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三章
さあ、行こうか
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発動した『魔力感知』は、百、二百、三百と順調に範囲を拡大していく。
そして魔法側の魔力感知では最大範囲とされた一キロという数字を、俺の固有スキル〈異能力無限付加〉で付加した『魔力感知』は、ほんの数秒で超してしまった。
「・・・・・よしっ」
そのまま拡大させつつ、『魔力感知』の網に掛かる魔力一つ一つに意識を集中し、あの『愛』という魔力の形を探す。
さあ、どこに居る・・・・・・・・・・っ!
その時、『魔力感知』の範囲が五キロと少し拡大したところで、今まで網にかかったどの奴等よりも一際でかい魔力を捉えた。
もしや、と思った俺はその大きい魔力にのみ意識を集中させる。すると、
「・・・・・・・・・・ビンゴ」
それは紛れも無い、『愛』という魔力の形だった。
目標を発見した俺は察知されないよう『魔力感知』を解き、吉報を知らせるべく、ヴェル達の居る所へ戻った。
「・・・・・・よっ、と」
「むっ、どうであった、レイジ!」
結果を早く知りたい、と言ったような感じで食い気味に聞いてくるヴェル。
「「・・・・・・・・・・」」
そのヴェルの後ろでは貧乳とソフィーちゃんが黙って俺の報告を待っていた。
そんな三人に対し、俺はニッと笑い、言った。
「ミッションクリアだ」
「むっ、・・・・・・礼を言うレイジ。流石は我の主人であるな」
「良くやったわ最低クズロリコン野郎。で、白竜の魔力を捉えたのはどの辺りなの?」
褒めてるのか貶してるのかどっちなんだよそれ。
「ここからあっちの方角へ五キロちょっと行った所で反応があったよ」
そう言い俺は自分の真後ろの方角を指差した。
「む、その方角には確か・・・・・・」
「ゲ、イム、という、町があったはず、です、ね」
はい? ゲーム?
「ゲイム・・・・・、なるほど、確かにあそこなら隠れるのにはもってこいの場所ね」
「それはどういう意味なんだ?」
「む、昔は活気溢れる良い町であったのだが、三十年前に起きた天変地異により現在は別名亡者の町と呼ばれ、誰も寄り付かぬようになったのだ。故に、隠れ家にするのであれば最適という訳なのだ」
・・・・・・・・・・亡者の町? 何だろう、すっげぇ行くの嫌になってきたんですけど。
「出来るのであれば、我もあの地だけは避けたかったのだが・・・・・・・・・・」
えぇっ!? 竜神やら言われてるあのヴェルまでもが行くのを躊躇うレベルの場所なの!?
「な、なあ、そこまで言うんだったら別に無理して行かなくても良いんじゃないかと思うんだが・・・・・・。ほら、白竜がそこから移動するのを待ってからでも遅くは、・・・・・・って、お前等は何か普通だな」
ヴェルが顔を青くして嫌がっているのに対し、何故か貧乳とソフィーちゃんは涼しい顔をしていた。
「えっ? いやほら、だって、ねぇ?」
「あ、あのあの、私達、にとっては、そこまで危険、という、場所でも、ない、ので」
「・・・・・・・・・・」
そんな二人に異様な不自然さを感じた俺は、
「おい、何を隠してる?」
「な、何も隠してなんていないわよ?」
「――コクコクコクっ」
その必死な感じが逆に怪しいんだが。
「そ、それよりも、そこに居るっていうのがわかっているのならすぐに行くべきよ! 私達は例のイレギュラーも見つけないといけないんだから、そんな悠長な事はしてられないわ!」
「――コクコクコクコクコクコクっ」
その件について貧乳が必死なのはわかるんだが、どうしてソフィーちゃんまでもがそんなに必死に?
「む、そう、であるな。我の厄介事に私情でこれ以上時間を掛ける訳にもいかぬだろうしな。よし、早急に向かうとするとしよう」
「・・・・・・すげぇ嫌な予感しかしねぇけど、まあ白竜が移動するっていう確証もねぇし、仕方ねぇか」
「あら、案外素直じゃない。もっとごねるかと思ってたわ」
「少し前にぴーぴー喚いてた誰かさんとは違うんでな」
「なっ、あれは・・・・・・っ」
すると、ソフィーちゃんがそんな俺と貧乳の袖を同時にクイクイっ、と引っ張り、
「あ、あの、時間、あまり、ありません、ので」
「ああ、そうだな、日が落ちる前にさっさと終わらせるか」
「む、では少女等は我の背に乗ると良い」
そう言いヴェルが俺達から少し離れ、人型から元に戻ろうとしたが、
「あ、それには及びません。私達はこれでも天界アルカディア聖騎士の一員です。飛行魔法の心得くらいはありますので、ご心配なく」
「む、そうか。それは差し出がましい事をしてしまった」
「いえ、その寛大な・・・・・・、って何よ?」
じ~っと冷たい視線を送っていた俺とソフィーちゃんに気付いたのか、貧乳はああん? といったような感じで俺達にその視線の意味を問いかける。
「いや、猫被んのは良いけどさ、早くしてくんねぇ?」
「べ、別に被ってないわよ! 失礼ね!」
「え、それ今更否定すんの? もう手遅れだから諦めろって」
「む、もう止めぬか・・・・・・・・・・。そろそろ行くぞ二人共」
ギャースカ言い争いをする俺達にヴェルは呆れ顔でそう言うと、背中から羽だけを出した。
「く・・・・・・っ、今日のところはこれくらいにしておいてあげるわ! 竜神様に感謝しなさいよね!」
「はいはい。んじゃヴェル、その亡者の町って所まで案内してくれ」
「む、了解した」
そうして、俺達四人はゲイムという別名亡者の町へと向かうべく、上空へと一斉に飛び立った。
そして魔法側の魔力感知では最大範囲とされた一キロという数字を、俺の固有スキル〈異能力無限付加〉で付加した『魔力感知』は、ほんの数秒で超してしまった。
「・・・・・よしっ」
そのまま拡大させつつ、『魔力感知』の網に掛かる魔力一つ一つに意識を集中し、あの『愛』という魔力の形を探す。
さあ、どこに居る・・・・・・・・・・っ!
