3獣と檻の中

蓮雅 咲

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第六十四話【出オチ感半端ない!】

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ドアの前で仁王立ちをしている私を上から見下ろしながら目が点になっている佐々木さん。

……佐々木さん?

「ぶっ!……お嬢。それはどういう反応が正しい感じですか?」

………わからんっ!
てか今吹いた?吹いたよね?!

佐々木さんが来ると思ってないもん!ていうかここって誰でも開けられるんかい!
あの3人以外開けられると思ってないからぷんすこと仁王立ちしてたのに!!

「すいません。三嶋さんかと思って」
「あ、いや。大丈夫ですよ。全員お待ちです」

組んでいた腕をほどき、顔を手で覆ってしゃがむ。
恥ずかしくて死にそう…!!

といっても目の前はリビングですしね。
佐々木さんの足の隙間から笑いをこらえてる3人が見えますしね。
そのドア閉めて二度と開けなくていいです。私はここで恥ずか死にます。

「深月。おいで。」

佐竹さんが地味に涙を拭きながら佐々木さんの横から顔を出す。
いや、やめてください。
子供をあやすような声で頭を撫でられたら余計に恥ずかしいじゃないですかっ

シュールよね。わかる。
鉄の扉が横にスライドしたと思ったら、小学生サイズの女が鼻を膨らませながら腕を組んで仁王立ちしてた。
シュール。マジでシュール。

……死にたい。

顔から手を離せないまま、佐竹さんに手を引かれてソファーにたどり着き、
そのまま膝に乗せられ背中をよしよしされる。

今ほど死にたいと思ったことはないのではないか。顔から火が出そう。
恥ずかしくて死にたい。マジで。

「ひーっ…ククク…ふっはっ!!」
「………。」

財田さんは声を出してお腹抱えて笑ってる。
三嶋さんは顔を背けて無言で肩を震わせてる。
佐竹さんもニコニコと満面の笑みだ。

こっわ。
なんだこのおっさんたち。
佐々木さんですらチラチラ私を見ては吹き出し、いつもの顔を取り戻そうと顔面を整えるのに必死になっている。

もうやだ。
…穴があったら入りたい。

「ヒーヒー、死ぬ!あはははっ!涙出てきたっ!」
「お前ら、そろそろやめてやれ…深月が可哀相だろ」
「………っく」

なんかもう悲しくなってきた。
佐竹さんだけが味方か。でもこの人も泣くほど笑ってたのは知ってるけど事態を収めようとしてくれているのは評価に値する。
佐竹さん胸に顔をうずめて顔の熱を少しでも取る努力をするとしよう。
そうしよう。

……財田さんと三嶋さんはしゃっくりが止まらない呪いにかかればいいんだ。
どうか神様仏様。三嶋修一と財田白桜にしゃっくりが3時間止まらない呪いをかけてくださいお願いします。

存在するともわからん神様に呪いがかかるように願う。

「あー…ふぅー。死ぬかと思った。ハァハァハァ…」
「シロ、落ち着きましたか?」
「お前も大概笑ってたけどな。シュウ。裏切りは許されないぞ?」
「深月さんの可愛らしい姿を見て笑うなんてことあるわけないでしょう」
「お、てめぇ、やんのかオラ」

三嶋さんと財田さんが視線だけでバチバチしているのを横目に、背中を撫でていた手をいったん止めて佐竹さんが聞いてくる。

「深月、お前も落ち着いたか?」
「…呪ったんで大丈夫です。」
「?」

佐竹さんが首をかしげるがそんなことはどうでもいい。

「んで。相変わらず皆さんお元気そうで何よりです。」
と、私が口火を切った。

「お前もな。良かったわァ無事で」
「無事じゃないです。体中痛いし。」
「それはヒカルのせいでしょう?」
「俺のせい?」
「そもそもココにいる時点で無事ではないということを理解していただきたい。」

会話になってんだかなってないんだか、わからん会話だけどもうどうでもいい。

「そんなことより、聞きたい話がたくさんあるんですが。まずはコレ。これなんですか。人が寝てる間に変なものつけないでください」

首元を指さしながら一つ目の質問。
だいたい答えはわかってはいるものの、外してもらいたいことに変わりはないのだ。

「あー、それェ。特注品だぞ!お前に似合いそうなデザインにしたんだぜ。」
「ほんと…よくお似合いですよ」
「似合う似合わないじゃないし似合いたくない!」

デザインの話なんぞしておらん!だいたい自分じゃ見えぬ!!

「体温計・通信機付きGPSです。特殊な手順でしか取り外しができないようになっているようですよ。」

少し後ろに控えていた佐々木さんが耐えかねたのか教えてくれた。

「安心安全のアレルギーフリーだ。」

…佐竹さん、そこそんな重要かな?
金属アレルギー大事だけどね。
……そうじゃねぇよ!!!

てか体温計てなんだ体温計って。

「首輪つけとかねェとな。また逃げ出されてもすぐ見つかるように。」
「はぁ、やっぱりそういう目的なんですね。」
「貴女の為でもあるんです。ちょっとゴタついてるんですよ。もし貴女が攫われた時にすぐに対応できるようにしておきたいんです。」

三嶋さんが地味に真剣な声でそんなことをいう。

「…え、私ヤクザの女になっちゃうやつですか?」
「なっちゃってるヤツです。」
「既に?!」

ドウイウコトー!?

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