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第十八話【晩御飯に負ける】
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リビングに行くために階段を降りようとしたところで、下から声が聞こえてきた。
ひょこっと下を覗くと、上裸でハーフパンツ姿でタオルを首から下げている佐竹と、Tシャツにスウェットというラフな格好の黒獅子がいた。
(ひゃっ)
思わずしゃがみ込み、階段の手すりからソロォと再び覗いてみる。
なにやら会話しているようだが、大きな声でしゃべっているわけでもないようで、ここまでは聞こえない。
なんで隠れたんだ…隠れてもこの階段を降りなければ水も飲めない。
いっそ堂々と降りて行って「二度と私に触れるな!!」くらい言ってやってもいいはずだ。
だって私に言われたのは「家から出ることを禁ずる。」ってことぐらい。
佐竹には逃げたら脚切ってやるって言われたけど。
逃げなければ五体満足でいさせてやるってことなんだろうし。
大丈夫。乱暴はされない。…はず。
肉体関係を強要されたとしても、殴る蹴るは多分しない。するなら佐竹がもうしているはずだ。
下半身に痛みもない。寝ている間に無理やりとかもされてない。
(よしっ!気合い入れろ)
すくっと立ち上がり階段を降りる。
「おはようございます」
階段を下りながらちょっと大きめの声であいさつすると
「よく寝れたか?」
「お前気絶したんだってなァ」
と佐竹と黒獅子が笑いながら反応した。
「まぁ、初めての体験だったので許していただけるとありがたいですね。」
と、笑われたことにちょっとイラっとしてそう返す。
ん?っと小さく声を出し、キョトンとした黒獅子は
「お前、処女か」と聞いてきた。
ずいぶん直接的に聞くな、おい。
まぁオブラートに包んでも仕方ない質問かもしれないけれども。
「違います。」
質疑応答。
完結に答えるのが一番いい。
佐竹が自分が座っているところから少しずれて、片手で自分がさっきまで座っていた場所をポスポスと叩いた。
嫌です。どうせどこかしら触られるか膝の上に乗せられるだけだし。
佐竹のその行動をチラ見したうえで無視して話し続ける。
「性行為はしたことがあります。でもかなり前のことですし。その…前戯とかされたことなかったんで。」
前戯という言葉を使うのは本当は嫌だったが、それ以外にいう言葉も見当たらず、素直に口にした。
「まともな男と付き合ってねぇのか。可哀相に…」
「我々もたいがいまともなセックスなんかしてないでしょうに。棚に上げて言うのはどうかと思いますけどね」
食事、できましたよ。
黒獅子の発言の後にそう告げた三嶋はダイニングテーブルに食事を運んでいたところだった。
慌ててパタパタと三嶋のそばに駆け寄り「手伝います」とカウンターキッチンに置かれているおかずたちをテーブルに移動させる。
美味しそうな生姜焼きとサラダ、お味噌汁と白米。
久しぶりのまともな食事だ。
「…これ、私もいただいていいんですか?」
三嶋を見上げながら生姜焼きを差し出す。
クスっと笑った三嶋はニコニコと
「もちろんですよ」と答えてくれた。
私は空腹のせいで、香ばしい香りを立ち上げている目の前のお肉を一刻も早く口にしたい一心で
「佐竹さん!組長さん!早く!早く食べよう!!!」と大声を出していた。
ひょこっと下を覗くと、上裸でハーフパンツ姿でタオルを首から下げている佐竹と、Tシャツにスウェットというラフな格好の黒獅子がいた。
(ひゃっ)
思わずしゃがみ込み、階段の手すりからソロォと再び覗いてみる。
なにやら会話しているようだが、大きな声でしゃべっているわけでもないようで、ここまでは聞こえない。
なんで隠れたんだ…隠れてもこの階段を降りなければ水も飲めない。
いっそ堂々と降りて行って「二度と私に触れるな!!」くらい言ってやってもいいはずだ。
だって私に言われたのは「家から出ることを禁ずる。」ってことぐらい。
佐竹には逃げたら脚切ってやるって言われたけど。
逃げなければ五体満足でいさせてやるってことなんだろうし。
大丈夫。乱暴はされない。…はず。
肉体関係を強要されたとしても、殴る蹴るは多分しない。するなら佐竹がもうしているはずだ。
下半身に痛みもない。寝ている間に無理やりとかもされてない。
(よしっ!気合い入れろ)
すくっと立ち上がり階段を降りる。
「おはようございます」
階段を下りながらちょっと大きめの声であいさつすると
「よく寝れたか?」
「お前気絶したんだってなァ」
と佐竹と黒獅子が笑いながら反応した。
「まぁ、初めての体験だったので許していただけるとありがたいですね。」
と、笑われたことにちょっとイラっとしてそう返す。
ん?っと小さく声を出し、キョトンとした黒獅子は
「お前、処女か」と聞いてきた。
ずいぶん直接的に聞くな、おい。
まぁオブラートに包んでも仕方ない質問かもしれないけれども。
「違います。」
質疑応答。
完結に答えるのが一番いい。
佐竹が自分が座っているところから少しずれて、片手で自分がさっきまで座っていた場所をポスポスと叩いた。
嫌です。どうせどこかしら触られるか膝の上に乗せられるだけだし。
佐竹のその行動をチラ見したうえで無視して話し続ける。
「性行為はしたことがあります。でもかなり前のことですし。その…前戯とかされたことなかったんで。」
前戯という言葉を使うのは本当は嫌だったが、それ以外にいう言葉も見当たらず、素直に口にした。
「まともな男と付き合ってねぇのか。可哀相に…」
「我々もたいがいまともなセックスなんかしてないでしょうに。棚に上げて言うのはどうかと思いますけどね」
食事、できましたよ。
黒獅子の発言の後にそう告げた三嶋はダイニングテーブルに食事を運んでいたところだった。
慌ててパタパタと三嶋のそばに駆け寄り「手伝います」とカウンターキッチンに置かれているおかずたちをテーブルに移動させる。
美味しそうな生姜焼きとサラダ、お味噌汁と白米。
久しぶりのまともな食事だ。
「…これ、私もいただいていいんですか?」
三嶋を見上げながら生姜焼きを差し出す。
クスっと笑った三嶋はニコニコと
「もちろんですよ」と答えてくれた。
私は空腹のせいで、香ばしい香りを立ち上げている目の前のお肉を一刻も早く口にしたい一心で
「佐竹さん!組長さん!早く!早く食べよう!!!」と大声を出していた。
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