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第三十八話【女の武装】
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カチャ…カチャ…
机の上に乗せられた大量の化粧品。
山村さんに買ってきてもらったものを全て出し、リストにあげた厳選したアイテムを一つ一つ手に取っては顔に乗せていく。
フルメイクなんて何年ぶりだろう…
自室にこもってミラーをテーブルに乗せ、メイク道具を確認したあと、化粧を施していく。
肌を綺麗に見せ
目を大きく見せ
鼻を高く見せ
彫りが深いように見せ
眉毛を整え、目元はぱっちり。かつオーバーなくらいタレ目に。
アイシャドウはうさぎのような目じりで可愛らしく。
チークもちょっと赤に近いピンク。
極めつけのリップは艶のある赤みの強いピンクで。
まつ毛も増え、目の色も変え
目の大きさも、顔のパーツさえも違うように見える。
まるで別人。
山村さんに買ってきてもらったポーチに、ある程度のメイク用品を突っ込み、小さめのハサミも入れ込む。
本当はウィッグも欲しかったけど…贅沢は言えない。
怪しまれたら元も子もない。
コームで分け目を変え、見た目を元々の自分から遠ざける。
(よし。これでヘアメイクは終わり。)
黒地に赤のボーダーがサイドにあるタンクトップ(黒猫のイラストが腰辺りにでかでかとプリントされている)、
赤黒チェックのプリーツスカート(各所ベルト)、
おしりまで隠れるくらいの大きさの白いジッパーパーカー。
黒いタイツ。
雑にパンク寄りの衣装を山村さんに出かける前に頼んでおいたのでそれに着替える。
ちょっとゴテゴテした大ぶりの猫の顔をモチーフにした指輪も、右手の人差し指に着ける。
…山村さんに頼んだデザインは猫だったはずなのに何故かドクロまである。
しかも私のサイズには絶対に合わないからこれ自分用で買ったのかな…
威嚇するためのアクセサリー。
威嚇するための衣装。
そして、女の化粧は
装備であり武器だ。
今の私に出来る限りの武装で挑む。
クローゼット前に立ち扉を開け、扉裏にある姿見に全身を映す。
黒いストレートの前下がりボブにしているパンクロックテイストの少女が鏡に映りこむ。
赤いチェックのスカートは飾りベルトが厳つさを演出し、大き目のだぼっとしたパーカーがロックさを和らげている。
冬にしてはまだ寒すぎない気温なのでこれくらいのラフさがちょうどいい。
靴はちょっと厚底になっている4センチのローファーをチョイスしている。
本当ならブーツのほうが合うのだが、走りにくいのは困る。
くるりと一周その場で回り、鏡に移る後ろ姿を確認する。
後ろから見た感じだとスカートがちらっと見える程度で正面のパンクロックテイストはすっかり隠されていた。
(いい感じ。)
少女とさっき感じたが、まさしくそんな感じだった。
色は白く、青い目をしていて、メイクのせいでまったく別人のように見える。
(アノ人にメイク教えてもらっていてよかった…)
別人にならないと外出できなかったからとはいえ、特殊メイク並みの変わりように自分でも驚く。
(あとは髪型か。どうすっかなぁ)
ボブカットの自分にできる髪型のアレンジは限られている。
分け目を変えた程度ではやはり心もとないか…と思えてしまう。
くっそぉ…こんな時にネットが使えると楽なのに…
ぐーぐる先生に聞けば一発である。
髪の毛を手でまとめて鏡で左右の確認をしてみる。
が、なんか印象がかわるとは思えない。
サイドだけ残して残りの毛を手に取り後ろでまたまとめてみる。
(うーん。いっそ、髪の毛はこのままで、あとで耳から後ろをまとめてお団子ぽくして前髪ポンパにすればちょっとは印象かわるかなぁ。)
カラーコンタクトを入れたとはいえ度が入っているわけじゃないから離れたときに眼鏡をはずして、髪型は現状はこのままで。
そうしよう。
机の上に置きっぱなしになっていた眼鏡をとり、耳にかける。
「うしっ。準備完了!なかなかいい出来じゃない?」
ふふんと鼻を鳴らし、いざ、猛獣共の前へ。
机の上に乗せられた大量の化粧品。
山村さんに買ってきてもらったものを全て出し、リストにあげた厳選したアイテムを一つ一つ手に取っては顔に乗せていく。
フルメイクなんて何年ぶりだろう…
自室にこもってミラーをテーブルに乗せ、メイク道具を確認したあと、化粧を施していく。
肌を綺麗に見せ
目を大きく見せ
鼻を高く見せ
彫りが深いように見せ
眉毛を整え、目元はぱっちり。かつオーバーなくらいタレ目に。
アイシャドウはうさぎのような目じりで可愛らしく。
チークもちょっと赤に近いピンク。
極めつけのリップは艶のある赤みの強いピンクで。
まつ毛も増え、目の色も変え
目の大きさも、顔のパーツさえも違うように見える。
まるで別人。
山村さんに買ってきてもらったポーチに、ある程度のメイク用品を突っ込み、小さめのハサミも入れ込む。
本当はウィッグも欲しかったけど…贅沢は言えない。
怪しまれたら元も子もない。
コームで分け目を変え、見た目を元々の自分から遠ざける。
(よし。これでヘアメイクは終わり。)
黒地に赤のボーダーがサイドにあるタンクトップ(黒猫のイラストが腰辺りにでかでかとプリントされている)、
赤黒チェックのプリーツスカート(各所ベルト)、
おしりまで隠れるくらいの大きさの白いジッパーパーカー。
黒いタイツ。
雑にパンク寄りの衣装を山村さんに出かける前に頼んでおいたのでそれに着替える。
ちょっとゴテゴテした大ぶりの猫の顔をモチーフにした指輪も、右手の人差し指に着ける。
…山村さんに頼んだデザインは猫だったはずなのに何故かドクロまである。
しかも私のサイズには絶対に合わないからこれ自分用で買ったのかな…
威嚇するためのアクセサリー。
威嚇するための衣装。
そして、女の化粧は
装備であり武器だ。
今の私に出来る限りの武装で挑む。
クローゼット前に立ち扉を開け、扉裏にある姿見に全身を映す。
黒いストレートの前下がりボブにしているパンクロックテイストの少女が鏡に映りこむ。
赤いチェックのスカートは飾りベルトが厳つさを演出し、大き目のだぼっとしたパーカーがロックさを和らげている。
冬にしてはまだ寒すぎない気温なのでこれくらいのラフさがちょうどいい。
靴はちょっと厚底になっている4センチのローファーをチョイスしている。
本当ならブーツのほうが合うのだが、走りにくいのは困る。
くるりと一周その場で回り、鏡に移る後ろ姿を確認する。
後ろから見た感じだとスカートがちらっと見える程度で正面のパンクロックテイストはすっかり隠されていた。
(いい感じ。)
少女とさっき感じたが、まさしくそんな感じだった。
色は白く、青い目をしていて、メイクのせいでまったく別人のように見える。
(アノ人にメイク教えてもらっていてよかった…)
別人にならないと外出できなかったからとはいえ、特殊メイク並みの変わりように自分でも驚く。
(あとは髪型か。どうすっかなぁ)
ボブカットの自分にできる髪型のアレンジは限られている。
分け目を変えた程度ではやはり心もとないか…と思えてしまう。
くっそぉ…こんな時にネットが使えると楽なのに…
ぐーぐる先生に聞けば一発である。
髪の毛を手でまとめて鏡で左右の確認をしてみる。
が、なんか印象がかわるとは思えない。
サイドだけ残して残りの毛を手に取り後ろでまたまとめてみる。
(うーん。いっそ、髪の毛はこのままで、あとで耳から後ろをまとめてお団子ぽくして前髪ポンパにすればちょっとは印象かわるかなぁ。)
カラーコンタクトを入れたとはいえ度が入っているわけじゃないから離れたときに眼鏡をはずして、髪型は現状はこのままで。
そうしよう。
机の上に置きっぱなしになっていた眼鏡をとり、耳にかける。
「うしっ。準備完了!なかなかいい出来じゃない?」
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