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三章
契約その2
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「すまん。俺とした事が、完璧に理性を失っていた」
「・・・・・・よくもまあ飽きもせず、あんなにも触り続けていられたな」
何を言う、あの角ならば、たとえ何時間でも余裕で触っていられる自信しか無いぞ。
それにしても・・・・・・、あの角欲しいな。
「やらんぞ?」
「まだ、何も言ってないぞ?」
「少年の視線の先を見ていれば、嫌でもわかる」
ふむ、貰えないのか。
まあ、今後からは逐一触らせてもらえば良いだけの話だし、今はそれで良しとするか。
「む、では再開するとしよう。ほれ、もう一度我の角を掴むのだ」
「はいよ。・・・・・・っし、これで良いか?」
ガシッと片方の角を両手で掴み、確認をとる。
あ、やっぱ、良いな・・・・・・。
「うむ。おっと、その前に少年の名は何と申すのだ?」
「ん? 俺は零時だ」
俺が名乗った後、続くように黒竜も名乗った。
「レイジか。では、我も名乗ろう。我が名は、竜神族の現長にして、『竜種』全てを収める者」
――――ん?
「名を、ヴェルガルド・バハムート」
んんんんんんんっっ!?
「レイジ、主となりし者よ。我を欲すると申すのであれば、我の名を呼ぶが良い」
バハムートって、あのバハムートさんっすか!?
しかも、『竜種』全てを収めるって・・・・・・、マジハンパ無いってえぇえええ!!
「む、どうかしたか、レイジ」
衝撃過ぎる事実に口をあんぐり開けながらその場で固まっている俺を見て、黒竜がそう尋ねてくる。
「・・・・・・あ、え、いや何でも」
今すぐにでも色々と問い質したいところではあったが、それだとまた契約の進行がストップしてしまうと思った俺は、ぐっとそれを堪え、こちらに集中する事にした。
「・・・・・・な、名前を呼ぶだけで良いのか?」
「名を呼んだ後に、我が魔力を流し込む。それに合わせて、レイジも魔力を流し込め」
「わかった・・・・・・」
・・・・・・。魔力を流し込むって、どうやるんだ?
こんな、感じか・・・・・・?
すると、紫色に手が淡く光りだした。
「だああっ! 早い早いっ! 我が先に流すと言ったであろうっ!」
「お、おぉ、すまん」
「全く・・・・・・。では、もう一度いくぞ」
そして、ヴェルガルドが契約を再開する。
「レイジ、主となりし者よ。我を欲すると申すのであれば、我の名を呼ぶが良い」
・・・・・・。名前を、呼ぶ。
「ヴェルガルド・バハムート・・・・・・っ」
「いくぞっ、レイジっ!」
その瞬間、魔法陣が足元に出現し、同時に俺に膨大な魔力が流れ込んできた。
「――――っ! ああああああっっ!!」
なっ、何だ、この濃さは・・・・・・・・・・っ!
量は別に問題じゃねぇが、これは・・・・・・っ。
「何をしておるのだレイジっ! 早くレイジも魔力を流せっ!」
・・・・・・魔力を、流、す・・・・・・っ!
「ぅ・・・・・・、おおおおおおおおっっ!!」
「そうだっ、それで良い!」
そして俺は、言われるがまま、魔力を流し続ける。
「ハハハッ、正直驚いたぞっ! 少年のあの言葉は偽りでは無かったという事か!」
「おおおおおっ! ――――ん?」
「どうかしたか、レイジ」
「・・・・・・いや何か、うっぷ・・・・・・っ」
どうしよう・・・・・・。すっげぇ、気持ち悪い・・・・・・。
「やばい、吐きそう・・・・・・」
「むっ、はいっ!? 何故吐きそうなのかは知らんが、もう少しだけ耐えてくれっ!! 頼む!!」
あー、これはあれだ・・・・・・。
濃い物ばかりを食べ過ぎた後に来る、気持ちの悪さだ・・・・・・。
こいつの魔力はあれか? 油でまみれたスープか何かで出来てんのか・・・・・・?
