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第二十一話【思い出した荷物の存在】
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楽しそうにアッチがいいとかコッチのほうがいいとか騒いでる男たちを放置してマグカップを手に取る。
衣類に関しては随分大事になったけど、心配なくなった。と思う。大変なことになってそうだけど、今更どうにもならん。
あんなボディコン着て歩きたくないし。
ただし、まったく私の今後については何も進展していない。
コーヒーをちびちびと口に入れながら、そっと考える。
脱出→逃走→潜伏
最終目標は普通の生活を送っても身の危険がないこと。
潜伏先は新しい家があるとして。
アノ人が用意してくれた場所だからめった事では見つかることはないと思う。
衣類を買いに行くことを思ったよりすんなり認めてくれたことから
外出は誰かが一緒なら思ったより頻繁にできそうだ。
問題は潜伏場所に行くまでの逃走ルートだ。
タクシー…はタイミング的にシビア、徒歩から公共交通機関…は捕まる可能性が高い。
どうしたらいいんだ…
「そういや、私の荷物どこです?」
はっと気づいた。
ここに来た時に身に着けていた小さ目のショルダーバッグ。
存在を忘れていた。
クローゼットを開けた時にも存在は確認していない。
「悪いが一通り荷物の確認した後、携帯は電源を切らせてもらった。衣類と財布と一緒にこっちで保管してる。処分はしてないから安心しろ。」
真上からの声。
「…この家ですか?」
「……それを聞いてどうするんだァ?そう易々とお前に返すつもりはないぜ?」
荷物の場所を聞いた瞬間、さっき見せてた穏やかな雰囲気がなくなり、三人ともこちらを伺うように目を細めた。
目の前にいる黒獅子の深い深い黒い瞳にビクっと怯む。
私の携帯、財布、常に身に着けていたショルダーバッグにはGPSが組み込まれている。
《何かあったときのお守り》だと、アノ人に渡されているものだ。
(…やばい…早めに連絡しないと…!!)
目の前の男たちも怖いが、違う意味でアノ人は怖い。
ただでさえ家を手配してもらって貸し1なのだ。
悪寒が走り、ブルっとひとつ身震いする。
財田に対して怯えたと勘違いしたのか、背中を優しく撫でられ、現実にもどった私は、縋るように佐竹さんを見上げた。
「あの…に、逃げませんから、携帯だけ「無理だ」
どうやってもダメか…
できるだけ早い段階で生きていると言うだけでも連絡したかったんだが…
「……なにか問題でもあるんですか?」
三嶋さんが抑揚のない声で問いかける。
生存確認だけでもしないと色々と困ることになる…。
でも、連絡を入れたいと言った場合、その相手のことを言わないといけない…だろう。
なんて言えばいい?
仕事関係とか言っても、単なるフリーライターの仕事だ。
仕事を一件放置して信用を失い、今後私の仕事がなくなったとしても、この人たちには関係ない。
どうしたらいい…っ!考えろ考えろ!
うぁぁぁぁ!!いい案が一切浮かばない!!!
プチパニックになった脳内は思考がまとまらず結局まともな理由が浮かばず、渋々当たり障りない発言をこぼす。
「……な、なんでもないです。仕事が1件入っていたのでそれを終わらせるか、出来ないなら出来なくなったと連絡を1本いれたかっただけです。」
「なるほど。貴女の仕事についてですか」
「関係ない話だなァ。今後お前に仕事させる気なんかねぇからなァ」
(デスヨネ!!!)
案の定という返答が帰ってきた。
GPSは私の所持品3つに付いている。
むしろ携帯の電源を落とされている時点で、私に何かが起きた事がバレているはず。
……GPSは3つ。
《携帯》がなくても、《財布》と《バッグ》には付いている。
(そうか!それだ…携帯なくても大丈夫じゃないか!!)
私はわざとらしく肩を落とし
「わかりました。仕方ないですよね…」
と声に出す。
今日はこれ以上、携帯財布、そしてショルダーバッグについて触れてはいけない。
明日…怪しまれずに行動するために。
衣類に関しては随分大事になったけど、心配なくなった。と思う。大変なことになってそうだけど、今更どうにもならん。
あんなボディコン着て歩きたくないし。
ただし、まったく私の今後については何も進展していない。
コーヒーをちびちびと口に入れながら、そっと考える。
脱出→逃走→潜伏
最終目標は普通の生活を送っても身の危険がないこと。
潜伏先は新しい家があるとして。
アノ人が用意してくれた場所だからめった事では見つかることはないと思う。
衣類を買いに行くことを思ったよりすんなり認めてくれたことから
外出は誰かが一緒なら思ったより頻繁にできそうだ。
問題は潜伏場所に行くまでの逃走ルートだ。
タクシー…はタイミング的にシビア、徒歩から公共交通機関…は捕まる可能性が高い。
どうしたらいいんだ…
「そういや、私の荷物どこです?」
はっと気づいた。
ここに来た時に身に着けていた小さ目のショルダーバッグ。
存在を忘れていた。
クローゼットを開けた時にも存在は確認していない。
「悪いが一通り荷物の確認した後、携帯は電源を切らせてもらった。衣類と財布と一緒にこっちで保管してる。処分はしてないから安心しろ。」
真上からの声。
「…この家ですか?」
「……それを聞いてどうするんだァ?そう易々とお前に返すつもりはないぜ?」
荷物の場所を聞いた瞬間、さっき見せてた穏やかな雰囲気がなくなり、三人ともこちらを伺うように目を細めた。
目の前にいる黒獅子の深い深い黒い瞳にビクっと怯む。
私の携帯、財布、常に身に着けていたショルダーバッグにはGPSが組み込まれている。
《何かあったときのお守り》だと、アノ人に渡されているものだ。
(…やばい…早めに連絡しないと…!!)
目の前の男たちも怖いが、違う意味でアノ人は怖い。
ただでさえ家を手配してもらって貸し1なのだ。
悪寒が走り、ブルっとひとつ身震いする。
財田に対して怯えたと勘違いしたのか、背中を優しく撫でられ、現実にもどった私は、縋るように佐竹さんを見上げた。
「あの…に、逃げませんから、携帯だけ「無理だ」
どうやってもダメか…
できるだけ早い段階で生きていると言うだけでも連絡したかったんだが…
「……なにか問題でもあるんですか?」
三嶋さんが抑揚のない声で問いかける。
生存確認だけでもしないと色々と困ることになる…。
でも、連絡を入れたいと言った場合、その相手のことを言わないといけない…だろう。
なんて言えばいい?
仕事関係とか言っても、単なるフリーライターの仕事だ。
仕事を一件放置して信用を失い、今後私の仕事がなくなったとしても、この人たちには関係ない。
どうしたらいい…っ!考えろ考えろ!
うぁぁぁぁ!!いい案が一切浮かばない!!!
プチパニックになった脳内は思考がまとまらず結局まともな理由が浮かばず、渋々当たり障りない発言をこぼす。
「……な、なんでもないです。仕事が1件入っていたのでそれを終わらせるか、出来ないなら出来なくなったと連絡を1本いれたかっただけです。」
「なるほど。貴女の仕事についてですか」
「関係ない話だなァ。今後お前に仕事させる気なんかねぇからなァ」
(デスヨネ!!!)
案の定という返答が帰ってきた。
GPSは私の所持品3つに付いている。
むしろ携帯の電源を落とされている時点で、私に何かが起きた事がバレているはず。
……GPSは3つ。
《携帯》がなくても、《財布》と《バッグ》には付いている。
(そうか!それだ…携帯なくても大丈夫じゃないか!!)
私はわざとらしく肩を落とし
「わかりました。仕方ないですよね…」
と声に出す。
今日はこれ以上、携帯財布、そしてショルダーバッグについて触れてはいけない。
明日…怪しまれずに行動するために。
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