17 / 114
一章
017 君の名前は
しおりを挟む
「大家さん、大家さん!」
丁度庭の薬草畑に水をあげていた大家さんを見つけ、声を張り上げる。
「ケイタさんどうしたんです!?」
大家さんは俺のただならぬ声に驚き駆けつけてくれた。
「……大家さん! ぜぇ……、ぜぇ……、この……、この子を診てもらえませんか?」
俺は背を向けるようにしゃがみ、大家さんに少女が見えるようにしてお願いした。
大家さんは俺たちの臭いに嫌な顔一つせず急いでしゃがみ込み、骨と皮だけのようなガリガリに痩せ細った少女を固定していたベルトを外しだす。
いつの間にか眠っていた少女は大家さんに気が付くと、ゆっくりと目を開けた。
「……こんにちは」
「はい、こんにちは。――ケイタさん、とりあえず日陰に行きましょう」
大家さんが少女を背負子から降ろしてくれたので荷物を放り出し、少女を抱えてテラスの日陰へ向かった。
テラスにあるデッキチェアに座らせる。
「ケイタさん、お疲れのところ申し訳ないのですけど、お風呂の準備をお願いできないかしら?」
「わかりました!」
大家さんは俺に風呂の準備を頼むと、早速精霊魔法を使って少女を診断し始める。
俺は急いで風呂の準備に向かった。
「……状態はよろしくないですが、命に別状はなさそうですね。今、栄養ドリンクを飲んでもらってます」
風呂の準備を終えて戻ってくると、美味しそうに栄養ドリンクを飲む少女の傍で大家さんは俺にそう教えてくれた。
よかった、命に別状はなかったか! 俺はほっと胸をなでおろす。
「そういえば自己紹介がまだでしたね。
――はじめまして。私はサリアっていうの。あなたのお名前は何て言うのかしら?」
とても慈愛に満ちた優しい声で大家さんはそう尋ねた。
あああー! 今になって気が付いた! 俺、急いで帰ることばかり考えててこの子の名前すら聞いてなかったよ!
少女は気まずそうにぽつりぽつりと呟く。
「私は……名前は……ありません。人造天使……試作三号……と……呼ばれて……ました」
「「人造天使試作三号!?」」
この子の名乗った言葉に俺と大家さんは驚いて顔を見合わせてしまう。
「あの…………お兄ちゃん……お名前つけて……ください」
それから少女は俺の方を向き、もじもじしながらそう言った。思わずドキリとしてしまう。
「俺なんかが名付け親でいいのかい?」
「うん……お兄ちゃんがいいの」
少女はコクンと頷く。
突然の事で思わず思考が停止してしまう。
「ケイタさん」
名付けてあげては? と目で訴える大家さんに声を掛けられたので、首肯で返す。
しかし……どうしよう。情けない事に思い浮かぶのは漫画やアニメのヒロインの名ばかりだ。
結局、学生時代からずっと好きで、死ぬその時まで最新刊を渇望していた、俺の一番好きだった漫画のヒロインから拝借する事にした。
「では、今日から君の名前は 『ラキシス』 だよ」
「ラキシス……私の名前はラキシス。――――登録確認。機能の制限を解除します」
名前を噛み締めるようにつぶやいた後、突然機械的な口調で言葉を発した。
そして額にあった縦に走る切り傷のような痕の部分が開き、なんと額に三つ目の瞳が現れる。
その後、ラキシスを中心に大気が震えだし、周りから突風が巻き起こった。
「この子……大気の魔力を凄い勢いで吸収しています!」
大家さんが驚いた声で教えてくれる。
少女は乾物が水で戻されるように見る見るうちに変化していく。骨と皮だけのような体はたちまち肉付きが良く張りのある体を取り戻していった。
暫くしたら、今にも即身仏になりそうだった子は美しい少女へと変貌していた。
俺も大家さんもその姿の変わりようにとても驚いてしまう。
ただ、大家さんは別の事でも驚いているようだ。
「嘘……あまりにもラクス様に似ている……」
「ラクス様?」
「あぁ……えっと、ケイタさんはご存じありませんか? この国をお造りになられた大天使ラクス様の事です」
あっ、サブとヤスが言ってた降臨祭の天使様か!
