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四章
あー、ですよねぇー
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『グーチョキパー部屋割り』! 第一戦目、開始!!
「よし、じゃあいくぞぉ! グッ、チョーキ・・・・・・・・・・」
「「「「「「パッ!」」」」」」」
俺の掛け声に合わせ、全員がそれぞれグー、チョキ、パーのいずれかを選択し、出す。
ファフニール、チョキ。
ヴェル、チョキ。
ソフィーちゃん、グー。
貧乳、パー。
エレナ、グー。
俺・・・・・・・・・・、グー。
「・・・・・・・・・・ニヤ」
第一戦目、ヴェル・ファフニール、ペア確定。
「――――むぅ!?」
「きゃーっ! やったわ! ヴェルガルドと同室ゲットぉ!!」
「ちょ、おぉおおおぅいレイジ!! は、話が違うではないか! 共にチョキを出すと申しておったであろう!?」
グーを出した俺に対し、すっげぇ勢いで猛抗議をしてくるヴェル。
それもそのはずだ。言いだしっぺの俺が即行でその作戦を裏切ったのだから。
「一体これはどういう事なのだ!!」
「どういう事、だと・・・・・・?」
以前、問い詰めてくるヴェルに俺は、
「もしかしたら女の子(ソフィーちゃんかエレナちゃん)と同室になれるかもしれないんだぞ!? そんなチャンスを前に、男と同室になる、なんていう選択、この俺には一ミリたりとも最初から存在しねぇ!!」
思いっきり開き直った。
「――――謀りおったなこの煩悩まみれのエロ坊主めがぁあああああああああああ!!」
ふっ、何とでも言え。最早、誰にも我が覇道は止められないぜ!
(ちなみにファフニールには『念話』でチョキを出すよう開始前に指示を飛ばしました)
「さて、二戦目といこうか」
「ちょ、まっ、レイ――」
「さあヴェルガルドっ。今夜はあっつぅい夜にしましょう、ね?」
「えっ、あっ、いやっ! 誰か助け、あぁああああああああああっ!!」
ゲームを再開しようとした俺に何か言おうとしていたヴェルであったが、『愛(性欲)』という名の欲望を全開にしたファフニールによって三部屋の内の一部屋へと無理矢理引きずり込まれていった。
ヴェルよ、お前の犠牲は決して無駄にはしない・・・・・・っ!
「じゃあ始めるかー」
「は、いっ」
「うんっ」
「クズ以外でお願いします。クズ以外でお願いします。クズ以外でお願いします。ロリコン以外でお願いしますっ」
おいてめぇ。その名前、略すならせめてどっちかにしろ。
ていうか、俺もお前となんか絶対に嫌だよ。
「ほい、グッ、チョー」
そんな事を思いながら二戦目に入ろうとしたその時、
「あれ、ちょっと待って?」
貧乳が何かに気が付いたようにそれを遮った。
「・・・・・・はあ、何だよ」
俺が溜め息まじりに貧乳に聞き返すと、
「ペアについてなんだけど、何も絶対に二人一組じゃないといけないなんて事は無いんじゃない?」
・・・・・・。・・・・・・・・・・っ! こいつ、まさかっ!!
