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第五章
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耳元で人の足音がして、朱鷺世は目を覚ました。
舞う直前まで寝転がっていられるほど、図太い心の持ち主ではない。まして、周りがこんなに騒がしいのに、寝たふりもできない。
朱鷺世は上体を起こした。
自分の周りに置いてあった楽器の移動が始まっている。
西の空は茜色と薄青色の境が徐々になくなりつつあった。
「遅くなってしまったかな?」
控えの間にひょっこり顔を出したのは、戻って来た岩城実津瀬だった。
「いいえ。どうぞお座りになって待っていてください。今、楽器を運んで音の調整をやり始めるところなので」
雅楽寮の団員の一人が実津瀬に言って、朱鷺世の隣に空いている空間に円座を置いた。
団員達は権力者の岩城一族の一員である実津瀬に丁寧に世話を焼いた。
「世話をかけるね」
実津瀬は言って、躊躇もなく朱鷺世の隣に腰を下ろした。
朱鷺世は気まずい気持ちになった。
二人で一緒に舞う部分があるから、ほぼ毎日一定時間練習をしてきた仲ではあるが、まともに話したことなどない。全て麻奈見と淡路を介して話している。
だから、二人きりになった今、声を掛けるなんてことはできない。しかし、このまま無言でいいのだろうか。
相手も、どこの者ともわからない卑しい身分の男と今更何を話したらいいかわからないだろう。
しかし、そんな分かり合えない仲だからいいと思う。お互いの胸の内を覗くことができたら、この勝負に勝ちたいという真っ赤に燃える闘志が見えるはずだ。自分こそが都随一の舞手であると証明したいと。もし、少しでも親しければ、相手の地位や身分を考えて、蹴落としてやろう、絶対勝ってやるなんてことを朱鷺世はこんなに激しく思えないかもしれない。
俺に変な忖度をさせないために、師匠の麻奈見と兄弟子の淡路は実津瀬と容易に話をさせようとはしなかったのかもしれない。
朱鷺世は横目で隣を窺った。
その横顔の目は半眼で、目線は少し前の空を見つめて、身じろぎ一つしない。
舞の前の精神統一か……?
昨年の朱鷺世は今のような舞が始まる前の時間麻奈見が付きっ切りで指示をしてくれていたため一人になることはなかった。そのため今をどのように過ごしたらいいのかわからなかった。
隣の男に気を取られてはだめだ。
自分の舞に集中しよう。舞のことを考えよう。
朱鷺世も正面を向いて、実津瀬とは逆に天井を見上げた。
この数か月の舞の練習のことを考えた。
厳しい指導に黙って耐えた。技術が身に付き叩かれるようなことがなくなってからは、一人舞をどのように舞うのかが悩みだった。舞の技術は備わったが、想像力が皆無の朱鷺世は、自分でこんなふうに舞いたい、なんていう思いはなかったし、こう舞えば見ている人にどのように見てもらえるか、なんて発想もなかった。だから、麻奈見と淡路が考えてくれた舞の振りを音楽に合わせて真似た。
朱鷺世は思い切りがいい。大きな動きで大胆に舞うのが持ち味だ。去年はその良さが出ていた。桂様の目にも新鮮に映ったのだよ。だから、その良さを失わず、もっと細部に磨きを掛けよう。
そう言われて、その舞を目指してきた。今、どこまで到達できたのかわからないが、やって来たことを全て出すのだ。そして、魅せるのだ。
最後は、隣の取り澄ました顔をしたいけ好かない男を負かす!
都一の舞手の称号を得るのはこの俺だ。
「実津瀬、朱鷺世」
突然呼ばれて、二人とも顔を部屋の入口に向けた。
舞楽、管弦どちらもできる長官の麻奈見は、今は舞人らしく無駄な音を立てることなく控えの間に現れた。
「大王を初め、王族の方々が翔丘殿に到着された。今は奥の部屋で休憩されているよ。庭に篝火も入った。最後の準備に入っておくれ」
麻奈見が現れたことで、周りで準備を手伝う付き人たちが庭や廊下から控えの間に集まって来た。
二人の化粧や髪の乱れたところを直し終わると、衣装箱の蓋が開けられて、中に入っている桂が作った上着が取り出された。
実津瀬、朱鷺世ともに豪華で美しいその衣装に腕を通した。
上着が出来上がると、桂自らが稽古場に持って来た。練習が終わった後に、実津瀬、朱鷺世、麻奈見、淡路だけを残し、桂は箱を運んだ舎人に蓋を開けさせた。
箱の中が見えると、そこにいた男四人はおおっと思わず感嘆の溜息を洩らした。
「ふふふ。よい反応だ。そんなに驚いてくれるとは、私費を投じて作った甲斐があったというものだ」
桂は嬉しそうに笑った。
「大王に頼み込んで、宮廷の機織り、お針子に作ってもらったのだ。間に合ってよかった」
桂は誇らしげに言って、二人に試着するように言った。
「ああ、思った通りだ。よく似合っている」
満悦の笑みを見せて二人を眺めた。
「篝火の赤い炎を表したいと思ったのだ。赤い炎は暗い中でこそ、その色がよく見える。それを表そうとしたのだ。本番ではよく映えることだろう」
桂はそう言って、本番のためにもその衣装を着けて練習をしておくれ、と言った。本人はその衣装は本番で観たいからと言い残して、稽古場を出て行った。
それから、何度かこの衣装を着て舞った。舞手の二人、そして舞を見守る麻奈見と淡路も見惚れる衣装だ。夜、篝火の中で舞うのが楽しみだ。
それは実津瀬も、朱鷺世も思ったことだった。
今日、それがようやく叶う。
二人は桂が作った上着を着て、またしばらく座って待った。
遠くから大勢の人の歩く音や話す声が聞こえてくる。
「大王が着席されたようだ。これから宴始まりのお言葉がある」
庭に面した邸とその裏にある控えの間の廊下を行き来する者が小声で話している。
それまで騒がしかった控えの間も、誰もが口をつぐみ静かになった。
朱鷺世はちらりと隣の男を見た。
相変わらず半眼で少し先を見つめている。
どこまでもすました態度がいけ好かない。
朱鷺世はそう思ったが、そんな雑念に囚われている時ではないと、前を向いて舞のことを考えた。
「二人とも、準備はいいかい?」
麻奈見が母屋からこの控えの間にやって来た。
「移動しよう。大王のお言葉で宴も始まった。月の宴だけあって、空には大きな丸い月が昇ったよ」
麻奈見の後ろを実津瀬と朱鷺世が並んで歩く。近くの階を下りて、庭に回る。そこから身を屈めて舞台裏まで行き、出番を待つ。
舞台の上、また下では、演奏者たちが宴が始まって少しの間の歓談に邪魔にならない程度の音楽を奏でていた。
朱鷺世は片膝を突いて、その時を待っている間、昨年のことが頭の中に去来した。
昨年は本番の舞台の上で練習もできず、ぶっつけ本番で舞った。麻奈見が横について、どこをどう歩くか、どちらの足を先に出せとまで指示し、舞台の下まで付き添ってくれた。自分もふわふわとした気持ちで、現実か夢か区別がつかない感じだった。本番直前に麻奈見に、背中を一度強く叩かれて、「お前の舞を見せてやれ」と言って送り出してくれた。その言葉を、どこを見ているのか、何を見ているのか、それとも何も見ていないのか、そんな自分を勇気づけるために麻奈見が言ったのだと思った。朱鷺世は舞台に上がり、淡路の隣に立つとそれまでのざわついた気持ちがぴたりとやんで、音楽と淡路の息遣い、頭のてっぺんから指の先、足の先の少しの動きをぶれることなく感じ取って、いつでも始められる気持ちになったのだった。
今回は全てが自分と目の前に背中が見えるいけ好かない男のための舞台である。何か月も前からこの日のために練習してきた。
