51 / 114
二章
051 高層を目指す
しおりを挟む
「とりあえずその暗殺企ててる三人を始末すればいいんじゃないのか?」
『紅玉の戦乙女』 の一人、オーガのマイラさんが提案する。
リンメイのように姉御肌な口調で喋る彼女は、パーティの盾役を担っている。プラチナブロンドでとても綺麗な女性だ。
「彼女達を消しても、第一王子から別の刺客を送られてくるだけですわ」
「……王子様がネックだな」
思わず呟いてしまった俺の言葉に皆の視線が集中してしまい、慌てて口を押えてしまう。
だがなぁ……実際問題として、この件を円滑に解決するにはセリオス王子自身に自分の立ち位置を理解させないといけない。
でないと延々と危機が生み出されるだろう。
「そうね、彼が一番の問題ですわ。彼に現状を理解させ、エルレインさんの行動に障害とならないようにしないといけません」
そう言ってから、アルシオーネさんは思わずため息をついてしまう。
「でもああいう方は話しても納得できずに事態を悪化させる行動に出てしまいがちなんですよね。それをエルレインさんも危惧しておいででした。――やはり敵対者を目の当たりにさせて現実を受け止めさせるしかないと思います」
「元凶の本人が障害となるってホント厄介ね」
『紅玉の戦乙女』 の一人、水玲人のファルンさんはやれやれといった感じに呟く。
ファルンさんは瑠璃色の髪をした美人さんで知的な感じだ。水系の魔法を得意とし、パーティの回復役も担っている。
「ホントね」
「てことは、事が起こった後で救出しないといけないのか? めんどくせーな」
ウンザリした感じで言い放つマイラさんに激しく同意してしまう。
事が起こった後と言う事は、ダンジョン高層での救出劇となってしまうからだ。
「ならとりあえずはその神官には話を通しておいたほうが良さそうね?」
エルレインと共に殺される予定の神官サーリャの処遇について、『紅玉の戦乙女』 の一人であるエルフのヒスイさんが提案する。
ヒスイさんは名前のように美しい翡翠色の髪をした、これまた美しい女性。
因みに彼女は、なんと大家さんとミリアさんの姪に当たるそうだ。大家さん同様、精霊魔法を得意とするらしい。
「ですわね。少しでも事態を円滑に進めるためには、サーリャさんを仲間に引き込んだ方が良いでしょうね」
それから少しの間アルシオーネさんは思案すると、おもむろに俺の方を向いた。
「ところでケイタさん、このお手紙はどのような経緯でエルレインさんから受け取る事ができたんです?」
「えっ…………。あー、えっと、その……」
突然話を振られてしどろもどろになり、目を逸らしてしまう。
……ラキちゃんが聖女だというのはバレてるっぽいが、それでもあまり言いたくないし、何よりこの話には深入りしたくない!
「ケ・イ・タさん?」
くっ……、アルシオーネさんの微笑みが怖すぎる!
結局手紙を受け取った経緯を話す事となった。トホホ……。
「……そうでしたか。でしたら次の聖女の御勤めに私も従者としてご一緒させて頂けないかしら?」
ああそうだな、仮面付けてるからそれが可能だった。
次回の聖女の御勤めからはラムリスは来ないので、今回の頭数と変わらないのも良い。
「そうですね……、大丈夫だと思いますよ」
「ありがとうございます。これでエルレインさんと直接話す機会ができました」
たしかに、手紙等でやり取りするよりも、直接会って話をした方が良いもんな。
こうして、五日後に再びエルレインさんの所へ行くときは、アルシオーネさんも一緒に行く事となった。
「あーあ、王子様が諦めて国に帰れば全て丸く収まるのになぁ……」
「全くですわ……」
俺の呟きに、その場にいた全員がやれやれといった顏でウンウンと頷いていた。
ホント、あの王子様次第なんだよなあ、今回の件て。
はぁ……、とりあえず用件も済んだし、そろそろお暇するか。
「さっきの流れからして、あのエルレインて人を助けるのは高層って事なんだよな?」
アルシオーネさんの所からの帰り道、妙に口数の少なかったリンメイは突然、神妙な面持ちで話を切り出した。
「だろうね。――俺達にはまだまだ行けない場所だから、アルシオーネさん達に任せるしかないよ」
「そうなんだけどさ。でもさ……んー、なんかヤな予感がするんだよなー。――なぁ、あたいらも少しでも先に進めるようになっておかねーか?」
「ん? ああ、別に構わないよ。ラキちゃんもいいかな?」
「オッケーでーす」
「ありがとう!」
アルシオーネさん達は確かに強いが不安なのも分かる。連中が増援を呼んだってのも不安の一つだった。
リンメイがお姉さんを心配になるのも頷ける事なので、俺達も高層に行けるようにまた明日からダンジョン探索を頑張ろう。
翌日、先日十五層に到達したばかりの俺達は、もう二十層に向けてダンジョン攻略を開始する。
残り十日前後で三十層到達は流石に無理だろうが、少しでも進んでおきたいからだ。
今回俺達は念のために宿泊用の装備も準備してきた。
ラキちゃんの亜空間収納に入れさせてもらっているので、本当に助かる。
俺達は早速十五層の転移門を通り、十六層へ下っていく。
十六層から十九層は迷宮エリアに巨大な水路が出現する。
身体強化しても飛び越える事が困難な幅の水の領域が迷宮の迷路に関係無く存在しており、通路が丸々水面となっている箇所もあったりする。
そのためこの区間は攻略が複雑になり、水路を回避して普通に攻略しようとすると前回よりも移動距離が長くなってしまう。
普通に攻略しようとすれば――だが。
そのため、このエリアで重宝されるのは水面歩行を可能にできるくらいの水魔法士か、歩けるくらいに水面を凍らせる事ができる氷魔法士だ。
ただそれらの魔法はパーティ全員分を賄うためにかなりの魔力を消費してしまうので、相当優秀でもない限り全ての通路でそれを行使するのは厳しい。
そのため、大抵はここぞという箇所でしか行わないよう、魔力を温存しながら進んで行く。
だが俺達三人は水面を物ともせず普通に迷宮を進むように攻略して行く。
俺とリンメイはブーツの力があるし、ラキちゃんは普通に飛んで行けてしまうから。
ただし、こんなエリアなので水生の魔物には十分気を付けないといけない。
俺達はアサルトフィッシュという砲弾のように飛んでくる魚の魔物や、カエルの魔物のビッグトード、鎧を纏ったようなワニのアーマークロコダイルなどを倒しながら進んで行く。
水中に引きずり込まれたらかなり危険なので、このエリアでも投擲からの魔法攻撃を有効に活用している。
「うわっ! 何だコイツ!」
「うわーん! 気持ち悪いー!」
その中で、ヤツメウナギみたいな敵のイビルアイズってのがリンメイやラキちゃんに大不評だった。
何でかって言うと、ぶっちゃけキモイから。まだ遭遇した事ないけど、サンドワームのような口をしているし、ヤツメウナギと違い、本物の目がいくつもある。
これまでの冒険で生理的に無理ってなるキモイ姿の魔物ってそうそういなかったから、初めて見た時は妙に衝撃だった。
ラキちゃんが 「イヤー!」 って涙目になって叫びながら目からビームをぶっ放した時は流石に焦ってしまった。
とりあえず、べそをかいてしまったラキちゃんを宥め、なんとか進んで行く。
「あっ、宝箱!」
水路により隔離された行き止まりは宝箱が残っている率が高いのが嬉しい。
早速開けてみると、中身は忍者漫画などでよく出てくるアレだった。
「これって鉢金って言うんだっけ? 効果はあたいの付けてるサークレットと同じで頭全体を革の兜程度の保護だな。――おっさん使ったらどうだ?」
「うんうん」
「いいのか? ならありがたく使わせてもらうよ」
俺は被ってた革の帽子を鞄に仕舞い、早速この鉢金を使わせてもらう事にした。
投擲術と相まって忍者な気分になるでござるよニンニン。
「ところで、今日はどの辺まで進んでみるんだ?」
「そうだなぁ、この階層って普通に攻略するなら一日一階層だけど、俺達はショートカットできてるからな。十八層に降りる階段を目標に進んでみようか?」
「「りょうかーい」」
この階層の魔物は前の階層のゴーレムと違って生身なので、俺の雷魔法もしっかりと効くのが助かる。
アーマークロコダイルのようにでかくて硬い敵も、マヒさせて弱点を斬りつければ難なく倒せてしまう。
魔物の弱点はリンメイが教えてくれるので本当に助かる。
段々と慣れてくると、投擲による魔法を使わずともそのまま弱点を斬って倒せてしまう位には動けるようになってきた。
立ち回りや剣の腕も上げるためにはこれはこれで良いのかもしれない。
質量のある敵からの回避や、攻撃を仕掛ける時の立ち回りはダンジョンを攻略する上で絶対に必要だからね。
この点でもリンメイはとても良いお手本となるので本当に助かる。リンメイ様様だ。
水路の上を進むショートカットのおかげか、十七層へ下る階段までは昼前には到達してしまった。
勿論十七層への階段はこれだけでは無いのだが、購入したマップから正解だろうと当たりを付けた階段だった。
まだ時間的に早かったからか、今の所キャンプや休憩しているパーティはいないようだ。
相談した結果、少し早いがここで昼食を取る事になった。
俺達がマップを眺めながら昼食を取っていると、ちらほらと他の冒険者パーティも階段周辺で休憩をとりにやって来る。
やはり俺達が三人だけなのは目立つようで奇異の目に晒されている感じだったが、直接何かを言ってくるわけでもなかったので無視をする。
しかしやはり居心地は悪いので、俺達は昼食が終わるとさっさと行く事にした。
十七層に降りてから少し移動して人目が付かない場所まで来ると、ここからはまたラキちゃんのマッピングの出番だ。
昼食中にどちらの方向に進むか決めていたので、そちらの方角に向けて作成してもらう。
いつものように物凄い勢いで作成していくのだが、突然ラキちゃんは疑問の声をあげた。
「あれ?」
「ん? どうしたの?」 「どしたんだ?」
「えーっとね、ここ。道の無い空洞の箇所があるなーと思って」
そう指差す箇所は、たしかに周りを壁で囲われていた。普通に攻略する限りでは、ただの壁として見過ごしてしまうだろう箇所だった。
「おおっ! もしかして隠し部屋かもしれねーじゃん! 行ってみようぜ!」
「おっけーだ!」
こういう隠し部屋的な謎の場所ってゲームだったら大抵何かあるから、なんかワクワクしてしまう。
早速俺達はその場所まで進んでみる事にした。
『紅玉の戦乙女』 の一人、オーガのマイラさんが提案する。
リンメイのように姉御肌な口調で喋る彼女は、パーティの盾役を担っている。プラチナブロンドでとても綺麗な女性だ。
「彼女達を消しても、第一王子から別の刺客を送られてくるだけですわ」
「……王子様がネックだな」
思わず呟いてしまった俺の言葉に皆の視線が集中してしまい、慌てて口を押えてしまう。
だがなぁ……実際問題として、この件を円滑に解決するにはセリオス王子自身に自分の立ち位置を理解させないといけない。
でないと延々と危機が生み出されるだろう。
「そうね、彼が一番の問題ですわ。彼に現状を理解させ、エルレインさんの行動に障害とならないようにしないといけません」
そう言ってから、アルシオーネさんは思わずため息をついてしまう。
「でもああいう方は話しても納得できずに事態を悪化させる行動に出てしまいがちなんですよね。それをエルレインさんも危惧しておいででした。――やはり敵対者を目の当たりにさせて現実を受け止めさせるしかないと思います」
「元凶の本人が障害となるってホント厄介ね」
『紅玉の戦乙女』 の一人、水玲人のファルンさんはやれやれといった感じに呟く。
ファルンさんは瑠璃色の髪をした美人さんで知的な感じだ。水系の魔法を得意とし、パーティの回復役も担っている。
「ホントね」
「てことは、事が起こった後で救出しないといけないのか? めんどくせーな」
ウンザリした感じで言い放つマイラさんに激しく同意してしまう。
事が起こった後と言う事は、ダンジョン高層での救出劇となってしまうからだ。
「ならとりあえずはその神官には話を通しておいたほうが良さそうね?」
エルレインと共に殺される予定の神官サーリャの処遇について、『紅玉の戦乙女』 の一人であるエルフのヒスイさんが提案する。
ヒスイさんは名前のように美しい翡翠色の髪をした、これまた美しい女性。
因みに彼女は、なんと大家さんとミリアさんの姪に当たるそうだ。大家さん同様、精霊魔法を得意とするらしい。
「ですわね。少しでも事態を円滑に進めるためには、サーリャさんを仲間に引き込んだ方が良いでしょうね」
それから少しの間アルシオーネさんは思案すると、おもむろに俺の方を向いた。
「ところでケイタさん、このお手紙はどのような経緯でエルレインさんから受け取る事ができたんです?」
「えっ…………。あー、えっと、その……」
突然話を振られてしどろもどろになり、目を逸らしてしまう。
……ラキちゃんが聖女だというのはバレてるっぽいが、それでもあまり言いたくないし、何よりこの話には深入りしたくない!
