うん、異世界!

ダラックマ

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四章

おさらい、だと思ったのならそれは大間違いだ!

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 『神滅級アルス・マグナ』――

 神をも脅かす事ができる魔法。それは、全魔法の頂点に君臨する階級。

 『火』、『水』、『地』、『風』、『光』、『闇』。

 この星を創造した神が各属性ごとにただ一人、神滅級アルス・マグナという究極の魔法を与えた。

 与えられた者は『選ばれし者』と呼ばれ、世界や同種族を守る為、代々、その特別な力をふるってきたという。

 そして、神滅級アルス・マグナの使い手が死亡した場合、次の相応しい使い手が現れるまで、その力は眠りにつく。

 俺が今現在神滅級アルス・マグナについて知っている情報はこれだけだ。

 しかし、俺達の目の前でその情報と一致しない異例の事態が起きた。

 二人目の、同系統の神滅級アルス・マグナの使い手の出現。

 俺はここに来てまだ日が浅い、故にこの世界についてまだわからない事の方が多いが、大昔にあったという大戦時以前から生きているヴェルのあの驚きようと、あの口ぶりからしてこんな事態は今までに無かったという事、それだけはわかった。
 
 ・・・・・・さて、前回についての長々としたおさらいはここまでにしておこうか。

 何故ならば、今俺とヴェルはファフニールから告げられた衝撃の事実の事でそれどころではなかったからだ・・・・・・。

「ヴェ、ヴェル! ケツを、俺達のヴァージンの守りを!!」

「むっ! こ、心得ておる、レイジ!!」

 バッ、と再び背中合わせになる俺達。

 あぶねぇ! 忘れていた!!

 いくら町外れとは言っても、ここはまだ奴等ホモ亡霊が居座る町の中!! 一度退いたとはいえ、次にいつどこからあの悪魔達が現れるかわからねぇからな!!

 そして、その状態のまま俺はファフニールに尋ねた。

「な、なあ、一応聞いておきたいんだが・・・・・・」

「ええ、何?」

「あのホモ亡霊達がこいつ等を殺ったっていう話なんだけどさ、一体、どういう手口で・・・・・・」

「ああ、それ? ・・・・・・気になる?」

 ファフニールの含みを持たせたその言い方にゾワッ、と全身に悪寒が走る。(特にケツ)

「あ・・・・・・。いや、やっぱ良いっす」

「あら、そう?」

 だってもうその言い方だけでどんな手口を使ったのか、わかっちまったからな・・・・・・。

「てか、あいつ等ホモ亡霊のあっち方面の戦闘力たっけぇなおい・・・・・・」

「まあね、これだけの人数を自殺に追いやるくらいだものね」

 その言葉に俺はピクリと反応する。

「え、自殺? それってどういう意味だ?」

「どうもこうも、おそらくあの亡霊達の所為で精神的にかなり追い込まれたんでしょうね。最後は私が不意に毒を吐き出すタイミングを見計らって自分達からその毒に飛び込んで来たのよ」

「・・・・・・はい?」

 え、それやばくね?

 そこまで追い詰められるって、何をどうされたらそんな思考になるんだよ・・・・・・。

 確かに、同じ男としてそんな目に合った日には死にたくなる気持ちはわかるけどさ・・・・・・。

「まあでも、このクズ共も運が悪かったわね。私に喧嘩をふっかけてさえ来なければ、こうはならなかったでしょうに」

「――ん? 今何つった?」

「え? だから身の程知らずにも私に向かって来たこのクズ共を麻痺毒で動けなくして嬲って遊んでいたら、あの亡霊達がわらわらと湧いて来たのよ。で、この有様って訳」

 おまわりさ――――んっ!! やっぱりこいつが犯人でした――――――――っっ!!
 
「それに、それの所為か知らないけれど、亡霊達からは何か感謝されて姉さんとか呼ばれているし・・・・・・」

 うん! だってあいつ等ホモ亡霊からするとあんたはすっげぇ贈り物を用意した訳だしね! そら慕われるわ!

「む、そうかそうか。お主が自ら手を下した訳では無いのなら、我はもうこれ以上何も言うまい」

 はいヴェルさんストップぅ! 今の話ちゃんと聞いてたの? これはもうこいつが手を下したに等しいレベルだよ!?

「不可抗力よ、不可抗力」

 ――っておぉい、さり気に心を読むんじゃありません。

 ていうか、ちょっとこの世界には読心術を使える奴が多すぎじゃないのかな?

「あなたがわかりやすいだけよ」

「わーお(わーお)」

「最早声に出てるわよ」

 ぐ・・・・・・っ。ど、どうやら、俺はすぐ顔? に出てしまうタイプらしい。

 くそっ、秘め事の一つや二つ持ちたい年頃なのに、これじゃ隠し事をしたくても出来ないじゃあないか!!

「ぐぬぬぬ・・・・・・っ」

「まあレイジが何を考えているのかはさておき、これで誤解は解けたかしら? ヴェルガルド」

「む、ああ。お主が『人種』を多数殺めていると耳にした時はどうしたものかと思ったがな」

「全く、どこからそんな出鱈目な噂が流れたのかしらね。本当迷惑だわ」

「いや、その噂、あながち間違ってはいないと思うが・・・・・・」

「・・・・・・何か言った?」

「いえ! 何でもございません、姉さん!!」

「そ?」

 口ではその一言だけであったが、ファフニールの俺を見る目は確実に『余計な事を言えば、わかっているわよね? 召喚するわよ?』と言っていたので、俺は自分の純潔を守り抜く為にここは素直に従う事にした。

「さて、と。それで、ヴェルガルド達はこれからどうするの?」

 唐突にそんな事を聞いてくるファフニール。

「む。どう、とは?」

「ほら、私の件については、結局誤解だった、で話がついたじゃない? だからこれからどうするのかなーって思ってね」

 ファフニールは続けて言った。

「それにこの町に来たのも、私が目的だったんでしょ?」
 
「む、確かにそうだが・・・・・・」

「はれ? 私が目的? 本当に?」

 おそらく冗談で言ったであろう事に対し、ヴェルが肯定をした途端、急にもじもじとし始めたファフニール。そして、

「いやっだもーっ! ヴェルガルドのスっケベぇー!」

「――――ぶほぉっっ!!」

 バッチーンッ、とヴェルの顔面に思いっきり平手打ちが炸裂した。

「――――何故!?」

 どうして自分はいきなり殴られたのか、すぐにその理由を尋ねるヴェル。

 しかし、ヴェルの声が聞こえていないのか、殴った当の本人はきゃーきゃー、と喜びの感情をあらわにして、その場でぴょんぴょん飛び跳ねていた。

「・・・・・・レイジよ。何故我はこのような理不尽な仕打ちを受けねばならぬのだ・・・・・・?」

 その姿を見たヴェルは、隣に居た俺にその話を振ってくる。

「まあ何だ・・・・・・、頑張れよヴェル」

「――何故そこで応援!?」

 だってこの世界の連中は皆あんな感じだしな。仕方が無いじゃないの。

 あ、勿論お前も含んでるぞ? フラワーモンスター?

「ああ、我って一体・・・・・・」

 と、そんな事をぼやきながら天井を見上げるヴェルを横目に、

「で、これから俺達がどうするか、だったな」

 未だ舞い上がっているファフニールにそう返す俺。

「え、ええ」

 そうだな、俺としてはこの魔境の地から一刻も早く離れたい気持ちではあるのだが、次の方針をまだ決めていなかったな。

 俺が悩んでいると、後ろで貧乳を介抱していたソフィーちゃんがある提案を出してきた。

「あ、あのあの、まだ決めていない、ご様子、なのでしたら、ここからそう遠くない所、に、『人種』の王国がある、ので、そちらに、向かうのはいかが、でしょうか?」

「王国?」

「はい、私達、も、あの子がどうして黒炎、を操れるのか、理由を探さないといけない、ので。そういう大きな国、な方が、何か手掛かりがあるのでは、ないか、と」

 王国、か。確か、リニスの国も近くにあるって言ってたな。

「あ、す、すみま、せん。自分勝手、な事を・・・・・・」

「あー、いや、別にそれに反対って訳じゃないんだけど。ちなみにその王国って何て名前の国なの?」

 明らかにしゅんとなるソフィーちゃんにそう返す俺。

「えと、エスタニア、王国、だったと思い、ます」

「エスタニア、か・・・・・・」

 やっぱり、その王国っていうのはリニスの国の事だったのか。なら、俺としてもリニスとの約束もあるし、反対する理由はねぇな。
 
 俺がそう考えていると、ヴェルが横からこう付け加えてきた。

「む、それには賛成だ。レイジもこの世界の情報が欲しいと申しておったし、流石に我が知る知識だけでは限界があろうしな」

「よし、じゃあ決まりだな」

 そうして、俺達の次に向かう先は〈エスタニア王国〉に決まった。

*************************************

 二、三話くらいまで続いたシリアス多目の真面目な話でしたが、ギャグ回をお望みの方、お待たせ致しました!!

 次回からは「王国編」へと入ります!

 ご希望のギャグというギャグに添えるかはわかりませんが、色々とぶっ込んでいこうかとは思いますのでこれからも「うん、異世界!」を宜しくお願いします!

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