緊張、恐怖、不安で呆然となったり、震えたりするのではないかと思ったが、今のところ淡々と過ごせている。目の前の男も、変な緊張はしてないようだ。
それもそうか、何度もこんな舞台で舞っているのだから、どのような気持ちの持ちようでいればいいのか心得ているはずだ。
その心持ちがどこまで続くだろうか。
二人で多くの時間練習してきた。それは、それぞれが一人舞を披露する前と後ろの二人舞の部分だけである。お互いの舞を一目でも見ることはしなかった。麻奈見と淡路だけは見ていて、二人の舞の繋がりを助言していたから、全体的な構成がくちぐはぐなことにはならないはずであるが……。
相手の一人舞を観たら、俺の心はどうなるだろう。
最初に舞うのは実津瀬だ。
その舞を後ろで見ていて、俺は何を思うだろうか。
そんなことを考えていたら、音楽が止まり話し声は一瞬にして止んだ。
朱鷺世は物思いから抜け出し、前を向いた。
すぐに桂の声が聞こえた。
舞う直前まで寝転がっていられるほど、図太い心の持ち主ではない。まして、周りがこんなに騒がしいのに、寝たふりもできない。
朱鷺世は上体を起こした。
自分の周りに置いてあった楽器の移動が始まっている。
西の空は茜色と薄青色の境が徐々になくなりつつあった。
「遅くなってしまったかな?」
控えの間にひょっこり顔を出したのは、戻って来た岩城実津瀬だった。
「いいえ。どうぞお座りになって待っていてください。今、楽器を運んで音の調整をやり始めるところなので」
雅楽寮の団員の一人が実津瀬に言って、朱鷺世の隣に空いている空間に円座を置いた。
団員達は権力者の岩城一族の一員である実津瀬に丁寧に世話を焼いた。
「世話をかけるね」
実津瀬は言って、躊躇もなく朱鷺世の隣に腰を下ろした。
朱鷺世は気まずい気持ちになった。
二人で一緒に舞う部分があるから、ほぼ毎日一定時間練習をしてきた仲ではあるが、まともに話したことなどない。全て麻奈見と淡路を介して話している。
だから、二人きりになった今、声を掛けるなんてことはできない。しかし、このまま無言でいいのだろうか。
相手も、どこの者ともわからない卑しい身分の男と今更何を話したらいいかわからないだろう。
しかし、そんな分かり合えない仲だからいいと思う。お互いの胸の内を覗くことができたら、この勝負に勝ちたいという真っ赤に燃える闘志が見えるはずだ。自分こそが都随一の舞手であると証明したいと。もし、少しでも親しければ、相手の地位や身分を考えて、蹴落としてやろう、絶対勝ってやるなんてことを朱鷺世はこんなに激しく思えないかもしれない。
俺に変な忖度をさせないために、師匠の麻奈見と兄弟子の淡路は実津瀬と容易に話をさせようとはしなかったのかもしれない。
朱鷺世は横目で隣を窺った。
その横顔の目は半眼で、目線は少し前の空を見つめて、身じろぎ一つしない。
舞の前の精神統一か……?
昨年の朱鷺世は今のような舞が始まる前の時間麻奈見が付きっ切りで指示をしてくれていたため一人になることはなかった。そのため今をどのように過ごしたらいいのかわからなかった。
隣の男に気を取られてはだめだ。
自分の舞に集中しよう。舞のことを考えよう。
朱鷺世も正面を向いて、実津瀬とは逆に天井を見上げた。
この数か月の舞の練習のことを考えた。
厳しい指導に黙って耐えた。技術が身に付き叩かれるようなことがなくなってからは、一人舞をどのように舞うのかが悩みだった。舞の技術は備わったが、想像力が皆無の朱鷺世は、自分でこんなふうに舞いたい、なんていう思いはなかったし、こう舞えば見ている人にどのように見てもらえるか、なんて発想もなかった。だから、麻奈見と淡路が考えてくれた舞の振りを音楽に合わせて真似た。
朱鷺世は思い切りがいい。大きな動きで大胆に舞うのが持ち味だ。去年はその良さが出ていた。桂様の目にも新鮮に映ったのだよ。だから、その良さを失わず、もっと細部に磨きを掛けよう。
そう言われて、その舞を目指してきた。今、どこまで到達できたのかわからないが、やって来たことを全て出すのだ。そして、魅せるのだ。
最後は、隣の取り澄ました顔をしたいけ好かない男を負かす!
