３獣と檻の中

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第十二話【イラつきの代償】

すう…と自分の中の感情が消えたのがわかる。
私に重みがかからない程度にのしかかられ、項に舌を這わされ、
猟奇的な脅しをかけられ、自分には逃げ道は無いとキッパリ言われ。
貞操なんてものはもう持ち合わせていないけど

(やっぱりイラついていたからって他人に関わらなければよかったなぁ)

2週間と少し前の自分を呪いたい。
今日から私はこの男たちに弄ばれるのだ。

「あなた達は何を私に求めてるんですか？体ですか？」

良くもまぁこんなちんちくりんに興味を持ったもんだ。
スタイルも顔面も金銭面も申し分のない、私を連れてきた男たち。
自分から求めずとも言い寄ってくる女も男も五万といるだろう。

(自分好みの性の捌け口など選びたい放題だろ…)

顔も一山いくらで売られるくらい平凡。かつ幼い。身長は一般的な同世代よりもかなり低い。

「女でも男でもあなた達なら言えばいくらでも見繕えるでしょ？それともロリコンなんですか？」

何もわざわざパッと見小学生の自分をあえて選ぶ必要性なんてそれ以外分からない。

さっきまでこの男がすることに対して注視していた。
自分に対して性的に興味持つなんて考えたくもなかったし、思いたくなかったから選択肢から外していた。
故に、《覗き》の方での興味だと思っていたし、
だからこそ《私》をここまで追いかける理由がわからなくて質問していた…

前を見つめ、自分の体から力を抜いてソファに重みを預けた。
逃げられないのであれば。

(こいつらが興味を失うまで、息をひそめ、死んだように生きればいいだけだ)

死ぬ訳には行かない。
かといってこいつらに好きなようにおもちゃにされるつもりもない。

私の何がよくて追いかけまわし、監禁までして手に入れたいのかわからないけれど
あの黒獅子とこの男はどうやら私の体が目当てのようだし。

（…三嶋は始終ニコニコしててよくわからない、けど…）
もしかしたらあの人なら一縷の望みをかけれるかもしれないし…

いつかどこかでチャンスが来る。
それまで大人しく、計画を立て、生き延びよう。