「・・・・・・。まだ、か・・・・・・?」
「も、もうちょいっ、もうちょいだから、今吐くのはやめてくれぇっ!!」
あ、やばい・・・・・・。俺の迷える混沌が、もう既に喉まで「こんにちわ」ってしちゃってる・・・・・・。
もうすぐ限界に達しようとした時、足元に展開されていた魔法陣が消え、俺の手の甲にある紋章が浮かび上がった。
あ、何だろう、この紋章・・・・・・。
――って! そんな事よりっ!!
「終わったぞっ、そこの隅で良いから、行けっ!!」
――――ダッ!
俺は走った・・・・・・。一心不乱に、ただ、目の前のゴールを目指して・・・・・・。
あと少し、あと少しでゴールテープを切れるっ。
頑張れっ、そうだ、負けないでっお――――
「れぇうおええええええええええええええっっ!!」
・・・・・・。うん、無理なもんは無理っ。
「はぁ・・・・・・。まさか、そこで限界を迎えるとは・・・・・・」
・・・・・全部出た。腹の中にあった物、全部出た。
俺の唯一のエネルギー源が全て放出されたぜ。
でも何だろう、凄くスッキリした・・・・・・。
「ふぅ・・・・・・」
「無事だったかレイジ。契約の方も無事完了したぞ。まさか、本当に我との契約を成し遂げてしまうとはな。全く、レイジには驚かされてばかりだ」
「・・・・・・なあ、ヴェルガルド」
「何だ? どうかしたのか、レイジ」
俺は使い魔となったヴェルガルドに、重要な事を伝えた。
「・・・・・・。何か食べられる物を、下さい・・・・・・」
そして俺はそれだけ言って、その場に盛大にぶっ倒れた。
「おぉいっ! レイジっ!? しっかりせんかっ、レイジぃいいっ!!」
「・・・・・・よくもまあ飽きもせず、あんなにも触り続けていられたな」
何を言う、あの角ならば、たとえ何時間でも余裕で触っていられる自信しか無いぞ。
それにしても・・・・・・、あの角欲しいな。
「やらんぞ?」
「まだ、何も言ってないぞ?」
「少年の視線の先を見ていれば、嫌でもわかる」
ふむ、貰えないのか。
まあ、今後からは逐一触らせてもらえば良いだけの話だし、今はそれで良しとするか。
「む、では再開するとしよう。ほれ、もう一度我の角を掴むのだ」
「はいよ。・・・・・・っし、これで良いか?」
ガシッと片方の角を両手で掴み、確認をとる。
あ、やっぱ、良いな・・・・・・。
「うむ。おっと、その前に少年の名は何と申すのだ?」
「ん? 俺は零時だ」
俺が名乗った後、続くように黒竜も名乗った。
「レイジか。では、我も名乗ろう。我が名は、竜神族の現長にして、『竜種』全てを収める者」
――――ん?
「名を、ヴェルガルド・バハムート」
んんんんんんんっっ!?
「レイジ、主となりし者よ。我を欲すると申すのであれば、我の名を呼ぶが良い」
バハムートって、あのバハムートさんっすか!?
しかも、『竜種』全てを収めるって・・・・・・、マジハンパ無いってえぇえええ!!
「む、どうかしたか、レイジ」
衝撃過ぎる事実に口をあんぐり開けながらその場で固まっている俺を見て、黒竜がそう尋ねてくる。
「・・・・・・あ、え、いや何でも」
今すぐにでも色々と問い質したいところではあったが、それだとまた契約の進行がストップしてしまうと思った俺は、ぐっとそれを堪え、こちらに集中する事にした。
「・・・・・・な、名前を呼ぶだけで良いのか?」
「名を呼んだ後に、我が魔力を流し込む。それに合わせて、レイジも魔力を流し込め」
「わかった・・・・・・」
・・・・・・。魔力を流し込むって、どうやるんだ?
こんな、感じか・・・・・・?
すると、紫色に手が淡く光りだした。
「だああっ! 早い早いっ! 我が先に流すと言ったであろうっ!」
「お、おぉ、すまん」
「全く・・・・・・。では、もう一度いくぞ」
そして、ヴェルガルドが契約を再開する。
「レイジ、主となりし者よ。我を欲すると申すのであれば、我の名を呼ぶが良い」
・・・・・・。名前を、呼ぶ。
「ヴェルガルド・バハムート・・・・・・っ」
「いくぞっ、レイジっ!」
その瞬間、魔法陣が足元に出現し、同時に俺に膨大な魔力が流れ込んできた。
「――――っ! ああああああっっ!!」
なっ、何だ、この濃さは・・・・・・・・・・っ!
量は別に問題じゃねぇが、これは・・・・・・っ。
「何をしておるのだレイジっ! 早くレイジも魔力を流せっ!」
・・・・・・魔力を、流、す・・・・・・っ!
「ぅ・・・・・・、おおおおおおおおっっ!!」
「そうだっ、それで良い!」
そして俺は、言われるがまま、魔力を流し続ける。
「ハハハッ、正直驚いたぞっ! 少年のあの言葉は偽りでは無かったという事か!」
「おおおおおっ! ――――ん?」
「どうかしたか、レイジ」
「・・・・・・いや何か、うっぷ・・・・・・っ」
どうしよう・・・・・・。すっげぇ、気持ち悪い・・・・・・。
「やばい、吐きそう・・・・・・」
「むっ、はいっ!? 何故吐きそうなのかは知らんが、もう少しだけ耐えてくれっ!! 頼む!!」
あー、これはあれだ・・・・・・。
濃い物ばかりを食べ過ぎた後に来る、気持ちの悪さだ・・・・・・。
こいつの魔力はあれか? 油でまみれたスープか何かで出来てんのか・・・・・・?
「・・・・・・。まだ、か・・・・・・?」
「も、もうちょいっ、もうちょいだから、今吐くのはやめてくれぇっ!!」
あ、やばい・・・・・・。俺の迷える混沌が、もう既に喉まで「こんにちわ」ってしちゃってる・・・・・・。
もうすぐ限界に達しようとした時、足元に展開されていた魔法陣が消え、俺の手の甲にある紋章が浮かび上がった。
あ、何だろう、この紋章・・・・・・。
――って! そんな事よりっ!!
「終わったぞっ、そこの隅で良いから、行けっ!!」
――――ダッ!
俺は走った・・・・・・。一心不乱に、ただ、目の前のゴールを目指して・・・・・・。
あと少し、あと少しでゴールテープを切れるっ。
頑張れっ、そうだ、負けないでっお――――
「れぇうおええええええええええええええっっ!!」
・・・・・・。うん、無理なもんは無理っ。
「はぁ・・・・・・。まさか、そこで限界を迎えるとは・・・・・・」
・・・・・全部出た。腹の中にあった物、全部出た。
俺の唯一のエネルギー源が全て放出されたぜ。
でも何だろう、凄くスッキリした・・・・・・。
「ふぅ・・・・・・」
「無事だったかレイジ。契約の方も無事完了したぞ。まさか、本当に我との契約を成し遂げてしまうとはな。全く、レイジには驚かされてばかりだ」
「・・・・・・なあ、ヴェルガルド」
「何だ? どうかしたのか、レイジ」
俺は使い魔となったヴェルガルドに、重要な事を伝えた。
「・・・・・・。何か食べられる物を、下さい・・・・・・」
そして俺はそれだけ言って、その場に盛大にぶっ倒れた。
「おぉいっ! レイジっ!? しっかりせんかっ、レイジぃいいっ!!」
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