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第六話【男たちの情報】
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視線を感じる…
暴力団事務所を出た後。
私は駅方面に歩いていた。
黒くゴツイアタッシュケースを持っているすっぴんだぼだぼパーカー、ハーフパンツの女とかめっちゃ目立つ。
(どうすっかなぁ…)
このままタクシーに乗って帰るってのも手だが。
(多分GPSついてるよなぁ。)
このまま荷物をもって帰るのは得策じゃない。
自宅Bに行っても仕方がない。
自宅Bの荷物はほぼ何もないはずだ。
財布とスマホ、通帳と印鑑。家の鍵。私のバッグの中身はこれだけ。
急な押しかけと拉致に近い状態で連れていかれたので急遽いつも持ち歩いているバッグしか手に取れなった。
連れていかれている間にささっと緊急事態だと某所に連絡がいくようにしたのであの家にあるものはほぼ処分されたはずであり、PC関係だけ新居に届けられているはずだ。
本当はもうちょっと早めにお宅訪問が終わる予定だったので新居は自分で探すつもりだったのだが
連絡がかなり遅くなってしまったため、すでに手配されているはずである。
(しくじったなぁ…借りなんか作りたくなかったんだけど……まぁ緊急事態だししゃーないなぁ…)
このまま新居にいくのは見張られている感じがあるうえに、GPSがついている可能性があるまま直接行くわけにはいかない。
まさかよくわからない気に入られ方をするとも思わなったしなぁ……
『気に入った。絶対手に入れて見せる。』
そういった黒獅子にキスをされ目を見開いて驚いた自分。
本格的にやばいやつに気に入られたと思った。
おもちゃを見つけたような子供の顔つきに似たソレは自分には恐怖でしかない。
かなり注意をして自宅Bと自宅Aを用意していた。
自宅Aを解約した時点ではあのヤクザたちに自分を見つけられるなんて思っていなかった。
完璧にまいたと思っていた。
(アパートを出たときには見張られている感じなかったんだよなぁ。大体、組の主要の人間はほぼあの男の捜すことに必死だったはずだ。私の突きつけた情報の裏をとることにも必死になっていたはずだから、あの日すぐに解約手続きした私を追いかけるのにはかなり時間がかかったはずなんだ…)
せめてアイツを追う理由くらい調べておくべきだったかなぁ…
いや、情報を無駄に持つとそれだけこっちも隙を作りやすくなる。
故に拉致はされたが、殺されずに金を渡され返されている…はず。
情報を持っていた場合、内容によっては本当に殺されていたはずなのだ。
私を2週間で見つけ、私が知っている内容もほぼ把握していた。私のことを触りだけでも調べているはずだ。
これ以上私の情報をあのヤクザたちに渡してはいけない。
あのヤクザたちに関わってはいけない。
私のシックスセンスが警報を鳴らしている!!!!
…シックスセンスってなんだ。
中二病か…私は。
(まぁ真面目にあの人らと関わるのはダメだ。)
ひとの秘密をのぞき見るのが好きな私は、あの眼鏡イケメンが言っていた藤倉組についてもざっと触りだけは知っている。
そしてあの黒獅子のことも。
藤倉組幹部のTOPに君臨する若頭「財田白桜」。
齢25にして龍桜会を任され2年で組の幹部にまでのし上がり、裏の名声をかっさらっている。
藤倉組の経営している表企業は軒並み業績を上げ、表舞台でも財田の名前を知らないものは少なくなっている。
表の顔と裏の顔をきちんと分け、表からはその存在をほぼ完璧に隠蔽し、表舞台の人間からは裏の組の存在など知られてすらいない。というのがあの黒獅子の情報だ。
無駄に丹精な顔立ちをしているためお金持ちのお嬢様たちからは「黒の貴公子」と呼ばれている…らしい。
なんだ黒の貴公子って…貴公子って面じゃないだろあの人…超怖かった。
黒獅子の「ご学友」にはたくさんの有名人がいるが…
中でも三嶋修一、佐竹陽という二人の人物と特別親しい。らしい。
弁護士の三嶋家次男。
弁護士一家の三嶋は有名で修一の父親は弁護士界きっての切れモノでここ10年負けなしという話だ。
その次男として生まれた修一は兄弟の中でも随一の成績で現在父親の元で腕を磨いているらしい。
というのも表向き。裏では財田の組の顧問弁護士として財田のために奮闘している。
そして佐竹財閥の御曹司。
佐竹陽である。
政財界にもつてのある佐竹財閥は薬品、食品、衣類、大手宿泊施設と手広く経営しているかなり昔ながらの財閥だ。
佐竹陽はその財閥の現在の頭取の孫にあたり、長男が家を継ぐべきという考えの次男らしい奔放さをみせ、自分の自由に遊び歩いている…というのが表向き。
実質は頭取に気に入られ裏では財田の右腕となり、表では財田の企業の運営をほぼ担っているという話だ。
まぁざっと、ざーと調べると出てくることはこんな感じだった…気がする。
(あの眼鏡が三嶋で後から入ってきたのが佐竹…かなぁ)
三人とも女性にモテる顔つきかつ、企業としても成功を納めている若い男性なのでメディアへの露出が希望されているらしいのだが、弁護士が顔を売る必要性を感じないという理由で三嶋は露出がほぼない。
財田はメディア露出が好きではないという理由で片っ端から断っている。
故に広報として顔出しをするのは基本佐竹になる…
(ああ、だから私は佐竹の顔しってんのか)
ピロン
バッグの中から通知音だ。
スマホ画面を見ると「新居」と一言。
多分一緒にMAPも添付されているはずだ。
いまだに視線をギンギンに感じている私は(…どうやってまくかなぁ…)なんて厚い雲のかかった空を見上げるのであった。
暴力団事務所を出た後。
私は駅方面に歩いていた。
黒くゴツイアタッシュケースを持っているすっぴんだぼだぼパーカー、ハーフパンツの女とかめっちゃ目立つ。
(どうすっかなぁ…)
このままタクシーに乗って帰るってのも手だが。
(多分GPSついてるよなぁ。)
このまま荷物をもって帰るのは得策じゃない。
自宅Bに行っても仕方がない。
自宅Bの荷物はほぼ何もないはずだ。
財布とスマホ、通帳と印鑑。家の鍵。私のバッグの中身はこれだけ。
急な押しかけと拉致に近い状態で連れていかれたので急遽いつも持ち歩いているバッグしか手に取れなった。
連れていかれている間にささっと緊急事態だと某所に連絡がいくようにしたのであの家にあるものはほぼ処分されたはずであり、PC関係だけ新居に届けられているはずだ。
本当はもうちょっと早めにお宅訪問が終わる予定だったので新居は自分で探すつもりだったのだが
連絡がかなり遅くなってしまったため、すでに手配されているはずである。
(しくじったなぁ…借りなんか作りたくなかったんだけど……まぁ緊急事態だししゃーないなぁ…)
このまま新居にいくのは見張られている感じがあるうえに、GPSがついている可能性があるまま直接行くわけにはいかない。
まさかよくわからない気に入られ方をするとも思わなったしなぁ……
『気に入った。絶対手に入れて見せる。』
そういった黒獅子にキスをされ目を見開いて驚いた自分。
本格的にやばいやつに気に入られたと思った。
おもちゃを見つけたような子供の顔つきに似たソレは自分には恐怖でしかない。
かなり注意をして自宅Bと自宅Aを用意していた。
自宅Aを解約した時点ではあのヤクザたちに自分を見つけられるなんて思っていなかった。
完璧にまいたと思っていた。
(アパートを出たときには見張られている感じなかったんだよなぁ。大体、組の主要の人間はほぼあの男の捜すことに必死だったはずだ。私の突きつけた情報の裏をとることにも必死になっていたはずだから、あの日すぐに解約手続きした私を追いかけるのにはかなり時間がかかったはずなんだ…)
せめてアイツを追う理由くらい調べておくべきだったかなぁ…
いや、情報を無駄に持つとそれだけこっちも隙を作りやすくなる。
故に拉致はされたが、殺されずに金を渡され返されている…はず。
情報を持っていた場合、内容によっては本当に殺されていたはずなのだ。
私を2週間で見つけ、私が知っている内容もほぼ把握していた。私のことを触りだけでも調べているはずだ。
これ以上私の情報をあのヤクザたちに渡してはいけない。
あのヤクザたちに関わってはいけない。
私のシックスセンスが警報を鳴らしている!!!!
…シックスセンスってなんだ。
中二病か…私は。
(まぁ真面目にあの人らと関わるのはダメだ。)
ひとの秘密をのぞき見るのが好きな私は、あの眼鏡イケメンが言っていた藤倉組についてもざっと触りだけは知っている。
そしてあの黒獅子のことも。
藤倉組幹部のTOPに君臨する若頭「財田白桜」。
齢25にして龍桜会を任され2年で組の幹部にまでのし上がり、裏の名声をかっさらっている。
藤倉組の経営している表企業は軒並み業績を上げ、表舞台でも財田の名前を知らないものは少なくなっている。
表の顔と裏の顔をきちんと分け、表からはその存在をほぼ完璧に隠蔽し、表舞台の人間からは裏の組の存在など知られてすらいない。というのがあの黒獅子の情報だ。
無駄に丹精な顔立ちをしているためお金持ちのお嬢様たちからは「黒の貴公子」と呼ばれている…らしい。
なんだ黒の貴公子って…貴公子って面じゃないだろあの人…超怖かった。
黒獅子の「ご学友」にはたくさんの有名人がいるが…
中でも三嶋修一、佐竹陽という二人の人物と特別親しい。らしい。
弁護士の三嶋家次男。
弁護士一家の三嶋は有名で修一の父親は弁護士界きっての切れモノでここ10年負けなしという話だ。
その次男として生まれた修一は兄弟の中でも随一の成績で現在父親の元で腕を磨いているらしい。
というのも表向き。裏では財田の組の顧問弁護士として財田のために奮闘している。
そして佐竹財閥の御曹司。
佐竹陽である。
政財界にもつてのある佐竹財閥は薬品、食品、衣類、大手宿泊施設と手広く経営しているかなり昔ながらの財閥だ。
佐竹陽はその財閥の現在の頭取の孫にあたり、長男が家を継ぐべきという考えの次男らしい奔放さをみせ、自分の自由に遊び歩いている…というのが表向き。
実質は頭取に気に入られ裏では財田の右腕となり、表では財田の企業の運営をほぼ担っているという話だ。
まぁざっと、ざーと調べると出てくることはこんな感じだった…気がする。
(あの眼鏡が三嶋で後から入ってきたのが佐竹…かなぁ)
三人とも女性にモテる顔つきかつ、企業としても成功を納めている若い男性なのでメディアへの露出が希望されているらしいのだが、弁護士が顔を売る必要性を感じないという理由で三嶋は露出がほぼない。
財田はメディア露出が好きではないという理由で片っ端から断っている。
故に広報として顔出しをするのは基本佐竹になる…
(ああ、だから私は佐竹の顔しってんのか)
ピロン
バッグの中から通知音だ。
スマホ画面を見ると「新居」と一言。
多分一緒にMAPも添付されているはずだ。
いまだに視線をギンギンに感じている私は(…どうやってまくかなぁ…)なんて厚い雲のかかった空を見上げるのであった。
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