その時、『魔力感知』の範囲が五キロと少し拡大したところで、今まで網にかかったどの奴等よりも一際でかい魔力を捉えた。
もしや、と思った俺はその大きい魔力にのみ意識を集中させる。すると、
「・・・・・・・・・・ビンゴ」
それは紛れも無い、『愛』という魔力の形だった。
目標を発見した俺は察知されないよう『魔力感知』を解き、吉報を知らせるべく、ヴェル達の居る所へ戻った。
「・・・・・・よっ、と」
「むっ、どうであった、レイジ!」
結果を早く知りたい、と言ったような感じで食い気味に聞いてくるヴェル。
「「・・・・・・・・・・」」
そのヴェルの後ろでは貧乳とソフィーちゃんが黙って俺の報告を待っていた。
そんな三人に対し、俺はニッと笑い、言った。
「ミッションクリアだ」
「むっ、・・・・・・礼を言うレイジ。流石は我の主人であるな」
「良くやったわ最低クズロリコン野郎。で、白竜の魔力を捉えたのはどの辺りなの?」
褒めてるのか貶してるのかどっちなんだよそれ。
「ここからあっちの方角へ五キロちょっと行った所で反応があったよ」
そう言い俺は自分の真後ろの方角を指差した。
「む、その方角には確か・・・・・・」
「ゲ、イム、という、町があったはず、です、ね」
はい? ゲーム?
「ゲイム・・・・・、なるほど、確かにあそこなら隠れるのにはもってこいの場所ね」
「それはどういう意味なんだ?」
「む、昔は活気溢れる良い町であったのだが、三十年前に起きた天変地異により現在は別名亡者の町と呼ばれ、誰も寄り付かぬようになったのだ。故に、隠れ家にするのであれば最適という訳なのだ」
・・・・・・・・・・亡者の町? 何だろう、すっげぇ行くの嫌になってきたんですけど。
「出来るのであれば、我もあの地だけは避けたかったのだが・・・・・・・・・・」
えぇっ!? 竜神やら言われてるあのヴェルまでもが行くのを躊躇うレベルの場所なの!?
「な、なあ、そこまで言うんだったら別に無理して行かなくても良いんじゃないかと思うんだが・・・・・・。ほら、白竜がそこから移動するのを待ってからでも遅くは、・・・・・・って、お前等は何か普通だな」
ヴェルが顔を青くして嫌がっているのに対し、何故か貧乳とソフィーちゃんは涼しい顔をしていた。
「えっ? いやほら、だって、ねぇ?」
「あ、あのあの、私達、にとっては、そこまで危険、という、場所でも、ない、ので」
「・・・・・・・・・・」
そんな二人に異様な不自然さを感じた俺は、
「おい、何を隠してる?」
「な、何も隠してなんていないわよ?」
「――コクコクコクっ」
その必死な感じが逆に怪しいんだが。
「そ、それよりも、そこに居るっていうのがわかっているのならすぐに行くべきよ! 私達は例のイレギュラーも見つけないといけないんだから、そんな悠長な事はしてられないわ!」
「――コクコクコクコクコクコクっ」
その件について貧乳が必死なのはわかるんだが、どうしてソフィーちゃんまでもがそんなに必死に?
「む、そう、であるな。我の厄介事に私情でこれ以上時間を掛ける訳にもいかぬだろうしな。よし、早急に向かうとするとしよう」
「・・・・・・すげぇ嫌な予感しかしねぇけど、まあ白竜が移動するっていう確証もねぇし、仕方ねぇか」
「あら、案外素直じゃない。もっとごねるかと思ってたわ」
「少し前にぴーぴー喚いてた誰かさんとは違うんでな」
「なっ、あれは・・・・・・っ」
すると、ソフィーちゃんがそんな俺と貧乳の袖を同時にクイクイっ、と引っ張り、
「あ、あの、時間、あまり、ありません、ので」
「ああ、そうだな、日が落ちる前にさっさと終わらせるか」
「む、では少女等は我の背に乗ると良い」
そう言いヴェルが俺達から少し離れ、人型から元に戻ろうとしたが、
「あ、それには及びません。私達はこれでも天界アルカディア聖騎士の一員です。飛行魔法の心得くらいはありますので、ご心配なく」
「む、そうか。それは差し出がましい事をしてしまった」
「いえ、その寛大な・・・・・・、って何よ?」
じ~っと冷たい視線を送っていた俺とソフィーちゃんに気付いたのか、貧乳はああん? といったような感じで俺達にその視線の意味を問いかける。
「いや、猫被んのは良いけどさ、早くしてくんねぇ?」
「べ、別に被ってないわよ! 失礼ね!」
「え、それ今更否定すんの? もう手遅れだから諦めろって」
「む、もう止めぬか・・・・・・・・・・。そろそろ行くぞ二人共」
ギャースカ言い争いをする俺達にヴェルは呆れ顔でそう言うと、背中から羽だけを出した。
「く・・・・・・っ、今日のところはこれくらいにしておいてあげるわ! 竜神様に感謝しなさいよね!」
「はいはい。んじゃヴェル、その亡者の町って所まで案内してくれ」
「む、了解した」
そうして、俺達四人はゲイムという別名亡者の町へと向かうべく、上空へと一斉に飛び立った。
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