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第三章 サークル構成員吊し上げ作戦
第二十八話 吊し上げ会②〜これ、破綻しますよね?〜
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済が個室に戻ると、すぐに小山内が店に到着した。まるで紹介できて嬉しいかのように市村に話す。
「市村さん、こちらは小沢さんです。投資で稼いだお金で大学に入り直したという勉強熱心な人で、学生の頃からの付き合いで尊敬してるんですよ。」
「へえー、それは凄い。投資家さんですか!僕も最終的には投資家になりたいとも思ってるんですよ。あ、僕市村と言います。知り合いからはイッチーと呼ばれてます。」
市村が話し始めたところで、済が注文しておいたビールが届いたため乾杯する。軽く飲んだ後、小山内が「小沢」として自己紹介を始めた。
「小沢と言います、よろしくお願いします。今日は青山さんから、起業を目指す知り合いがいると聞いて来ました。今は働きながら投資家をやってるんですが、資産がかなり増えましてね。そろそろ不動産投資を中心にしたいんですが、事業に投資するのも悪くないかと思って話を聞きに来たんです。早速ですが、市村さんは将来どのような事業を起こそうと思っているんですか?」
「僕は今、師匠について経営の勉強をしてまして、健康食品やオーガニック製品の店舗を出したいと思っています。」
済がここで、チームビルディングについて言及する。
「小沢さん、イッチーさんの手法は斬新なんですよ。いきなり店舗を出しても失敗するかもしれないということで、先にファンを作る戦略で動いているみたいなんです。」
「そうなんですよ。なので今は、準備段階としてチーム作りをしているところなんです。」
ここですかさず、小山内が突っ込みを入れる。
「え、それって互助会ですよね?日本だと頼母子講とか無尽講とか、昔からある。しかもこれを金融システムじゃなくて事業でやろうとしたら、外部から人と金を入れ続けないと破綻しないですか?」
※頼母子講、無尽講:日本で昔から行われている金融の一形態。会員が毎月積み立てた資金を、入札や抽選で選ばれた人が全額受け取れる仕組み。
市村は指摘を理解できていないようだ。準備が良い小山内はノートを持ってきており、図を描きながら続ける。
「例えばここにAさん、Bさん、Cさんの三人がいるとしましょう。BさんとCさんがAさんの店で十万円ずつ使ったとすると、Aさんは二十万円貰えますよね?でもAさんは店舗ありの事業をやってるということは、家賃とか人件費とか光熱費とかのコストがかかるために、二十万まるまる儲けにはならないでしょう。そしたら、互助会的に他の人にお金を回す時には目減りしちゃってますよね?そしたらこれ、Aさんはまだいいですけど、Bさん、Cさんにお金が回ってこなかったら丸損じゃないですか。しかも師匠がいるってことは、組織がピラミッドになってるんじゃないですか?だとしたらBさんとCさんが、Aさんの養分になってますよね?」
市村はいきなり現れた年長男性に攻撃され、目を白黒させていた。ここで済は、小山内を宥めるかのようにして攻撃箇所を追加する。
「まあまあ小沢さん、ここはお手柔らかに。イッチーさんは毎月自己投資もちゃんとやって頑張ってるみたいなんですよ。あ、そういえば、イッチーさんてどんな自己投資やってるんですか?」
「え……ええ、自己投資ですか。体が資本ということで、毎月サプリを買って体に投資してるんですよ。」
「ええっ、勉強かと思ったらそっちなんですか?」
ここで陽子も会話に加わる。
「私も健康には気をつけてるので気になりますね。どこから買ってるんですか?」
「はい、『株式会社 購買』っていう会社のブランドで、師匠から買ってます。」
「師匠からなんですか?やっぱりピラミッド構造に聞こえますね。ちなみにいくらですか?」
「じゅ、十五万円です……。」
小山内が、さも初めて知ったかのように言う。
「十五万!?月に十五万円ですよね、あなたそれ騙されてますよ。この図でいったらBさん、Cさんのポジションなんじゃないですか?」
「いえ、僕の下にも人がいるので、丸々十五万円払ってるわけではないです。」
この瞬間、陽子の目が光った。待ちに待った瞬間が訪れたようだ。間髪入れずに指摘する。
「それ、完全に搾取してるってことですよね?あなたのダウン、丸損じゃないですか。ネットワークビジネスってやつなんじゃないですか?私、親が共産党員なのでそういうのめちゃめちゃ嫌いなんですけど。」
「いえ、店舗があるし、現金還元してるわけではないのでマルチ商法とは違うんですよ。」
「でもシステムはほとんど同じじゃないですか。良心が傷まないんですか?」
「良心って……。ちゃんとしたビジネスをしているのでそんなことはないですよ。」
ここでついに、済が爆弾を投下する。
「もういいですよ、イッチーさん。これまでの話でよく分かりました。あなたドリームランドの人なんでしょう?あ、今はサークルって呼ぶんでしたっけ。」
「市村さん、こちらは小沢さんです。投資で稼いだお金で大学に入り直したという勉強熱心な人で、学生の頃からの付き合いで尊敬してるんですよ。」
「へえー、それは凄い。投資家さんですか!僕も最終的には投資家になりたいとも思ってるんですよ。あ、僕市村と言います。知り合いからはイッチーと呼ばれてます。」
市村が話し始めたところで、済が注文しておいたビールが届いたため乾杯する。軽く飲んだ後、小山内が「小沢」として自己紹介を始めた。
「小沢と言います、よろしくお願いします。今日は青山さんから、起業を目指す知り合いがいると聞いて来ました。今は働きながら投資家をやってるんですが、資産がかなり増えましてね。そろそろ不動産投資を中心にしたいんですが、事業に投資するのも悪くないかと思って話を聞きに来たんです。早速ですが、市村さんは将来どのような事業を起こそうと思っているんですか?」
「僕は今、師匠について経営の勉強をしてまして、健康食品やオーガニック製品の店舗を出したいと思っています。」
済がここで、チームビルディングについて言及する。
「小沢さん、イッチーさんの手法は斬新なんですよ。いきなり店舗を出しても失敗するかもしれないということで、先にファンを作る戦略で動いているみたいなんです。」
「そうなんですよ。なので今は、準備段階としてチーム作りをしているところなんです。」
ここですかさず、小山内が突っ込みを入れる。
「え、それって互助会ですよね?日本だと頼母子講とか無尽講とか、昔からある。しかもこれを金融システムじゃなくて事業でやろうとしたら、外部から人と金を入れ続けないと破綻しないですか?」
※頼母子講、無尽講:日本で昔から行われている金融の一形態。会員が毎月積み立てた資金を、入札や抽選で選ばれた人が全額受け取れる仕組み。
市村は指摘を理解できていないようだ。準備が良い小山内はノートを持ってきており、図を描きながら続ける。
「例えばここにAさん、Bさん、Cさんの三人がいるとしましょう。BさんとCさんがAさんの店で十万円ずつ使ったとすると、Aさんは二十万円貰えますよね?でもAさんは店舗ありの事業をやってるということは、家賃とか人件費とか光熱費とかのコストがかかるために、二十万まるまる儲けにはならないでしょう。そしたら、互助会的に他の人にお金を回す時には目減りしちゃってますよね?そしたらこれ、Aさんはまだいいですけど、Bさん、Cさんにお金が回ってこなかったら丸損じゃないですか。しかも師匠がいるってことは、組織がピラミッドになってるんじゃないですか?だとしたらBさんとCさんが、Aさんの養分になってますよね?」
市村はいきなり現れた年長男性に攻撃され、目を白黒させていた。ここで済は、小山内を宥めるかのようにして攻撃箇所を追加する。
「まあまあ小沢さん、ここはお手柔らかに。イッチーさんは毎月自己投資もちゃんとやって頑張ってるみたいなんですよ。あ、そういえば、イッチーさんてどんな自己投資やってるんですか?」
「え……ええ、自己投資ですか。体が資本ということで、毎月サプリを買って体に投資してるんですよ。」
「ええっ、勉強かと思ったらそっちなんですか?」
ここで陽子も会話に加わる。
「私も健康には気をつけてるので気になりますね。どこから買ってるんですか?」
「はい、『株式会社 購買』っていう会社のブランドで、師匠から買ってます。」
「師匠からなんですか?やっぱりピラミッド構造に聞こえますね。ちなみにいくらですか?」
「じゅ、十五万円です……。」
小山内が、さも初めて知ったかのように言う。
「十五万!?月に十五万円ですよね、あなたそれ騙されてますよ。この図でいったらBさん、Cさんのポジションなんじゃないですか?」
「いえ、僕の下にも人がいるので、丸々十五万円払ってるわけではないです。」
この瞬間、陽子の目が光った。待ちに待った瞬間が訪れたようだ。間髪入れずに指摘する。
「それ、完全に搾取してるってことですよね?あなたのダウン、丸損じゃないですか。ネットワークビジネスってやつなんじゃないですか?私、親が共産党員なのでそういうのめちゃめちゃ嫌いなんですけど。」
「いえ、店舗があるし、現金還元してるわけではないのでマルチ商法とは違うんですよ。」
「でもシステムはほとんど同じじゃないですか。良心が傷まないんですか?」
「良心って……。ちゃんとしたビジネスをしているのでそんなことはないですよ。」
ここでついに、済が爆弾を投下する。
「もういいですよ、イッチーさん。これまでの話でよく分かりました。あなたドリームランドの人なんでしょう?あ、今はサークルって呼ぶんでしたっけ。」
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