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第二章
16
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その翌日、蓮は起き上がると、朝餉を見ただけで、口には入れなかった。
立ち上がると曜に向かって写本をするから机と書くものを用意してほしいと頼んだ。蓮が愛用していた机は鷹取の邸に持って行ったので、どこかからほこりをかぶった小さな机が持って来られた。蓮は机の前に座って、母から受け取った薬草について書かれた本を写し始めた。
弟妹たちは来てはいけないと言われているのか近寄って来ず、兄の実津瀬だけが部屋に入って来た。
「粥を一口も食べていないとか。そんなことでは体を壊すよ」
「一口もなんて嘘よ。たくさん食べているわ」
そう言って蓮は微笑んで見せたが、真実ではないことを実津瀬は知っている。
実津瀬は蓮の前に胡坐をかいて座り、その頬を指先で撫ぜた。
昨日は一日中横になっていると聞いたが、眠れはしなかったのだろう。目の下の陰が濃い。
次に、額と頭の境のあたりをぽんぽんと手のひらを当てた。
「なあに?」
「おまじないだよ。元気になるおまじない」
「まあ、子供に言うようなことを言って。私は珊ではないのよ」
蓮のおどけた返事に、実津瀬はにこにこと笑っているだけだ。
実津瀬との時間に少し安らぎを覚えた蓮は、実津瀬が部屋を出て行った後、写本の続きに戻った。一心不乱という言葉が表現するにはぴったりだ。蓮は何も入り込めないように、紙に書き写すことだけに集中する。そうではないと、自分が決めたことに自信が持てなくて、迷ってしまうのだ。
「蓮、そんなに根をつめなくてもいいのよ。ほどほどにしなさい」
庇の間に入って来た母の礼が言った。
あれ、この言葉……前にも聞いたわ……。
蓮は顔を上げた。
「写すのが楽しいの」
筆を置いて後ろに座った母の方へ体を向けた。母の表情がとても厳しいので、蓮は怪訝に思った。
「……景之亮様がいらしているわ」
母の言葉に蓮は顔を反らして下を向いた。
「蓮……景之亮様には手紙だけを置いてここに来たそうじゃない。……景之亮様のところに戻れなんて言わないわ。でも、あなたと話をしたいという景之亮様の気持ちはわかるわ」
「……嫌よ……お母さまでも……お父さまの言葉でも、私は……会わないわ……」
蓮はあえぐように言葉を絞り出した。
会ったら……私……。
そこへ庭から声が聞こえた。
「蓮!蓮!私だよ、蓮!」
景之亮の声に蓮は体が強張った。膝に置いた手に力が入った。
「蓮!お願いだ、話をしよう」
景之亮の声が一段近くで聞こえたのは、庭から簀子縁の近くまで寄って来たからだった。景之亮の声が近くなって蓮は立ち上がった。
「待ちなさい、蓮!」
礼は蓮の体をつかまえようとしたが、その手をすり抜けて奥の部屋に行く。
「蓮!」
景之亮が蓮の気配を感じて、外から奥の部屋に近づき、必死にその名を呼んだ。
それに気づいた蓮はたまらず声をあげた。
「景之亮様!お帰りになって、ここには来ないでください」
「嫌だ。帰らない」
「私の気持ちはあの手紙に書いた通り。会っても変わらないことだから、どうか、お願い」
蓮は叫んで、几帳の裏へと入ってしまった。
「あなたの言うことは嘘だ。誰もが本当とは思っていない。偽りを言わないでおくれ」
「嘘じゃないわ。だから、私は景之亮様と会わないの!」
母の礼が几帳の裏に来て、蓮の隣に座った。
「蓮……謝らせておくれよ……あなたに辛い思いをさせていたのに、私は何もしてこなかったことを。そして、これからはあなたに辛い思いをさせないよ。だから……」
「景之亮様が私に謝ることなんてない!何もない。今の私がもう、景之亮様への心がないだけよ。それをわかって」
しばらくの間、景之亮が蓮の名前を呼びかけていたが、蓮はそれ以降は口をつぐんだ。隣で見ている礼が立ち上がり、庇の間から簀子縁に出た。
母が離れていく姿を蓮は顔を上げて見た。
簀子縁から話し声が聞こえる。蓮は耳をすますが、小さくて何を話しているのかはわからない。
そのまま母の足音が離れて行く。
景之亮様は……景之亮様も離れて行ったのかしら……でも、もし、まだ近くにいらしたらいけない。
蓮は奥の部屋に留まり、膝を抱えて開けてある蔀から空を見上げた。
翌日、蓮は夜明け前に目覚めた。三年の結婚生活の習慣がこの時間に目を覚まさせるのだ。
目を開けた蓮は、自分の隣には誰もいないことを確認して、ここは五条だったと思い出した。景之亮との生活がまだ抜けていない。
離れて五日目である。
蓮は侍女の曜が持って来てくれた粥を食べた。皆が心配するので、無理に口の中に入れた。食べ終わると、すぐに写本を始めた。途中、榧が干した薬草を納めるのを手伝ってと、珊と一緒にやって来た。作業をしながら、小さな珊の日常に起こったこと、思ったことを聞くのが楽しくて、あっという間に時間は過ぎて行った。薬草の整理が終わったら、また写本に戻る。
榧と珊がどうしたらそんなに美しい文字が書けるのか、今度教えてと言って部屋を出て行った。だから、その時間を作ろうと思った。
私にはいくらでも時間はある。
蓮が本を写していると、外から自分の名を呼ぶ声が聞こえた。
「蓮……蓮……」
その声はすぐに誰だかわかった。
景之亮様……
昨日に続いて、景之亮がやって来たのだ。庭から簀子縁の下に立って、庇の間に向かって声を掛ける。
蓮は体を強張らせた。
「蓮……そこにいるのだろう……どうか、声を聞かせて」
息を詰めて蓮は黙っている。
私の声……この数日、怒鳴ってばかり。酷い言葉を景之亮様に投げつけているのに……。
蓮は込み上げてくる気持ちを我慢したら、反射的に涙がこぼれた。声を上げないようにと、口を両手で覆い、肩をすぼめて小さくなる。
「蓮……」
黙って立っていたらその大きな体に髭に覆われた顔が怖い景之亮様だが、声は優しい。
今もその声が自分の名を呼んでいる。
返事をしたい。しかし、返事をしたらここまで積み上げてきた気持ちがガラガラと崩れてしまう。それはやってはいけないことだ。こんなに景之亮を苦しめているのだから、やり通さなければいけない。
蓮は肩で息をして、口から手を下ろした。そして、筆を取って紙に走らせた。
書いたはいいものの、これをどうすることもできない。
蓮は筆を置くと、体を震わせた。辛いけど、ここにいたらもっと辛い。堪えて立ち上がると、部屋の奥へと進んだ。
衣擦れの音が外に漏れる。
「蓮!蓮!」
景之亮は小さな音でも聞き取り、蓮が離れて行くことが分かって、名を呼んだ。
「蓮、待ってくれ。私ともう一度やり直そう。私は良い夫になるから」
蓮は嗚咽が外に漏れないように息を止めて、奥の部屋へと行き置いてある円座の上にすとん、と座った。
声を出してはだめ……景之亮様に泣き声を聞かれてはだめよ。
蓮は肩で大きく息をして、声が出るのを我慢した。
「蓮!蓮!」
景之亮が何度か蓮の名を呼ぶが、邸の中からは何の反応がないため、やがて景之亮も諦めた。
蓮の仮住まいの部屋は静けさを取り戻した。
「蓮様……」
簀子縁から庇の間に侍女の曜が入って来た。
「……来ないで。一人になりたいの」
蓮は鋭い声で言った。しかし、その声は鼻声であった。
曜は、蓮からこのような覚悟があることは聞かされていなかった。五条の邸に帰って来てから、泊まる、と言った時も、景之亮が宿直だからいつものことだと思っていた。翌日も泊まると言った時は、あれほど景之亮と離れたくないと言っているのに、珍しいこともあるものだと思ったのだった。
先ほどまで景之亮が庭にいたことはわかっていた。蓮のことが気になって、庇の間から声を掛けたが、部屋に入れないのは泣いているところを見られたくないのだろう。
「……では、何かご用がありましたらその時はお呼びくださいね」
曜はそう言って、庇の間から離れようとした時、机の上に目が留まった。本があり紙がある。紙の上には乱れた文字が書かれている。
曜はその文字が全部は読み取れないが、景之亮という文字はわかった。乱れた文字が蓮の景之亮への苦しい気持ちを表しているように思った。
景之亮様はいつまでここに通ってこられるのかしら……。蓮様は一度決めたことをすんなりと覆すことなんてできないし……。
長年、蓮付きの侍女として一緒に過ごしてきただけに、蓮の性格をよくわかっている曜は自分でも悲しくなって、涙が出そうになるのだった。
立ち上がると曜に向かって写本をするから机と書くものを用意してほしいと頼んだ。蓮が愛用していた机は鷹取の邸に持って行ったので、どこかからほこりをかぶった小さな机が持って来られた。蓮は机の前に座って、母から受け取った薬草について書かれた本を写し始めた。
弟妹たちは来てはいけないと言われているのか近寄って来ず、兄の実津瀬だけが部屋に入って来た。
「粥を一口も食べていないとか。そんなことでは体を壊すよ」
「一口もなんて嘘よ。たくさん食べているわ」
そう言って蓮は微笑んで見せたが、真実ではないことを実津瀬は知っている。
実津瀬は蓮の前に胡坐をかいて座り、その頬を指先で撫ぜた。
昨日は一日中横になっていると聞いたが、眠れはしなかったのだろう。目の下の陰が濃い。
次に、額と頭の境のあたりをぽんぽんと手のひらを当てた。
「なあに?」
「おまじないだよ。元気になるおまじない」
「まあ、子供に言うようなことを言って。私は珊ではないのよ」
蓮のおどけた返事に、実津瀬はにこにこと笑っているだけだ。
実津瀬との時間に少し安らぎを覚えた蓮は、実津瀬が部屋を出て行った後、写本の続きに戻った。一心不乱という言葉が表現するにはぴったりだ。蓮は何も入り込めないように、紙に書き写すことだけに集中する。そうではないと、自分が決めたことに自信が持てなくて、迷ってしまうのだ。
「蓮、そんなに根をつめなくてもいいのよ。ほどほどにしなさい」
庇の間に入って来た母の礼が言った。
あれ、この言葉……前にも聞いたわ……。
蓮は顔を上げた。
「写すのが楽しいの」
筆を置いて後ろに座った母の方へ体を向けた。母の表情がとても厳しいので、蓮は怪訝に思った。
「……景之亮様がいらしているわ」
母の言葉に蓮は顔を反らして下を向いた。
「蓮……景之亮様には手紙だけを置いてここに来たそうじゃない。……景之亮様のところに戻れなんて言わないわ。でも、あなたと話をしたいという景之亮様の気持ちはわかるわ」
「……嫌よ……お母さまでも……お父さまの言葉でも、私は……会わないわ……」
蓮はあえぐように言葉を絞り出した。
会ったら……私……。
そこへ庭から声が聞こえた。
「蓮!蓮!私だよ、蓮!」
景之亮の声に蓮は体が強張った。膝に置いた手に力が入った。
「蓮!お願いだ、話をしよう」
景之亮の声が一段近くで聞こえたのは、庭から簀子縁の近くまで寄って来たからだった。景之亮の声が近くなって蓮は立ち上がった。
「待ちなさい、蓮!」
礼は蓮の体をつかまえようとしたが、その手をすり抜けて奥の部屋に行く。
「蓮!」
景之亮が蓮の気配を感じて、外から奥の部屋に近づき、必死にその名を呼んだ。
それに気づいた蓮はたまらず声をあげた。
「景之亮様!お帰りになって、ここには来ないでください」
「嫌だ。帰らない」
「私の気持ちはあの手紙に書いた通り。会っても変わらないことだから、どうか、お願い」
蓮は叫んで、几帳の裏へと入ってしまった。
「あなたの言うことは嘘だ。誰もが本当とは思っていない。偽りを言わないでおくれ」
「嘘じゃないわ。だから、私は景之亮様と会わないの!」
母の礼が几帳の裏に来て、蓮の隣に座った。
「蓮……謝らせておくれよ……あなたに辛い思いをさせていたのに、私は何もしてこなかったことを。そして、これからはあなたに辛い思いをさせないよ。だから……」
「景之亮様が私に謝ることなんてない!何もない。今の私がもう、景之亮様への心がないだけよ。それをわかって」
しばらくの間、景之亮が蓮の名前を呼びかけていたが、蓮はそれ以降は口をつぐんだ。隣で見ている礼が立ち上がり、庇の間から簀子縁に出た。
母が離れていく姿を蓮は顔を上げて見た。
簀子縁から話し声が聞こえる。蓮は耳をすますが、小さくて何を話しているのかはわからない。
そのまま母の足音が離れて行く。
景之亮様は……景之亮様も離れて行ったのかしら……でも、もし、まだ近くにいらしたらいけない。
蓮は奥の部屋に留まり、膝を抱えて開けてある蔀から空を見上げた。
翌日、蓮は夜明け前に目覚めた。三年の結婚生活の習慣がこの時間に目を覚まさせるのだ。
目を開けた蓮は、自分の隣には誰もいないことを確認して、ここは五条だったと思い出した。景之亮との生活がまだ抜けていない。
離れて五日目である。
蓮は侍女の曜が持って来てくれた粥を食べた。皆が心配するので、無理に口の中に入れた。食べ終わると、すぐに写本を始めた。途中、榧が干した薬草を納めるのを手伝ってと、珊と一緒にやって来た。作業をしながら、小さな珊の日常に起こったこと、思ったことを聞くのが楽しくて、あっという間に時間は過ぎて行った。薬草の整理が終わったら、また写本に戻る。
榧と珊がどうしたらそんなに美しい文字が書けるのか、今度教えてと言って部屋を出て行った。だから、その時間を作ろうと思った。
私にはいくらでも時間はある。
蓮が本を写していると、外から自分の名を呼ぶ声が聞こえた。
「蓮……蓮……」
その声はすぐに誰だかわかった。
景之亮様……
昨日に続いて、景之亮がやって来たのだ。庭から簀子縁の下に立って、庇の間に向かって声を掛ける。
蓮は体を強張らせた。
「蓮……そこにいるのだろう……どうか、声を聞かせて」
息を詰めて蓮は黙っている。
私の声……この数日、怒鳴ってばかり。酷い言葉を景之亮様に投げつけているのに……。
蓮は込み上げてくる気持ちを我慢したら、反射的に涙がこぼれた。声を上げないようにと、口を両手で覆い、肩をすぼめて小さくなる。
「蓮……」
黙って立っていたらその大きな体に髭に覆われた顔が怖い景之亮様だが、声は優しい。
今もその声が自分の名を呼んでいる。
返事をしたい。しかし、返事をしたらここまで積み上げてきた気持ちがガラガラと崩れてしまう。それはやってはいけないことだ。こんなに景之亮を苦しめているのだから、やり通さなければいけない。
蓮は肩で息をして、口から手を下ろした。そして、筆を取って紙に走らせた。
書いたはいいものの、これをどうすることもできない。
蓮は筆を置くと、体を震わせた。辛いけど、ここにいたらもっと辛い。堪えて立ち上がると、部屋の奥へと進んだ。
衣擦れの音が外に漏れる。
「蓮!蓮!」
景之亮は小さな音でも聞き取り、蓮が離れて行くことが分かって、名を呼んだ。
「蓮、待ってくれ。私ともう一度やり直そう。私は良い夫になるから」
蓮は嗚咽が外に漏れないように息を止めて、奥の部屋へと行き置いてある円座の上にすとん、と座った。
声を出してはだめ……景之亮様に泣き声を聞かれてはだめよ。
蓮は肩で大きく息をして、声が出るのを我慢した。
「蓮!蓮!」
景之亮が何度か蓮の名を呼ぶが、邸の中からは何の反応がないため、やがて景之亮も諦めた。
蓮の仮住まいの部屋は静けさを取り戻した。
「蓮様……」
簀子縁から庇の間に侍女の曜が入って来た。
「……来ないで。一人になりたいの」
蓮は鋭い声で言った。しかし、その声は鼻声であった。
曜は、蓮からこのような覚悟があることは聞かされていなかった。五条の邸に帰って来てから、泊まる、と言った時も、景之亮が宿直だからいつものことだと思っていた。翌日も泊まると言った時は、あれほど景之亮と離れたくないと言っているのに、珍しいこともあるものだと思ったのだった。
先ほどまで景之亮が庭にいたことはわかっていた。蓮のことが気になって、庇の間から声を掛けたが、部屋に入れないのは泣いているところを見られたくないのだろう。
「……では、何かご用がありましたらその時はお呼びくださいね」
曜はそう言って、庇の間から離れようとした時、机の上に目が留まった。本があり紙がある。紙の上には乱れた文字が書かれている。
曜はその文字が全部は読み取れないが、景之亮という文字はわかった。乱れた文字が蓮の景之亮への苦しい気持ちを表しているように思った。
景之亮様はいつまでここに通ってこられるのかしら……。蓮様は一度決めたことをすんなりと覆すことなんてできないし……。
長年、蓮付きの侍女として一緒に過ごしてきただけに、蓮の性格をよくわかっている曜は自分でも悲しくなって、涙が出そうになるのだった。
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※切りのいい時には完結設定になっていますが、三国志小説の執筆は私のライフワークです。生きている限り話を追加し続けていくつもりですので、ブックマークしておいていただけると幸いです。
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