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五章
〈マジアガるわ~。マジ卍祭り〉その12
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「お久しぶりですレイジ様。その節は真にありがとうございました」
そう言い、深々と頭を下げるアルド。
「いえいえそんなっ。それにしても、よく俺がここに居るって事がわかりましたね?」
「実は昨晩、私がこの大会の参加者リストを確認していると、レイジ様のお名前がありましたので、もしかしたらと思い、受付より少し離れた所から本人なのか否かを確認していたのです」
「そうだったんですか。でもそれなら、今じゃなくてもその場ですぐ声をかけてくれれば・・・・・・」
「そう致しますと、他の出場者の方々にあらぬ誤解を生ませてしまうやもしれませんでしたので」
誤解? 何の誤解だ・・・・・・?
アルドのその言葉に俺が頭を悩ませていると、ヴェルが俺にこう尋ねてきた。
「む、してレイジよ。一体その御仁は何者であるか?」
「ん? ああ、そういやヴェル達は初対面だったな」
そして、俺は二人の方へ向き直り、アルドについて話し始めた。
「かくかく、しかじか、かくぅー」
「・・・・・・ふむ、そうであったのか」
いつもと同じく完璧でわかり易さを重視した俺の説明を聞き、ヴェルはすぐに理解した様子でうんうんと頷いた。
しかし、貧乳はというと・・・・・・、
「・・・・・・・・・・」
「貧乳? どうしかしたか? 珍しくやけに大人しいじゃねぇか」
そう、いつもの貧乳ならあーだこ-だと何かしら突っかかって来そうなものなのに、何かを諦めた様子でただ静かにその場に座っているだけだったのだ。
すると、そんな俺に対し貧乳は、はあ、と軽く溜め息を一つ漏らして言った。
「・・・・・・どうせいつも通り竜神様が説明口調で話し出すだろうしって思ってね。無駄な体力は使わないようにしてるだけよ・・・・・・」
「な・・・・・・っ」
何だとっ!? まさか、あの貧乳が学んだというのか!?
「む、つまりはこういう事であるな? 我とレイジが相まみえる少し前に、こちらの御仁が引く馬車が運悪く賊に襲われていた窮地をたまたま通りがかったレイジが救い、その時知り合った、と・・・・・・」
「・・・・・・ほらね?」
「ぐ・・・・・・っ」
生意気にも、貧乳が予測した通りになり、俺は自分でもよくわからない悔しさから下唇を噛み締める。
「む、どうかしたのか? レイジ」
「・・・・・・いや、何でも、ないっ」
そう言うヴェルに俺は声を震わせながら答えた。すると、
「おや、ではあの時の竜というのは、まさか・・・・・・」
ヴェルが改めて話した説明で悟ったのか、アルドが少し真剣な表情になりながらそう尋ねてきた。
「はい、お察しのとおり、この老いぼれがそうです」
「む、レイジよ、聞き捨てならぬな。確かに昔よりは老いたが、見た目だけで言えば我はまだ老いぼれと言う程では無いと思うぞ?」
え、どこからどう見ても70越えのじじいにしか見えないんですが。
「ああ、でも危険は無いので安心して下さい。今は俺と契約してますので」
「わかりました。レイジ様のお言葉を信じましょう」
俺が付け足した補足を聞き、アルドは表情を緩め、警戒を解いた。
「む、アルドとやら、その節は色々とこの国に迷惑をかけたようですまなかったな。我はヴェルガルド・バハムート、宜しく頼む」
「・・・・・・っ! バハムート・・・・・・。では、あなた様はあの・・・・・・」
「む、フフ。何、昔の事だ。それに、今は英雄ではなくここに居るレイジを主とするただの従者、そう畏まらずとも良い」
そんな事言ってるくせに満更でもない顔してんのがすげぇむかつくんだが。
「お気遣い感謝致します。してレイジ様、そちらの可憐な女性は?」
「か、可憐だなんて・・・・・・。そんなぁ~、うふふ」
誰がどう見てもわかる社交辞令的なお世辞をアルドに言われ、嬉しさでくねくねと気持ち悪く身をよじらせる貧乳。
・・・・・・何だろう、素直にきもい・・・・・・。
その姿を見て全身に鳥肌が立った俺は、さっさとこいつの紹介を済ませてしまおうと思い、
「ああ、こいつは貧乳・・・・・・」
と、言いかけた次の瞬間、
「――――でぇっっ!!」
・・・・・・思いっきり横腹に蹴りを食らいました。
「――――な、何すんだこの野郎!!」
「初めましてアルドさん。私はアルカディア聖騎士所属のミーナと申します」
って、無視かよ・・・・・・。
「よろしくお願い致します。それと、お会いして早々申し訳ないのですが、私はそろそろ戻らねばなりませんので失礼致します」
「え、もうですか?」
「はい、直に国王陛下とリニスお嬢様による開会の宣言が始まりますので。それに、こちらにはレイジ様に救って頂いたお礼を申し上げに来ただけでしたので、申し訳ありません」
「わかりました。リニスに会ったらよろしくお伝え下さい」
「畏まりました。それでは皆様、ご無理はなさらぬよう頑張って下さい。私も陰ながらではありますが、皆様を応援させて頂きますので。では、失礼致します」
アルドはそう言い残し、この部屋を後にした。
「む、あのアルドとやら、礼儀正しく物わかりの良い男であったな」
「まあ、どっかの誰かさん達とは違って、アルドさんはこの世界で数少ない常識人の一人だからな」
「む、全くだ。ファフニールにも見習って欲しいものだな」
「本当ね。ソフィーもちょっとズレてるとこがあるし、見習って欲しいわ」
一応お前らもその中に入ってるんですがねぇ。・・・・・・え? 俺も? あー、ちゃうちゃう。そんな訳あらへんがな~。・・・・・・、・・・・・・そう、だよね?
「ま、まあ何はともあれ、今は大会に集中だなっ。どうせやるからにはてっぺん取ってやろうぜ!」
・・・・・・俺がなっ!
ミーナ(貧乳)視点――――
「ええ、そうね。ま、私は最初から優勝する以外は選択肢に無いけどっ!」
例え私が負けちゃったとしても、こいつにだけは絶対に優勝は譲らないわ・・・・・・。
どんな手を使ってでも!!
ヴェル視点――――
「む、そうであるな。全力は出せぬが、我もクレアやあの御仁の期待に応えられるよう努力しよう」
む・・・・・・、またこやつらはろくでもない事を考えておるな・・・・・・。
はあ、よく飽きもせず・・・・・・。全く・・・・・・。
戻って零時視点――――
「「ふふ、ふふふふふ・・・・・・」」
「むぅ・・・・・・、もう好きにしてくれ・・・・・・」
そう言い、深々と頭を下げるアルド。
「いえいえそんなっ。それにしても、よく俺がここに居るって事がわかりましたね?」
「実は昨晩、私がこの大会の参加者リストを確認していると、レイジ様のお名前がありましたので、もしかしたらと思い、受付より少し離れた所から本人なのか否かを確認していたのです」
「そうだったんですか。でもそれなら、今じゃなくてもその場ですぐ声をかけてくれれば・・・・・・」
「そう致しますと、他の出場者の方々にあらぬ誤解を生ませてしまうやもしれませんでしたので」
誤解? 何の誤解だ・・・・・・?
アルドのその言葉に俺が頭を悩ませていると、ヴェルが俺にこう尋ねてきた。
「む、してレイジよ。一体その御仁は何者であるか?」
「ん? ああ、そういやヴェル達は初対面だったな」
そして、俺は二人の方へ向き直り、アルドについて話し始めた。
「かくかく、しかじか、かくぅー」
「・・・・・・ふむ、そうであったのか」
いつもと同じく完璧でわかり易さを重視した俺の説明を聞き、ヴェルはすぐに理解した様子でうんうんと頷いた。
しかし、貧乳はというと・・・・・・、
「・・・・・・・・・・」
「貧乳? どうしかしたか? 珍しくやけに大人しいじゃねぇか」
そう、いつもの貧乳ならあーだこ-だと何かしら突っかかって来そうなものなのに、何かを諦めた様子でただ静かにその場に座っているだけだったのだ。
すると、そんな俺に対し貧乳は、はあ、と軽く溜め息を一つ漏らして言った。
「・・・・・・どうせいつも通り竜神様が説明口調で話し出すだろうしって思ってね。無駄な体力は使わないようにしてるだけよ・・・・・・」
「な・・・・・・っ」
何だとっ!? まさか、あの貧乳が学んだというのか!?
「む、つまりはこういう事であるな? 我とレイジが相まみえる少し前に、こちらの御仁が引く馬車が運悪く賊に襲われていた窮地をたまたま通りがかったレイジが救い、その時知り合った、と・・・・・・」
「・・・・・・ほらね?」
「ぐ・・・・・・っ」
生意気にも、貧乳が予測した通りになり、俺は自分でもよくわからない悔しさから下唇を噛み締める。
「む、どうかしたのか? レイジ」
「・・・・・・いや、何でも、ないっ」
そう言うヴェルに俺は声を震わせながら答えた。すると、
「おや、ではあの時の竜というのは、まさか・・・・・・」
ヴェルが改めて話した説明で悟ったのか、アルドが少し真剣な表情になりながらそう尋ねてきた。
「はい、お察しのとおり、この老いぼれがそうです」
「む、レイジよ、聞き捨てならぬな。確かに昔よりは老いたが、見た目だけで言えば我はまだ老いぼれと言う程では無いと思うぞ?」
え、どこからどう見ても70越えのじじいにしか見えないんですが。
「ああ、でも危険は無いので安心して下さい。今は俺と契約してますので」
「わかりました。レイジ様のお言葉を信じましょう」
俺が付け足した補足を聞き、アルドは表情を緩め、警戒を解いた。
「む、アルドとやら、その節は色々とこの国に迷惑をかけたようですまなかったな。我はヴェルガルド・バハムート、宜しく頼む」
「・・・・・・っ! バハムート・・・・・・。では、あなた様はあの・・・・・・」
「む、フフ。何、昔の事だ。それに、今は英雄ではなくここに居るレイジを主とするただの従者、そう畏まらずとも良い」
そんな事言ってるくせに満更でもない顔してんのがすげぇむかつくんだが。
「お気遣い感謝致します。してレイジ様、そちらの可憐な女性は?」
「か、可憐だなんて・・・・・・。そんなぁ~、うふふ」
誰がどう見てもわかる社交辞令的なお世辞をアルドに言われ、嬉しさでくねくねと気持ち悪く身をよじらせる貧乳。
・・・・・・何だろう、素直にきもい・・・・・・。
その姿を見て全身に鳥肌が立った俺は、さっさとこいつの紹介を済ませてしまおうと思い、
「ああ、こいつは貧乳・・・・・・」
と、言いかけた次の瞬間、
「――――でぇっっ!!」
・・・・・・思いっきり横腹に蹴りを食らいました。
「――――な、何すんだこの野郎!!」
「初めましてアルドさん。私はアルカディア聖騎士所属のミーナと申します」
って、無視かよ・・・・・・。
「よろしくお願い致します。それと、お会いして早々申し訳ないのですが、私はそろそろ戻らねばなりませんので失礼致します」
「え、もうですか?」
「はい、直に国王陛下とリニスお嬢様による開会の宣言が始まりますので。それに、こちらにはレイジ様に救って頂いたお礼を申し上げに来ただけでしたので、申し訳ありません」
「わかりました。リニスに会ったらよろしくお伝え下さい」
「畏まりました。それでは皆様、ご無理はなさらぬよう頑張って下さい。私も陰ながらではありますが、皆様を応援させて頂きますので。では、失礼致します」
アルドはそう言い残し、この部屋を後にした。
「む、あのアルドとやら、礼儀正しく物わかりの良い男であったな」
「まあ、どっかの誰かさん達とは違って、アルドさんはこの世界で数少ない常識人の一人だからな」
「む、全くだ。ファフニールにも見習って欲しいものだな」
「本当ね。ソフィーもちょっとズレてるとこがあるし、見習って欲しいわ」
一応お前らもその中に入ってるんですがねぇ。・・・・・・え? 俺も? あー、ちゃうちゃう。そんな訳あらへんがな~。・・・・・・、・・・・・・そう、だよね?
「ま、まあ何はともあれ、今は大会に集中だなっ。どうせやるからにはてっぺん取ってやろうぜ!」
・・・・・・俺がなっ!
ミーナ(貧乳)視点――――
「ええ、そうね。ま、私は最初から優勝する以外は選択肢に無いけどっ!」
例え私が負けちゃったとしても、こいつにだけは絶対に優勝は譲らないわ・・・・・・。
どんな手を使ってでも!!
ヴェル視点――――
「む、そうであるな。全力は出せぬが、我もクレアやあの御仁の期待に応えられるよう努力しよう」
む・・・・・・、またこやつらはろくでもない事を考えておるな・・・・・・。
はあ、よく飽きもせず・・・・・・。全く・・・・・・。
戻って零時視点――――
「「ふふ、ふふふふふ・・・・・・」」
「むぅ・・・・・・、もう好きにしてくれ・・・・・・」
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