都一の舞手の称号を得るのはこの俺だ。
「実津瀬、朱鷺世」
突然呼ばれて、二人とも顔を部屋の入口に向けた。
舞楽、管弦どちらもできる長官の麻奈見は、今は舞人らしく無駄な音を立てることなく控えの間に現れた。
「大王を初め、王族の方々が翔丘殿に到着された。今は奥の部屋で休憩されているよ。庭に篝火も入った。最後の準備に入っておくれ」
麻奈見が現れたことで、周りで準備を手伝う付き人たちが庭や廊下から控えの間に集まって来た。
二人の化粧や髪の乱れたところを直し終わると、衣装箱の蓋が開けられて、中に入っている桂が作った上着が取り出された。
実津瀬、朱鷺世ともに豪華で美しいその衣装に腕を通した。
上着が出来上がると、桂自らが稽古場に持って来た。練習が終わった後に、実津瀬、朱鷺世、麻奈見、淡路だけを残し、桂は箱を運んだ舎人に蓋を開けさせた。
箱の中が見えると、そこにいた男四人はおおっと思わず感嘆の溜息を洩らした。
「ふふふ。よい反応だ。そんなに驚いてくれるとは、私費を投じて作った甲斐があったというものだ」
桂は嬉しそうに笑った。
「大王に頼み込んで、宮廷の機織り、お針子に作ってもらったのだ。間に合ってよかった」
桂は誇らしげに言って、二人に試着するように言った。
「ああ、思った通りだ。よく似合っている」
満悦の笑みを見せて二人を眺めた。
「篝火の赤い炎を表したいと思ったのだ。赤い炎は暗い中でこそ、その色がよく見える。それを表そうとしたのだ。本番ではよく映えることだろう」
桂はそう言って、本番のためにもその衣装を着けて練習をしておくれ、と言った。本人はその衣装は本番で観たいからと言い残して、稽古場を出て行った。
それから、何度かこの衣装を着て舞った。舞手の二人、そして舞を見守る麻奈見と淡路も見惚れる衣装だ。夜、篝火の中で舞うのが楽しみだ。
それは実津瀬も、朱鷺世も思ったことだった。
今日、それがようやく叶う。
二人は桂が作った上着を着て、またしばらく座って待った。
遠くから大勢の人の歩く音や話す声が聞こえてくる。
「大王が着席されたようだ。これから宴始まりのお言葉がある」
庭に面した邸とその裏にある控えの間の廊下を行き来する者が小声で話している。
それまで騒がしかった控えの間も、誰もが口をつぐみ静かになった。
朱鷺世はちらりと隣の男を見た。
相変わらず半眼で少し先を見つめている。
どこまでもすました態度がいけ好かない。
朱鷺世はそう思ったが、そんな雑念に囚われている時ではないと、前を向いて舞のことを考えた。
「二人とも、準備はいいかい?」
麻奈見が母屋からこの控えの間にやって来た。
「移動しよう。大王のお言葉で宴も始まった。月の宴だけあって、空には大きな丸い月が昇ったよ」
麻奈見の後ろを実津瀬と朱鷺世が並んで歩く。近くの階を下りて、庭に回る。そこから身を屈めて舞台裏まで行き、出番を待つ。
舞台の上、また下では、演奏者たちが宴が始まって少しの間の歓談に邪魔にならない程度の音楽を奏でていた。
朱鷺世は片膝を突いて、その時を待っている間、昨年のことが頭の中に去来した。
昨年は本番の舞台の上で練習もできず、ぶっつけ本番で舞った。麻奈見が横について、どこをどう歩くか、どちらの足を先に出せとまで指示し、舞台の下まで付き添ってくれた。自分もふわふわとした気持ちで、現実か夢か区別がつかない感じだった。本番直前に麻奈見に、背中を一度強く叩かれて、「お前の舞を見せてやれ」と言って送り出してくれた。その言葉を、どこを見ているのか、何を見ているのか、それとも何も見ていないのか、そんな自分を勇気づけるために麻奈見が言ったのだと思った。朱鷺世は舞台に上がり、淡路の隣に立つとそれまでのざわついた気持ちがぴたりとやんで、音楽と淡路の息遣い、頭のてっぺんから指の先、足の先の少しの動きをぶれることなく感じ取って、いつでも始められる気持ちになったのだった。
今回は全てが自分と目の前に背中が見えるいけ好かない男のための舞台である。何か月も前からこの日のために練習してきた。
緊張、恐怖、不安で呆然となったり、震えたりするのではないかと思ったが、今のところ淡々と過ごせている。目の前の男も、変な緊張はしてないようだ。
それもそうか、何度もこんな舞台で舞っているのだから、どのような気持ちの持ちようでいればいいのか心得ているはずだ。
その心持ちがどこまで続くだろうか。
二人で多くの時間練習してきた。それは、それぞれが一人舞を披露する前と後ろの二人舞の部分だけである。お互いの舞を一目でも見ることはしなかった。麻奈見と淡路だけは見ていて、二人の舞の繋がりを助言していたから、全体的な構成がくちぐはぐなことにはならないはずであるが……。
相手の一人舞を観たら、俺の心はどうなるだろう。
最初に舞うのは実津瀬だ。
その舞を後ろで見ていて、俺は何を思うだろうか。
そんなことを考えていたら、音楽が止まり話し声は一瞬にして止んだ。
朱鷺世は物思いから抜け出し、前を向いた。
すぐに桂の声が聞こえた。
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