「ケ・イ・タさん?」
くっ……、アルシオーネさんの微笑みが怖すぎる!
結局手紙を受け取った経緯を話す事となった。トホホ……。
「……そうでしたか。でしたら次の聖女の御勤めに私も従者としてご一緒させて頂けないかしら?」
ああそうだな、仮面付けてるからそれが可能だった。
次回の聖女の御勤めからはラムリスは来ないので、今回の頭数と変わらないのも良い。
「そうですね……、大丈夫だと思いますよ」
「ありがとうございます。これでエルレインさんと直接話す機会ができました」
たしかに、手紙等でやり取りするよりも、直接会って話をした方が良いもんな。
こうして、五日後に再びエルレインさんの所へ行くときは、アルシオーネさんも一緒に行く事となった。
「あーあ、王子様が諦めて国に帰れば全て丸く収まるのになぁ……」
「全くですわ……」
俺の呟きに、その場にいた全員がやれやれといった顏でウンウンと頷いていた。
ホント、あの王子様次第なんだよなあ、今回の件て。
はぁ……、とりあえず用件も済んだし、そろそろお暇するか。
「さっきの流れからして、あのエルレインて人を助けるのは高層って事なんだよな?」
アルシオーネさんの所からの帰り道、妙に口数の少なかったリンメイは突然、神妙な面持ちで話を切り出した。
「だろうね。――俺達にはまだまだ行けない場所だから、アルシオーネさん達に任せるしかないよ」
「そうなんだけどさ。でもさ……んー、なんかヤな予感がするんだよなー。――なぁ、あたいらも少しでも先に進めるようになっておかねーか?」
「ん? ああ、別に構わないよ。ラキちゃんもいいかな?」
「オッケーでーす」
「ありがとう!」
アルシオーネさん達は確かに強いが不安なのも分かる。連中が増援を呼んだってのも不安の一つだった。
リンメイがお姉さんを心配になるのも頷ける事なので、俺達も高層に行けるようにまた明日からダンジョン探索を頑張ろう。
翌日、先日十五層に到達したばかりの俺達は、もう二十層に向けてダンジョン攻略を開始する。
残り十日前後で三十層到達は流石に無理だろうが、少しでも進んでおきたいからだ。
今回俺達は念のために宿泊用の装備も準備してきた。
ラキちゃんの亜空間収納に入れさせてもらっているので、本当に助かる。
俺達は早速十五層の転移門を通り、十六層へ下っていく。
十六層から十九層は迷宮エリアに巨大な水路が出現する。
身体強化しても飛び越える事が困難な幅の水の領域が迷宮の迷路に関係無く存在しており、通路が丸々水面となっている箇所もあったりする。
そのためこの区間は攻略が複雑になり、水路を回避して普通に攻略しようとすると前回よりも移動距離が長くなってしまう。
普通に攻略しようとすれば――だが。
そのため、このエリアで重宝されるのは水面歩行を可能にできるくらいの水魔法士か、歩けるくらいに水面を凍らせる事ができる氷魔法士だ。
ただそれらの魔法はパーティ全員分を賄うためにかなりの魔力を消費してしまうので、相当優秀でもない限り全ての通路でそれを行使するのは厳しい。
そのため、大抵はここぞという箇所でしか行わないよう、魔力を温存しながら進んで行く。
だが俺達三人は水面を物ともせず普通に迷宮を進むように攻略して行く。
俺とリンメイはブーツの力があるし、ラキちゃんは普通に飛んで行けてしまうから。
ただし、こんなエリアなので水生の魔物には十分気を付けないといけない。
俺達はアサルトフィッシュという砲弾のように飛んでくる魚の魔物や、カエルの魔物のビッグトード、鎧を纏ったようなワニのアーマークロコダイルなどを倒しながら進んで行く。
水中に引きずり込まれたらかなり危険なので、このエリアでも投擲からの魔法攻撃を有効に活用している。
「うわっ! 何だコイツ!」
「うわーん! 気持ち悪いー!」
その中で、ヤツメウナギみたいな敵のイビルアイズってのがリンメイやラキちゃんに大不評だった。
何でかって言うと、ぶっちゃけキモイから。まだ遭遇した事ないけど、サンドワームのような口をしているし、ヤツメウナギと違い、本物の目がいくつもある。
これまでの冒険で生理的に無理ってなるキモイ姿の魔物ってそうそういなかったから、初めて見た時は妙に衝撃だった。
ラキちゃんが 「イヤー!」 って涙目になって叫びながら目からビームをぶっ放した時は流石に焦ってしまった。
とりあえず、べそをかいてしまったラキちゃんを宥め、なんとか進んで行く。
「あっ、宝箱!」
水路により隔離された行き止まりは宝箱が残っている率が高いのが嬉しい。
早速開けてみると、中身は忍者漫画などでよく出てくるアレだった。
「これって鉢金って言うんだっけ? 効果はあたいの付けてるサークレットと同じで頭全体を革の兜程度の保護だな。――おっさん使ったらどうだ?」
「うんうん」
「いいのか? ならありがたく使わせてもらうよ」
俺は被ってた革の帽子を鞄に仕舞い、早速この鉢金を使わせてもらう事にした。
投擲術と相まって忍者な気分になるでござるよニンニン。
「ところで、今日はどの辺まで進んでみるんだ?」
「そうだなぁ、この階層って普通に攻略するなら一日一階層だけど、俺達はショートカットできてるからな。十八層に降りる階段を目標に進んでみようか?」
「「りょうかーい」」
この階層の魔物は前の階層のゴーレムと違って生身なので、俺の雷魔法もしっかりと効くのが助かる。
アーマークロコダイルのようにでかくて硬い敵も、マヒさせて弱点を斬りつければ難なく倒せてしまう。
魔物の弱点はリンメイが教えてくれるので本当に助かる。
段々と慣れてくると、投擲による魔法を使わずともそのまま弱点を斬って倒せてしまう位には動けるようになってきた。
立ち回りや剣の腕も上げるためにはこれはこれで良いのかもしれない。
質量のある敵からの回避や、攻撃を仕掛ける時の立ち回りはダンジョンを攻略する上で絶対に必要だからね。
この点でもリンメイはとても良いお手本となるので本当に助かる。リンメイ様様だ。
水路の上を進むショートカットのおかげか、十七層へ下る階段までは昼前には到達してしまった。
勿論十七層への階段はこれだけでは無いのだが、購入したマップから正解だろうと当たりを付けた階段だった。
まだ時間的に早かったからか、今の所キャンプや休憩しているパーティはいないようだ。
相談した結果、少し早いがここで昼食を取る事になった。
俺達がマップを眺めながら昼食を取っていると、ちらほらと他の冒険者パーティも階段周辺で休憩をとりにやって来る。
やはり俺達が三人だけなのは目立つようで奇異の目に晒されている感じだったが、直接何かを言ってくるわけでもなかったので無視をする。
しかしやはり居心地は悪いので、俺達は昼食が終わるとさっさと行く事にした。
十七層に降りてから少し移動して人目が付かない場所まで来ると、ここからはまたラキちゃんのマッピングの出番だ。
昼食中にどちらの方向に進むか決めていたので、そちらの方角に向けて作成してもらう。
いつものように物凄い勢いで作成していくのだが、突然ラキちゃんは疑問の声をあげた。
「あれ?」
「ん? どうしたの?」 「どしたんだ?」
「えーっとね、ここ。道の無い空洞の箇所があるなーと思って」
そう指差す箇所は、たしかに周りを壁で囲われていた。普通に攻略する限りでは、ただの壁として見過ごしてしまうだろう箇所だった。
「おおっ! もしかして隠し部屋かもしれねーじゃん! 行ってみようぜ!」
「おっけーだ!」
こういう隠し部屋的な謎の場所ってゲームだったら大抵何かあるから、なんかワクワクしてしまう。
早速俺達はその場所まで進んでみる事にした。
10
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

私のスキルが、クエストってどういうこと?
地蔵
ファンタジー
スキルが全ての世界。
十歳になると、成人の儀を受けて、神から『スキル』を授かる。
スキルによって、今後の人生が決まる。
当然、素晴らしい『当たりスキル』もあれば『外れスキル』と呼ばれるものもある。
聞いた事の無いスキル『クエスト』を授かったリゼは、親からも見捨てられて一人で生きていく事に……。
少し人間不信気味の女の子が、スキルに振り回されながら生きて行く物語。
一話辺りは約三千文字前後にしております。
更新は、毎週日曜日の十六時予定です。
『小説家になろう』『カクヨム』でも掲載しております。

異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~
夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。
が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。
それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。
漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。
生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。
タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。
*カクヨム先行公開

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~
はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。
俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。
ある日の昼休み……高校で事は起こった。
俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。
しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。
……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる