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一章
これが転送陣みたいです
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いやぁ、どうにでもなれとは思ったけど、これは、ちょっとぉ・・・・・・。
「さあ、零時さん。転送陣の準備が整いましたよ」
その場に立ち尽くす俺に、ニッコリと爽やかな笑顔で、そう告げてきやがるシン。
「ちょっと待て! あれのどこが転送陣なんだよ! ただ雲に大穴空けただけだよね!?」
「おや、人聞きが悪いですねぇ。あれも立派な転送陣ですよ?」
「どこがだよ! てかそもそも陣なんて微塵もねぇじゃねぇか!」
俺がシンに対して必死に反論し続けていると、大穴を空け終わったソフィアちゃんが振り返り、
「あ、主様。降下よ、転送陣完了、しました・・・・・・。いつでも、いけますっ」
むふー、とドヤ顔でそう報告をしてきた。
「・・・・・・だ、そうですよ? さあ、零時さん」
「いやいや! 今確実に降下用って言いかけましたよねぇっ!? 飛び降りろとっ!? バカじゃねぇのかてめぇはっ!?」
シンがそんな俺を見て、「ふむ・・・・・・」と考えるポーズをとる。
「零時さんは何をそんなに嫌がっているのでしょう・・・・・・。ねぇ? ソフィー」
「・・・・・・・・・・?」
「全部だよっ!」
力の限り全力で言い放ってやった。
「最早、転送の『て』の字も無ぇじゃねぇかっ! これ、落ちるだけで転送とは決して言わねぇよっ! もっとマシな別の方法はねぇのかよ!」
何が何でも飛び降りたくない俺は、そうシンに断固抗議する。
それに対しシンは、グッと親指を俺に突き出し、
「イエス、ユー、キャンっ!」
満面の笑みで、そう答えた。
・・・・・・・・・・言葉のキャッチボールぅぅぅぅっ!!
シンとの会話が全く成り立たず頭を抱える俺。
てか何でこいつ、今から人一人突き落とそうとしてんのに、こんなに爽やかな笑顔が出来んの? 全く訳がわからん。
「まあまあ、零時さん。騙されたと思って、ね? 一回だけっ、すぐに、すぐに終わりますからっ!」
そんな俺の肩に手を置き、その手に力が徐々に込められる。
「イデデデッ! てかその先っちょだけだから、みたいな感じで言うのは止めろ!」
更に、力が込められ、穴の方へ無理矢理押をされていく。
「さあ、さあさあさあっ」
「こ、の・・・・・・っ、いい加減に」
状況が状況だったのもあり、諦めが悪いシンに対し俺は何度目かわからない殺意、もとい怒りが込み上げ、
付加、『身体強化』!
「しろやボケぇええええええっっ!!」
「へぶみっっ!」
わざと『身体強化』を付加し、シンの脇腹に威力増し増しで回し蹴りをお見舞いした。
ええ、やってやりましたとも。でも後悔はしておりません。
「れ、零時、さん・・・・・・」
蹴られた脇腹を押さえながらよろよろと立ち上がるシン。
それをおろおろと見ているソフィアちゃん。
「さ、流石ですね零時さん。今の威力は常人が出せるものではない、おそらく付加で力を底上げしたのでしょう? 『無限の魔力』を手にしただけでここまで使いこなすとは、驚きですよ・・・・・・」
「まあな、『無限の魔力』のおかげで気兼ねなく能力は使えるし、それにコツさえ掴めば簡単だったよ。『身体強化』だったらどこの部分を強化するか『思う』だけで良いしな」
最初に付加した『発火能力』もそうだ。あれも俺が『思う』だけで数も威力も変えられる。まあ、これだけだったら魔法でも難なく出来るだろう。だが、この能力の真髄はそこじゃない。
〈異能力無限付加〉という俺の固有スキルは『異能力であるならば際限無く自身に付加出来る』という物。
言ってしまえば、現実だろうが架空世界だろうが関係無しに世の中に存在している異能力全てを俺は扱う事が出来る。
そして、この力を使う際の唯一の問題も『無限の魔力』を付加して既に解決済み。
それらを踏まえると、スタートダッシュにしてはとんでもない能力を手に入れたのだと改めて思った。
「って、そんな事よりも別の方法はねぇのかよ。そうだ、あの白い門っ。あれを使えば」
「ああ、『異空間移動魔法』には一つ制限がありまして、あれは特別な力、我々の持つ神力でしか使用出来ないのですよ」
「? だったら何も問題はねぇじゃねぇか」
「フフ、お忘れですか零時さん。貴方をここにお呼びした理由を」
「理由・・・・・・?」
・・・・・・・・・・あ。
「思い出したようですね」
「いや、でもお前さっき使ってたじゃねぇか!」
「あれは私が長い歳月をかけてかき集めた神力で使用したのですよ。しかし先程使用した事で私が集めた神力は最早ゼロに等しい」
「って事は・・・・・・・・・・」
「フフ、無理ですね☆」
イラッ。
ウインク付きのその言葉に再度手が出そうになったが、ソフィアちゃんが居る手前、これ以上は悪影響だろうと思い何とか踏み止まった。
「・・・・・・はあ」
おい、お前は何故そこでシュンとする。あれか? やっぱりあれなのかこいつ。
そこで俺は事あるごとに感じていた疑念を解消させる為、シンの前で拳を振り上げた。
全く、何をしているんだろうな俺は。
するとシンは、
「・・・・・・パァッ」
すっごい笑顔なんですけど、この人。そして上げた拳を下げると、
「・・・・・・はあ」
振り上げる。
