23 / 77
三章
契約その2
しおりを挟む
「すまん。俺とした事が、完璧に理性を失っていた」
「・・・・・・よくもまあ飽きもせず、あんなにも触り続けていられたな」
何を言う、あの角ならば、たとえ何時間でも余裕で触っていられる自信しか無いぞ。
それにしても・・・・・・、あの角欲しいな。
「やらんぞ?」
「まだ、何も言ってないぞ?」
「少年の視線の先を見ていれば、嫌でもわかる」
ふむ、貰えないのか。
まあ、今後からは逐一触らせてもらえば良いだけの話だし、今はそれで良しとするか。
「む、では再開するとしよう。ほれ、もう一度我の角を掴むのだ」
「はいよ。・・・・・・っし、これで良いか?」
ガシッと片方の角を両手で掴み、確認をとる。
あ、やっぱ、良いな・・・・・・。
「うむ。おっと、その前に少年の名は何と申すのだ?」
「ん? 俺は零時だ」
俺が名乗った後、続くように黒竜も名乗った。
「レイジか。では、我も名乗ろう。我が名は、竜神族の現長にして、『竜種』全てを収める者」
――――ん?
「名を、ヴェルガルド・バハムート」
んんんんんんんっっ!?
「レイジ、主となりし者よ。我を欲すると申すのであれば、我の名を呼ぶが良い」
バハムートって、あのバハムートさんっすか!?
しかも、『竜種』全てを収めるって・・・・・・、マジハンパ無いってえぇえええ!!
「む、どうかしたか、レイジ」
衝撃過ぎる事実に口をあんぐり開けながらその場で固まっている俺を見て、黒竜がそう尋ねてくる。
「・・・・・・あ、え、いや何でも」
今すぐにでも色々と問い質したいところではあったが、それだとまた契約の進行がストップしてしまうと思った俺は、ぐっとそれを堪え、こちらに集中する事にした。
「・・・・・・な、名前を呼ぶだけで良いのか?」
「名を呼んだ後に、我が魔力を流し込む。それに合わせて、レイジも魔力を流し込め」
「わかった・・・・・・」
・・・・・・。魔力を流し込むって、どうやるんだ?
こんな、感じか・・・・・・?
すると、紫色に手が淡く光りだした。
「だああっ! 早い早いっ! 我が先に流すと言ったであろうっ!」
「お、おぉ、すまん」
「全く・・・・・・。では、もう一度いくぞ」
そして、ヴェルガルドが契約を再開する。
「レイジ、主となりし者よ。我を欲すると申すのであれば、我の名を呼ぶが良い」
・・・・・・。名前を、呼ぶ。
「ヴェルガルド・バハムート・・・・・・っ」
「いくぞっ、レイジっ!」
その瞬間、魔法陣が足元に出現し、同時に俺に膨大な魔力が流れ込んできた。
「――――っ! ああああああっっ!!」
なっ、何だ、この濃さは・・・・・・・・・・っ!
量は別に問題じゃねぇが、これは・・・・・・っ。
「何をしておるのだレイジっ! 早くレイジも魔力を流せっ!」
・・・・・・魔力を、流、す・・・・・・っ!
「ぅ・・・・・・、おおおおおおおおっっ!!」
「そうだっ、それで良い!」
そして俺は、言われるがまま、魔力を流し続ける。
「ハハハッ、正直驚いたぞっ! 少年のあの言葉は偽りでは無かったという事か!」
「おおおおおっ! ――――ん?」
「どうかしたか、レイジ」
「・・・・・・いや何か、うっぷ・・・・・・っ」
どうしよう・・・・・・。すっげぇ、気持ち悪い・・・・・・。
「やばい、吐きそう・・・・・・」
「むっ、はいっ!? 何故吐きそうなのかは知らんが、もう少しだけ耐えてくれっ!! 頼む!!」
あー、これはあれだ・・・・・・。
濃い物ばかりを食べ過ぎた後に来る、気持ちの悪さだ・・・・・・。
こいつの魔力はあれか? 油でまみれたスープか何かで出来てんのか・・・・・・?
「・・・・・・。まだ、か・・・・・・?」
「も、もうちょいっ、もうちょいだから、今吐くのはやめてくれぇっ!!」
あ、やばい・・・・・・。俺の迷える混沌が、もう既に喉まで「こんにちわ」ってしちゃってる・・・・・・。
もうすぐ限界に達しようとした時、足元に展開されていた魔法陣が消え、俺の手の甲にある紋章が浮かび上がった。
あ、何だろう、この紋章・・・・・・。
――って! そんな事よりっ!!
「終わったぞっ、そこの隅で良いから、行けっ!!」
――――ダッ!
俺は走った・・・・・・。一心不乱に、ただ、目の前のゴールを目指して・・・・・・。
あと少し、あと少しでゴールテープを切れるっ。
頑張れっ、そうだ、負けないでっお――――
「れぇうおええええええええええええええっっ!!」
・・・・・・。うん、無理なもんは無理っ。
「はぁ・・・・・・。まさか、そこで限界を迎えるとは・・・・・・」
・・・・・全部出た。腹の中にあった物、全部出た。
俺の唯一のエネルギー源が全て放出されたぜ。
でも何だろう、凄くスッキリした・・・・・・。
「ふぅ・・・・・・」
「無事だったかレイジ。契約の方も無事完了したぞ。まさか、本当に我との契約を成し遂げてしまうとはな。全く、レイジには驚かされてばかりだ」
「・・・・・・なあ、ヴェルガルド」
「何だ? どうかしたのか、レイジ」
俺は使い魔となったヴェルガルドに、重要な事を伝えた。
「・・・・・・。何か食べられる物を、下さい・・・・・・」
そして俺はそれだけ言って、その場に盛大にぶっ倒れた。
「おぉいっ! レイジっ!? しっかりせんかっ、レイジぃいいっ!!」
「・・・・・・よくもまあ飽きもせず、あんなにも触り続けていられたな」
何を言う、あの角ならば、たとえ何時間でも余裕で触っていられる自信しか無いぞ。
それにしても・・・・・・、あの角欲しいな。
「やらんぞ?」
「まだ、何も言ってないぞ?」
「少年の視線の先を見ていれば、嫌でもわかる」
ふむ、貰えないのか。
まあ、今後からは逐一触らせてもらえば良いだけの話だし、今はそれで良しとするか。
「む、では再開するとしよう。ほれ、もう一度我の角を掴むのだ」
「はいよ。・・・・・・っし、これで良いか?」
ガシッと片方の角を両手で掴み、確認をとる。
あ、やっぱ、良いな・・・・・・。
「うむ。おっと、その前に少年の名は何と申すのだ?」
「ん? 俺は零時だ」
俺が名乗った後、続くように黒竜も名乗った。
「レイジか。では、我も名乗ろう。我が名は、竜神族の現長にして、『竜種』全てを収める者」
――――ん?
「名を、ヴェルガルド・バハムート」
んんんんんんんっっ!?
「レイジ、主となりし者よ。我を欲すると申すのであれば、我の名を呼ぶが良い」
バハムートって、あのバハムートさんっすか!?
しかも、『竜種』全てを収めるって・・・・・・、マジハンパ無いってえぇえええ!!
「む、どうかしたか、レイジ」
衝撃過ぎる事実に口をあんぐり開けながらその場で固まっている俺を見て、黒竜がそう尋ねてくる。
「・・・・・・あ、え、いや何でも」
今すぐにでも色々と問い質したいところではあったが、それだとまた契約の進行がストップしてしまうと思った俺は、ぐっとそれを堪え、こちらに集中する事にした。
「・・・・・・な、名前を呼ぶだけで良いのか?」
「名を呼んだ後に、我が魔力を流し込む。それに合わせて、レイジも魔力を流し込め」
「わかった・・・・・・」
・・・・・・。魔力を流し込むって、どうやるんだ?
こんな、感じか・・・・・・?
すると、紫色に手が淡く光りだした。
「だああっ! 早い早いっ! 我が先に流すと言ったであろうっ!」
「お、おぉ、すまん」
「全く・・・・・・。では、もう一度いくぞ」
そして、ヴェルガルドが契約を再開する。
「レイジ、主となりし者よ。我を欲すると申すのであれば、我の名を呼ぶが良い」
・・・・・・。名前を、呼ぶ。
「ヴェルガルド・バハムート・・・・・・っ」
「いくぞっ、レイジっ!」
その瞬間、魔法陣が足元に出現し、同時に俺に膨大な魔力が流れ込んできた。
「――――っ! ああああああっっ!!」
なっ、何だ、この濃さは・・・・・・・・・・っ!
量は別に問題じゃねぇが、これは・・・・・・っ。
「何をしておるのだレイジっ! 早くレイジも魔力を流せっ!」
・・・・・・魔力を、流、す・・・・・・っ!
「ぅ・・・・・・、おおおおおおおおっっ!!」
「そうだっ、それで良い!」
そして俺は、言われるがまま、魔力を流し続ける。
「ハハハッ、正直驚いたぞっ! 少年のあの言葉は偽りでは無かったという事か!」
「おおおおおっ! ――――ん?」
「どうかしたか、レイジ」
「・・・・・・いや何か、うっぷ・・・・・・っ」
どうしよう・・・・・・。すっげぇ、気持ち悪い・・・・・・。
「やばい、吐きそう・・・・・・」
「むっ、はいっ!? 何故吐きそうなのかは知らんが、もう少しだけ耐えてくれっ!! 頼む!!」
あー、これはあれだ・・・・・・。
濃い物ばかりを食べ過ぎた後に来る、気持ちの悪さだ・・・・・・。
こいつの魔力はあれか? 油でまみれたスープか何かで出来てんのか・・・・・・?
「・・・・・・。まだ、か・・・・・・?」
「も、もうちょいっ、もうちょいだから、今吐くのはやめてくれぇっ!!」
あ、やばい・・・・・・。俺の迷える混沌が、もう既に喉まで「こんにちわ」ってしちゃってる・・・・・・。
もうすぐ限界に達しようとした時、足元に展開されていた魔法陣が消え、俺の手の甲にある紋章が浮かび上がった。
あ、何だろう、この紋章・・・・・・。
――って! そんな事よりっ!!
「終わったぞっ、そこの隅で良いから、行けっ!!」
――――ダッ!
俺は走った・・・・・・。一心不乱に、ただ、目の前のゴールを目指して・・・・・・。
あと少し、あと少しでゴールテープを切れるっ。
頑張れっ、そうだ、負けないでっお――――
「れぇうおええええええええええええええっっ!!」
・・・・・・。うん、無理なもんは無理っ。
「はぁ・・・・・・。まさか、そこで限界を迎えるとは・・・・・・」
・・・・・全部出た。腹の中にあった物、全部出た。
俺の唯一のエネルギー源が全て放出されたぜ。
でも何だろう、凄くスッキリした・・・・・・。
「ふぅ・・・・・・」
「無事だったかレイジ。契約の方も無事完了したぞ。まさか、本当に我との契約を成し遂げてしまうとはな。全く、レイジには驚かされてばかりだ」
「・・・・・・なあ、ヴェルガルド」
「何だ? どうかしたのか、レイジ」
俺は使い魔となったヴェルガルドに、重要な事を伝えた。
「・・・・・・。何か食べられる物を、下さい・・・・・・」
そして俺はそれだけ言って、その場に盛大にぶっ倒れた。
「おぉいっ! レイジっ!? しっかりせんかっ、レイジぃいいっ!!」
0
お気に入りに追加
291
あなたにおすすめの小説

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。

チート転生~チートって本当にあるものですね~
水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!!
そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。
亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。
3/25発売!書籍化【完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
一二三書房/ブレイド文庫様より、2025/03/25発売!
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2025/03/25……書籍1巻発売日
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる