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第三十六話【イケオジの家庭事情】
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行ってしまった…。
リビングに一人残された。
(……あれ、私一人でいていいの、これ。)
大丈夫なの?
いいの?私一人で行動しちゃうよ?家の中だけど。
いいんだな?知らないからな。お部屋捜索しちゃうからな?
一瞬キョロっと回りを見て、ソーと階段を上る。
イケオジ佐々木が戻るまでに大して時間はないだろう。
ここで男たちの部屋に入っても戻ってきたときにバレたら元も子もない。
とりあえず部屋に……
「吉沢さん」
自室のドアノブに手をかけた瞬間、後ろからイケオジが威圧感を放ちながら呼び止める。
「ぴっっっ」
なんか変な声出た。
帰ってくるの早くない?
ていうか、なんでそんなに私に威圧感出すんだ。こんな小娘にそんなん必要なかろうよ…イケオジ…
「ぴ?」
「いいえ、なんでもないです。何か用事ですか?」
「ええ、若いやつがケーキを買っていたので貰ってきました。良ければ食べませんか?」
「あ、ど、どうも…」
階下に促され、仕方なくドアノブから手を放し、先を歩いてリビングに行く。
どうでもいいけど、この暴力団イケメン率高くね?
黒服は厳つくて屈強そうないかにもヤクザですって人ばっかりだけど、主要メンバーはイケてるメンズしかおらん。
財田の趣味か…?財田ファミリー恐るべし…
「ソファー座ってください。ドリンクは何がいいですか?コーヒーで良ければすぐ出せますよ」
「あ、はい。ありがとうございます」
地味にコーヒーは好きだ。
もともと家でもコーヒーかエナジードリンクしか飲まないし。
キッチンから運ばれてきたのはフルーツタルトと真っ白なマグカップ。
「インスタントコーヒーですがどうぞ」
「あ、インスタントとかあったんですね。」
山村さんが入れるコーヒーはいつも豆から挽く。
あの人本当に家事レベルやばない?
受け取ったコーヒーをフーフーと冷ましてすする。
「山村が入れるコーヒーは美味しいですよねぇ、私は料理とか家事全般まったくできないんですよ。」
荒事のほうが得意で…
なんてふにゃっと顔を緩ませながら向かいのソファーに座る。
このイケオジ可愛いな…顔面だけ。
言ってることは物騒過ぎる。
顔面と発言が一致しないイケオジを眺める。
「そういえば、今日は買い物だそうですね。」
「あ、はい。」
直接センスが悪いとは言えない。
初対面だし。
ヤクザだし。
荒事が得意とか言ってるし。
「私、実は娘がいるんですよ。」
ずずっとマグカップに口をつけてニコニコといきなり身の上話が始まった。
「中学2年生でね、これがまた生意気に育ちまして。普通に育ってほしいなぁと思ってはいたんですけど、稼業が稼業ですから仕方ないのかもしれませんが…しかも思春期真っただ中でしょう?一応これでもヤクザなのに私に噛みつくんですよ。アレの母親も気の強い女性ですが、そんなところまで似なくてもいいのに…なんて思っちゃいますよねぇ」
「ご苦労されているんですね。でも、思春期ってのは反抗でもありますけど、それができるって甘えもあると思うんですよね。だから、そのうち大切にされてること自覚するんじゃないですかね。たぶん。」
手持無沙汰すぎて、タルトをもぐもぐしながら話す。
タルトを眺めながら佐々木さんが話始めるのを待っているが、話す気配がない。
ちらっとイケオジを覗くとポカンと目を見開いている。
「なんすか」
「……いや、えっと…、まともに返答が来ると思ってなかったので」
イケオジは意外と失礼な奴だった。
佐々木さんの家庭事情とかぶっちゃけどうでもいいけど
しかもさっき口に出したことは誰でも言えるような内容だ。
なにゆえそんなこと言われなくちゃならんのだ。
「そりゃ話くらいしますよ。」
意図せずに声が低くなったのは許してほしい。
なんかちょっと気に障ったのを隠そうとするつもりが意外と口から出る声のトーンが低くて
自分でもやらかしたわって思ってるから。
リビングに一人残された。
(……あれ、私一人でいていいの、これ。)
大丈夫なの?
いいの?私一人で行動しちゃうよ?家の中だけど。
いいんだな?知らないからな。お部屋捜索しちゃうからな?
一瞬キョロっと回りを見て、ソーと階段を上る。
イケオジ佐々木が戻るまでに大して時間はないだろう。
ここで男たちの部屋に入っても戻ってきたときにバレたら元も子もない。
とりあえず部屋に……
「吉沢さん」
自室のドアノブに手をかけた瞬間、後ろからイケオジが威圧感を放ちながら呼び止める。
「ぴっっっ」
なんか変な声出た。
帰ってくるの早くない?
ていうか、なんでそんなに私に威圧感出すんだ。こんな小娘にそんなん必要なかろうよ…イケオジ…
「ぴ?」
「いいえ、なんでもないです。何か用事ですか?」
「ええ、若いやつがケーキを買っていたので貰ってきました。良ければ食べませんか?」
「あ、ど、どうも…」
階下に促され、仕方なくドアノブから手を放し、先を歩いてリビングに行く。
どうでもいいけど、この暴力団イケメン率高くね?
黒服は厳つくて屈強そうないかにもヤクザですって人ばっかりだけど、主要メンバーはイケてるメンズしかおらん。
財田の趣味か…?財田ファミリー恐るべし…
「ソファー座ってください。ドリンクは何がいいですか?コーヒーで良ければすぐ出せますよ」
「あ、はい。ありがとうございます」
地味にコーヒーは好きだ。
もともと家でもコーヒーかエナジードリンクしか飲まないし。
キッチンから運ばれてきたのはフルーツタルトと真っ白なマグカップ。
「インスタントコーヒーですがどうぞ」
「あ、インスタントとかあったんですね。」
山村さんが入れるコーヒーはいつも豆から挽く。
あの人本当に家事レベルやばない?
受け取ったコーヒーをフーフーと冷ましてすする。
「山村が入れるコーヒーは美味しいですよねぇ、私は料理とか家事全般まったくできないんですよ。」
荒事のほうが得意で…
なんてふにゃっと顔を緩ませながら向かいのソファーに座る。
このイケオジ可愛いな…顔面だけ。
言ってることは物騒過ぎる。
顔面と発言が一致しないイケオジを眺める。
「そういえば、今日は買い物だそうですね。」
「あ、はい。」
直接センスが悪いとは言えない。
初対面だし。
ヤクザだし。
荒事が得意とか言ってるし。
「私、実は娘がいるんですよ。」
ずずっとマグカップに口をつけてニコニコといきなり身の上話が始まった。
「中学2年生でね、これがまた生意気に育ちまして。普通に育ってほしいなぁと思ってはいたんですけど、稼業が稼業ですから仕方ないのかもしれませんが…しかも思春期真っただ中でしょう?一応これでもヤクザなのに私に噛みつくんですよ。アレの母親も気の強い女性ですが、そんなところまで似なくてもいいのに…なんて思っちゃいますよねぇ」
「ご苦労されているんですね。でも、思春期ってのは反抗でもありますけど、それができるって甘えもあると思うんですよね。だから、そのうち大切にされてること自覚するんじゃないですかね。たぶん。」
手持無沙汰すぎて、タルトをもぐもぐしながら話す。
タルトを眺めながら佐々木さんが話始めるのを待っているが、話す気配がない。
ちらっとイケオジを覗くとポカンと目を見開いている。
「なんすか」
「……いや、えっと…、まともに返答が来ると思ってなかったので」
イケオジは意外と失礼な奴だった。
佐々木さんの家庭事情とかぶっちゃけどうでもいいけど
しかもさっき口に出したことは誰でも言えるような内容だ。
なにゆえそんなこと言われなくちゃならんのだ。
「そりゃ話くらいしますよ。」
意図せずに声が低くなったのは許してほしい。
なんかちょっと気に障ったのを隠そうとするつもりが意外と口から出る声のトーンが低くて
自分でもやらかしたわって思ってるから。
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