こっちむいて

咲良 一織

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こっちむいて(怒)

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何回目だろうか。この人はずっと穏やかな顔をしている。
 その表情を見る度に僕のなかに、ふつふつ怒りが湧き上がってくる。

「そんな顔して、いつも誤魔化してるよね」

「別に誤魔化してないよ。ちゃんと私なりに考えてる」

「ならはっきり言葉で言ってよ。どうするの?」

僕が怒りを抑えながら聞くと、また彼女は曖昧に微笑んだ。
彼女の気持ちはこっちに向くだろうか。
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