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第一章 弘樹,転生す
第九話 ボスを倒さないと先に進めなかった件
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場所は二十階層の洋館にて。
いやあ,怖かったな。全く,あれは半側だろ。
「私はそんなことなかったですけどね」
いや,めちゃビビってただろ。俺にはわかっているぞ。
今は,さきほど下へ向かう通路をみつけ,下の階に下がっているところ。
それにしてもこのダンジョンって不思議だよな。景色が変わる回数も減ったし。
「そう言えばそうですね。今までは五階層で変わるときもあったのに」
なんでだろうな。もしかして階層が下がったからかな? 下に行くと階層の変化が少なくなる的な。
「そうだと思われます」
次にだよ,普通ダンジョンってさ,通路を抜けたらいきなりフィールドにほっぽり出されなくない?今このダンジョンって下の階に抜けた瞬間下の階層のどこかにほっぽり出されるよね。これって絶対難易度を挙げていると思うんだけど。
「それはそうですね。最初に味わった時は驚いたものです」
だよな。一瞬何が起こったのかわかんなかったもんね。それに一回下の階に言った瞬間魔物に出会ったこともあったよな。
「はい。あれは心臓に悪いです」
だな。てかお前心臓ないだろ。
「ふふ。マスター,無駄話もいいですが,そろそろ次の階に着きますよ」
あれ,今鑑定が笑った気がする。俺の勘違いかも知れないが確かに笑ったと思う。
「さて,もう次の階です」
そういうと俺の目の前が光り始めた。そして光が収まると,そこには石畳の通路があった。
「ここが次の階層か」
二十一~三十階層
ここは,きれいだな。
その階層は俺にそう思わせるだけのものがあった。
今弘樹たちがいるのは二十一階層である。そこは石畳の舗装された通路が一本,ずっと続いていた。
このタイプは初めてだな。どうなるか全く読めない。まあ今までもどうなるか読めたことなんてなかったけど。それにしてもここは変すぎる。ここでは通路に魔物も出てこない。俺にとっては攻略しやすいからいいんだが,逆に不気味だな。
しばらく歩くと,突き当りには大きな扉があった。俺はその前で一人たたずんでいる。
これはボス部屋かな。この荘厳な感じは俺のRPGの感で言うと中ボスの部屋なのだが。
「ここは本格的にボスなのかも知れません」
む。ここはもしかしてこのダンジョンのボスがいるって可能性もなくはないな。ていうか当たり前に思っていたけどダンジョンにボスっているんだな。
「はい,そうです。全ての魔窟にはボスが一体います。そしてその魔物を倒せば地上に上がることができます。ボスはその魔窟の名前に関係することが多いようです」
ほー。つまりここがボス部屋? ここを抜ければこのダンジョンに終わりが来るのか。でもそれはあまりに早いような気もするな。もちろんこのダンジョンを抜けれることはすごく嬉しい。だがそれ以上に怖い。
俺はこのまま地上に上がっても生きていけるのだろうか⋯⋯。
だがここは怖がらずに入って見よう。どのみち俺には先に進むという選択肢しかないのだ。
俺が扉を開けるとそこは広い部屋だった。
うわ。いかにもボスじゃないか。
「違います」
ん?
「この気配は,来ます,マスター」
その瞬間,目の前に大きな狼が出てきた。
この気配はエリアボスか。なら俺のここは中ボスの予想が当たっていたことになる。やったね。
って,今はそんなことを考えている場合じゃない。どうやらこの狼,相当強そうだ。これは久しぶりに本気で行かないとな。
そして狼は俺に話しかけてきた。
「よく来たな,トカゲ。そしてさらばだ」
狼は狼が喋ったと驚いて固まっている俺に卑怯にも攻撃してきたようだ。俺は頑張ってその攻撃をかわす。そして狼と向き直す。
こいつ,速いな。俺が今まで戦ったどの魔物よりも早い気がする。そして恐ろしく強い。ステータスは俺と同じくらいはあるんじゃないか。
「マスター,こいつ,フェンリルです。鑑定の結果名前だけわかりました」
フェンリルか。フェンリルって言ったら最強の狼じゃないか。そんなのと戦わないといけないのか。これは,勝てるのか。
こうして弘樹とフェンリルの戦いが始まった。
魔法が飛び交う。一方が水の槍を放てばもう一方はそれを炎で撃ち落とす。反撃とばかりに片方が炎のブレスを放てばもう一方はそれを軽く避ける。そんな一進一退の攻防が続いていた。
弘樹は焦っていた。
これは予想以上だな。おそらくだが速さは俺を超えている。このまま戦っていれば負けはしないが勝てる気もしない。永遠に膠着状態だ。そしてそれはすなわち俺の負けとなる。これは何か手を打たないとな。
「マスター,いい報告があります」
ん? 鑑定が報告なんて珍しいな。この大事な時に変な報告をする鑑定じゃないから,どんな報告だろう。
「完成したんです」
ん? 何が? 俺,何か頼んでいたっけ。それに鑑定がすごく褒めてほしそうにしているぞ。これは褒めないとすねるな。
「マスター,忘れたんですか」
いや,忘れてないよ。ただどんなんだったかなー。って思っているだけだよー。
「まあ,いいです。で,何が完成したかというと,新しい魔法です」
新しい魔法? それってこの状況をどうにかできるような凄いものか。でもそんな魔法を作っていたんだな。
「はい。前に弘樹は私に命令したことがあったでしょう。何かすごい魔法を作れって」
うん,完全に忘れたね。俺は何にも覚えてない。だけどこれを言うとおこられそうだから言わないでおく。
う,うん。そうだね
「それでその魔法が完成したんです。はっ。もしかしてマスターはこの展開を呼んで私にあんなめいれいを?」
も,もちろん。
嘘である。弘樹は全くそんな未来考えていなかった。ただ,新しい魔法があったらいいなぁと思っただけである。ただここは鑑定の信頼を得るチャンス,と思い便乗したのであった。
それで,どんな魔法なの?
「その名も炎神,です」
炎神? なんか名前はかっこよくてすごそうだけど,どんな効果だ?
「それは,炎まといの上位互換です。しかし性能は段違い。炎まといよりも攻撃力の上昇値が上がったのはもちろん,炎まといでは上がらなかった素早さや物理,魔法防御力も上がるんです」
それはすごいな。ただ,解析さんが何やらどや顔をしてそうだが,それは置いておこう。
そんなにすごいの? じゃあ,逆にデメリットはないのか?
「はい,それは二重掛けできなくなったことと,ダメージが非常に大きくなったことです」
二重掛けはいいとして,ダメージってどのくらいになったんだ。
「それはですね,毎秒十ダメージです」
問題ないな。それで攻撃力が上がるなら。
「では,さっそく使って見てください」
おう。
にしても炎神か。まったく,中二心をくすぐられるぜ。
そして俺は鑑定さんにそういわれたので,さっそく使ってみる。
「発動,炎神」
その瞬間,俺の体が炎で燃え上がる。いや,燃え上がるというより,
「俺が炎と同一化している?」
「よくわかりましたね。この魔法は自信を炎と同一化する魔法。つまり弘樹自身が炎になるわけです」
すごいな。ただ一つ残念なのは俺がトカゲだということだ。もし俺がすごいイケメンだったらこの魔法はもっとかっこよかっただろう。
だが,たとえかっこ悪かろうと,その強さは本物である。
「すげぇ。俺,炎が,炎の魔力が手をとるように分かる。今ならどんな炎魔法だって使える気がするぞ」
思わず俺はそうつぶやいてしまった。だがそれもしょうがないのだ。この魔法は炎の魔法を思うがままに使わさせてくれ,それがすごく気持ちいいのだ。
でもなんでここまで全能感に浸れるんだ。
「それは,この魔法が大気の中の魔素を活用できるからです」
魔素か。確か魔素はMPとかが漏れ出たものだったよな。それを使えるってことは,あれか。漫画とかである大気中の魔力を使えるようになるってやつか。
ちなみに弘樹が今使った魔法は人知を超えている,完全にオリジナルの魔法であり,この系統の魔法を付開ける者は世界に何人もいないだろう。
そして,この場にその魔法の恐ろしさを,異常さを感ずいたものがもう一体いた。フェンリルである。
(なんなのだ,あれは。まさか,大気中の魔素をも味方につけたのか。ありえない。もしそうなら,我などがかなう相手ではない)
だが相手がそう思っている等鈍感な弘樹が気付くはずもなく,攻撃を開始する。
ーーーふっ。
弘樹の姿が消えた。そして,現れたのはフェンリルの前。そしてその速度を失わず尻尾を叩きつける。
ーーーふ
今度は弘樹に尻尾にあたった瞬間フェンリルの姿が消える。
ーーーズゴーン
フェンリルがそんな音とともにこの部屋の壁に激突する。
「すさまじいな」
弘樹がつぶやく。
これはもはやさっきまでの膠着はないな。ただただ俺が蹂躙していくだけだ。俺はあんまりこういう戦いからは好きじゃないんだが今回はしょうがないか。
二度,三度と弘樹による尻尾攻撃が繰り返されていくうちにフェンリルは理解する。こいつには敵対してはいけなかったと。無条件で次の階層への通路を開けるべきだったと。そして,こいつこそが,このトカゲこそが,
(魔王だ)
と。
◇
ここが最後だな。さて,どうなることか。できるなら骨のあるやつがいいんだが。まあ,せいぜい俺を楽しませてくれよ。
て,完全に俺悪役だな。まあいいか。もうすでに俺は人間じゃなく魔物なんだし,悪役の一つや二つ,なってもいいか。
俺がそんなことを思っているここは,三十階層。俺はフェンリルを倒した後,すさまじい速度でこの階層まで来ていた。
この階層にはエリアボスしかいないんだな。逆に俺にとっては攻略しやすいがな。でももし今まで戦闘を避けてきた人がこの階層に来たら地獄だろうな。ボスを倒さないと次の階に進めないし。
まあ,俺には余裕だけどね。
そう言って俺は攻略する。現に今も蛇のエリアボスを倒したところであった。
これで終わりかな。意外とあっけなかったな。さて,次の階層はどんな何だろう。
そして俺は通路を下がっていく。そして見慣れた光が俺を覆う。そして目を開けると⋯⋯
「うそーん」
そう,そこには見慣れた町,日本の東京があった。
いやあ,怖かったな。全く,あれは半側だろ。
「私はそんなことなかったですけどね」
いや,めちゃビビってただろ。俺にはわかっているぞ。
今は,さきほど下へ向かう通路をみつけ,下の階に下がっているところ。
それにしてもこのダンジョンって不思議だよな。景色が変わる回数も減ったし。
「そう言えばそうですね。今までは五階層で変わるときもあったのに」
なんでだろうな。もしかして階層が下がったからかな? 下に行くと階層の変化が少なくなる的な。
「そうだと思われます」
次にだよ,普通ダンジョンってさ,通路を抜けたらいきなりフィールドにほっぽり出されなくない?今このダンジョンって下の階に抜けた瞬間下の階層のどこかにほっぽり出されるよね。これって絶対難易度を挙げていると思うんだけど。
「それはそうですね。最初に味わった時は驚いたものです」
だよな。一瞬何が起こったのかわかんなかったもんね。それに一回下の階に言った瞬間魔物に出会ったこともあったよな。
「はい。あれは心臓に悪いです」
だな。てかお前心臓ないだろ。
「ふふ。マスター,無駄話もいいですが,そろそろ次の階に着きますよ」
あれ,今鑑定が笑った気がする。俺の勘違いかも知れないが確かに笑ったと思う。
「さて,もう次の階です」
そういうと俺の目の前が光り始めた。そして光が収まると,そこには石畳の通路があった。
「ここが次の階層か」
二十一~三十階層
ここは,きれいだな。
その階層は俺にそう思わせるだけのものがあった。
今弘樹たちがいるのは二十一階層である。そこは石畳の舗装された通路が一本,ずっと続いていた。
このタイプは初めてだな。どうなるか全く読めない。まあ今までもどうなるか読めたことなんてなかったけど。それにしてもここは変すぎる。ここでは通路に魔物も出てこない。俺にとっては攻略しやすいからいいんだが,逆に不気味だな。
しばらく歩くと,突き当りには大きな扉があった。俺はその前で一人たたずんでいる。
これはボス部屋かな。この荘厳な感じは俺のRPGの感で言うと中ボスの部屋なのだが。
「ここは本格的にボスなのかも知れません」
む。ここはもしかしてこのダンジョンのボスがいるって可能性もなくはないな。ていうか当たり前に思っていたけどダンジョンにボスっているんだな。
「はい,そうです。全ての魔窟にはボスが一体います。そしてその魔物を倒せば地上に上がることができます。ボスはその魔窟の名前に関係することが多いようです」
ほー。つまりここがボス部屋? ここを抜ければこのダンジョンに終わりが来るのか。でもそれはあまりに早いような気もするな。もちろんこのダンジョンを抜けれることはすごく嬉しい。だがそれ以上に怖い。
俺はこのまま地上に上がっても生きていけるのだろうか⋯⋯。
だがここは怖がらずに入って見よう。どのみち俺には先に進むという選択肢しかないのだ。
俺が扉を開けるとそこは広い部屋だった。
うわ。いかにもボスじゃないか。
「違います」
ん?
