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六章
全種族対抗試合その13
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ていうか、大分人数減ってきたよなぁ。このまま防いでるだけでも良いんだけど、それじゃあ、卑怯者だの臆病者だのって言った悪評が付くかもしれんしなー。
まあ他人に何と言われようが別に構いやしないんだが、エレナやソフィーちゃん、それにリニスが見てる手前でそんな恥を晒すような行為は出来ないし・・・・・・。
「はぁ、しょうがねぇなー・・・・・・。いっちょやってやりますかっ」
しかし、反撃に出るのは良いが、俺が今持ってる『発火能力』やらの攻撃系の能力じゃ下手したら相手さん死んじゃうだろ? てか、確実に死ぬな。一瞬であのミルワームもどきを塵にしちゃった実績があるし・・・・・・。
それに死なずとも変に傷を負わせて後でいちゃもん付けられても面倒だしな・・・・・・。
となると、こいつら全員をほぼ無傷で戦闘不能にする異能力を新しく付加する必要があるな。
どうせなら何かカッコ良いやつ・・・・・・、カッコ良いやつ・・・・・・。
「く・・・・・・っ。何なんだよあいつはっ! くそっ、こうなったら一時休戦だ! おい皆っ、先にあいつを協力して倒すぞ!!」
「「「「おうっ!!」」」」
お、あった。これ超カッコ良くね? では早速、付加――――
「皆いくぞぉおおおおお!!」
「「「「オォオオオオオオオオオオ!!!!」」」」
「よしっ、放――――っ」
しかし、一斉に魔法を俺目掛けて放とうとした瞬間、
「『重力操作』」
「「「「「――――――っっっ!? ぐぁっっ!!!!」」」」」
魔法を放つ事無く、残っていた全員が短い悲鳴を上げながら何かに押し潰されるように勢い良くその場に倒れ込んだ。
「く、く・・・・・・っ!」
「何、だ・・・・・・っ、これ・・・・・・・・・・っ!」
「嘘、だ・・・・・・ろっ!」
起き上がろうとしても起き上がれない事に、その場の全員が驚愕の表情を見せる。
まあ、簡単に説明すると、あいつらが魔法を発動する直前、俺は俺の固有スキル〈異能力無限付加〉で新しく付加した『重力操作』を使用し、相手全員の自由を奪ったのだ。
「・・・・・・おいおい、流石ファンタジーな世界だな。潰れて死んでも困るからかなり加減したのもあるけど、これで気を失ってる奴が一人も居ないってどういう事だよ・・・・・・」
自慢じゃねぇが、見る限り俺がこれやられたら一瞬でアウトな自信しかねぇぞ?
未だ堪え続ける奴等を見ながらそんな愚痴をこぼしていると、各国の王様達がこちらを見ながら話しているのに気が付いた。
「ほほう、これは凄い」
「やりおるのぉ、あの小僧。二十弱とはいえ、あの数を一瞬で術に掛けるとは。のぅ? アルバート?」
「うむ・・・・・・。それに〈闇系統〉の重力魔法や〈風系統〉の飛行魔法、そして最初の方に見せた〈地系統〉魔法の三属性をあの年であれだけ精密に操るとは・・・・・・。何者なのだ、あの男は・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
うーん・・・・・・、何を言われてるのかまではわかんねぇけど、色んな国の王様達が立ち上がってこっちを凝視してるからなー。
よし、面倒事になる前にとっとと終わらせよう。
「・・・・・・ふんっ!」
ケリを着ける為、俺は『重力操作』の威力を一気に強めた。
「「「「「――――――がぁっ・・・・・・は・・・・・・っ」」」」」
流石に気を失ったのか、体を地面に軽くめり込ませて全員そのまま動かなくなった。
「・・・・・・終わったか」
「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」
あまりの光景に場内全てが静寂に包まれる。そして――――
『・・・・・・し、試合終了ーっ!! このブロックを制したのは、何と今回が初出場だという青年! その名も、レイジ――――――――っっ!!』
「――――っ!?」
「「「「ぅおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」
司会者により静寂に包まれていた場内は途端に大盛り上がりに変化した。
「あぁ、どもども」
・・・・・・え、てかそんな事より、皆死んでないよね? 大丈夫だよね?
まさか・・・・・・、殺っちまった? と次々に救護班に運ばれていく人達を見ながら内心かなり焦っている俺。
それから少しして、負傷者全員が運ばれた後、
『いやぁ、凄い魔法を見せて頂きましたね! 次の試合では一体どのような魔法で私達を盛り上げてくれるのかっ、今から楽しみですね!!』
おい、止めろ。無駄にハードル上げんじゃねぇ司会者。
『それでは続きまして、3ブロック目の試合に移りたいと思います』
色々とこの司会者に言いたい事はあったが、司会者が次に進行すべく、アナウンスを飛ばしたので、仕方無いと思い、俺も戻ろうとこの場を後にしようと動き出す。
『振り分けられている方は急ぎ試合場へ移――――』
しかしそんな時、俺を引き止めるかのように別の人物によって、司会者の言葉は遮られた。
「「・・・・・・・・・・レイジ――――――――っ!!」
「・・・・・・・・・・っ」
突然大声で名前を呼ばれた事には驚いたが、聞いた事のあるその声に、俺は誰に名前を呼ばれたのかがすぐにわかった。
まあ、ここにわからない奴なんて居ないだろうけど。
しかし、どうするか。王女であるリニスに名指しされて、それに俺が答えようものなら、絶対に変な誤解を招くよなぁ・・・・・・。
「・・・・・・・・・・」
そして、返答しようかどうか迷った末、俺は一つの結論に辿り着いた。
王女である前にリニスは一人の美少女だ。そんな美少女が俺の名前を呼んでくれている。美少女、そうっ、美少女がっ!
ならば、俺は男としてしっかりと答えなければならない・・・・・・。そうさっ、無視するなんてのは論外だったんだ!! よしっ、行くぜ!!
決心した俺はリニスの方へと顔を向け、息を大きく吸い、そして・・・・・・、
「・・・・・・・・・・ブイッ!」
と、リニスに向かって力強くVサインを突き出した。
はい、すみません。僕にはこれが限界でっす。
まあ他人に何と言われようが別に構いやしないんだが、エレナやソフィーちゃん、それにリニスが見てる手前でそんな恥を晒すような行為は出来ないし・・・・・・。
「はぁ、しょうがねぇなー・・・・・・。いっちょやってやりますかっ」
しかし、反撃に出るのは良いが、俺が今持ってる『発火能力』やらの攻撃系の能力じゃ下手したら相手さん死んじゃうだろ? てか、確実に死ぬな。一瞬であのミルワームもどきを塵にしちゃった実績があるし・・・・・・。
それに死なずとも変に傷を負わせて後でいちゃもん付けられても面倒だしな・・・・・・。
となると、こいつら全員をほぼ無傷で戦闘不能にする異能力を新しく付加する必要があるな。
どうせなら何かカッコ良いやつ・・・・・・、カッコ良いやつ・・・・・・。
「く・・・・・・っ。何なんだよあいつはっ! くそっ、こうなったら一時休戦だ! おい皆っ、先にあいつを協力して倒すぞ!!」
「「「「おうっ!!」」」」
お、あった。これ超カッコ良くね? では早速、付加――――
「皆いくぞぉおおおおお!!」
「「「「オォオオオオオオオオオオ!!!!」」」」
「よしっ、放――――っ」
しかし、一斉に魔法を俺目掛けて放とうとした瞬間、
「『重力操作』」
「「「「「――――――っっっ!? ぐぁっっ!!!!」」」」」
魔法を放つ事無く、残っていた全員が短い悲鳴を上げながら何かに押し潰されるように勢い良くその場に倒れ込んだ。
「く、く・・・・・・っ!」
「何、だ・・・・・・っ、これ・・・・・・・・・・っ!」
「嘘、だ・・・・・・ろっ!」
起き上がろうとしても起き上がれない事に、その場の全員が驚愕の表情を見せる。
まあ、簡単に説明すると、あいつらが魔法を発動する直前、俺は俺の固有スキル〈異能力無限付加〉で新しく付加した『重力操作』を使用し、相手全員の自由を奪ったのだ。
「・・・・・・おいおい、流石ファンタジーな世界だな。潰れて死んでも困るからかなり加減したのもあるけど、これで気を失ってる奴が一人も居ないってどういう事だよ・・・・・・」
自慢じゃねぇが、見る限り俺がこれやられたら一瞬でアウトな自信しかねぇぞ?
未だ堪え続ける奴等を見ながらそんな愚痴をこぼしていると、各国の王様達がこちらを見ながら話しているのに気が付いた。
「ほほう、これは凄い」
「やりおるのぉ、あの小僧。二十弱とはいえ、あの数を一瞬で術に掛けるとは。のぅ? アルバート?」
「うむ・・・・・・。それに〈闇系統〉の重力魔法や〈風系統〉の飛行魔法、そして最初の方に見せた〈地系統〉魔法の三属性をあの年であれだけ精密に操るとは・・・・・・。何者なのだ、あの男は・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
うーん・・・・・・、何を言われてるのかまではわかんねぇけど、色んな国の王様達が立ち上がってこっちを凝視してるからなー。
よし、面倒事になる前にとっとと終わらせよう。
「・・・・・・ふんっ!」
ケリを着ける為、俺は『重力操作』の威力を一気に強めた。
「「「「「――――――がぁっ・・・・・・は・・・・・・っ」」」」」
流石に気を失ったのか、体を地面に軽くめり込ませて全員そのまま動かなくなった。
「・・・・・・終わったか」
「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」
あまりの光景に場内全てが静寂に包まれる。そして――――
『・・・・・・し、試合終了ーっ!! このブロックを制したのは、何と今回が初出場だという青年! その名も、レイジ――――――――っっ!!』
「――――っ!?」
「「「「ぅおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」
司会者により静寂に包まれていた場内は途端に大盛り上がりに変化した。
「あぁ、どもども」
・・・・・・え、てかそんな事より、皆死んでないよね? 大丈夫だよね?
まさか・・・・・・、殺っちまった? と次々に救護班に運ばれていく人達を見ながら内心かなり焦っている俺。
それから少しして、負傷者全員が運ばれた後、
『いやぁ、凄い魔法を見せて頂きましたね! 次の試合では一体どのような魔法で私達を盛り上げてくれるのかっ、今から楽しみですね!!』
おい、止めろ。無駄にハードル上げんじゃねぇ司会者。
『それでは続きまして、3ブロック目の試合に移りたいと思います』
色々とこの司会者に言いたい事はあったが、司会者が次に進行すべく、アナウンスを飛ばしたので、仕方無いと思い、俺も戻ろうとこの場を後にしようと動き出す。
『振り分けられている方は急ぎ試合場へ移――――』
しかしそんな時、俺を引き止めるかのように別の人物によって、司会者の言葉は遮られた。
「「・・・・・・・・・・レイジ――――――――っ!!」
「・・・・・・・・・・っ」
突然大声で名前を呼ばれた事には驚いたが、聞いた事のあるその声に、俺は誰に名前を呼ばれたのかがすぐにわかった。
まあ、ここにわからない奴なんて居ないだろうけど。
しかし、どうするか。王女であるリニスに名指しされて、それに俺が答えようものなら、絶対に変な誤解を招くよなぁ・・・・・・。
「・・・・・・・・・・」
そして、返答しようかどうか迷った末、俺は一つの結論に辿り着いた。
王女である前にリニスは一人の美少女だ。そんな美少女が俺の名前を呼んでくれている。美少女、そうっ、美少女がっ!
ならば、俺は男としてしっかりと答えなければならない・・・・・・。そうさっ、無視するなんてのは論外だったんだ!! よしっ、行くぜ!!
決心した俺はリニスの方へと顔を向け、息を大きく吸い、そして・・・・・・、
「・・・・・・・・・・ブイッ!」
と、リニスに向かって力強くVサインを突き出した。
はい、すみません。僕にはこれが限界でっす。
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