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夏の思い出
5話 キャンプ③
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俺はコテージの裏で母さんを問い詰めていた。
「お母さんは知ってたの⁉︎」
「そうね。最初は驚いたんだけどね。去年からお父さんの帰りが遅いと思ったら、こんな凄い事してたなんてね」
「何で黙ってたの⁉︎俺凄いびっくりしたんだからね‼︎」
「あらあら…。だって、陸にこの事話したら、美咲と仲良くしたかしら?オモチャだと思って相手にしなかったんじゃない?それに、今じゃ美咲は家族だと私は思ってるわよ」
「俺だって今じゃ家族の1人だと思ってるけど、秘密にしなくったってさ……」
「陸。あなたが学校行かなくなって、お母さんも心配だったけど、陸が行きたくなるまで、お母さん待とうとしてたんだけど、お父さんはもっと必死だったみたいよ。美咲が家に来なければあなた、学校行く気になんてならなかったでしょ?」
「………まぁ、そうかもだけど……」
「ならこの話はおしまいよ。お母さんもう寝るけど、陸たちもあまり遅くまで起きてちゃダメよ」
「わかった…」
お母さんは話終わると、寝室に歩いて行った。
キャンプ初日はとんでもない日になったが、バーベキューは予定通りにやった。
コテージの管理人さんや、救助隊の人たちからはお説教があったのは仕方がなく、黙って聞いていた。
帰ってからずっと、美咲は落ち込んでいて、ご飯を食べ終えると直ぐに寝室に行き、それから出てこなかった。
俺たち3人は、この夜を語り尽くした。半年間も会わなかったんだ。話す事は互いにあり、その中に恋バナもした。
まるで女子トークの様に話したんだが、光には可哀想な事をしたのかも知れなかった……。
翌朝、起きて直ぐに帰り支度を始める事になった。お母さんが急な用事が入ったと言って、急遽帰る事になった。
美咲は今朝も元気がなかった。今朝は白のワンピースではなく、いつもの黒のメイド服を着ていた。
荷物をまとめて、車に載せ終わると元気のない美咲に声を掛けた。
「美咲、昨日から元気ないけど、調子悪いのか?」
「……あっ、ご主人様!挨拶もせずに、申し訳御座いません‼︎何でもありません……」
「ん?明らかに様子おかしいぞ?」
美咲は少し黙ってから言った。
「………申し訳御座いません‼︎ご主人様が買ってくださった服を私…………」
頭を俺に下げながら、あの美咲が泣いていた。こんな事は初めてだった。
泣きながら白のワンピースを俺に見せた。
ワンピースは、昨日の森で落ちた時に何かに引っかかり、スカートの部分が裂けてしまったみたいだ。
「気にすんなよ!また買いに行こうぜ‼︎次はもっと良い服に出会いにさ‼︎」
「でも…………」
「直るかわからないけど、お母さんに直してもらおうぜ‼︎だから泣くなって‼︎ほらっ」
ハンカチを美咲に渡すとそのハンカチで涙を拭いて、徐々に泣き止んだ。アンドロイドも涙を流す事に後で思い出し不思議に思った。本当に人間と変わらないなと。
お母さんは鍵を管理人さんに返して、光と麟太郎を家まで送り、急いで家に帰った。
お母さんは、カフェのパートでたまに仕事をしていて、急遽休みが数名出たらしく、その応援なのだと車の中で話していた。
お母さんの件は仕方がないと理解はしたが、バタバタのキャンプになってしまい、気まずい空気にもなった。
美咲は帰ってからもまだ元気はなく、布団を頭から被って出て来なかった。俺が思っている以上にショックだったみたいだ。
美咲も気になるが、光の事も気になる。帰りの車の中でもあまり話せなかった。
楽しいはずの、プチ旅行を俺は台無しにしてしまった罪悪感でいっぱいだった………
「お母さんは知ってたの⁉︎」
「そうね。最初は驚いたんだけどね。去年からお父さんの帰りが遅いと思ったら、こんな凄い事してたなんてね」
「何で黙ってたの⁉︎俺凄いびっくりしたんだからね‼︎」
「あらあら…。だって、陸にこの事話したら、美咲と仲良くしたかしら?オモチャだと思って相手にしなかったんじゃない?それに、今じゃ美咲は家族だと私は思ってるわよ」
「俺だって今じゃ家族の1人だと思ってるけど、秘密にしなくったってさ……」
「陸。あなたが学校行かなくなって、お母さんも心配だったけど、陸が行きたくなるまで、お母さん待とうとしてたんだけど、お父さんはもっと必死だったみたいよ。美咲が家に来なければあなた、学校行く気になんてならなかったでしょ?」
「………まぁ、そうかもだけど……」
「ならこの話はおしまいよ。お母さんもう寝るけど、陸たちもあまり遅くまで起きてちゃダメよ」
「わかった…」
お母さんは話終わると、寝室に歩いて行った。
キャンプ初日はとんでもない日になったが、バーベキューは予定通りにやった。
コテージの管理人さんや、救助隊の人たちからはお説教があったのは仕方がなく、黙って聞いていた。
帰ってからずっと、美咲は落ち込んでいて、ご飯を食べ終えると直ぐに寝室に行き、それから出てこなかった。
俺たち3人は、この夜を語り尽くした。半年間も会わなかったんだ。話す事は互いにあり、その中に恋バナもした。
まるで女子トークの様に話したんだが、光には可哀想な事をしたのかも知れなかった……。
翌朝、起きて直ぐに帰り支度を始める事になった。お母さんが急な用事が入ったと言って、急遽帰る事になった。
美咲は今朝も元気がなかった。今朝は白のワンピースではなく、いつもの黒のメイド服を着ていた。
荷物をまとめて、車に載せ終わると元気のない美咲に声を掛けた。
「美咲、昨日から元気ないけど、調子悪いのか?」
「……あっ、ご主人様!挨拶もせずに、申し訳御座いません‼︎何でもありません……」
「ん?明らかに様子おかしいぞ?」
美咲は少し黙ってから言った。
「………申し訳御座いません‼︎ご主人様が買ってくださった服を私…………」
頭を俺に下げながら、あの美咲が泣いていた。こんな事は初めてだった。
泣きながら白のワンピースを俺に見せた。
ワンピースは、昨日の森で落ちた時に何かに引っかかり、スカートの部分が裂けてしまったみたいだ。
「気にすんなよ!また買いに行こうぜ‼︎次はもっと良い服に出会いにさ‼︎」
「でも…………」
「直るかわからないけど、お母さんに直してもらおうぜ‼︎だから泣くなって‼︎ほらっ」
ハンカチを美咲に渡すとそのハンカチで涙を拭いて、徐々に泣き止んだ。アンドロイドも涙を流す事に後で思い出し不思議に思った。本当に人間と変わらないなと。
お母さんは鍵を管理人さんに返して、光と麟太郎を家まで送り、急いで家に帰った。
お母さんは、カフェのパートでたまに仕事をしていて、急遽休みが数名出たらしく、その応援なのだと車の中で話していた。
お母さんの件は仕方がないと理解はしたが、バタバタのキャンプになってしまい、気まずい空気にもなった。
美咲は帰ってからもまだ元気はなく、布団を頭から被って出て来なかった。俺が思っている以上にショックだったみたいだ。
美咲も気になるが、光の事も気になる。帰りの車の中でもあまり話せなかった。
楽しいはずの、プチ旅行を俺は台無しにしてしまった罪悪感でいっぱいだった………
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