「この気配は,来ます,マスター」
その瞬間,目の前に大きな狼が出てきた。
この気配はエリアボスか。なら俺のここは中ボスの予想が当たっていたことになる。やったね。
って,今はそんなことを考えている場合じゃない。どうやらこの狼,相当強そうだ。これは久しぶりに本気で行かないとな。
そして狼は俺に話しかけてきた。
「よく来たな,トカゲ。そしてさらばだ」
狼は狼が喋ったと驚いて固まっている俺に卑怯にも攻撃してきたようだ。俺は頑張ってその攻撃をかわす。そして狼と向き直す。
こいつ,速いな。俺が今まで戦ったどの魔物よりも早い気がする。そして恐ろしく強い。ステータスは俺と同じくらいはあるんじゃないか。
「マスター,こいつ,フェンリルです。鑑定の結果名前だけわかりました」
フェンリルか。フェンリルって言ったら最強の狼じゃないか。そんなのと戦わないといけないのか。これは,勝てるのか。
こうして弘樹とフェンリルの戦いが始まった。
魔法が飛び交う。一方が水の槍を放てばもう一方はそれを炎で撃ち落とす。反撃とばかりに片方が炎のブレスを放てばもう一方はそれを軽く避ける。そんな一進一退の攻防が続いていた。
弘樹は焦っていた。
これは予想以上だな。おそらくだが速さは俺を超えている。このまま戦っていれば負けはしないが勝てる気もしない。永遠に膠着状態だ。そしてそれはすなわち俺の負けとなる。これは何か手を打たないとな。
「マスター,いい報告があります」
ん? 鑑定が報告なんて珍しいな。この大事な時に変な報告をする鑑定じゃないから,どんな報告だろう。
「完成したんです」
ん? 何が? 俺,何か頼んでいたっけ。それに鑑定がすごく褒めてほしそうにしているぞ。これは褒めないとすねるな。
「マスター,忘れたんですか」
いや,忘れてないよ。ただどんなんだったかなー。って思っているだけだよー。
「まあ,いいです。で,何が完成したかというと,新しい魔法です」
新しい魔法? それってこの状況をどうにかできるような凄いものか。でもそんな魔法を作っていたんだな。
「はい。前に弘樹は私に命令したことがあったでしょう。何かすごい魔法を作れって」
うん,完全に忘れたね。俺は何にも覚えてない。だけどこれを言うとおこられそうだから言わないでおく。
う,うん。そうだね
「それでその魔法が完成したんです。はっ。もしかしてマスターはこの展開を呼んで私にあんなめいれいを?」
も,もちろん。
嘘である。弘樹は全くそんな未来考えていなかった。ただ,新しい魔法があったらいいなぁと思っただけである。ただここは鑑定の信頼を得るチャンス,と思い便乗したのであった。
それで,どんな魔法なの?
「その名も炎神,です」
炎神? なんか名前はかっこよくてすごそうだけど,どんな効果だ?
「それは,炎まといの上位互換です。しかし性能は段違い。炎まといよりも攻撃力の上昇値が上がったのはもちろん,炎まといでは上がらなかった素早さや物理,魔法防御力も上がるんです」
それはすごいな。ただ,解析さんが何やらどや顔をしてそうだが,それは置いておこう。
そんなにすごいの? じゃあ,逆にデメリットはないのか?
「はい,それは二重掛けできなくなったことと,ダメージが非常に大きくなったことです」
二重掛けはいいとして,ダメージってどのくらいになったんだ。
「それはですね,毎秒十ダメージです」
問題ないな。それで攻撃力が上がるなら。
「では,さっそく使って見てください」
おう。
にしても炎神か。まったく,中二心をくすぐられるぜ。
そして俺は鑑定さんにそういわれたので,さっそく使ってみる。
「発動,炎神」
その瞬間,俺の体が炎で燃え上がる。いや,燃え上がるというより,
「俺が炎と同一化している?」
「よくわかりましたね。この魔法は自信を炎と同一化する魔法。つまり弘樹自身が炎になるわけです」
すごいな。ただ一つ残念なのは俺がトカゲだということだ。もし俺がすごいイケメンだったらこの魔法はもっとかっこよかっただろう。
だが,たとえかっこ悪かろうと,その強さは本物である。
「すげぇ。俺,炎が,炎の魔力が手をとるように分かる。今ならどんな炎魔法だって使える気がするぞ」
思わず俺はそうつぶやいてしまった。だがそれもしょうがないのだ。この魔法は炎の魔法を思うがままに使わさせてくれ,それがすごく気持ちいいのだ。
でもなんでここまで全能感に浸れるんだ。
「それは,この魔法が大気の中の魔素を活用できるからです」
魔素か。確か魔素はMPとかが漏れ出たものだったよな。それを使えるってことは,あれか。漫画とかである大気中の魔力を使えるようになるってやつか。
ちなみに弘樹が今使った魔法は人知を超えている,完全にオリジナルの魔法であり,この系統の魔法を付開ける者は世界に何人もいないだろう。
そして,この場にその魔法の恐ろしさを,異常さを感ずいたものがもう一体いた。フェンリルである。
(なんなのだ,あれは。まさか,大気中の魔素をも味方につけたのか。ありえない。もしそうなら,我などがかなう相手ではない)
だが相手がそう思っている等鈍感な弘樹が気付くはずもなく,攻撃を開始する。
ーーーふっ。
弘樹の姿が消えた。そして,現れたのはフェンリルの前。そしてその速度を失わず尻尾を叩きつける。
ーーーふ
今度は弘樹に尻尾にあたった瞬間フェンリルの姿が消える。
ーーーズゴーン
フェンリルがそんな音とともにこの部屋の壁に激突する。
「すさまじいな」
弘樹がつぶやく。
これはもはやさっきまでの膠着はないな。ただただ俺が蹂躙していくだけだ。俺はあんまりこういう戦いからは好きじゃないんだが今回はしょうがないか。
二度,三度と弘樹による尻尾攻撃が繰り返されていくうちにフェンリルは理解する。こいつには敵対してはいけなかったと。無条件で次の階層への通路を開けるべきだったと。そして,こいつこそが,このトカゲこそが,
(魔王だ)
と。
◇
ここが最後だな。さて,どうなることか。できるなら骨のあるやつがいいんだが。まあ,せいぜい俺を楽しませてくれよ。
て,完全に俺悪役だな。まあいいか。もうすでに俺は人間じゃなく魔物なんだし,悪役の一つや二つ,なってもいいか。
俺がそんなことを思っているここは,三十階層。俺はフェンリルを倒した後,すさまじい速度でこの階層まで来ていた。
この階層にはエリアボスしかいないんだな。逆に俺にとっては攻略しやすいがな。でももし今まで戦闘を避けてきた人がこの階層に来たら地獄だろうな。ボスを倒さないと次の階に進めないし。
まあ,俺には余裕だけどね。
そう言って俺は攻略する。現に今も蛇のエリアボスを倒したところであった。
これで終わりかな。意外とあっけなかったな。さて,次の階層はどんな何だろう。
そして俺は通路を下がっていく。そして見慣れた光が俺を覆う。そして目を開けると⋯⋯
「うそーん」
そう,そこには見慣れた町,日本の東京があった。
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