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第十話【レッツ、ルームツアー】
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「左から、手前が三嶋。奥が財田。右手前が俺。一番突き当りがトイレと洗面室と風呂。で、ここがお前の部屋だ。」
リビングから上る階段を上がった先にあったのは5つのドア。
佐竹にその説明をされながら私の部屋と案内された室内に誘導される。
壁紙はモスグリーン。黒と白の家具、窓は一つ。嵌め殺しにされている。
両開きのクローゼットが一つ。
クイーンサイズのベッドが一つ。
大き目のコの字型のPCデスクとゲーミングチェアが一つ。
真っ赤な座り心地のよさそうな二人かけのソファーが一つ。
楕円形のローテーブルが一つ。
その下にはふわふわの黒いラグが一つ。
8畳ほどあるだろうか。
この部屋にはこざっぱりとした印象の部屋だった。
赤いソファが妙に浮いている。
私がこの家から出ることは許されないと告げられてすぐ
黒服の一人が「若、すいません。」と真顔で声をかけてきた。
黒獅子が「チッ」と舌打ちをし、リビングの入り口にいる黒服の元へ向かい、何やら一言二言報告を受けた後
「オヤジに呼ばれた。シュウ、いったん事務所に戻って予定の調整と、例の件についての書類持って本家に向かえ。俺は直接本家に行く。
ヒカルはコイツに部屋の案内して構ってやれ。なにかあったら連絡しろ。」
ガシガシと頭を掻きながら面倒くさそうに指示していく。
「いい子で待ってろ。すぐ戻る。」
黒い獣がニヤリと笑い、佐竹に抱えられている私にチュッと唇を合わせると
「いくぞ」と三嶋に目線だけ送り、リビングを出て行った。
呆然とその様子を固まり見送る私。
マグを置いてそのまま「はぁ…いつでも急ですねぇオヤジさんは…」と立ち上がり「行ってきます」と私の頭にポンと手を乗せたかと思うと、三嶋もリビングを出て行った。
いそいそとその後をついていく金髪山村。
……。
残される佐竹とその膝に乗って固まっている私。
しん…と静まりかえり、動けない私に対して
頭の上から嘆息が漏れたかと思うと、
なでなでと私の腰に当てていたほうの手で頭を撫でられる。
「玄関の前に二人。室内には山村。俺たちがいない時でもこの家にはガードがついている。」
お前の命は保証してやるよ。
真顔でそんなこと言われましても。
「監禁する必要ありますかね…」
恐る恐る頭上を見上げる。
「あるからしている。」
そっと私を膝から下ろすと「ついてこい」と室内の案内をされた。
リビングから一度玄関のほうへ出て、トイレとお風呂場の場所の確認。
キッチン。
そしてリビングに戻り、リビングから直接つながっているドアをノックし、
「ココ」と示された部屋。
「ココは鍵をかけてある。基本的にお前は入れない」
そうあっさり言うと階段を上がっていった。
(まぁ私に見られちゃまずいモノなどこの人たちには山のようにあるだろうし。そんなことはどうでもいいけど。)
で、今。
私の部屋といわれたこの部屋で、一瞬トリップしていた私はあわてて現実に戻る。
「…しっかし男の部屋みてぇだな。」
この部屋用意したのあなた方では?
「不思議そうに見るな。俺が用意したわけじゃねぇからな、俺の趣味じゃねえ」
俺ならもっとこう…となにやらぶつぶつ言っている。
入り口の壁にもたれ、顎に手を当てながら立っている男を横目で見る。
客観的にみるとワイルド系イケメンの部類に入る彼は、いかつい顔とをしてはいるが、初めて会ったときに思った通り、黒獅子とは違う雰囲気をお持ちだ。
お髭もセクシーだと世の女性たちがこの場にいたら、物思いにふけるこの男によだれでも垂らしていそうなのだが、残念なことにいくらカッコ良く大人の雰囲気を垂れ流しセクシー光線を受けていようが、ヤクザという職業についている以上私はできる限り触りたくない。
「ま、いったん下降りるか?」
「…はい。」
開けたままだった扉に手をかけ、手を差し伸べた。
いや、差し伸べられましても。
捕まったら永遠に放してもらえなさそうで、
私はその手をすっと避けて部屋を出た。
リビングから上る階段を上がった先にあったのは5つのドア。
佐竹にその説明をされながら私の部屋と案内された室内に誘導される。
壁紙はモスグリーン。黒と白の家具、窓は一つ。嵌め殺しにされている。
両開きのクローゼットが一つ。
クイーンサイズのベッドが一つ。
大き目のコの字型のPCデスクとゲーミングチェアが一つ。
真っ赤な座り心地のよさそうな二人かけのソファーが一つ。
楕円形のローテーブルが一つ。
その下にはふわふわの黒いラグが一つ。
8畳ほどあるだろうか。
この部屋にはこざっぱりとした印象の部屋だった。
赤いソファが妙に浮いている。
私がこの家から出ることは許されないと告げられてすぐ
黒服の一人が「若、すいません。」と真顔で声をかけてきた。
黒獅子が「チッ」と舌打ちをし、リビングの入り口にいる黒服の元へ向かい、何やら一言二言報告を受けた後
「オヤジに呼ばれた。シュウ、いったん事務所に戻って予定の調整と、例の件についての書類持って本家に向かえ。俺は直接本家に行く。
ヒカルはコイツに部屋の案内して構ってやれ。なにかあったら連絡しろ。」
ガシガシと頭を掻きながら面倒くさそうに指示していく。
「いい子で待ってろ。すぐ戻る。」
黒い獣がニヤリと笑い、佐竹に抱えられている私にチュッと唇を合わせると
「いくぞ」と三嶋に目線だけ送り、リビングを出て行った。
呆然とその様子を固まり見送る私。
マグを置いてそのまま「はぁ…いつでも急ですねぇオヤジさんは…」と立ち上がり「行ってきます」と私の頭にポンと手を乗せたかと思うと、三嶋もリビングを出て行った。
いそいそとその後をついていく金髪山村。
……。
残される佐竹とその膝に乗って固まっている私。
しん…と静まりかえり、動けない私に対して
頭の上から嘆息が漏れたかと思うと、
なでなでと私の腰に当てていたほうの手で頭を撫でられる。
「玄関の前に二人。室内には山村。俺たちがいない時でもこの家にはガードがついている。」
お前の命は保証してやるよ。
真顔でそんなこと言われましても。
「監禁する必要ありますかね…」
恐る恐る頭上を見上げる。
「あるからしている。」
そっと私を膝から下ろすと「ついてこい」と室内の案内をされた。
リビングから一度玄関のほうへ出て、トイレとお風呂場の場所の確認。
キッチン。
そしてリビングに戻り、リビングから直接つながっているドアをノックし、
「ココ」と示された部屋。
「ココは鍵をかけてある。基本的にお前は入れない」
そうあっさり言うと階段を上がっていった。
(まぁ私に見られちゃまずいモノなどこの人たちには山のようにあるだろうし。そんなことはどうでもいいけど。)
で、今。
私の部屋といわれたこの部屋で、一瞬トリップしていた私はあわてて現実に戻る。
「…しっかし男の部屋みてぇだな。」
この部屋用意したのあなた方では?
「不思議そうに見るな。俺が用意したわけじゃねぇからな、俺の趣味じゃねえ」
俺ならもっとこう…となにやらぶつぶつ言っている。
入り口の壁にもたれ、顎に手を当てながら立っている男を横目で見る。
客観的にみるとワイルド系イケメンの部類に入る彼は、いかつい顔とをしてはいるが、初めて会ったときに思った通り、黒獅子とは違う雰囲気をお持ちだ。
お髭もセクシーだと世の女性たちがこの場にいたら、物思いにふけるこの男によだれでも垂らしていそうなのだが、残念なことにいくらカッコ良く大人の雰囲気を垂れ流しセクシー光線を受けていようが、ヤクザという職業についている以上私はできる限り触りたくない。
「ま、いったん下降りるか?」
「…はい。」
開けたままだった扉に手をかけ、手を差し伸べた。
いや、差し伸べられましても。
捕まったら永遠に放してもらえなさそうで、
私はその手をすっと避けて部屋を出た。
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