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第六章
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翌日、実津瀬は夜明けと共に邸を出て宮廷に向かった。
四日間溜まった自分の仕事を片付けようと意気込み、机について精を出していると、あとから出仕してきた同僚から、大変だったねと声を掛けられた。
実津瀬が休暇を取る理由を父の実言は自分の代わりに水害のあった領地に息子を派遣するためと言った。仮病などの理由を使うと外にいる姿を見られた場合厄介なので、おおよそは事実の休暇願を出したのだった。
「ええ、領地は田畑が水に浸かったところもあって、作物の収穫が難しいと思われます」
「そうか……今年の冬は食糧不足になるかもな……」
そんな会話をして正午には一応仕事の目途がついたので、仕事を切り上げることにした。
中務省の仕事部屋を見渡すと大体が退勤しており、残っているのは数人だった。その者たちに挨拶をして、実津瀬は宮廷の門をくぐり東に進路を取った。
どこまでも続く塀を伝って、やっと門が見えて来た。
桂が住まう邸。以前は春日王子という先代大王の弟宮の邸だった。とても広い敷地に、大きな邸が幾棟も建ちそれが渡り廊下でつながっている。そして、その全てが贅沢を凝らした豪華なものだった。
桂に呼ばれて何度か実津瀬はこの邸を訪れているが、父と母の前で桂様の邸に行くことや、行ったと報告したときに、父と母の顔は何とも苦いまずい表情をしている。
桂にではなく、その前に住んでおられた春日王子に何かしら浅からぬ縁があるようであるが、実津瀬は詮索することはしなかった。
桂の邸の正門の前で訪いを入れようとしたら、先に内側にいた門番が出てきて中に入るように言われた。
そこで、昨日、忠道に遣いを出しておいてくれと言ったことを思い出した。話しが通っているのだ。
邸から出て来た従者に玄関ではなく、庭の方へと案内された。
それで実津瀬は、あの部屋に通されるのだな、と思った。
桂がこの邸の中で一番好きだと言っている場所。石畳の床に大きな窓があり、外からの光がよく入る部屋である。庭を抜けると扉が開け放たれた例の部屋の入り口が見えた。扉の前で案内役の従者は頭を下げて立ち去る。この先はおひとりでどうぞ、ということか、と思い実津瀬は一呼吸して、入り口の前に立った。
「失礼し……」
「実津瀬!待っていたぞ!」
部屋の奥から大きな声が聞こえた。大きな窓の前に置いた机に向かって座っている桂が顔を上げると、椅子から立ち上がり、扉の前の実津瀬のところまでやって来た。
「忙しそうだな。大雨のせいで都の周りでは水害が発生しているとか。実津瀬も実言の代わりに領地を見回りに行ったのだろう?留守の理由はそうだと聞いたが」
「はい、父の代わりに都を出て近くの領地の様子を見回っておりました。そのため四日ほど都を瑠にしておりました。桂様の使者には何度も五条までご足労いただいたのに、不在にしており申し訳ございませんでした」
「うん。お前が暇なわけはない。不在だったことは仕方のないことだ」
「…………」
「……ん?どうした?」
桂は実津瀬が無言でこちらを見ていることを不思議に思い、訊いた。実津瀬はためらいながら言う。
「……それで、私にどのようなご用がおありだったのですか?」
「ん?用がなければ実津瀬を呼んではいけないのか?」
「そうではありませんが、三度も邸に来ていただいていたので、きっと何かご用があると思ったのです」
「そういうものか?……私は実津瀬と話をしたくなった。月の宴以来会っていないからな」
「そうですね」
「もうひと月以上経つ」
「ええ、そうです」
「だから、久しぶりに実津瀬に会って、話がしたくなった。話したいと思った時が良い時なのだ。今回のように予定が合わないことがたまにあるが、私はそんなこと気にしない。何度でも合うまで遣いを出せばよい。実津瀬は私が用があるからと思ったから来てくれたのか。今朝、五条の遣いが来ていると聞いて、いつもなら言づてを聞くだけだが、今日は玄関まで行って、遣いから言葉を聞いたのだ。実津瀬がここに来ると聞いて、嬉しかったのだぞ」
「それは、三度もお訪ねいただいているのですから、これは私の方からお訪ねしなければと思ったのです」
「うん。用がないと知って、無駄足を踏んだと思っているかもしれないな。でも、私と少し話をしようではないか。椅子に座ろう」
桂は自分が座っていた机を振り向いた。桂の椅子の隣にもう一脚椅子が置いてある。
桂がこの石の床の館が気に入っているのはもう一つ、こうして椅子を並べて同じ目線で話ができるからだ。身分の上下を気にせず気軽な交流を好む桂らしい。
桂について椅子の前に行った、桂は座り、実津瀬にも座るように促した。実津瀬は素直に従った。
「このひと月は何をしていたのだ?」
「偏に仕事と……家族と過ごすことに時間を使っていました」
「仕事と家族……か。実津瀬らしい。実津瀬は愛妻家らしいな……どんな妻なのか、見てみたいものだ」
「……私の妻はとても恥ずかしがり屋でほとんど邸の中で子供と過ごしています。桂様のような活発な女人ではありません」
「へぇ、そうなのか?でも、月の宴には岩城は一族総出と思うほど大勢が来ていたではないか。その中にいたのではないか。岩城一族がいたのは私の席から遠かったが、大勢が大きな声でしゃべっていたのがよく聞こえたぞ。お前の勝ちと言った時の騒ぎようは耳が痛くなるほどうるさかった」
「そうでしたか。それは大変申し訳ございませんでした。……あの日は私が妻に見に来てほしいと言ったのです。妻と息子が見に来ておりました」
「ふむ……最高の舞を見せられて、さぞ満足だっただろうな」
「……はい……」
実津瀬は肯定する返事をした。
桂は笑顔で目を輝かせて実津瀬に次々と質問をしてくる。
「それで舞はどうした。稽古場には一切顔を出していないようだが」
「……桂様もおっしゃったではありませんか。舞に打ち込むのは今しかないと。私もそのように思いました。ですから、月の宴の舞台に全てを注ぎ込みました。あの日以降、舞を舞わなくてもいいと思えるほどに。ですから、今の私は」
「舞を舞わなくていいというのか?もったいない!」
「私の息子が私の真似をして舞をするのです。私の笛の音に合わせて、見様見真似で舞っています。まだ幼いですが」
「息子はいい。私はお前の話をしているのだ。確かに、舞に打ち込む時だと言って、月の宴の対決をするように言った。しかし、それはお前を口説くための言葉だった。私の本心はいつまでも実津瀬の舞を観たいと思っている」
実津瀬はそれまで桂の顔を見て話をしていたのだが、桂の絡みつくようなその視線に堪えられなくなって、視線を逸らした。
「今、大嘗祭の準備をしている。この水害のせいで、穀物の収穫に不安があるが。祭りの後、神に捧げる舞は朱鷺世が舞うことになっている。朱鷺世は月の宴のための特訓で格段に腕を上げたし、あの対決も実津瀬に引けを取らない舞だった。今の雅楽寮で一番の舞手だろう」
「……淡路も朱鷺世に越されたというようなことを言っていました」
「ああ。淡路は実津瀬との対決で朱鷺世を鍛えるのに心血を注いだ。自分を超えられてもそれは本望であろうよ。その朱鷺世は新たな境地に向かって精進している」
そこで桂は次の言葉を言わないので、再び実津瀬は桂の顔を見た。桂は笑顔であるが実津瀬の反応を見るようにじっと視線を向けている。
「舞が好きな者として、これからは雅楽寮の舞手を応援します。彼らと一緒に舞い、また月の宴のような場で対決させていただいたことは身に余る喜びでした」
実津瀬は今度は桂から視線を外さずに言った。
「そうか……。でも、私は我儘な人間だ。また、いつ、実津瀬の舞が見たいというからないぞ」
この時の桂は冗談を口にしていると言った表情だった。
「そのようなお気持ちは起こさないでください。もうあの時のような時間は荷が重くて過ごせそうにありません」
実津瀬はそう返事をした。
「ふふふ。実津瀬を困らせないようにしないとな」
桂はいたずらっ子のような顔で笑った。
「桂様の机の上の書物はどのようなものですか?」
「これか?これは陶国から持たされた書物だ。美しい文字で……書き写してみようかと思っている」
桂は勢いよく巻物を広げて実津瀬に見せた。
「書いてあることはさっぱりだ。先生に来てもらって内容を教えてもらわないといけない」
と言ってケラケラと笑った。
実津瀬は広がった書物を覗き込んだ。端正な文字が等間隔で並んで書きつけられている。
「実津瀬はわかるか?」
と尋ねられた。顔を上げた実津瀬は。
「私もわかりません」
と言って笑った。
桂は「そうか!」と言って、実津瀬と共に声を上げて笑った。
四日間溜まった自分の仕事を片付けようと意気込み、机について精を出していると、あとから出仕してきた同僚から、大変だったねと声を掛けられた。
実津瀬が休暇を取る理由を父の実言は自分の代わりに水害のあった領地に息子を派遣するためと言った。仮病などの理由を使うと外にいる姿を見られた場合厄介なので、おおよそは事実の休暇願を出したのだった。
「ええ、領地は田畑が水に浸かったところもあって、作物の収穫が難しいと思われます」
「そうか……今年の冬は食糧不足になるかもな……」
そんな会話をして正午には一応仕事の目途がついたので、仕事を切り上げることにした。
中務省の仕事部屋を見渡すと大体が退勤しており、残っているのは数人だった。その者たちに挨拶をして、実津瀬は宮廷の門をくぐり東に進路を取った。
どこまでも続く塀を伝って、やっと門が見えて来た。
桂が住まう邸。以前は春日王子という先代大王の弟宮の邸だった。とても広い敷地に、大きな邸が幾棟も建ちそれが渡り廊下でつながっている。そして、その全てが贅沢を凝らした豪華なものだった。
桂に呼ばれて何度か実津瀬はこの邸を訪れているが、父と母の前で桂様の邸に行くことや、行ったと報告したときに、父と母の顔は何とも苦いまずい表情をしている。
桂にではなく、その前に住んでおられた春日王子に何かしら浅からぬ縁があるようであるが、実津瀬は詮索することはしなかった。
桂の邸の正門の前で訪いを入れようとしたら、先に内側にいた門番が出てきて中に入るように言われた。
そこで、昨日、忠道に遣いを出しておいてくれと言ったことを思い出した。話しが通っているのだ。
邸から出て来た従者に玄関ではなく、庭の方へと案内された。
それで実津瀬は、あの部屋に通されるのだな、と思った。
桂がこの邸の中で一番好きだと言っている場所。石畳の床に大きな窓があり、外からの光がよく入る部屋である。庭を抜けると扉が開け放たれた例の部屋の入り口が見えた。扉の前で案内役の従者は頭を下げて立ち去る。この先はおひとりでどうぞ、ということか、と思い実津瀬は一呼吸して、入り口の前に立った。
「失礼し……」
「実津瀬!待っていたぞ!」
部屋の奥から大きな声が聞こえた。大きな窓の前に置いた机に向かって座っている桂が顔を上げると、椅子から立ち上がり、扉の前の実津瀬のところまでやって来た。
「忙しそうだな。大雨のせいで都の周りでは水害が発生しているとか。実津瀬も実言の代わりに領地を見回りに行ったのだろう?留守の理由はそうだと聞いたが」
「はい、父の代わりに都を出て近くの領地の様子を見回っておりました。そのため四日ほど都を瑠にしておりました。桂様の使者には何度も五条までご足労いただいたのに、不在にしており申し訳ございませんでした」
「うん。お前が暇なわけはない。不在だったことは仕方のないことだ」
「…………」
「……ん?どうした?」
桂は実津瀬が無言でこちらを見ていることを不思議に思い、訊いた。実津瀬はためらいながら言う。
「……それで、私にどのようなご用がおありだったのですか?」
「ん?用がなければ実津瀬を呼んではいけないのか?」
「そうではありませんが、三度も邸に来ていただいていたので、きっと何かご用があると思ったのです」
「そういうものか?……私は実津瀬と話をしたくなった。月の宴以来会っていないからな」
「そうですね」
「もうひと月以上経つ」
「ええ、そうです」
「だから、久しぶりに実津瀬に会って、話がしたくなった。話したいと思った時が良い時なのだ。今回のように予定が合わないことがたまにあるが、私はそんなこと気にしない。何度でも合うまで遣いを出せばよい。実津瀬は私が用があるからと思ったから来てくれたのか。今朝、五条の遣いが来ていると聞いて、いつもなら言づてを聞くだけだが、今日は玄関まで行って、遣いから言葉を聞いたのだ。実津瀬がここに来ると聞いて、嬉しかったのだぞ」
「それは、三度もお訪ねいただいているのですから、これは私の方からお訪ねしなければと思ったのです」
「うん。用がないと知って、無駄足を踏んだと思っているかもしれないな。でも、私と少し話をしようではないか。椅子に座ろう」
桂は自分が座っていた机を振り向いた。桂の椅子の隣にもう一脚椅子が置いてある。
桂がこの石の床の館が気に入っているのはもう一つ、こうして椅子を並べて同じ目線で話ができるからだ。身分の上下を気にせず気軽な交流を好む桂らしい。
桂について椅子の前に行った、桂は座り、実津瀬にも座るように促した。実津瀬は素直に従った。
「このひと月は何をしていたのだ?」
「偏に仕事と……家族と過ごすことに時間を使っていました」
「仕事と家族……か。実津瀬らしい。実津瀬は愛妻家らしいな……どんな妻なのか、見てみたいものだ」
「……私の妻はとても恥ずかしがり屋でほとんど邸の中で子供と過ごしています。桂様のような活発な女人ではありません」
「へぇ、そうなのか?でも、月の宴には岩城は一族総出と思うほど大勢が来ていたではないか。その中にいたのではないか。岩城一族がいたのは私の席から遠かったが、大勢が大きな声でしゃべっていたのがよく聞こえたぞ。お前の勝ちと言った時の騒ぎようは耳が痛くなるほどうるさかった」
「そうでしたか。それは大変申し訳ございませんでした。……あの日は私が妻に見に来てほしいと言ったのです。妻と息子が見に来ておりました」
「ふむ……最高の舞を見せられて、さぞ満足だっただろうな」
「……はい……」
実津瀬は肯定する返事をした。
桂は笑顔で目を輝かせて実津瀬に次々と質問をしてくる。
「それで舞はどうした。稽古場には一切顔を出していないようだが」
「……桂様もおっしゃったではありませんか。舞に打ち込むのは今しかないと。私もそのように思いました。ですから、月の宴の舞台に全てを注ぎ込みました。あの日以降、舞を舞わなくてもいいと思えるほどに。ですから、今の私は」
「舞を舞わなくていいというのか?もったいない!」
「私の息子が私の真似をして舞をするのです。私の笛の音に合わせて、見様見真似で舞っています。まだ幼いですが」
「息子はいい。私はお前の話をしているのだ。確かに、舞に打ち込む時だと言って、月の宴の対決をするように言った。しかし、それはお前を口説くための言葉だった。私の本心はいつまでも実津瀬の舞を観たいと思っている」
実津瀬はそれまで桂の顔を見て話をしていたのだが、桂の絡みつくようなその視線に堪えられなくなって、視線を逸らした。
「今、大嘗祭の準備をしている。この水害のせいで、穀物の収穫に不安があるが。祭りの後、神に捧げる舞は朱鷺世が舞うことになっている。朱鷺世は月の宴のための特訓で格段に腕を上げたし、あの対決も実津瀬に引けを取らない舞だった。今の雅楽寮で一番の舞手だろう」
「……淡路も朱鷺世に越されたというようなことを言っていました」
「ああ。淡路は実津瀬との対決で朱鷺世を鍛えるのに心血を注いだ。自分を超えられてもそれは本望であろうよ。その朱鷺世は新たな境地に向かって精進している」
そこで桂は次の言葉を言わないので、再び実津瀬は桂の顔を見た。桂は笑顔であるが実津瀬の反応を見るようにじっと視線を向けている。
「舞が好きな者として、これからは雅楽寮の舞手を応援します。彼らと一緒に舞い、また月の宴のような場で対決させていただいたことは身に余る喜びでした」
実津瀬は今度は桂から視線を外さずに言った。
「そうか……。でも、私は我儘な人間だ。また、いつ、実津瀬の舞が見たいというからないぞ」
この時の桂は冗談を口にしていると言った表情だった。
「そのようなお気持ちは起こさないでください。もうあの時のような時間は荷が重くて過ごせそうにありません」
実津瀬はそう返事をした。
「ふふふ。実津瀬を困らせないようにしないとな」
桂はいたずらっ子のような顔で笑った。
「桂様の机の上の書物はどのようなものですか?」
「これか?これは陶国から持たされた書物だ。美しい文字で……書き写してみようかと思っている」
桂は勢いよく巻物を広げて実津瀬に見せた。
「書いてあることはさっぱりだ。先生に来てもらって内容を教えてもらわないといけない」
と言ってケラケラと笑った。
実津瀬は広がった書物を覗き込んだ。端正な文字が等間隔で並んで書きつけられている。
「実津瀬はわかるか?」
と尋ねられた。顔を上げた実津瀬は。
「私もわかりません」
と言って笑った。
桂は「そうか!」と言って、実津瀬と共に声を上げて笑った。
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