「確か降臨際の時にお姿を拝見する事ができる大天使様でしたっけ?」
「そうです、そのお方です。そのお方にラキシスさんがとても良く似ているんで驚いてしまいました。
……っと、そうでした。ラキシスさん、私とお風呂に入りましょう。体を綺麗にしてあげますよ」
大家さんはそう言うと、ラキシスの手を引き浴室に向かった。
とりあえず俺は装備の汚れを落とすか。後で下水の鍵とルートマップも返却しにいかないといけないしな。
暫くしたら大家さんとラキシスは浴室から戻って来た。
大家さんに隅々まで綺麗にしてもらったラキシスは、とても美しい少女に様変わりしていた。煤を被ったように薄汚れていた髪はとても美しい銀髪に輝いている。
俺は呆けた顏でラキシスをまじまじと見つめていたら、視線に気が付いたラキシスが恥ずかしそうに大家さんの後ろに隠れた。
「ふふ……ケイタさん、そんなに見つめちゃいけませんよ。それよりもケイタさんもお風呂を使ってさっぱりしてきてください」
「ああ、いや、すみません。ラキシスがあまりに綺麗になったものですから……。はい、使わせて頂きます!」
俺もさっさと風呂で体を洗ってくる事にした。とにかく臭いもんね。大家さん本当にすみません。
風呂から出ると、大家さんはラキシスの髪を梳いてくれていた。
「本当に何から何までありがとうございます! ――それで大家さん、俺、ラキシスと家族になる約束したんです。そこで住む所なんですが……」
「わかってますよ。勿論ラキシスさんもこれからうちで一緒に生活して構いません。安心してください」
「ありがとうございます!」
俺は大家さんに深々とお辞儀をして感謝の気持ちを伝えた。
「お姉ちゃんも家族?」
突然発せられたラキシスの言葉に大家さんは驚いたが、
「ええ、勿論家族よ。これからよろしくね」
そう言い、ラキシスに微笑んだ。
それから俺は大家さんに、今回のネズミ狩りが失敗に終わった事をギルドに報告に行かなくてはいけない事を伝えた。
「それでしたらケイタさんはギルドに行く前に、ラキシスさんと少しだけお留守番していてもらえないかしら?
衣料品店が閉まる前にラキシスさんの下着と服を買ってきたいの」
勿論二つ返事で了承し、大家さんにラキシスの服の代金を渡してお願いする。
大家さんはラキシスのおおよその寸法をぱぱっと測り、足早に出かけてくれた。
ラキシスは気持ちよくなったのか、ソファに座ってうたた寝をしている。
俺はその間に俺たちが汚してしまったテラスの床やデッキチェアなどを洗う事にした。
大家さんが帰って来たので、今度は俺がギルドへ出かける事にした。
大家さんは俺が渡したお金よりもはるかに買い込んで来てくれていた。本当に申し訳ないと共に感謝しかない。
「気にしないでください。好きでやってる事なんで」
そんな事を言っていたので、今頃は二人でお着換えをして楽しんでいる事だろう。
「こんにちは、大ネズミ狩りの報告に来ました」
いつものように、ギルド裏手の解体作業場の受付に報告にきた。
「おう、今日は早えじゃねーか」
「ちょっと用事ができたんで、処理場からそのまま戻ってきたんです。なので今日は鍵とルートマップの返却だけですね。ネズミの尻尾は捨てちゃいました」
そう言い、鍵とルートマップ、それにハンコの上から斜線が書かれたスタンプカードを返却する。
「おう、了解した。てことは復路の討伐はまだって事か。明日も行くなら継続で申請しとくけどどうする?」
「そうですね、それで今回のルートの依頼が達成されるならお願いしたいです」
「わかった、申請しとく。頼むぞ」
「わかりました」
継続として次の日にまた続きができたのか。たしかにそうしないと復路の討伐が終わらないもんな。
とりあえずギルドには報告した。急いで帰るか。
「ただいま帰りました」
