48 / 106
❷
第四十三話【あいらぶにっぽん】
しおりを挟む
正直こんなに美味しい生魚を食べたのは初めてだった。
口の中でとろけるという表現て本当だったんだな。
と感心してしまった。
回らないお寿司すごい。
日本人でよかった。
I LOVE にっぽん。
お金持ちはこんな美味な食べ物を毎日食べれるのか。
ずるい。
お寿司屋さんで三嶋さんと合流し、6人でわいわいと食べた。
カウンターで食べられなかったのはちょっと悔しいけど、この人たちはヤのつく職業の人たちだから仕方がない。
比較的早い時間とはいえ、ほかの客が入らないわけじゃない。
慣れたように奥に促された私たちだが、財田さんと佐々木さんは店員さんとしばらくしゃべってから座敷に上がってきた。
「魚政は親父の贔屓にしている店でな。大将とシロは昔馴染みなんだ。」
「ああ、なるほど。」
時価の寿司を頬張り、舌鼓を打つ。
美味しいものに罪はない。
そもそもヤクザという存在は意外なところでつながっているものだ。
飲食店、風俗、水商売、芸能。
全てが何かしらどこかで関わっていたりする。
表面化していないだけだ。
どこで繋がっていようが、《見えなければ》関係ない。
と、満腹になった自分の胃に腹立たしく思い、後ろ髪を引かれながら魚政を後にし、再びリムジンに乗り込む。
もっと食べたかった。なんならいくらでも食べれると思ってサーモンとマグロばかり食べた自分を呪いたい。
財田さん、私、佐竹さん、そしてドアの横に座った三嶋さん。
車から脱出しようとは思ってなかったけど、三嶋さんのよくわからない圧がすごい。
「深月さん、そのバッグはどうしたんですか?」
「あ、これはメイクポーチやハンカチなんかを入れさせてもらうためにお願いしました。」
「メイクポーチ…?」
「ちゃんと佐々木さんたちに中身確認してもらいましたよ。」
三嶋さんは私をみたとき、ちょっと顔を顰めていたけど、誰だとかは言わなかった。
普通に私の今日のメイクとか服装とかが好きじゃなかっただけかもしれない。
「シロ、あとでお話があります。」
ギロリと眼鏡が光った気がする。
三嶋さんは本当に要注意だなぁ。
ちょっとしたことでも気付かれそうだ。
『若、予定時間より1時間ほど早いですが、このまま向かいますか?』
佐々木さんの機械ごしの声。
「ヒカル、平気そうか?」
「大丈夫だ。車に乗る前に連絡してある。」
「だそうだ。」
『了解』
口の中でとろけるという表現て本当だったんだな。
と感心してしまった。
回らないお寿司すごい。
日本人でよかった。
I LOVE にっぽん。
お金持ちはこんな美味な食べ物を毎日食べれるのか。
ずるい。
お寿司屋さんで三嶋さんと合流し、6人でわいわいと食べた。
カウンターで食べられなかったのはちょっと悔しいけど、この人たちはヤのつく職業の人たちだから仕方がない。
比較的早い時間とはいえ、ほかの客が入らないわけじゃない。
慣れたように奥に促された私たちだが、財田さんと佐々木さんは店員さんとしばらくしゃべってから座敷に上がってきた。
「魚政は親父の贔屓にしている店でな。大将とシロは昔馴染みなんだ。」
「ああ、なるほど。」
時価の寿司を頬張り、舌鼓を打つ。
美味しいものに罪はない。
そもそもヤクザという存在は意外なところでつながっているものだ。
飲食店、風俗、水商売、芸能。
全てが何かしらどこかで関わっていたりする。
表面化していないだけだ。
どこで繋がっていようが、《見えなければ》関係ない。
と、満腹になった自分の胃に腹立たしく思い、後ろ髪を引かれながら魚政を後にし、再びリムジンに乗り込む。
もっと食べたかった。なんならいくらでも食べれると思ってサーモンとマグロばかり食べた自分を呪いたい。
財田さん、私、佐竹さん、そしてドアの横に座った三嶋さん。
車から脱出しようとは思ってなかったけど、三嶋さんのよくわからない圧がすごい。
「深月さん、そのバッグはどうしたんですか?」
「あ、これはメイクポーチやハンカチなんかを入れさせてもらうためにお願いしました。」
「メイクポーチ…?」
「ちゃんと佐々木さんたちに中身確認してもらいましたよ。」
三嶋さんは私をみたとき、ちょっと顔を顰めていたけど、誰だとかは言わなかった。
普通に私の今日のメイクとか服装とかが好きじゃなかっただけかもしれない。
「シロ、あとでお話があります。」
ギロリと眼鏡が光った気がする。
三嶋さんは本当に要注意だなぁ。
ちょっとしたことでも気付かれそうだ。
『若、予定時間より1時間ほど早いですが、このまま向かいますか?』
佐々木さんの機械ごしの声。
「ヒカル、平気そうか?」
「大丈夫だ。車に乗る前に連絡してある。」
「だそうだ。」
『了解』
0
お気に入りに追加
541
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる