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五章
〈マジアガるわ~。マジ卍祭り〉その8
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それから俺達は、各種族が得意とする戦法や魔法をクレアから教わり、余った時間で日が暮れるまで再び純粋に祭りを楽しんだ後、宿屋へと向かって歩いていた。
「いやぁっ、人混みはあんま得意じゃねぇけど、色んなもんが見れて楽しかったなぁ」
「うんっ、すっごく楽しかった!」
「そう、ですね」
「ぶっ、それにしても信者達に絡まれてた時のロリコンのあの焦りようときたら・・・・・・っ」
「確かに、あれは傑作だったわねぇ」
「し、仕方ねぇだろ、突然裏路地に拉致られたら誰でもああなるって・・・・・・」
あれは、俺達が祭りを楽しんでいた時の事。
人混みで逸れそうになったソフィーちゃんの手を無意識にとったところ、それをソフィー信者達にロックオンされ、ソフィーちゃんが止めに入るまでの数分間程、俺はむさい男共に絡まれ続けるという、何とも悲しい事態に陥ってしまったのだった。
「てか、マジで何なのあいつら・・・・・・。いくら何でも出てくるタイミング良過ぎやしねぇか?」
もしかしてあいつら、俺達、いや、ソフィーちゃんの事をずっと付けてきてるんじゃ無いだろうな・・・・・・。
そう思う程に、信者達の行動は迅速過ぎるものだった。
「そういえば、ずっと俺達について来てるけど、クレアも帰リはこっちなのか?」
気を取り直した俺は、未だ同じ方向を行くクレアにそう尋ねた。
「ん? ああ、私も宿泊先は皆と同じ所だからな」
「え、そうなの・・・・・・」
って、あー、そういや朝飯食ってる時に俺達の事を見てたんだっけか。
まあ確かに、よくよく考えてみれば、宿客でもなけりゃ窓から死角の場所に座ってた俺達を見る事なんて出来ねぇしな。
「何だよ、だったらその場で話しかけて来てくれても良かったのに」
「いや、あの時は何やら盛り上がっていたようなのでな。故に、話しかける機会を失ってしまったのだ」
「・・・・・・その節は騒がしくしてほんっとすみませんでしたっ」
腰を綺麗に直角に折り、すぐさま謝罪した。
マジであれは迷惑行為以外に言い表せるものじゃなかったしな。
「ふふ、構わないよ。むしろ賑やかな仲間がたくさん居て、羨ましかったくらいだからな」
そういうもんかね。
・・・・・・まあ言われてみれば、一人でこんな旅をするよりかは、こいつらが居る分良かったとは思うけど。
「そういやクレアも宿客って事は、この国に住んでる訳じゃないんだよな?」
「ああ、私はこのエスタニアから少し離れた所にある『ラージ』という小さな村に住んでいてな」
え、それ大きいの? 小さいの? どっちなの?
「まあ、エスタニアには普段はあまり足を運ばないのだが、今回は事情が事情なだけあって、こうして訪れたのだ」
てか、そんなに欲しいのかよ、あの『モーソー・ダイヒツ』とかいう色々な意味で危ない魔法具。
・・・・・・と、まあそんな会話をしているうちに、俺達は宿泊している『ミア』の前まで戻ってきた。
「とりあえず先にご飯かお風呂、どっちにする?」
「んと、ご飯!」
「そんなの、まずはお肉一択でしょっ」
「ミーナさん、に同意、です、ね」
「・・・・・・」
ファフニールの問いに、エレナ、貧乳、ソフィーちゃんがそれぞれそう答えながら扉を開け、『ミア』の中へと入っていく。
「む・・・・・・、またも、あやつらは肉か・・・・・・」
「おうヴェル、俺はもうあれに関しては気にしない事にしたぞ。中毒者共にいちいち突っかかってたらキリがねぇからな」
「む・・・・・・、だな・・・・・・」
どこか遠い目をしながら閉まった扉を見つめる俺とヴェル。
「はあ、で、クレアはどうする? あれだったら晩飯も俺達と一緒にどうだ?」
「お誘いはありがたいが、今回は遠慮させてもらうよ。少し気になる事があってな、それをまず調べておきたいんだ」
「気になる事?」
「ああ、君達の名をエントリー用紙に記入した際にふと目にしたのだが、そこにはある者の名がその用紙に記入されていてな」
「誰の名前が書かれてたんだ?」
まあ、聞いたところで誰かわかんねぇけどなっ。
そう思いつつも、俺はクレアにそう尋ねた。すると、
「・・・・・・タケル・セルヴィック」
少し間をおいた後、真面目な表情でクレアはそう言った。
「・・・・・・タケル?」
その名前に、俺はどこか親近感が湧くような、そんな感じがした。
タケル、か・・・・・・。名前の感じからして、まさか、俺と同じ日本人・・・・・・?
だとしたら、そのタケルっていう奴も転移者か転生者って事になるよな・・・・・・?
・・・・・・まあ、『も』とは言ったが、俺はそのどっちでもなく拉致られたようなもんなんだけどな。
「・・・・・・で、そのタケルって奴がどうかしたのか?」
一人で考えていても仕方無いと思い、クレアに聞くと、
「・・・・・・え? タケル? 誰だそれは?」
「――って、何いぃいいいい!?」
はっはぁ、なぁんとも予想外なお答えが返ってきましたよ~っと。
「てか誰って、さっき自分で言ってた名前じゃねぇかよ!!」
「あ、ああー・・・・・・。いやいや、私が気になっているのはそっちではなく、セルヴィックの方で・・・・・・。タケル? という名前と人物にはさほど興味も・・・・・・」
タぁああケルぅうううううううううううううううううううううう!!
いやいやいやっ、流石にそれはタケルが可哀想過ぎるだろ!!
「む、セルヴィック、か・・・・・・。確かに、それについては調べておいた方が良いかもしれぬな」
あれ!? ヴェルさん、まさかのこの流れで話を進めちゃう!?
まだ何も理解が出来てない人がここに居ますよ――――!?
「な、なあ、セルヴィ」
「ああ、なので私は今日のところは失礼させて頂くよ。明日、朝食時にまた会おう」
そう言い、扉に手をかけ、中へ入ろうとするクレア。
ちょ、待てよっ! (キム○ク風) 無視!? 無視という名のイジメかこれは!?
何故!? 俺が圧倒的無知だからか!? もし理由がそうだとしたら、このイジメの主犯はヴェル、確実にてめぇだな!!
「む、了解した。ではまた明日に」
・・・・・・と、心の中で色々思っているうちに話は終了し、クレアは完全に扉の向こうへと姿を消した。
「・・・・・・・・・・」
「む、何をしておるのだレイジ。我々も明日に備えて早く体を休めなければ」
呆然とその場に突っ立っている俺にヴェルがそう声をかけてくる。
「・・・・・・ああ、そう、だな」
この時俺は、中に入る直前にふと後ろを振り向き、暗い夜空に輝く星々を見上げながら、
「(俺だけは、タケルに優しくしよ・・・・・・)」
そう自分の心に固く決心したのであった。
あ、あと今晩ファフニールに全力で加勢しよっと。
その夜、ヴェルが誰に滅茶苦茶○○された事は、言うまでも無いだろう・・・・・・。
「いやぁっ、人混みはあんま得意じゃねぇけど、色んなもんが見れて楽しかったなぁ」
「うんっ、すっごく楽しかった!」
「そう、ですね」
「ぶっ、それにしても信者達に絡まれてた時のロリコンのあの焦りようときたら・・・・・・っ」
「確かに、あれは傑作だったわねぇ」
「し、仕方ねぇだろ、突然裏路地に拉致られたら誰でもああなるって・・・・・・」
あれは、俺達が祭りを楽しんでいた時の事。
人混みで逸れそうになったソフィーちゃんの手を無意識にとったところ、それをソフィー信者達にロックオンされ、ソフィーちゃんが止めに入るまでの数分間程、俺はむさい男共に絡まれ続けるという、何とも悲しい事態に陥ってしまったのだった。
「てか、マジで何なのあいつら・・・・・・。いくら何でも出てくるタイミング良過ぎやしねぇか?」
もしかしてあいつら、俺達、いや、ソフィーちゃんの事をずっと付けてきてるんじゃ無いだろうな・・・・・・。
そう思う程に、信者達の行動は迅速過ぎるものだった。
「そういえば、ずっと俺達について来てるけど、クレアも帰リはこっちなのか?」
気を取り直した俺は、未だ同じ方向を行くクレアにそう尋ねた。
「ん? ああ、私も宿泊先は皆と同じ所だからな」
「え、そうなの・・・・・・」
って、あー、そういや朝飯食ってる時に俺達の事を見てたんだっけか。
まあ確かに、よくよく考えてみれば、宿客でもなけりゃ窓から死角の場所に座ってた俺達を見る事なんて出来ねぇしな。
「何だよ、だったらその場で話しかけて来てくれても良かったのに」
「いや、あの時は何やら盛り上がっていたようなのでな。故に、話しかける機会を失ってしまったのだ」
「・・・・・・その節は騒がしくしてほんっとすみませんでしたっ」
腰を綺麗に直角に折り、すぐさま謝罪した。
マジであれは迷惑行為以外に言い表せるものじゃなかったしな。
「ふふ、構わないよ。むしろ賑やかな仲間がたくさん居て、羨ましかったくらいだからな」
そういうもんかね。
・・・・・・まあ言われてみれば、一人でこんな旅をするよりかは、こいつらが居る分良かったとは思うけど。
「そういやクレアも宿客って事は、この国に住んでる訳じゃないんだよな?」
「ああ、私はこのエスタニアから少し離れた所にある『ラージ』という小さな村に住んでいてな」
え、それ大きいの? 小さいの? どっちなの?
「まあ、エスタニアには普段はあまり足を運ばないのだが、今回は事情が事情なだけあって、こうして訪れたのだ」
てか、そんなに欲しいのかよ、あの『モーソー・ダイヒツ』とかいう色々な意味で危ない魔法具。
・・・・・・と、まあそんな会話をしているうちに、俺達は宿泊している『ミア』の前まで戻ってきた。
「とりあえず先にご飯かお風呂、どっちにする?」
「んと、ご飯!」
「そんなの、まずはお肉一択でしょっ」
「ミーナさん、に同意、です、ね」
「・・・・・・」
ファフニールの問いに、エレナ、貧乳、ソフィーちゃんがそれぞれそう答えながら扉を開け、『ミア』の中へと入っていく。
「む・・・・・・、またも、あやつらは肉か・・・・・・」
「おうヴェル、俺はもうあれに関しては気にしない事にしたぞ。中毒者共にいちいち突っかかってたらキリがねぇからな」
「む・・・・・・、だな・・・・・・」
どこか遠い目をしながら閉まった扉を見つめる俺とヴェル。
「はあ、で、クレアはどうする? あれだったら晩飯も俺達と一緒にどうだ?」
「お誘いはありがたいが、今回は遠慮させてもらうよ。少し気になる事があってな、それをまず調べておきたいんだ」
「気になる事?」
「ああ、君達の名をエントリー用紙に記入した際にふと目にしたのだが、そこにはある者の名がその用紙に記入されていてな」
「誰の名前が書かれてたんだ?」
まあ、聞いたところで誰かわかんねぇけどなっ。
そう思いつつも、俺はクレアにそう尋ねた。すると、
「・・・・・・タケル・セルヴィック」
少し間をおいた後、真面目な表情でクレアはそう言った。
「・・・・・・タケル?」
その名前に、俺はどこか親近感が湧くような、そんな感じがした。
タケル、か・・・・・・。名前の感じからして、まさか、俺と同じ日本人・・・・・・?
だとしたら、そのタケルっていう奴も転移者か転生者って事になるよな・・・・・・?
・・・・・・まあ、『も』とは言ったが、俺はそのどっちでもなく拉致られたようなもんなんだけどな。
「・・・・・・で、そのタケルって奴がどうかしたのか?」
一人で考えていても仕方無いと思い、クレアに聞くと、
「・・・・・・え? タケル? 誰だそれは?」
「――って、何いぃいいいい!?」
はっはぁ、なぁんとも予想外なお答えが返ってきましたよ~っと。
「てか誰って、さっき自分で言ってた名前じゃねぇかよ!!」
「あ、ああー・・・・・・。いやいや、私が気になっているのはそっちではなく、セルヴィックの方で・・・・・・。タケル? という名前と人物にはさほど興味も・・・・・・」
タぁああケルぅうううううううううううううううううううううう!!
いやいやいやっ、流石にそれはタケルが可哀想過ぎるだろ!!
「む、セルヴィック、か・・・・・・。確かに、それについては調べておいた方が良いかもしれぬな」
あれ!? ヴェルさん、まさかのこの流れで話を進めちゃう!?
まだ何も理解が出来てない人がここに居ますよ――――!?
「な、なあ、セルヴィ」
「ああ、なので私は今日のところは失礼させて頂くよ。明日、朝食時にまた会おう」
そう言い、扉に手をかけ、中へ入ろうとするクレア。
ちょ、待てよっ! (キム○ク風) 無視!? 無視という名のイジメかこれは!?
何故!? 俺が圧倒的無知だからか!? もし理由がそうだとしたら、このイジメの主犯はヴェル、確実にてめぇだな!!
「む、了解した。ではまた明日に」
・・・・・・と、心の中で色々思っているうちに話は終了し、クレアは完全に扉の向こうへと姿を消した。
「・・・・・・・・・・」
「む、何をしておるのだレイジ。我々も明日に備えて早く体を休めなければ」
呆然とその場に突っ立っている俺にヴェルがそう声をかけてくる。
「・・・・・・ああ、そう、だな」
この時俺は、中に入る直前にふと後ろを振り向き、暗い夜空に輝く星々を見上げながら、
「(俺だけは、タケルに優しくしよ・・・・・・)」
そう自分の心に固く決心したのであった。
あ、あと今晩ファフニールに全力で加勢しよっと。
その夜、ヴェルが誰に滅茶苦茶○○された事は、言うまでも無いだろう・・・・・・。
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