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第八話【お姫様だっこの恐怖】(上)
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ゆっくりと止められた車体から運転手が下り、私を抱いている男のそばのドアが開かれる。
「うわぁ…!」
再び体が重力に逆らう感覚に襲われ、落ちる恐怖が先立ち、男の頭を抱きかかえるように腕を絡める。
その反応と声に、クツクツと男は喉を鳴らし「ほんとに色気ねぇなぁ」と笑う。
高層ビル…かと思ったその建物は高級マンションだった。
マンションの入り口の前に来ると、黒服が番号を入れドアが開いた。
ロビーにはコンシェルジュと、多分黒獅子の部下であろう黒服が頭を下げて「おかえりなさいませ」と出迎えた。
まてまてまてまて!!
ほんとにまって
超怖い超怖いって!!
私に頭を下げたわけではないのはわかってるけども、ここマンション!マンションだよね?!
右手を男の首からさっと放してそのまま胸をドンドンと叩く。
このままではまずい…!!
私のシックスセンスがまずいって言ってる!!
このまま連れていかれたら……事務所の時のようにあっさりと帰らせてもらえないような気がする!!
第二回、突撃お宅訪問(強制)がin自宅
なんて話聞いていない!!!
「おろして!!歩けます下ろしてください!!!」
ちらっと私の顔を視線だけ向けるがこの男はびくともしない。
「却下」
一言そういうと
またスタスタと歩みを進める。
その様子にさっと前にでてエレベーターの上ボタンを押しながら黒服は「お二人ともお部屋でお待ちです。」と佐竹に声をかけた。
佐竹も「ああ」と興味なさげに声をだし、ポンという音と共に開くエレベーターに乗り込む。
それを確認したあと、さっと黒服も乗り込み最上階へのボタンを押した。
(いやだぁぁぁぁ案の定あの二人もいるんじゃねぇかぁぁぁぁ)
おーろーせーーーー
ドンドンと胸を叩いても、腕を思いっきり突っ張りその胸を押しても
うんともすんとも言わずに微動だにしない男の腕。
同乗している黒服はそんな私にチラっと目を向けるとビクっと肩を跳ね上げ慌てて前を向く。
私睨んでないよ?
気になったんなら助けてくれてもいいんだよ?
黒服に手を伸ばしかけたところで「よっ」と声を出しながら抱えなおされた私。
(うぃたぁぁぁ!!!体浮いたから!!!怖い!!お姫様抱っこ怖い!!)
「さささささたけさん!!!重いでしょ!!歩けますし逃げませんから下ろしてください!!!!」
いやあわよくば逃げるけれども!!!
イラついたようにスゥ…と目を細められる男の瞳。
「…却下。」
静かに唸るように低く告げられたら、もう怖くてそれ以上下ろせって言えなかった。
これ以上下ろせって言ったら殺される…
怖い…無理…やだもうかえるぅぅぅぅぅ
じわっと目に水分が溜まる感じがしたが、これから起きるであろうヤクザの中のヤクザとの会合に向けて覚悟を決めるため、ゆっくり目を閉じ息を吐き、水分を引っ込める。
ポンと再び音が鳴りエレベーターが開くき、ゆっくりと私を抱えたままの男がエレベーターを出る。
黒服が二人フロアに一つしかないドアの前に立っていた。
「おかえりなさいませ」
黒服の二人が声をそろえて佐竹に挨拶し、一人が部屋のドアを開ける。
おい、そこの二人。私のことは無視か、無視なのか!!
そのままドアに吸われるように入り私を下ろさないまま靴をぽいっと脱ぎ、用意されていたスリッパに履き替え、またスタスタと歩いていく。
私のスリッパは!?ねぇ!!!
ちらっとツーブロックの頭の横から今通ってきたドアのほうを見るときちんと黒服が彼の靴をそろえていた。
よく教育されてやがるぜ、スルースキルも万全だこんちくしょう!
リビングに通ずると思われるドアもエレベーターに同乗した黒服がスっと開け、私を抱きかかえている男はそのままスタスタを入っていく。
20畳ほどのリビング。
左側にはカウンターキッチンと大きなダイニングテーブル。
正面には一面ガラス張りの窓。
大きなグレーのふわふわなラグの上にはシルバーの枠とブラックが基調のローテーブル。
周りには大きな落ち着いたブラックの革のソファーがコの字型に置かれている。
その一番広いソファーには真っ黒の髪の男が一人中心に座って首をこちらに向け右手を上げ「よォ、遅かったじゃねぇか」と声をかけた。
黒獅子の向かいの大きなソファーに座っている眼鏡の男性がマグカップを口につけながらニコっとほほ笑んだ。
「うわぁ…!」
再び体が重力に逆らう感覚に襲われ、落ちる恐怖が先立ち、男の頭を抱きかかえるように腕を絡める。
その反応と声に、クツクツと男は喉を鳴らし「ほんとに色気ねぇなぁ」と笑う。
高層ビル…かと思ったその建物は高級マンションだった。
マンションの入り口の前に来ると、黒服が番号を入れドアが開いた。
ロビーにはコンシェルジュと、多分黒獅子の部下であろう黒服が頭を下げて「おかえりなさいませ」と出迎えた。
まてまてまてまて!!
ほんとにまって
超怖い超怖いって!!
私に頭を下げたわけではないのはわかってるけども、ここマンション!マンションだよね?!
右手を男の首からさっと放してそのまま胸をドンドンと叩く。
このままではまずい…!!
私のシックスセンスがまずいって言ってる!!
このまま連れていかれたら……事務所の時のようにあっさりと帰らせてもらえないような気がする!!
第二回、突撃お宅訪問(強制)がin自宅
なんて話聞いていない!!!
「おろして!!歩けます下ろしてください!!!」
ちらっと私の顔を視線だけ向けるがこの男はびくともしない。
「却下」
一言そういうと
またスタスタと歩みを進める。
その様子にさっと前にでてエレベーターの上ボタンを押しながら黒服は「お二人ともお部屋でお待ちです。」と佐竹に声をかけた。
佐竹も「ああ」と興味なさげに声をだし、ポンという音と共に開くエレベーターに乗り込む。
それを確認したあと、さっと黒服も乗り込み最上階へのボタンを押した。
(いやだぁぁぁぁ案の定あの二人もいるんじゃねぇかぁぁぁぁ)
おーろーせーーーー
ドンドンと胸を叩いても、腕を思いっきり突っ張りその胸を押しても
うんともすんとも言わずに微動だにしない男の腕。
同乗している黒服はそんな私にチラっと目を向けるとビクっと肩を跳ね上げ慌てて前を向く。
私睨んでないよ?
気になったんなら助けてくれてもいいんだよ?
黒服に手を伸ばしかけたところで「よっ」と声を出しながら抱えなおされた私。
(うぃたぁぁぁ!!!体浮いたから!!!怖い!!お姫様抱っこ怖い!!)
「さささささたけさん!!!重いでしょ!!歩けますし逃げませんから下ろしてください!!!!」
いやあわよくば逃げるけれども!!!
イラついたようにスゥ…と目を細められる男の瞳。
「…却下。」
静かに唸るように低く告げられたら、もう怖くてそれ以上下ろせって言えなかった。
これ以上下ろせって言ったら殺される…
怖い…無理…やだもうかえるぅぅぅぅぅ
じわっと目に水分が溜まる感じがしたが、これから起きるであろうヤクザの中のヤクザとの会合に向けて覚悟を決めるため、ゆっくり目を閉じ息を吐き、水分を引っ込める。
ポンと再び音が鳴りエレベーターが開くき、ゆっくりと私を抱えたままの男がエレベーターを出る。
黒服が二人フロアに一つしかないドアの前に立っていた。
「おかえりなさいませ」
黒服の二人が声をそろえて佐竹に挨拶し、一人が部屋のドアを開ける。
おい、そこの二人。私のことは無視か、無視なのか!!
そのままドアに吸われるように入り私を下ろさないまま靴をぽいっと脱ぎ、用意されていたスリッパに履き替え、またスタスタと歩いていく。
私のスリッパは!?ねぇ!!!
ちらっとツーブロックの頭の横から今通ってきたドアのほうを見るときちんと黒服が彼の靴をそろえていた。
よく教育されてやがるぜ、スルースキルも万全だこんちくしょう!
リビングに通ずると思われるドアもエレベーターに同乗した黒服がスっと開け、私を抱きかかえている男はそのままスタスタを入っていく。
20畳ほどのリビング。
左側にはカウンターキッチンと大きなダイニングテーブル。
正面には一面ガラス張りの窓。
大きなグレーのふわふわなラグの上にはシルバーの枠とブラックが基調のローテーブル。
周りには大きな落ち着いたブラックの革のソファーがコの字型に置かれている。
その一番広いソファーには真っ黒の髪の男が一人中心に座って首をこちらに向け右手を上げ「よォ、遅かったじゃねぇか」と声をかけた。
黒獅子の向かいの大きなソファーに座っている眼鏡の男性がマグカップを口につけながらニコっとほほ笑んだ。
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