「・・・・・・パァッ」
そして構える。
「・・・・・・ニッコォッ!」
・・・・・・・・・・うぅわ、こいつ本物だ。
「さあ、零時さん。転送陣の準備が整いましたよ」
その場に立ち尽くす俺に、ニッコリと爽やかな笑顔で、そう告げてきやがるシン。
「ちょっと待て! あれのどこが転送陣なんだよ! ただ雲に大穴空けただけだよね!?」
「おや、人聞きが悪いですねぇ。あれも立派な転送陣ですよ?」
「どこがだよ! てかそもそも陣なんて微塵もねぇじゃねぇか!」
俺がシンに対して必死に反論し続けていると、大穴を空け終わったソフィアちゃんが振り返り、
「あ、主様。降下よ、転送陣完了、しました・・・・・・。いつでも、いけますっ」
むふー、とドヤ顔でそう報告をしてきた。
「・・・・・・だ、そうですよ? さあ、零時さん」
「いやいや! 今確実に降下用って言いかけましたよねぇっ!? 飛び降りろとっ!? バカじゃねぇのかてめぇはっ!?」
シンがそんな俺を見て、「ふむ・・・・・・」と考えるポーズをとる。
「零時さんは何をそんなに嫌がっているのでしょう・・・・・・。ねぇ? ソフィー」
「・・・・・・・・・・?」
「全部だよっ!」
力の限り全力で言い放ってやった。
「最早、転送の『て』の字も無ぇじゃねぇかっ! これ、落ちるだけで転送とは決して言わねぇよっ! もっとマシな別の方法はねぇのかよ!」
何が何でも飛び降りたくない俺は、そうシンに断固抗議する。
それに対しシンは、グッと親指を俺に突き出し、
「イエス、ユー、キャンっ!」
満面の笑みで、そう答えた。
・・・・・・・・・・言葉のキャッチボールぅぅぅぅっ!!
シンとの会話が全く成り立たず頭を抱える俺。
てか何でこいつ、今から人一人突き落とそうとしてんのに、こんなに爽やかな笑顔が出来んの? 全く訳がわからん。
「まあまあ、零時さん。騙されたと思って、ね? 一回だけっ、すぐに、すぐに終わりますからっ!」
そんな俺の肩に手を置き、その手に力が徐々に込められる。
「イデデデッ! てかその先っちょだけだから、みたいな感じで言うのは止めろ!」
更に、力が込められ、穴の方へ無理矢理押をされていく。
「さあ、さあさあさあっ」
「こ、の・・・・・・っ、いい加減に」
状況が状況だったのもあり、諦めが悪いシンに対し俺は何度目かわからない殺意、もとい怒りが込み上げ、
付加、『身体強化』!
「しろやボケぇええええええっっ!!」
「へぶみっっ!」
わざと『身体強化』を付加し、シンの脇腹に威力増し増しで回し蹴りをお見舞いした。
ええ、やってやりましたとも。でも後悔はしておりません。
「れ、零時、さん・・・・・・」
蹴られた脇腹を押さえながらよろよろと立ち上がるシン。
それをおろおろと見ているソフィアちゃん。
「さ、流石ですね零時さん。今の威力は常人が出せるものではない、おそらく付加で力を底上げしたのでしょう? 『無限の魔力』を手にしただけでここまで使いこなすとは、驚きですよ・・・・・・」
「まあな、『無限の魔力』のおかげで気兼ねなく能力は使えるし、それにコツさえ掴めば簡単だったよ。『身体強化』だったらどこの部分を強化するか『思う』だけで良いしな」
最初に付加した『発火能力』もそうだ。あれも俺が『思う』だけで数も威力も変えられる。まあ、これだけだったら魔法でも難なく出来るだろう。だが、この能力の真髄はそこじゃない。
〈異能力無限付加〉という俺の固有スキルは『異能力であるならば際限無く自身に付加出来る』という物。
言ってしまえば、現実だろうが架空世界だろうが関係無しに世の中に存在している異能力全てを俺は扱う事が出来る。
そして、この力を使う際の唯一の問題も『無限の魔力』を付加して既に解決済み。
それらを踏まえると、スタートダッシュにしてはとんでもない能力を手に入れたのだと改めて思った。
「って、そんな事よりも別の方法はねぇのかよ。そうだ、あの白い門っ。あれを使えば」
「ああ、『異空間移動魔法』には一つ制限がありまして、あれは特別な力、我々の持つ神力でしか使用出来ないのですよ」
「? だったら何も問題はねぇじゃねぇか」
「フフ、お忘れですか零時さん。貴方をここにお呼びした理由を」
「理由・・・・・・?」
・・・・・・・・・・あ。
「思い出したようですね」
「いや、でもお前さっき使ってたじゃねぇか!」
「あれは私が長い歳月をかけてかき集めた神力で使用したのですよ。しかし先程使用した事で私が集めた神力は最早ゼロに等しい」
「って事は・・・・・・・・・・」
「フフ、無理ですね☆」
イラッ。
ウインク付きのその言葉に再度手が出そうになったが、ソフィアちゃんが居る手前、これ以上は悪影響だろうと思い何とか踏み止まった。
「・・・・・・はあ」
おい、お前は何故そこでシュンとする。あれか? やっぱりあれなのかこいつ。
そこで俺は事あるごとに感じていた疑念を解消させる為、シンの前で拳を振り上げた。
全く、何をしているんだろうな俺は。
するとシンは、
「・・・・・・パァッ」
すっごい笑顔なんですけど、この人。そして上げた拳を下げると、
「・・・・・・はあ」
振り上げる。
「・・・・・・パァッ」
そして構える。
「・・・・・・ニッコォッ!」
・・・・・・・・・・うぅわ、こいつ本物だ。
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