「ここの店主にもそんな事は言われて無いし、別に三人一緒でも問題は無いって事よね?」
「ちょっ、おまっ。何言って――」
「という訳で、あんた一人ね。私達は三人で一部屋使うから。はい決定ー」
「だから待っ――」
「わーいっ、ソフィーちゃんとミーナさんと一緒ーっ」
「いっぱ、い、お話、しましょう、ね?」
「さあ、今夜はエレナも一緒に新作について考えるわよーっ」
「あ・・・・・・、ちょ・・・・・・・・・・」
俺の制止空しくきゃっきゃっと騒ぎながら三人共一つの部屋へと入って行き、バタンと扉が閉められた。
「・・・・・・・・・・」
ポツン、とその場に残された俺は、ただただ呆然と立ち尽くす。
「あの~・・・・・・、お客様?」
「・・・・・・・・・・」
おそらく、一部始終を見ていたであろう店主の女性が気を遣って俺に声をかけてきてくれた。
「大丈夫です、か・・・・・・?」
そんな優しい店主に、俺は・・・・・・、
「・・・・・・すみません、ここで一番高いお酒、下さい。代金は明日支払いますので・・・・・・・・・・」
「・・・・・・わかりました。それと、御代は結構ですので・・・・・・」
そうして、俺は店主のご好意に甘え、一人寂しく一晩中飲み明かした・・・・・・。
「ん・・・・・・っ。もう朝、か・・・・・・ッ痛! あー、やべ飲み過ぎたぁ・・・・・・。頭がんがんする・・・・・・」
窓から入り込んでくる太陽の日差しで目を覚ました俺は、早速二日酔いという悪魔に襲われていた。
「ていうか、俺いつの間にベットに・・・・・・?」
記憶がすっかり吹っ飛ぶくらいに飲んでしまった所為で俺は思い出せないが、おそらくあの後、下の階で寝落ちてしまった俺を店主か誰かが部屋まで運んで寝かせてくれたのだろう。
何て親切な宿屋なんだ、ここは。
「とりあえず、下で水でも貰ってくるか・・・・・・」
そう言い、下の階に行くべく起き上がると、俺はある違和感に気が付いた。
「あれ、何でシーツが・・・・・・?」
そう、ついさっきまで被っていたシーツが未だ異様に膨れ上がっていたのだ。
「何だ・・・・・・?」
俺は恐る恐るそれに手を伸ばし、触れる。
・・・・・・ぷに。
「ぷに?」
何の感触か確かめる為、もう一度、更にもう一度とそれに触れる。
ぷに、ぷに・・・・・・。
「・・・・・・んっ」
「オーマイガっ!!」
勢い良くベットから飛び退き、距離をとった俺は、色々と整理する為、長考を始めた。
今の声、エレナ、だよな? どうしてエレナが俺のベッドに・・・・・・?
いや、逆か? 俺を運んでくれた人が間違えて・・・・・・、待てっ、それは無い!
この部屋の全体を見るに、俺とエレナ以外誰も居ない事からそれは証明される。
ではやはり、エレナが・・・・・・?
いやいや待て、落ち着け早川零時! 今はそんな事よりも、俺が触れていたあの感触の方が重要だ!
ぷにぷにとしたあの感触・・・・・・、可能性としたらおぱーいだが、お世辞にもエレナは胸が揉めるほど大きいとは言えない。
よって、おぱーいの線は消える・・・・・・。
だとしたら残るは・・・・・・、
「――――はっ!!」
その時、俺の脳裏にこれしかないという物が浮かび上がった。
あるっ、あるじゃないか! おぱーい以外にあのぷにぷにさを出せる唯一の所が!!
俺が触れていた所、その正体は・・・・・・っ。
――――おヒップっ!!
そうだ、それ以外考えられない・・・・・・っ!
ああぁぁぁ、この手におヒップが、エレナのおヒップがぁ・・・・・・っ。
「んんっ! 堪りません!!」
圧倒的煩悩!
そのおかげか、二日酔いなどというものは一気にどこかへ吹っ飛んでいった。
「よし・・・・・・」
俺はすーっと音も無くベットに近づき、シーツをそーっと捲る。
そして、まだ寝ているエレナを見つめ・・・・・・、
「・・・・・・倍プ○シュだ」
手をわきわきさせながらスケベ心全開で言い放った。
「止めんかこの阿呆がっ!!」
「――あでっ!」
いざ参らん! と思ったその刹那、知らぬ間に部屋に入って来ていたヴェルに後ろから殴られた。
「ヴェル、お前いつの間に・・・・・・」
「む、つい先程だ。ファフニールがエレナに例の薬を飲ませんといかんと申すので部屋に様子を見に行ってみれば、エレナの姿は無し。よもや、と思ってレイジの部屋を見に来てみれば・・・・・・。全く、お主は一体何をやっとるんだ」
「ヴェル・・・・・・。これは男の、いや、俺のプライドの問題なんだ。だから、止めないでくれないか・・・・・・?」
「そのようなカスみたいなプライドはさっさと捨ててしまえ」
真顔でヴェルにそう言われ、今回は大人しく引き下がる事に。
「はあ、そんじゃエレナがまだ寝てるうちに早いとこファフニールを呼びに行くか」
そう言いながら俺は部屋を出て、ヴェル達の部屋へと向かう。
「むっ、待てレイジっ! 今は!」
「ん?」
何やら後ろでヴェルが慌てた様子で叫んでいるが、俺達の借りる三部屋は全て隣同士で連なっている為、ヴェルが声を上げた頃にはもう既にヴェル達の部屋のドアノブに俺の手が触れていた訳で、
「ファフニール、入るぞー」
まあ良いか、と思い、ガチャリと扉を開け、中に入・・・・・・、
「はぁ、はぁ・・・・・・っ」
らずに俺は静かに扉を閉めた。
「むぅ、だから待てと言うたであろうに・・・・・・」
何だろう、中を覗いたら縄で全身ぐるぐる巻きにされて喜ぶすっげぇ気味の悪い奴が居たんですけど・・・・・・。
「・・・・・・なあ、ヴェル。何あれ?」
「む・・・・・・、まあその、何だ、察してくれ・・・・・・」
「・・・・・・了解」
俺はヴェルのその言葉だけで昨夜こいつ等に何があったのかを大体察し、それ以上は聞かない事にした。
「・・・・・・とりあえず、縄解いてやれよ」
俺は再度扉を開けながら、ヴェルにそう促すと、
「む・・・・・・、ああ、そうだな」
ヴェルはそう返答し、指をパチンと鳴らして縄を黒炎で焼き切った。
「あっ、はぁ・・・・・・っ」
「む、ファフニール、エレナはまだ起床しとらん故、早く行って例の薬とやらを飲ませてくるが良い」
「はぁ、はぁ、ヴェルガルドぉ・・・・・・」
――――ゾワッ!
よくはわからないが、ファフニールが言葉を発したその瞬間、全身にトリのハダさんが立った。
「む、どうしたのだ?」
ヴェルがそれに対しそう返事をすると、ファフニールはバッと自らの体を両腕で抱き締め、
「はぁ、はぁ・・・・・・っ。このプレイ、悪くない、わね・・・・・・っ」
「「・・・・・・・・・・」」
息を荒げ、顔を真っ赤にするファフニールに、俺達は数秒言葉を失った。
「はぁ、はぁ・・・・・・っ」
「・・・・・・レイジよ、昨晩の件だが・・・・・・」
「ああ、うん。ほんとごめん。反省してる・・・・・・」
俺はこの時ようやく、ヴェルの気持ちが少しわかった気がした・・・・・・。
*************************************
※この物語はフィクションです。この世界の設定ではお酒は十七歳から、という事にしてますので、皆はちゃんとお酒は二十歳になってからだぞっ! ←知らねぇよ(皆の気持ちを代弁)
~~~報告!!~~~
一章の一番下に、零時が下界へと落とされた後の天界アルカディア(貧乳視点)のちょっとしたお話を追加しておきましたので、よろしければ見てやって下さい!
「よし、じゃあいくぞぉ! グッ、チョーキ・・・・・・・・・・」
「「「「「「パッ!」」」」」」」
俺の掛け声に合わせ、全員がそれぞれグー、チョキ、パーのいずれかを選択し、出す。
ファフニール、チョキ。
ヴェル、チョキ。
ソフィーちゃん、グー。
貧乳、パー。
エレナ、グー。
俺・・・・・・・・・・、グー。
「・・・・・・・・・・ニヤ」
第一戦目、ヴェル・ファフニール、ペア確定。
「――――むぅ!?」
「きゃーっ! やったわ! ヴェルガルドと同室ゲットぉ!!」
「ちょ、おぉおおおぅいレイジ!! は、話が違うではないか! 共にチョキを出すと申しておったであろう!?」
グーを出した俺に対し、すっげぇ勢いで猛抗議をしてくるヴェル。
それもそのはずだ。言いだしっぺの俺が即行でその作戦を裏切ったのだから。
「一体これはどういう事なのだ!!」
「どういう事、だと・・・・・・?」
以前、問い詰めてくるヴェルに俺は、
「もしかしたら女の子(ソフィーちゃんかエレナちゃん)と同室になれるかもしれないんだぞ!? そんなチャンスを前に、男と同室になる、なんていう選択、この俺には一ミリたりとも最初から存在しねぇ!!」
思いっきり開き直った。
「――――謀りおったなこの煩悩まみれのエロ坊主めがぁあああああああああああ!!」
ふっ、何とでも言え。最早、誰にも我が覇道は止められないぜ!
(ちなみにファフニールには『念話』でチョキを出すよう開始前に指示を飛ばしました)
「さて、二戦目といこうか」
「ちょ、まっ、レイ――」
「さあヴェルガルドっ。今夜はあっつぅい夜にしましょう、ね?」
「えっ、あっ、いやっ! 誰か助け、あぁああああああああああっ!!」
ゲームを再開しようとした俺に何か言おうとしていたヴェルであったが、『愛(性欲)』という名の欲望を全開にしたファフニールによって三部屋の内の一部屋へと無理矢理引きずり込まれていった。
ヴェルよ、お前の犠牲は決して無駄にはしない・・・・・・っ!
「じゃあ始めるかー」
「は、いっ」
「うんっ」
「クズ以外でお願いします。クズ以外でお願いします。クズ以外でお願いします。ロリコン以外でお願いしますっ」
おいてめぇ。その名前、略すならせめてどっちかにしろ。
ていうか、俺もお前となんか絶対に嫌だよ。
「ほい、グッ、チョー」
そんな事を思いながら二戦目に入ろうとしたその時、
「あれ、ちょっと待って?」
貧乳が何かに気が付いたようにそれを遮った。
「・・・・・・はあ、何だよ」
俺が溜め息まじりに貧乳に聞き返すと、
「ペアについてなんだけど、何も絶対に二人一組じゃないといけないなんて事は無いんじゃない?」
・・・・・・。・・・・・・・・・・っ! こいつ、まさかっ!!
「ここの店主にもそんな事は言われて無いし、別に三人一緒でも問題は無いって事よね?」
「ちょっ、おまっ。何言って――」
「という訳で、あんた一人ね。私達は三人で一部屋使うから。はい決定ー」
「だから待っ――」
「わーいっ、ソフィーちゃんとミーナさんと一緒ーっ」
「いっぱ、い、お話、しましょう、ね?」
「さあ、今夜はエレナも一緒に新作について考えるわよーっ」
「あ・・・・・・、ちょ・・・・・・・・・・」
俺の制止空しくきゃっきゃっと騒ぎながら三人共一つの部屋へと入って行き、バタンと扉が閉められた。
「・・・・・・・・・・」
ポツン、とその場に残された俺は、ただただ呆然と立ち尽くす。
「あの~・・・・・・、お客様?」
「・・・・・・・・・・」
おそらく、一部始終を見ていたであろう店主の女性が気を遣って俺に声をかけてきてくれた。
「大丈夫です、か・・・・・・?」
そんな優しい店主に、俺は・・・・・・、
「・・・・・・すみません、ここで一番高いお酒、下さい。代金は明日支払いますので・・・・・・・・・・」
「・・・・・・わかりました。それと、御代は結構ですので・・・・・・」
そうして、俺は店主のご好意に甘え、一人寂しく一晩中飲み明かした・・・・・・。
「ん・・・・・・っ。もう朝、か・・・・・・ッ痛! あー、やべ飲み過ぎたぁ・・・・・・。頭がんがんする・・・・・・」
窓から入り込んでくる太陽の日差しで目を覚ました俺は、早速二日酔いという悪魔に襲われていた。
「ていうか、俺いつの間にベットに・・・・・・?」
記憶がすっかり吹っ飛ぶくらいに飲んでしまった所為で俺は思い出せないが、おそらくあの後、下の階で寝落ちてしまった俺を店主か誰かが部屋まで運んで寝かせてくれたのだろう。
何て親切な宿屋なんだ、ここは。
「とりあえず、下で水でも貰ってくるか・・・・・・」
そう言い、下の階に行くべく起き上がると、俺はある違和感に気が付いた。
「あれ、何でシーツが・・・・・・?」
そう、ついさっきまで被っていたシーツが未だ異様に膨れ上がっていたのだ。
「何だ・・・・・・?」
俺は恐る恐るそれに手を伸ばし、触れる。
・・・・・・ぷに。
「ぷに?」
何の感触か確かめる為、もう一度、更にもう一度とそれに触れる。
ぷに、ぷに・・・・・・。
「・・・・・・んっ」
「オーマイガっ!!」
勢い良くベットから飛び退き、距離をとった俺は、色々と整理する為、長考を始めた。
今の声、エレナ、だよな? どうしてエレナが俺のベッドに・・・・・・?
いや、逆か? 俺を運んでくれた人が間違えて・・・・・・、待てっ、それは無い!
この部屋の全体を見るに、俺とエレナ以外誰も居ない事からそれは証明される。
ではやはり、エレナが・・・・・・?
いやいや待て、落ち着け早川零時! 今はそんな事よりも、俺が触れていたあの感触の方が重要だ!
ぷにぷにとしたあの感触・・・・・・、可能性としたらおぱーいだが、お世辞にもエレナは胸が揉めるほど大きいとは言えない。
よって、おぱーいの線は消える・・・・・・。
だとしたら残るは・・・・・・、
「――――はっ!!」
その時、俺の脳裏にこれしかないという物が浮かび上がった。
あるっ、あるじゃないか! おぱーい以外にあのぷにぷにさを出せる唯一の所が!!
俺が触れていた所、その正体は・・・・・・っ。
――――おヒップっ!!
そうだ、それ以外考えられない・・・・・・っ!
ああぁぁぁ、この手におヒップが、エレナのおヒップがぁ・・・・・・っ。
「んんっ! 堪りません!!」
圧倒的煩悩!
そのおかげか、二日酔いなどというものは一気にどこかへ吹っ飛んでいった。
「よし・・・・・・」
俺はすーっと音も無くベットに近づき、シーツをそーっと捲る。
そして、まだ寝ているエレナを見つめ・・・・・・、
「・・・・・・倍プ○シュだ」
手をわきわきさせながらスケベ心全開で言い放った。
「止めんかこの阿呆がっ!!」
「――あでっ!」
いざ参らん! と思ったその刹那、知らぬ間に部屋に入って来ていたヴェルに後ろから殴られた。
「ヴェル、お前いつの間に・・・・・・」
「む、つい先程だ。ファフニールがエレナに例の薬を飲ませんといかんと申すので部屋に様子を見に行ってみれば、エレナの姿は無し。よもや、と思ってレイジの部屋を見に来てみれば・・・・・・。全く、お主は一体何をやっとるんだ」
「ヴェル・・・・・・。これは男の、いや、俺のプライドの問題なんだ。だから、止めないでくれないか・・・・・・?」
「そのようなカスみたいなプライドはさっさと捨ててしまえ」
真顔でヴェルにそう言われ、今回は大人しく引き下がる事に。
「はあ、そんじゃエレナがまだ寝てるうちに早いとこファフニールを呼びに行くか」
そう言いながら俺は部屋を出て、ヴェル達の部屋へと向かう。
「むっ、待てレイジっ! 今は!」
「ん?」
何やら後ろでヴェルが慌てた様子で叫んでいるが、俺達の借りる三部屋は全て隣同士で連なっている為、ヴェルが声を上げた頃にはもう既にヴェル達の部屋のドアノブに俺の手が触れていた訳で、
「ファフニール、入るぞー」
まあ良いか、と思い、ガチャリと扉を開け、中に入・・・・・・、
「はぁ、はぁ・・・・・・っ」
らずに俺は静かに扉を閉めた。
「むぅ、だから待てと言うたであろうに・・・・・・」
何だろう、中を覗いたら縄で全身ぐるぐる巻きにされて喜ぶすっげぇ気味の悪い奴が居たんですけど・・・・・・。
「・・・・・・なあ、ヴェル。何あれ?」
「む・・・・・・、まあその、何だ、察してくれ・・・・・・」
「・・・・・・了解」
俺はヴェルのその言葉だけで昨夜こいつ等に何があったのかを大体察し、それ以上は聞かない事にした。
「・・・・・・とりあえず、縄解いてやれよ」
俺は再度扉を開けながら、ヴェルにそう促すと、
「む・・・・・・、ああ、そうだな」
ヴェルはそう返答し、指をパチンと鳴らして縄を黒炎で焼き切った。
「あっ、はぁ・・・・・・っ」
「む、ファフニール、エレナはまだ起床しとらん故、早く行って例の薬とやらを飲ませてくるが良い」
「はぁ、はぁ、ヴェルガルドぉ・・・・・・」
――――ゾワッ!
よくはわからないが、ファフニールが言葉を発したその瞬間、全身にトリのハダさんが立った。
「む、どうしたのだ?」
ヴェルがそれに対しそう返事をすると、ファフニールはバッと自らの体を両腕で抱き締め、
「はぁ、はぁ・・・・・・っ。このプレイ、悪くない、わね・・・・・・っ」
「「・・・・・・・・・・」」
息を荒げ、顔を真っ赤にするファフニールに、俺達は数秒言葉を失った。
「はぁ、はぁ・・・・・・っ」
「・・・・・・レイジよ、昨晩の件だが・・・・・・」
「ああ、うん。ほんとごめん。反省してる・・・・・・」
俺はこの時ようやく、ヴェルの気持ちが少しわかった気がした・・・・・・。
*************************************
※この物語はフィクションです。この世界の設定ではお酒は十七歳から、という事にしてますので、皆はちゃんとお酒は二十歳になってからだぞっ! ←知らねぇよ(皆の気持ちを代弁)
~~~報告!!~~~
一章の一番下に、零時が下界へと落とされた後の天界アルカディア(貧乳視点)のちょっとしたお話を追加しておきましたので、よろしければ見てやって下さい!
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