「「お帰りなさい」」
ラキシスは買ってもらった服に着替え、エプロン姿で大家さんの晩御飯の準備を手伝っていた。
「おぉ、良い服買ってもらったね。可愛いよ」
そう言うと、ラキシスは 『えへへ』 とはにかむ。可愛いなあ。
「大家さんありがとうございます。俺では女物の服は選べませんから本当に助かりました」
「これくらいお安い御用ですよ」
俺も早速部屋着に着替え、配膳を手伝う事にする。
そうこうしているうちにミリアさんが帰って来た。
「ただいまーっ。あれ? この子どこの子?」
「ふふ、うちの子ですよ」
「訳あって俺の家族になりました」
「あの、ラキシスです。よろしくお願いします」
「えっ、そうなの? ふーん、じゃあたしも家族ね。 あたしはミリアって言うの。よろしくね」
ミリアさんはすぐにラキシスを受け入れてくれた。あまり気にしない性格で助かる。
「ラキシスちゃんていうのか。ちょっと言いづらいわね。ラキちゃんでいい?」
「はい!」
それから、食事をしながら俺がラキシスを保護した経緯を話していった。
ラキシスは大家さんの料理に感激しながら食べていた。分かるよ、俺も旨さに毎回感激してるもん。
大家さんも美味しそうに食べてくれる姿を見てニコニコ顔だ。
「ふぅーん、あんな所にいたんだ。ラキちゃんはどっから来たとかは覚えてないの?」
「わかりません。気が付いたらあそこにいました」
「そっかー。まーそういう事もあるわよ」
……あるのか? ほんとミリアさんは職場以外では適当だなあ。
「これからどうすんの?」
「とりあえずは私のお手伝いをしてもらう事にしました。勿論お給金も出しますよ」
ミリアさんの問いに答えたのは大家さん。俺も冒険者として活動しないといけないから常に一緒にいるわけにもいかず、大家さんのこの申し出は本当にありがたかった。
「おぉ、いいねいいね」
「しっかしラキちゃんほんとにラクス様に似てるわね。もしかして隠し子だったりして」
そんな談笑をしていると、来客を告げるチャイムが鳴った。
丁度庭の薬草畑に水をあげていた大家さんを見つけ、声を張り上げる。
「ケイタさんどうしたんです!?」
大家さんは俺のただならぬ声に驚き駆けつけてくれた。
「……大家さん! ぜぇ……、ぜぇ……、この……、この子を診てもらえませんか?」
俺は背を向けるようにしゃがみ、大家さんに少女が見えるようにしてお願いした。
大家さんは俺たちの臭いに嫌な顔一つせず急いでしゃがみ込み、骨と皮だけのようなガリガリに痩せ細った少女を固定していたベルトを外しだす。
いつの間にか眠っていた少女は大家さんに気が付くと、ゆっくりと目を開けた。
「……こんにちは」
「はい、こんにちは。――ケイタさん、とりあえず日陰に行きましょう」
大家さんが少女を背負子から降ろしてくれたので荷物を放り出し、少女を抱えてテラスの日陰へ向かった。
テラスにあるデッキチェアに座らせる。
「ケイタさん、お疲れのところ申し訳ないのですけど、お風呂の準備をお願いできないかしら?」
「わかりました!」
大家さんは俺に風呂の準備を頼むと、早速精霊魔法を使って少女を診断し始める。
俺は急いで風呂の準備に向かった。
「……状態はよろしくないですが、命に別状はなさそうですね。今、栄養ドリンクを飲んでもらってます」
風呂の準備を終えて戻ってくると、美味しそうに栄養ドリンクを飲む少女の傍で大家さんは俺にそう教えてくれた。
よかった、命に別状はなかったか! 俺はほっと胸をなでおろす。
「そういえば自己紹介がまだでしたね。
――はじめまして。私はサリアっていうの。あなたのお名前は何て言うのかしら?」
とても慈愛に満ちた優しい声で大家さんはそう尋ねた。
あああー! 今になって気が付いた! 俺、急いで帰ることばかり考えててこの子の名前すら聞いてなかったよ!
