3獣と檻の中

蓮雅 咲

文字の大きさ
上 下
73 / 106

第六十八話【極妻になりたくなんかない!】

しおりを挟む
時は戻り………

龍桜会 マンション______


「お前に今話せるところを掻い摘んで説明する。」

佐竹さんが私を膝から下し、体を私に向けた。

「大前提として上げられるのが、本家藤倉組の抗争相手【田辺組】。うちはここと仲が悪い。そして、深月が隣人の男の居場所を教えたあの時より少し前に、田辺傘下である【聖合会】から本家が喧嘩を売られている。
内容についてはざっくり言えば、女がらみだ。
それとは別の件で、龍桜会(うち)は聖合会がらみの調査をしてたんだが、本家絡みのことでバタついてる隙に、例の隣人が調査資料をごっそり持って飛んだ。
どうやら聖合に匿われているという所までは突き止めちゃぁいたんだが、ソッチが火種になって戦争が起きるのは避けたい。と手を付けられないところに、深月から居場所を教えてもらえた。
渡りに船。ってとこだな。
お陰で資料を取り返すこともできたし、ヤツを処分することもできた。」
「なるほど。ざっとした流れは把握しました。」
「聖合に匿われていたヤツが消えた理由を、聖合が調べないわけがない。」
「お、おぅ?」
「龍桜から持って行った聖合の秘密。それを持って居なくなった匿っていたはずの男。それに手を貸した女がいる。どうやら龍桜で囲っているらしい。」
「えぇ…」
「ヒカルが言ったことは雑ですが。聖合が調べていなくても田辺は調べているでしょうね。なので、龍桜側としましては、貴女を保護したほうが、田辺や聖合との被害を少なくできるんです。少なくとも巻き込まれてしまった【一般人】ですし。」
「はぁ…」

いや、だが、なぜに私を龍桜会の女認定するんだろうか。
ていうより龍桜会の女ってなんだ?
固定のだれかならわかるが団体のってことだろ?

……え、嫌だぞ。
極道の妻的組長の嫁はさすがに嫌だぞ。
天涯孤独だからってソレはさすがにちょっと…!

「極道の妻は嫌なんですけど」
「あながち間違ってねェな。お前のその頭の回転の早さは好きだぜ」
「いや、間違っててほしいんですけど!!三嶋さんがたった今私を【一般人】てカテゴライズしたじゃないですか!」
「仮だ、仮。保護目的には変わりねェよ。お前の隣人に関してだけじゃなくて、俺らに関わった女として向こうさんもお前を探してる。それに関していえば、俺らがお前に固執したからとしか言いようがねェ。だからお前を保護するのは当然だろ?だから今回の件がぜぇんぶ落ち着くまで、お前を保護するってのが俺らの考えだ。わかったか?」

有無を言わせぬ勢いで財田さんにまくしたてられ、ううぅぅぅと唸る私は、若干納得がいかない。
財田さんの言いたいことはなんとなくわかる、わかるけど。

「保護目的なら、性行為いらないじゃないですか。」
「「「それとこれとは別。」」です。」

別ってなんだ別って。

はぁ…ため息もつくってやつですよ。
なんなのこの獣たちは…なんか、情報量が多くて状況整理だけでもしんどい。
パソコン欲しい。情報処理は全部そっちに任せたい。

「ヒカル」
「あぁ、ハチ、こっち来い。」
「ッス」

聞きなれない声がしたほうを向くと、いつからそこにいたのか、明るい栗色の髪のさわやか青年が小走りで寄ってきた。

「深月。二鉢だ。お前の護衛を担当する。ハチ、吉沢深月だ。」
「二鉢勇太っス!気軽にハチって呼んでください!」
「あ、どうも…」
「本当はタマ…あー、三田ってヤツもいるんスけど、人見知りで…そのうち出てくると思うんで、その時紹介するッス!」

明るくて元気な柴犬。
そんな印象を受けるハチくんだ。
……犬!?
タマって呼ばれた子は猫みたいな子なのかな…
ハチとタマって…どういうネーミングセンスでつけてるんだ?あだ名…

「佐竹さんのセンスを疑うことにします。」
「俺のセンス?なんの?」
「名前の」
「いや、俺がつけたわけじゃないぞ?ハチとタマ。」

しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

お兄ちゃんはお医者さん!?

すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。 如月 陽菜(きさらぎ ひな) 病院が苦手。 如月 陽菜の主治医。25歳。 高橋 翔平(たかはし しょうへい) 内科医の医師。 ※このお話に出てくるものは 現実とは何の関係もございません。 ※治療法、病名など ほぼ知識なしで書かせて頂きました。 お楽しみください♪♪

ナイトプールで熱い夜

狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…? この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。

元彼にハメ婚させられちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
元彼にハメ婚させられちゃいました

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~

あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……

処理中です...