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第四十四話【金持ちの感覚は理解できない】
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しばらくしてゆっくりと車が止まり、ドアがノックされた。
ドアが開き、三嶋さんから順に降りていく。
普通の入り口ではなく、いわゆるVIP専用の入り口である。
扉の前には従業員が4人ほど立っていた。
佐竹さんが先頭に立ち、促されているドアへ吸い込まれていく。
(あ、これヤクザとしてじゃなくて、佐竹財閥の子息として来てるんだ。なるほど。)
佐竹さんの後ろに続く財田さんと三嶋さん。その後ろに私、私の後ろに佐々木さん山村さん。
黒服は佐竹さんたちのSPポジなんだ。
ほぇー、なるほどなるほど。
こういうところに来るときは《表の顔》で来るのか。
まぁそのほうが動きやすいといえば動きやすいのかな。
案内されたのは客室である。
ソファーが向かい合わせに置いてあり、テーブルが置かれている。
殺風景にならない程度に置かれている調度品と、観葉植物。
部屋の半分か、もしくは三分の1程度はパーテーションで区切られ向こう側は見えない。
ダークブラウンで揃えられた品のいい家具を見るだけでも、このお部屋がVIP専用の部屋だとわかる。
左奥から、三嶋・佐竹・私・財田の順で座り、佐々木・山村の両名は私たちの座っているソファーの後ろで控えている。
残りの黒服はドア前に邪魔にならない程度で並んでいる。
9人という大所帯で押しかけている割には、余裕のあるお部屋だった。
「本日は新宿本店をご指名いただきまして誠にありがとうございます。ご案内の責任者を務めさせていただきます、ゼネラルマネージャーの相沢と申します。よろしくお願いいたします。隣におりますのは、お嬢様の担当をさせていただきます、藤宮です。」
「ご紹介にあずかりました、藤宮舞と申します。よろしくお願いいたします。陽副社長には事前にご連絡いただきまして、軽くお嬢様のお召し物を簡単にではありますがご用意させていただきました。さっそくではございますが、試着をしながらカウンセリングをいたしましょう。」
笑顔を見せつつも、緊張の面持ちの40代くらいの男性。そして私の担当だと言った藤宮さんは20代後半くらいの綺麗な女性だった。
ウェルカムドリンクなのか、4人分のお茶を従業員さんが運んできてくれ、軽く会釈をした。
こんなVIP待遇はじめてなので正解がわからない。
あわあわというか、キョドってるというか。
完璧に場違いすぎて何していいかわからん。
「おい、担当と服選んで来ていいぞ。」
「脱がしやすくて、露出度高めにしてくれ」
「シロ、少し黙りなさい。」
「お前は俺のオカンか…」
「藤宮だったか?カジュアル目とキレイ目、それとルームウェアで、こいつが気になったもの全て持って来てくれ。」
「了解しました、副社長。」
…え?
いや、あの、すべてって言いましたのこと?
担当さんと服選んで来いって言われて、わーいって席を立ったはいけど
藤宮さんと今まで座っていた場所とのちょうど真ん中らへんで変な体勢のまま固まってしまった。
「お嬢様。どうぞこちらへ」
そんなことも気にしないように、ドアのほうへ促してくる藤宮さんはいつものことなんだろうか。
お金持ちの考えてることわからん。
よく漫画とかで見る「ここから、ここまで。全部。」みたいなやつなの?本当にそういう事あるの?
「あの、佐竹さん…さすがにそんなに量いらないと思いますけど…?」
「着なかったらそれはそれだ。気になったもの片っ端から買う。」
「どういう金の使い方してるんですかもったいない!」
「俺の金だから気にすんな。」
「財田さん!?止めて!!」
「なんで?」
なんでじゃないわ!!このクソ野郎ども!!
キョトンとした顔をする財田と無表情な三嶋。
どちらも異を唱えないってことはそういうことなんだろう。
金銭感覚バグってらっしゃる!
「お前が服を欲しがったんだろうが。諦めて支払われとけェ?」
ええええ……
そりゃ私が欲しいと言いましたが。
そうなんだけどさー
あんまり量買わないようにしよう。そうしよう。
………?
あれ?なんか忘れてる気がする…
と、とにかく藤宮さん待たせてるから行くか…
「さあ、お嬢様。お時間も限られておりますので」
そう促されてしまえば、男たちに文句は言えなくなった。
ドアが開き、三嶋さんから順に降りていく。
普通の入り口ではなく、いわゆるVIP専用の入り口である。
扉の前には従業員が4人ほど立っていた。
佐竹さんが先頭に立ち、促されているドアへ吸い込まれていく。
(あ、これヤクザとしてじゃなくて、佐竹財閥の子息として来てるんだ。なるほど。)
佐竹さんの後ろに続く財田さんと三嶋さん。その後ろに私、私の後ろに佐々木さん山村さん。
黒服は佐竹さんたちのSPポジなんだ。
ほぇー、なるほどなるほど。
こういうところに来るときは《表の顔》で来るのか。
まぁそのほうが動きやすいといえば動きやすいのかな。
案内されたのは客室である。
ソファーが向かい合わせに置いてあり、テーブルが置かれている。
殺風景にならない程度に置かれている調度品と、観葉植物。
部屋の半分か、もしくは三分の1程度はパーテーションで区切られ向こう側は見えない。
ダークブラウンで揃えられた品のいい家具を見るだけでも、このお部屋がVIP専用の部屋だとわかる。
左奥から、三嶋・佐竹・私・財田の順で座り、佐々木・山村の両名は私たちの座っているソファーの後ろで控えている。
残りの黒服はドア前に邪魔にならない程度で並んでいる。
9人という大所帯で押しかけている割には、余裕のあるお部屋だった。
「本日は新宿本店をご指名いただきまして誠にありがとうございます。ご案内の責任者を務めさせていただきます、ゼネラルマネージャーの相沢と申します。よろしくお願いいたします。隣におりますのは、お嬢様の担当をさせていただきます、藤宮です。」
「ご紹介にあずかりました、藤宮舞と申します。よろしくお願いいたします。陽副社長には事前にご連絡いただきまして、軽くお嬢様のお召し物を簡単にではありますがご用意させていただきました。さっそくではございますが、試着をしながらカウンセリングをいたしましょう。」
笑顔を見せつつも、緊張の面持ちの40代くらいの男性。そして私の担当だと言った藤宮さんは20代後半くらいの綺麗な女性だった。
ウェルカムドリンクなのか、4人分のお茶を従業員さんが運んできてくれ、軽く会釈をした。
こんなVIP待遇はじめてなので正解がわからない。
あわあわというか、キョドってるというか。
完璧に場違いすぎて何していいかわからん。
「おい、担当と服選んで来ていいぞ。」
「脱がしやすくて、露出度高めにしてくれ」
「シロ、少し黙りなさい。」
「お前は俺のオカンか…」
「藤宮だったか?カジュアル目とキレイ目、それとルームウェアで、こいつが気になったもの全て持って来てくれ。」
「了解しました、副社長。」
…え?
いや、あの、すべてって言いましたのこと?
担当さんと服選んで来いって言われて、わーいって席を立ったはいけど
藤宮さんと今まで座っていた場所とのちょうど真ん中らへんで変な体勢のまま固まってしまった。
「お嬢様。どうぞこちらへ」
そんなことも気にしないように、ドアのほうへ促してくる藤宮さんはいつものことなんだろうか。
お金持ちの考えてることわからん。
よく漫画とかで見る「ここから、ここまで。全部。」みたいなやつなの?本当にそういう事あるの?
「あの、佐竹さん…さすがにそんなに量いらないと思いますけど…?」
「着なかったらそれはそれだ。気になったもの片っ端から買う。」
「どういう金の使い方してるんですかもったいない!」
「俺の金だから気にすんな。」
「財田さん!?止めて!!」
「なんで?」
なんでじゃないわ!!このクソ野郎ども!!
キョトンとした顔をする財田と無表情な三嶋。
どちらも異を唱えないってことはそういうことなんだろう。
金銭感覚バグってらっしゃる!
「お前が服を欲しがったんだろうが。諦めて支払われとけェ?」
ええええ……
そりゃ私が欲しいと言いましたが。
そうなんだけどさー
あんまり量買わないようにしよう。そうしよう。
………?
あれ?なんか忘れてる気がする…
と、とにかく藤宮さん待たせてるから行くか…
「さあ、お嬢様。お時間も限られておりますので」
そう促されてしまえば、男たちに文句は言えなくなった。
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