少女は気まずそうにぽつりぽつりと呟く。
「私は……名前は……ありません。人造天使……試作三号……と……呼ばれて……ました」
「「人造天使試作三号!?」」
この子の名乗った言葉に俺と大家さんは驚いて顔を見合わせてしまう。
「あの…………お兄ちゃん……お名前つけて……ください」
それから少女は俺の方を向き、もじもじしながらそう言った。思わずドキリとしてしまう。
「俺なんかが名付け親でいいのかい?」
「うん……お兄ちゃんがいいの」
少女はコクンと頷く。
突然の事で思わず思考が停止してしまう。
「ケイタさん」
名付けてあげては? と目で訴える大家さんに声を掛けられたので、首肯で返す。
しかし……どうしよう。情けない事に思い浮かぶのは漫画やアニメのヒロインの名ばかりだ。
結局、学生時代からずっと好きで、死ぬその時まで最新刊を渇望していた、俺の一番好きだった漫画のヒロインから拝借する事にした。
「では、今日から君の名前は 『ラキシス』 だよ」
「ラキシス……私の名前はラキシス。――――登録確認。機能の制限を解除します」
名前を噛み締めるようにつぶやいた後、突然機械的な口調で言葉を発した。
そして額にあった縦に走る切り傷のような痕の部分が開き、なんと額に三つ目の瞳が現れる。
その後、ラキシスを中心に大気が震えだし、周りから突風が巻き起こった。
「この子……大気の魔力を凄い勢いで吸収しています!」
大家さんが驚いた声で教えてくれる。
少女は乾物が水で戻されるように見る見るうちに変化していく。骨と皮だけのような体はたちまち肉付きが良く張りのある体を取り戻していった。
暫くしたら、今にも即身仏になりそうだった子は美しい少女へと変貌していた。
俺も大家さんもその姿の変わりようにとても驚いてしまう。
ただ、大家さんは別の事でも驚いているようだ。
「嘘……あまりにもラクス様に似ている……」
「ラクス様?」
「あぁ……えっと、ケイタさんはご存じありませんか? この国をお造りになられた大天使ラクス様の事です」
あっ、サブとヤスが言ってた降臨祭の天使様か!
「確か降臨際の時にお姿を拝見する事ができる大天使様でしたっけ?」
「そうです、そのお方です。そのお方にラキシスさんがとても良く似ているんで驚いてしまいました。
……っと、そうでした。ラキシスさん、私とお風呂に入りましょう。体を綺麗にしてあげますよ」
大家さんはそう言うと、ラキシスの手を引き浴室に向かった。
とりあえず俺は装備の汚れを落とすか。後で下水の鍵とルートマップも返却しにいかないといけないしな。
暫くしたら大家さんとラキシスは浴室から戻って来た。
大家さんに隅々まで綺麗にしてもらったラキシスは、とても美しい少女に様変わりしていた。煤を被ったように薄汚れていた髪はとても美しい銀髪に輝いている。
俺は呆けた顏でラキシスをまじまじと見つめていたら、視線に気が付いたラキシスが恥ずかしそうに大家さんの後ろに隠れた。
「ふふ……ケイタさん、そんなに見つめちゃいけませんよ。それよりもケイタさんもお風呂を使ってさっぱりしてきてください」
「ああ、いや、すみません。ラキシスがあまりに綺麗になったものですから……。はい、使わせて頂きます!」
俺もさっさと風呂で体を洗ってくる事にした。とにかく臭いもんね。大家さん本当にすみません。
風呂から出ると、大家さんはラキシスの髪を梳いてくれていた。
「本当に何から何までありがとうございます! ――それで大家さん、俺、ラキシスと家族になる約束したんです。そこで住む所なんですが……」
「わかってますよ。勿論ラキシスさんもこれからうちで一緒に生活して構いません。安心してください」
「ありがとうございます!」
俺は大家さんに深々とお辞儀をして感謝の気持ちを伝えた。
「お姉ちゃんも家族?」
突然発せられたラキシスの言葉に大家さんは驚いたが、
「ええ、勿論家族よ。これからよろしくね」
そう言い、ラキシスに微笑んだ。
それから俺は大家さんに、今回のネズミ狩りが失敗に終わった事をギルドに報告に行かなくてはいけない事を伝えた。
「それでしたらケイタさんはギルドに行く前に、ラキシスさんと少しだけお留守番していてもらえないかしら?
衣料品店が閉まる前にラキシスさんの下着と服を買ってきたいの」
勿論二つ返事で了承し、大家さんにラキシスの服の代金を渡してお願いする。
大家さんはラキシスのおおよその寸法をぱぱっと測り、足早に出かけてくれた。
ラキシスは気持ちよくなったのか、ソファに座ってうたた寝をしている。
俺はその間に俺たちが汚してしまったテラスの床やデッキチェアなどを洗う事にした。
大家さんが帰って来たので、今度は俺がギルドへ出かける事にした。
大家さんは俺が渡したお金よりもはるかに買い込んで来てくれていた。本当に申し訳ないと共に感謝しかない。
「気にしないでください。好きでやってる事なんで」
そんな事を言っていたので、今頃は二人でお着換えをして楽しんでいる事だろう。
「こんにちは、大ネズミ狩りの報告に来ました」
いつものように、ギルド裏手の解体作業場の受付に報告にきた。
「おう、今日は早えじゃねーか」
「ちょっと用事ができたんで、処理場からそのまま戻ってきたんです。なので今日は鍵とルートマップの返却だけですね。ネズミの尻尾は捨てちゃいました」
そう言い、鍵とルートマップ、それにハンコの上から斜線が書かれたスタンプカードを返却する。
「おう、了解した。てことは復路の討伐はまだって事か。明日も行くなら継続で申請しとくけどどうする?」
「そうですね、それで今回のルートの依頼が達成されるならお願いしたいです」
「わかった、申請しとく。頼むぞ」
「わかりました」
継続として次の日にまた続きができたのか。たしかにそうしないと復路の討伐が終わらないもんな。
とりあえずギルドには報告した。急いで帰るか。
「ただいま帰りました」
「「お帰りなさい」」
ラキシスは買ってもらった服に着替え、エプロン姿で大家さんの晩御飯の準備を手伝っていた。
「おぉ、良い服買ってもらったね。可愛いよ」
そう言うと、ラキシスは 『えへへ』 とはにかむ。可愛いなあ。
「大家さんありがとうございます。俺では女物の服は選べませんから本当に助かりました」
「これくらいお安い御用ですよ」
俺も早速部屋着に着替え、配膳を手伝う事にする。
そうこうしているうちにミリアさんが帰って来た。
「ただいまーっ。あれ? この子どこの子?」
「ふふ、うちの子ですよ」
「訳あって俺の家族になりました」
「あの、ラキシスです。よろしくお願いします」
「えっ、そうなの? ふーん、じゃあたしも家族ね。 あたしはミリアって言うの。よろしくね」
ミリアさんはすぐにラキシスを受け入れてくれた。あまり気にしない性格で助かる。
「ラキシスちゃんていうのか。ちょっと言いづらいわね。ラキちゃんでいい?」
「はい!」
それから、食事をしながら俺がラキシスを保護した経緯を話していった。
ラキシスは大家さんの料理に感激しながら食べていた。分かるよ、俺も旨さに毎回感激してるもん。
大家さんも美味しそうに食べてくれる姿を見てニコニコ顔だ。
「ふぅーん、あんな所にいたんだ。ラキちゃんはどっから来たとかは覚えてないの?」
「わかりません。気が付いたらあそこにいました」
「そっかー。まーそういう事もあるわよ」
……あるのか? ほんとミリアさんは職場以外では適当だなあ。
「これからどうすんの?」
「とりあえずは私のお手伝いをしてもらう事にしました。勿論お給金も出しますよ」
ミリアさんの問いに答えたのは大家さん。俺も冒険者として活動しないといけないから常に一緒にいるわけにもいかず、大家さんのこの申し出は本当にありがたかった。
「おぉ、いいねいいね」
「しっかしラキちゃんほんとにラクス様に似てるわね。もしかして隠し子だったりして」
そんな談笑をしていると、来客を告げるチャイムが鳴った。
10
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

私のスキルが、クエストってどういうこと?
地蔵
ファンタジー
スキルが全ての世界。
十歳になると、成人の儀を受けて、神から『スキル』を授かる。
スキルによって、今後の人生が決まる。
当然、素晴らしい『当たりスキル』もあれば『外れスキル』と呼ばれるものもある。
聞いた事の無いスキル『クエスト』を授かったリゼは、親からも見捨てられて一人で生きていく事に……。
少し人間不信気味の女の子が、スキルに振り回されながら生きて行く物語。
一話辺りは約三千文字前後にしております。
更新は、毎週日曜日の十六時予定です。
『小説家になろう』『カクヨム』でも掲載しております。

異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~
夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。
が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。
それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。
漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。
生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。
タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。
*カクヨム先行公開

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~
はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。
俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。
ある日の昼休み……高校で事は起こった。
俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。
しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。
……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる