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第二章
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蓮が鷹取の邸に来たときは寒い日が続き、雪が降る日もあった。皆が白い息を吐き、身を寄せ合って寒さを凌ぐ日々は、蓮を邸の一員にし、結束が深まった。
梅が咲き、実津瀬が梅見の宴で舞を舞った後、桃の蕾が膨らみ春の足音が聞こえる時期だった。突如、景之亮が東国に行くという話が上がった。
暖かくなったら土の中でじっとしていた動物が動き出して、土から顔を出すように、東国で大王の統治に不満を持つものが騒ぎ出したのだ。それまでは小さな小競り合いが続いていたのが、徐々に大きな戦へと変容している。それを抑え込むために、都から兵を出すことになった。そこに景之亮が加わることになったというのだ。
今日その沙汰を受けて帰って来た景之亮は、すぐに蓮に話をした。
「景之亮様が戦われるの?」
「いや、私は兵士の引率をするのだ。相手が徹底抗戦した場合は私も戦場に行くかもしれないが」
「そうなの?心配だわ……」
三日で準備をして都を出発するため、翌日、景之亮は宮廷で夜通し準備をすることになった。
翌日、夜明けとともに目覚めた蓮は宮廷に出仕する景之亮を見送るとすぐに実家の五条に行った。
「お父さま!お父さま!」
簀子縁を走って、父と母の部屋へと飛び込んだ。
「蓮、朝から騒がしいわ」
父の隣に座って、朝餉の給仕をしていた母にたしなめられた。
「ごめんなさい!お父さまが出仕される前に会いたいと思って」
「蓮が来るだろうと思っていたよ。朝餉は食べて来たのか?」
父の実言は目尻を落として訊いた。
「いいえ、まだです」
「では、蓮の膳を用意してあげてよ」
実言が言うと、礼の後ろに控えていた侍女の澪が別の侍女に言いつけている。
「お父さまの隣に座りなさいな」
母に言われて、息を整えた蓮は父の隣、母の向かいに腰を下ろした。
「お前の言いたいことは大体予想はついている。だから、私の食事が終わるまで待ってくれないかい」
蓮は勝手に突撃してきた身なので、父の言葉に従って食事が終わるのを待った。
父は隣で同じように朝餉を取る母と、にこやかに話をしている。そうしているうちに、蓮の前にも粥の入った椀を載せた膳が置かれた。
「蓮もお食べ。腹が空いているだろう」
蓮は促されて椀を持ち上げて、匙で粥をすくって口に運んだ。
久しぶりの実家のお粥は懐かしさと共に、やはり、おいしい!と思った。
しばらくその粥に舌鼓を打って、黙々と食事する。
父と母はいつ見ても仲が良くて、今も母が父に粥をおかわりしたら、といい、父は母に私よりも、お前がもっとお食べよ、と話している。その間に割って入るのがためらわれたが、蓮は咳払いをして声を掛けた。
「お父さま、よろしいかしら」
礼の方を向いていた実言は、蓮に向き直った。
「景之亮のことかい?」
「ええ、そうよ。どのくらいの期間になるのかしら?とても長く?遠くに……その尾張?というところに行ってしまわれるの」
蓮は膝で膳を押す勢いで、父の方へ身を乗り出して矢継ぎ早に訊ねる。
「景之亮殿がどうしたの?」
反対側に座る礼が蓮を見て言った。
「景之亮様が、遠くの土地に戦に行くとおっしゃったの」
それを聞いて礼も顔色を変えた。
それを見た実言が安心させるために言葉を放った。
「尾張の方で大王の統治が気に入らない者たちが暴れているのだ。そこの国司や詰めている兵士たちが抑え込もうとしているのだが、なかなか手強くて、手を焼いているそうだ。応援の要請があったために、都から兵士を出すことになった。指揮官の補佐としてその一団を引率するのが景之亮の仕事だが、指揮官の男は頼りにならん。あ、これはここだけの話だ。だから実質、景之亮が指揮官ということになるだろう」
「お怪我をされたりしないかしら……どうして、そのような任務を景之亮様が」
蓮が眉根を寄せて不安な声で言った。
「蓮、お前は岩城の力で今から景之亮をこの任務から降ろしてくれと言いに来たのかい?」
蓮は景之亮を心配するあまり、口走りそうになっていたことを父に言われて、はっと顔を上げた。
「そんなことはできないよ。景之亮もそれは望むまい」
蓮は唇を噛んで、言葉を飲み込んだ。
景之亮が岩城一族の力でこの任務を下りたという事実が知れ渡ったら、宮廷の者たちからどのような目で見られるだろうか。実言は命の危険は低いというが、本当のところはわからない。危険な目に遭って欲しくないという蓮の気持ちはあるが、この任務から下りてしまえば、景之亮は裏で岩城という大木の枝の陰でのうのうと楽をしていると陰口を叩かれることだろう。そんな誹りを退けて、何の後ろ指をさされることなく宮廷で出世していくためにはこの任務を全うする必要がある。
実言は、景之亮が岩城という権力に頼ることなくその能力を発揮することはわかっている。
「景之亮は有能な男だ。この任務を遂行し、宮廷にその名を知られることになるだろう。そろそろ私も宮廷に行かねばなるまい」
実言は立ち上がった。礼も一緒に立って、夫の支度を手伝いうために隣の部屋へ移動する。礼の後ろについて行こうとした実言は立ち止って、娘を見た。
「大丈夫だ。蓮が考えるような悪いことは起こらない。尾張に行く期間は二月……三月くらいかかるかな、これも景之亮の腕にかかっていることだが。今日帰ったら、夫を励まして早く帰って来てもらうように言うことだな」
「……はい」
蓮は返事をした。几帳の後ろに消えて行く母と目が合った。
侍女の澪が部屋に入って来たので、蓮は立ち上がり榧の部屋に行った。
榧は一人、部屋で縫物をしていた。
大きな身頃はどう見ても男物の肌着ようだ。
「榧、それは誰に?お父さま?宗清?……宗清にしては大きいわね。……それとも」
姉に言葉に榧は見る見るうちに顔を赤くした。
蓮は名前を言わないが、榧も誰のことを言われているかわかっているから顔を赤くしているのだ。
図星である。
「梅見の宴の時に、当分会えないとおっしゃっていたから。次に会う時にお渡しできたらいいと思って作っているの。お渡しできないなら、宗清に着せます」
と言った。
蓮は景之亮と共に見届けた梅見の宴の榧と実由羅王子の姿を思い出した。
暫くして、母の侍女である澪が蓮を迎えに来た。榧も一緒に行くと言って、二人で父のいなくなった両親の部屋に入った。
礼についているもう一人の侍女、縫が円座を用意した。
「聞いたわ……蓮、景之亮様のこと」
親子三人は額がくっつきそうなほど顔を寄せ合って話し始めた。
榧は事情は分からないが、母と姉の会話に耳を傾けている。
「昨日帰って来て、お話してくださったの。明後日には出発だとおっしゃったわ。急なことで、私、びっくりしてしまってよく眠れなかった。今朝は二人とも早く起きて支度をして、景之亮様は宮廷に、私はここに来たの」
母の礼は蓮の心配そうな表情に心配な顔をしている。
「お父さまも、昔、戦に行ったわ。私もそれは心配だった。しかし、仕方のないこと。お帰りを待つしかないわ……二月、三月で帰ってこられると、お父さまは言っていた。早く、帰っていらっしゃるといいわね」
母の言葉に蓮は頷いた、
事情が呑み込めた榧も姉の気持ちに寄り添って慰める。そこへ、見習い医師の累が庭に来て、礼を呼んだ。病人が運び込まれたのだ。母は娘の手を強く握ってから、庭へと下りて行き、累と共に邸の裏から道を隔てた診療所へと行った。
「姉さま」
榧は姉と向かい合った。
「なぁに、榧」
「どうか、景之亮様には姉さまの体の一部かいつも身に着けているものを持って行ってもらって。それが、景之亮様を守るはずだわ」
蓮はその言葉に頷いた。
妹はときに未来を予言するようなことを言う。
それは、父も母もわかっている。母の家系の血を濃く引いたために備わった不思議な力だと聞いた。
榧がそうした方がいいということには従うことにしている。
「わかったわ。そうする。景之亮様から話を聞いて、驚いてお父さまのところに来てしまったけど、だいぶ落ち着いたわ」
蓮は取って返すように鷹取邸へと帰って行った。
梅が咲き、実津瀬が梅見の宴で舞を舞った後、桃の蕾が膨らみ春の足音が聞こえる時期だった。突如、景之亮が東国に行くという話が上がった。
暖かくなったら土の中でじっとしていた動物が動き出して、土から顔を出すように、東国で大王の統治に不満を持つものが騒ぎ出したのだ。それまでは小さな小競り合いが続いていたのが、徐々に大きな戦へと変容している。それを抑え込むために、都から兵を出すことになった。そこに景之亮が加わることになったというのだ。
今日その沙汰を受けて帰って来た景之亮は、すぐに蓮に話をした。
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「そうなの?心配だわ……」
三日で準備をして都を出発するため、翌日、景之亮は宮廷で夜通し準備をすることになった。
翌日、夜明けとともに目覚めた蓮は宮廷に出仕する景之亮を見送るとすぐに実家の五条に行った。
「お父さま!お父さま!」
簀子縁を走って、父と母の部屋へと飛び込んだ。
「蓮、朝から騒がしいわ」
父の隣に座って、朝餉の給仕をしていた母にたしなめられた。
「ごめんなさい!お父さまが出仕される前に会いたいと思って」
「蓮が来るだろうと思っていたよ。朝餉は食べて来たのか?」
父の実言は目尻を落として訊いた。
「いいえ、まだです」
「では、蓮の膳を用意してあげてよ」
実言が言うと、礼の後ろに控えていた侍女の澪が別の侍女に言いつけている。
「お父さまの隣に座りなさいな」
母に言われて、息を整えた蓮は父の隣、母の向かいに腰を下ろした。
「お前の言いたいことは大体予想はついている。だから、私の食事が終わるまで待ってくれないかい」
蓮は勝手に突撃してきた身なので、父の言葉に従って食事が終わるのを待った。
父は隣で同じように朝餉を取る母と、にこやかに話をしている。そうしているうちに、蓮の前にも粥の入った椀を載せた膳が置かれた。
「蓮もお食べ。腹が空いているだろう」
蓮は促されて椀を持ち上げて、匙で粥をすくって口に運んだ。
久しぶりの実家のお粥は懐かしさと共に、やはり、おいしい!と思った。
しばらくその粥に舌鼓を打って、黙々と食事する。
父と母はいつ見ても仲が良くて、今も母が父に粥をおかわりしたら、といい、父は母に私よりも、お前がもっとお食べよ、と話している。その間に割って入るのがためらわれたが、蓮は咳払いをして声を掛けた。
「お父さま、よろしいかしら」
礼の方を向いていた実言は、蓮に向き直った。
「景之亮のことかい?」
「ええ、そうよ。どのくらいの期間になるのかしら?とても長く?遠くに……その尾張?というところに行ってしまわれるの」
蓮は膝で膳を押す勢いで、父の方へ身を乗り出して矢継ぎ早に訊ねる。
「景之亮殿がどうしたの?」
反対側に座る礼が蓮を見て言った。
「景之亮様が、遠くの土地に戦に行くとおっしゃったの」
それを聞いて礼も顔色を変えた。
それを見た実言が安心させるために言葉を放った。
「尾張の方で大王の統治が気に入らない者たちが暴れているのだ。そこの国司や詰めている兵士たちが抑え込もうとしているのだが、なかなか手強くて、手を焼いているそうだ。応援の要請があったために、都から兵士を出すことになった。指揮官の補佐としてその一団を引率するのが景之亮の仕事だが、指揮官の男は頼りにならん。あ、これはここだけの話だ。だから実質、景之亮が指揮官ということになるだろう」
「お怪我をされたりしないかしら……どうして、そのような任務を景之亮様が」
蓮が眉根を寄せて不安な声で言った。
「蓮、お前は岩城の力で今から景之亮をこの任務から降ろしてくれと言いに来たのかい?」
蓮は景之亮を心配するあまり、口走りそうになっていたことを父に言われて、はっと顔を上げた。
「そんなことはできないよ。景之亮もそれは望むまい」
蓮は唇を噛んで、言葉を飲み込んだ。
景之亮が岩城一族の力でこの任務を下りたという事実が知れ渡ったら、宮廷の者たちからどのような目で見られるだろうか。実言は命の危険は低いというが、本当のところはわからない。危険な目に遭って欲しくないという蓮の気持ちはあるが、この任務から下りてしまえば、景之亮は裏で岩城という大木の枝の陰でのうのうと楽をしていると陰口を叩かれることだろう。そんな誹りを退けて、何の後ろ指をさされることなく宮廷で出世していくためにはこの任務を全うする必要がある。
実言は、景之亮が岩城という権力に頼ることなくその能力を発揮することはわかっている。
「景之亮は有能な男だ。この任務を遂行し、宮廷にその名を知られることになるだろう。そろそろ私も宮廷に行かねばなるまい」
実言は立ち上がった。礼も一緒に立って、夫の支度を手伝いうために隣の部屋へ移動する。礼の後ろについて行こうとした実言は立ち止って、娘を見た。
「大丈夫だ。蓮が考えるような悪いことは起こらない。尾張に行く期間は二月……三月くらいかかるかな、これも景之亮の腕にかかっていることだが。今日帰ったら、夫を励まして早く帰って来てもらうように言うことだな」
「……はい」
蓮は返事をした。几帳の後ろに消えて行く母と目が合った。
侍女の澪が部屋に入って来たので、蓮は立ち上がり榧の部屋に行った。
榧は一人、部屋で縫物をしていた。
大きな身頃はどう見ても男物の肌着ようだ。
「榧、それは誰に?お父さま?宗清?……宗清にしては大きいわね。……それとも」
姉に言葉に榧は見る見るうちに顔を赤くした。
蓮は名前を言わないが、榧も誰のことを言われているかわかっているから顔を赤くしているのだ。
図星である。
「梅見の宴の時に、当分会えないとおっしゃっていたから。次に会う時にお渡しできたらいいと思って作っているの。お渡しできないなら、宗清に着せます」
と言った。
蓮は景之亮と共に見届けた梅見の宴の榧と実由羅王子の姿を思い出した。
暫くして、母の侍女である澪が蓮を迎えに来た。榧も一緒に行くと言って、二人で父のいなくなった両親の部屋に入った。
礼についているもう一人の侍女、縫が円座を用意した。
「聞いたわ……蓮、景之亮様のこと」
親子三人は額がくっつきそうなほど顔を寄せ合って話し始めた。
榧は事情は分からないが、母と姉の会話に耳を傾けている。
「昨日帰って来て、お話してくださったの。明後日には出発だとおっしゃったわ。急なことで、私、びっくりしてしまってよく眠れなかった。今朝は二人とも早く起きて支度をして、景之亮様は宮廷に、私はここに来たの」
母の礼は蓮の心配そうな表情に心配な顔をしている。
「お父さまも、昔、戦に行ったわ。私もそれは心配だった。しかし、仕方のないこと。お帰りを待つしかないわ……二月、三月で帰ってこられると、お父さまは言っていた。早く、帰っていらっしゃるといいわね」
母の言葉に蓮は頷いた、
事情が呑み込めた榧も姉の気持ちに寄り添って慰める。そこへ、見習い医師の累が庭に来て、礼を呼んだ。病人が運び込まれたのだ。母は娘の手を強く握ってから、庭へと下りて行き、累と共に邸の裏から道を隔てた診療所へと行った。
「姉さま」
榧は姉と向かい合った。
「なぁに、榧」
「どうか、景之亮様には姉さまの体の一部かいつも身に着けているものを持って行ってもらって。それが、景之亮様を守るはずだわ」
蓮はその言葉に頷いた。
妹はときに未来を予言するようなことを言う。
それは、父も母もわかっている。母の家系の血を濃く引いたために備わった不思議な力だと聞いた。
榧がそうした方がいいということには従うことにしている。
「わかったわ。そうする。景之亮様から話を聞いて、驚いてお父さまのところに来てしまったけど、だいぶ落ち着いたわ」
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