47 / 106
❷
第四十二話【広い車内を狭く使う】※
しおりを挟む
「ふ…ぅ…んっ」
ぶっちゃけすんごく拍子抜けである。
あんなに警戒してた佐々木さんも、何もいう事なくショルダーバッグを渡してくれた。
「確かに女性にカバンはつきものですし、持たせてあげましょう。今から用意するのも難しいですし。そのポーチの中身だけチェックはさせてもらいますが」
なんてポーチの中身だけ確認されたけど。ポーチの中身は《化粧に使われるもの》しか入ってないし。
「深月。舌、出せ。」
「や…ぁ…んぅ…」
その後、全員でマンションの入り口に降りたときに見た光景は、
黒塗りの、異様に長い車。そう、リムジン。
その後ろに黒塗りのベンツ。
(このリムジンに乗るんすか…まじっすか…)
黒塗りのベンツも嫌だがリムジンとかめちゃ目立つ。ヤクザが目立つ車のっていいのか?
この車でカーチェイスとか始まったらすごい面倒で嫌だ。
リムジンの後部座席のドアが黒服に開けられ、財田が無遠慮に乗り込む。
佐竹さんが私の背中を押し、先に入るように促した。
サイドシートには山村さん。
運転席には佐々木さんが乗り込んだようで、私は戸惑いつつもリムジンに入る。
佐竹さんが入ったのを確認した外の黒服がドアを閉め、奥のシートの真ん中に、長い脚を組んで座っている財田さんの隣に行くように佐竹さんに押し込められた。
広い車内、黒革の立派なシート。高級ワインが置かれているブルーにライトアップされているテーブル。
広いL字のシートにみっちり詰められた3人。
違和感でしかない。
なんだこれ。
両サイドには高級なスーツに身を包んだ屈強なヤクザ。
パーカー姿の自分。
違和感。
私が場違い。
何故リムジンになぞしたのか。
どういう立ち位置に私は居たらいいのか。
ちなみに3人ほど黒服はついてくるらしいのだが、多分リムジンの後ろにいたベンツで一緒に移動するのだと思う。
「ん…ふぁ…」
所で。
今なんでちょいちょい甘い息を漏らしているのかというと
財田さんが私の唇を貪っているからである。
腰を抱き、右手は私の首から顎をしっかりと支え、絶え間ないディープなキッスをされている。
食べられそうという表現が似合うその荒々しい口づけは、ぬるぬると分厚い舌を絡め、唾液を交換している。
「ふ…ぷぁっ」
左隣に座っている佐竹さんはというと機嫌悪そうに煙草に火をつけていた。
「ちょ、ちょっと!すとっぷ!!」
ニヤニヤと笑う財田さんの楽しそうな顔を睨み、財田さんの顔面を手で押しのける。
「なんだ?何か不都合でもあったかァ?」
「不都合…とかそういう、あるけど!そうじゃなくて…!」
(なんで急にキスとかされるの!しかもこんなところで!佐竹さんもいるのに!!)
「やァっと深月に触れる時間が出来たんだぜ?お前と遊ぶことの何が悪い?」
「佐竹さんも、佐々木さんや山村さんだっているでしょう!?」
「構う必要なんかないだろ。佐々木達も運転席側からは聞こえないぜ?モニターがあるから何をしてるかはわかるだろうがなァ」
「見てるんじゃん!嫌です!!」
全力の拒否だ。
こういう行為をすることも嫌なのに、他人に見られるなんてもっての他だ。
腕をつっぱり財田さんの胸を押す。
腰を抱かれているのでそれ以上逃げられない。
ピピピ、ピピピと佐竹さんの方から電子音が聞こえた。
首をそっちに向けると、佐竹さんに頭を抱きかかえられた。
するりと財田さんの腕の拘束が解け、今度は佐竹さんの胸に顔をうずめる羽目になる。
「ぶふっ」
「時間か。てか30分てよォ。お前は家でも深月独占してるし、風呂もはいったんだろ?今日くらい俺に譲れよ」
「いくらシロでも無理。てか、決めたことは守れ。」
「へいへい」
なんの話をしてるのかわからんけど、30分で交代するってことだけは読み取れた。
なでなでと抱えられている頭をこすられる。
顔を上げさせられ、今度は佐竹さんにキスをされる。
「んっ」
ちゅっ
とバードキスから入るこの男のキスは、優しくて、慈しむようなキスだ。
何度も繰り返される、バードキス。
唇だけではなく、瞼、額、頬、耳。
ちゅっちゅっといたるところに落としていく唇にくすぐったさを覚えた。
首筋に顔をうずめられたとき、スゥーと車が止まる。
佐々木さんの声がスピーカーを通して「着きました」と聞こえた。
ノックと共にドアが開き、黒服が顔を覗かせる。
「チッ」
佐竹さんの舌打ちと、財田さんの笑い声が同時で、困惑したと共に、キス以上の行為が無かったことに安堵した。
ぶっちゃけすんごく拍子抜けである。
あんなに警戒してた佐々木さんも、何もいう事なくショルダーバッグを渡してくれた。
「確かに女性にカバンはつきものですし、持たせてあげましょう。今から用意するのも難しいですし。そのポーチの中身だけチェックはさせてもらいますが」
なんてポーチの中身だけ確認されたけど。ポーチの中身は《化粧に使われるもの》しか入ってないし。
「深月。舌、出せ。」
「や…ぁ…んぅ…」
その後、全員でマンションの入り口に降りたときに見た光景は、
黒塗りの、異様に長い車。そう、リムジン。
その後ろに黒塗りのベンツ。
(このリムジンに乗るんすか…まじっすか…)
黒塗りのベンツも嫌だがリムジンとかめちゃ目立つ。ヤクザが目立つ車のっていいのか?
この車でカーチェイスとか始まったらすごい面倒で嫌だ。
リムジンの後部座席のドアが黒服に開けられ、財田が無遠慮に乗り込む。
佐竹さんが私の背中を押し、先に入るように促した。
サイドシートには山村さん。
運転席には佐々木さんが乗り込んだようで、私は戸惑いつつもリムジンに入る。
佐竹さんが入ったのを確認した外の黒服がドアを閉め、奥のシートの真ん中に、長い脚を組んで座っている財田さんの隣に行くように佐竹さんに押し込められた。
広い車内、黒革の立派なシート。高級ワインが置かれているブルーにライトアップされているテーブル。
広いL字のシートにみっちり詰められた3人。
違和感でしかない。
なんだこれ。
両サイドには高級なスーツに身を包んだ屈強なヤクザ。
パーカー姿の自分。
違和感。
私が場違い。
何故リムジンになぞしたのか。
どういう立ち位置に私は居たらいいのか。
ちなみに3人ほど黒服はついてくるらしいのだが、多分リムジンの後ろにいたベンツで一緒に移動するのだと思う。
「ん…ふぁ…」
所で。
今なんでちょいちょい甘い息を漏らしているのかというと
財田さんが私の唇を貪っているからである。
腰を抱き、右手は私の首から顎をしっかりと支え、絶え間ないディープなキッスをされている。
食べられそうという表現が似合うその荒々しい口づけは、ぬるぬると分厚い舌を絡め、唾液を交換している。
「ふ…ぷぁっ」
左隣に座っている佐竹さんはというと機嫌悪そうに煙草に火をつけていた。
「ちょ、ちょっと!すとっぷ!!」
ニヤニヤと笑う財田さんの楽しそうな顔を睨み、財田さんの顔面を手で押しのける。
「なんだ?何か不都合でもあったかァ?」
「不都合…とかそういう、あるけど!そうじゃなくて…!」
(なんで急にキスとかされるの!しかもこんなところで!佐竹さんもいるのに!!)
「やァっと深月に触れる時間が出来たんだぜ?お前と遊ぶことの何が悪い?」
「佐竹さんも、佐々木さんや山村さんだっているでしょう!?」
「構う必要なんかないだろ。佐々木達も運転席側からは聞こえないぜ?モニターがあるから何をしてるかはわかるだろうがなァ」
「見てるんじゃん!嫌です!!」
全力の拒否だ。
こういう行為をすることも嫌なのに、他人に見られるなんてもっての他だ。
腕をつっぱり財田さんの胸を押す。
腰を抱かれているのでそれ以上逃げられない。
ピピピ、ピピピと佐竹さんの方から電子音が聞こえた。
首をそっちに向けると、佐竹さんに頭を抱きかかえられた。
するりと財田さんの腕の拘束が解け、今度は佐竹さんの胸に顔をうずめる羽目になる。
「ぶふっ」
「時間か。てか30分てよォ。お前は家でも深月独占してるし、風呂もはいったんだろ?今日くらい俺に譲れよ」
「いくらシロでも無理。てか、決めたことは守れ。」
「へいへい」
なんの話をしてるのかわからんけど、30分で交代するってことだけは読み取れた。
なでなでと抱えられている頭をこすられる。
顔を上げさせられ、今度は佐竹さんにキスをされる。
「んっ」
ちゅっ
とバードキスから入るこの男のキスは、優しくて、慈しむようなキスだ。
何度も繰り返される、バードキス。
唇だけではなく、瞼、額、頬、耳。
ちゅっちゅっといたるところに落としていく唇にくすぐったさを覚えた。
首筋に顔をうずめられたとき、スゥーと車が止まる。
佐々木さんの声がスピーカーを通して「着きました」と聞こえた。
ノックと共にドアが開き、黒服が顔を覗かせる。
「チッ」
佐竹さんの舌打ちと、財田さんの笑い声が同時で、困惑したと共に、キス以上の行為が無かったことに安堵した。
0
お気に入りに追加
546
あなたにおすすめの小説

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。


マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041



ヤクザと私と。~養子じゃなく嫁でした
瀬名。
恋愛
大学1年生の冬。母子家庭の私は、母に逃げられました。
家も取り押さえられ、帰る場所もない。
まず、借金返済をしてないから、私も逃げないとやばい。
…そんな時、借金取りにきた私を買ってくれたのは。
ヤクザの若頭でした。
*この話はフィクションです
現実ではあり得ませんが、物語の過程としてむちゃくちゃしてます
ツッコミたくてイラつく人はお帰りください
またこの話を鵜呑みにする読者がいたとしても私は一切の責任を負いませんのでご了承ください*
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる