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第二十五話【交渉とあざと男】
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「では残りのアイテムをすべて、着けてください。もちろん、僕の目の前で…ですよ。」
生着替えまでご所望ですか…どんな羞恥プレイだ。
メイド服を着て見せるだけでも羞恥心がやばいのに…
「あと1回!!!泣きの1回を希望します!!!」
どうにかしてメイド服を着ない作戦はないものか……
カチューシャの次は足先が丸みを帯びたとても可愛らしい靴だった。
中途半端なコスプレ自体痛々しいが、そんなことよりフリフリしたあのミニ丈スカートの衣装なんか着たくない、絶対に合わないっ!
「そんなに着たくないんですか?とてもお似合いになると思って用意したんですが…」
「いやです!!!」
「…全力ですね…」
ふむ、と何やら考えるそぶりをする男。
「神経衰弱以外のゲームで1回!!こんなの不公平です!!!」
神経衰弱と言い出したのは三嶋さんだ。
三嶋さんの得意なゲームでなんてずるい。
「不公平…ですか。ではゲーム内容は深月さんに決めてもらいましょうか。一般的なトランプゲームならなんでもいいですよ?」
(よしっ!なにか!なにか私が勝てるゲームを選ばなければ!!)
ただし、と三嶋さんが人差し指を口元に当てながら付け加える。
「一度了承した上でのゲームは終了しています。なので、僕がこの1試合勝てた場合は言うことを1つきいてもらいます。」
「……内容によります。もちろん泣きの1回を譲歩してもらうのですから、それなりの条件を聞きますが。出来ることと出来ないことがあります!その《言うこと》って何ですか。」
そうですねぇ、口元に当てていた人差し指を顎にとんとんと当てながら、何やら思案するように足を組み替える。
「僕が良いと言うまで、右手首を左手で握ったままでいる事。というのはどうでしょうか。」
右手首を左手???
…それは拘束されてるって事じゃないか!道具とかではなく、己の手でやってるからいいとか言う問題じゃない。
例えばそれを守れない状況にされた時、お仕置きとか言って余計に酷いことされるじゃんか!!!
「駄目です。リスクが高すぎる。」
「えー、ダメですか?」
首を横にこてんと倒し、しょぼくれた顔をする三嶋さん。
頭を動かしたことでストレートの黒髪がサラッと揺れる。
いや、可愛くない、あざとい。
自分の顔面を利用しようとするなんてあざとすぎる。
そんなことされてもダメなものはダメだ。
「ダメです。聞き入れられません。」
「では、耳たぶを触っているっていうのはどうですか?右手だけでいいので。」
「どこか触っているっていうのじゃなくちゃだめですか?」
「そこは譲れないですねぇ。」
「…じゃぁ右手じゃなくて左手でみみたぶ…なら…」
「では、《メイド服を着て、僕が離してもいいと言うまで左手は耳たぶを触り続ける。》が条件。で。」
楽しそうに笑みを浮かべる三嶋さんに、勝てるのだろうかと不安はよぎるものの、ゲームで勝つ以外の逃げ道はもうなくなってしまったことを痛感した。
生着替えまでご所望ですか…どんな羞恥プレイだ。
メイド服を着て見せるだけでも羞恥心がやばいのに…
「あと1回!!!泣きの1回を希望します!!!」
どうにかしてメイド服を着ない作戦はないものか……
カチューシャの次は足先が丸みを帯びたとても可愛らしい靴だった。
中途半端なコスプレ自体痛々しいが、そんなことよりフリフリしたあのミニ丈スカートの衣装なんか着たくない、絶対に合わないっ!
「そんなに着たくないんですか?とてもお似合いになると思って用意したんですが…」
「いやです!!!」
「…全力ですね…」
ふむ、と何やら考えるそぶりをする男。
「神経衰弱以外のゲームで1回!!こんなの不公平です!!!」
神経衰弱と言い出したのは三嶋さんだ。
三嶋さんの得意なゲームでなんてずるい。
「不公平…ですか。ではゲーム内容は深月さんに決めてもらいましょうか。一般的なトランプゲームならなんでもいいですよ?」
(よしっ!なにか!なにか私が勝てるゲームを選ばなければ!!)
ただし、と三嶋さんが人差し指を口元に当てながら付け加える。
「一度了承した上でのゲームは終了しています。なので、僕がこの1試合勝てた場合は言うことを1つきいてもらいます。」
「……内容によります。もちろん泣きの1回を譲歩してもらうのですから、それなりの条件を聞きますが。出来ることと出来ないことがあります!その《言うこと》って何ですか。」
そうですねぇ、口元に当てていた人差し指を顎にとんとんと当てながら、何やら思案するように足を組み替える。
「僕が良いと言うまで、右手首を左手で握ったままでいる事。というのはどうでしょうか。」
右手首を左手???
…それは拘束されてるって事じゃないか!道具とかではなく、己の手でやってるからいいとか言う問題じゃない。
例えばそれを守れない状況にされた時、お仕置きとか言って余計に酷いことされるじゃんか!!!
「駄目です。リスクが高すぎる。」
「えー、ダメですか?」
首を横にこてんと倒し、しょぼくれた顔をする三嶋さん。
頭を動かしたことでストレートの黒髪がサラッと揺れる。
いや、可愛くない、あざとい。
自分の顔面を利用しようとするなんてあざとすぎる。
そんなことされてもダメなものはダメだ。
「ダメです。聞き入れられません。」
「では、耳たぶを触っているっていうのはどうですか?右手だけでいいので。」
「どこか触っているっていうのじゃなくちゃだめですか?」
「そこは譲れないですねぇ。」
「…じゃぁ右手じゃなくて左手でみみたぶ…なら…」
「では、《メイド服を着て、僕が離してもいいと言うまで左手は耳たぶを触り続ける。》が条件。で。」
楽しそうに笑みを浮かべる三嶋さんに、勝てるのだろうかと不安はよぎるものの、ゲームで勝つ以外の逃げ道はもうなくなってしまったことを痛感した。
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