お前を保護するってのが俺らの考えだ。わかったか?」
有無を言わせぬ勢いで財田さんにまくしたてられ、ううぅぅぅと唸る私は、若干納得がいかない。
財田さんの言いたいことはなんとなくわかる、わかるけど。
「保護目的なら、性行為いらないじゃないですか。」
「「「それとこれとは別。」」です。」
別ってなんだ別って。
はぁ…ため息もつくってやつですよ。
なんなのこの獣たちは…なんか、情報量が多くて状況整理だけでもしんどい。
パソコン欲しい。情報処理は全部そっちに任せたい。
「ヒカル」
「あぁ、ハチ、こっち来い。」
「ッス」
聞きなれない声がしたほうを向くと、いつからそこにいたのか、明るい栗色の髪のさわやか青年が小走りで寄ってきた。
「深月。二鉢だ。お前の護衛を担当する。ハチ、吉沢深月だ。」
「二鉢勇太っス!気軽にハチって呼んでください!」
「あ、どうも…」
「本当はタマ…あー、三田ってヤツもいるんスけど、人見知りで…そのうち出てくると思うんで、その時紹介するッス!」
明るくて元気な柴犬。
そんな印象を受けるハチくんだ。
……犬!?
タマって呼ばれた子は猫みたいな子なのかな…
ハチとタマって…どういうネーミングセンスでつけてるんだ?あだ名…
「佐竹さんのセンスを疑うことにします。」
「俺のセンス?なんの?」
「名前の」
「いや、俺がつけたわけじゃないぞ?ハチとタマ。」
龍桜会 マンション______
「お前に今話せるところを掻い摘んで説明する。」
佐竹さんが私を膝から下し、体を私に向けた。
「大前提として上げられるのが、本家藤倉組の抗争相手【田辺組】。うちはここと仲が悪い。そして、深月が隣人の男の居場所を教えたあの時より少し前に、田辺傘下である【聖合会】から本家が喧嘩を売られている。
内容についてはざっくり言えば、女がらみだ。
それとは別の件で、龍桜会(うち)は聖合会がらみの調査をしてたんだが、本家絡みのことでバタついてる隙に、例の隣人が調査資料をごっそり持って飛んだ。
どうやら聖合に匿われているという所までは突き止めちゃぁいたんだが、ソッチが火種になって戦争が起きるのは避けたい。と手を付けられないところに、深月から居場所を教えてもらえた。
渡りに船。ってとこだな。
お陰で資料を取り返すこともできたし、ヤツを処分することもできた。」
「なるほど。ざっとした流れは把握しました。」
「聖合に匿われていたヤツが消えた理由を、聖合が調べないわけがない。」
「お、おぅ?」
「龍桜から持って行った聖合の秘密。それを持って居なくなった匿っていたはずの男。それに手を貸した女がいる。どうやら龍桜で囲っているらしい。」
「えぇ…」
「ヒカルが言ったことは雑ですが。聖合が調べていなくても田辺は調べているでしょうね。なので、龍桜側としましては、貴女を保護したほうが、田辺や聖合との被害を少なくできるんです。少なくとも巻き込まれてしまった【一般人】ですし。」
「はぁ…」
いや、だが、なぜに私を龍桜会の女認定するんだろうか。
ていうより龍桜会の女ってなんだ?
固定のだれかならわかるが団体のってことだろ?
……え、嫌だぞ。
極道の妻的組長の嫁はさすがに嫌だぞ。
天涯孤独だからってソレはさすがにちょっと…!
「極道の妻は嫌なんですけど」
「あながち間違ってねェな。お前のその頭の回転の早さは好きだぜ」
「いや、間違っててほしいんですけど!!三嶋さんがたった今私を【一般人】てカテゴライズしたじゃないですか!」
「仮だ、仮。保護目的には変わりねェよ。お前の隣人に関してだけじゃなくて、俺らに関わった女として向こうさんもお前を探してる。それに関していえば、俺らがお前に固執したからとしか言いようがねェ。だからお前を保護するのは当然だろ?だから今回の件がぜぇんぶ落ち着くまで、お前を保護するってのが俺らの考えだ。わかったか?」
有無を言わせぬ勢いで財田さんにまくしたてられ、ううぅぅぅと唸る私は、若干納得がいかない。
財田さんの言いたいことはなんとなくわかる、わかるけど。
「保護目的なら、性行為いらないじゃないですか。」
「「「それとこれとは別。」」です。」
別ってなんだ別って。
はぁ…ため息もつくってやつですよ。
なんなのこの獣たちは…なんか、情報量が多くて状況整理だけでもしんどい。
パソコン欲しい。情報処理は全部そっちに任せたい。
「ヒカル」
「あぁ、ハチ、こっち来い。」
「ッス」
聞きなれない声がしたほうを向くと、いつからそこにいたのか、明るい栗色の髪のさわやか青年が小走りで寄ってきた。
「深月。二鉢だ。お前の護衛を担当する。ハチ、吉沢深月だ。」
「二鉢勇太っス!気軽にハチって呼んでください!」
「あ、どうも…」
「本当はタマ…あー、三田ってヤツもいるんスけど、人見知りで…そのうち出てくると思うんで、その時紹介するッス!」
明るくて元気な柴犬。
そんな印象を受けるハチくんだ。
……犬!?
タマって呼ばれた子は猫みたいな子なのかな…
ハチとタマって…どういうネーミングセンスでつけてるんだ?あだ名…
「佐竹さんのセンスを疑うことにします。」
「俺のセンス?なんの?」
「名前の」
「いや、俺がつけたわけじゃないぞ?ハチとタマ。」
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