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夏の思い出
2話 美咲とデート
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美咲は同じ服を着ていた。服を1着しか持っていないのか?いや、何処かに隠してあるのかも知れない。洗濯をしたら着替えがないからな。
学校でも、みんな不思議がっている。
本人はメイドごっこをずっと続けているが、これもなんなんだろうか?
趣味なのか… それともわざとか…
この日の朝、お母さんが急にお金をくれたのに俺は驚いた。
「お母さん、お小遣い多くない?何かあったの?」
「陸にじゃないわ。これで美咲のお洋服買ってきなさい。美咲も毎日同じ服じゃ可哀想でしょ」
「俺、女の服なんかわからないよ」
「大丈夫よ!たまには美咲と遊んでらっしゃい。その分に余計渡したのよ」
「えーー……まぁ、今日は光も麟太郎も空いてないからいいけどさ……。じゃあ、美咲行くぞ」
「はい。ご主人様」
俺たちは電車で30分の所にある、ショッピングモールに向かった。
沢山のお店があり、土日はセールをしているから、いつもより安く買い物が出来て得である。
ゴルフ場ぐらいの広さがある、その場所には俺の好きなアニメグッズの置いているお店も有り、たまに光と行く場所でもある。
美咲がどんな服に興味があるか、趣味は何なのか、美咲と暮らしてから結構な時間が経つのに美咲の事を何も知らなかった。
取り敢えず、適当に女の服が売っている店に入ってみた。
「美咲、取り敢えずはここからな。好きに見ていいよ。あっこに試着室もあるから気に入ったのあれば着てみれば?」
「ご主人様。ここまで来てあれなのですが、私に新しい洋服は必要ありません」
「いいから選べよ。買って帰らないと俺がお母さんに怒られるだろ」
「はぁ……かしこまりました」
美咲は困った顔をしながら、店内の壁に掛かっている服を見上げた。
それから30分。美咲は店内をグルグル回る様に、店内にある服を手に取って見ていたが、気に入ったのが見つからないのか、店員さんが声を掛けてくれて勧められた服があったのだが、それも気に入らなかったのか、試着すらしなかった。
「美咲。他の店も見てみようぜ。時間はまだいっぱいあるしさ」
「はい。かしこまりました」
それから更に2時間。いろんな店を見て回ったが、美咲は手に取っては戻すの繰り返しであった。
店と店との間の移動の時、アニメグッズのある店の前を通った時は、立ち寄りたかったが、今日は美咲の日にしようと思い、我慢する事にした。
夏休みになったら光と来る事にした。
服探しに夢中になっていた俺たちは、時間の感覚がなくなっていた。
時計を見ると、16時を過ぎていて俺は焦った。いつも遊びに行く時は、17時には帰るからだ。
「美咲、そろそろ帰らないとまずいな…。今日は見つからなかったけど、また来週の休みにでも来ようぜ」
「……申し訳ございません。ありがとうございます」
美咲は悲しそうな顔をしていた。
俺たちは急いで駅に向かった。その道中に小さなお店の窓際で美咲が足を止めた。
「どうした?何かあったか?」
ガラス越しにマネキンが着ている服をジッと見つめていた。
急いでいたが、俺はゆっくりと店内に入り、店員さんに聞いた。
「はい。そのサイズの在庫は御座います。少々お待ち下さい」
「よろしくお願いします」
少しして店員さんが、白のワンピースを持ってきた。フリルが付いていて、胸元に薄らと花の刺繍が見えた。
外でマネキンを眺める美咲に、声を掛けた。
「美咲。これ試着してみろよ。サイズ合うかみないとな」
「えっ…ご主人様。良いのですか?」
「今更何言ってんだよ。早く着替えて来い」
「…か…かしこまりました」
店員さんが試着室に美咲を案内した。数分後に美咲が戻って来ると、俺はそのあまりの綺麗さに見惚れて声が出なかった。
「あの…ご主人様?どこか変でしょうか?……」
「……あっ、いや、何でもない。似合うじゃん。これ買って帰ろう。今日はその格好のままでいいんじゃないか?」
「えっ、でも、これ値段が……」
「大丈夫!お母さん、結構くれたからさ! すみません。これ下さい。このまま着て帰るので、着ていた服を大き目の袋に入れてもらえますか?」
店員さんは笑顔で対応してくれた。
どこが隅でクスクスと笑う声が聞こえたが、俺は気にしなかった。
「メイドの私に、こんな素敵な服をありがとうございます」
「美咲いつも同じ服なんだもんな。たまにはこうゆ服も良いよな。でもさ、何でメイドごっこ続けてるんだ?疲れない?」
「ごっ…こ?私はご主人様の専属メイドです。これからもよろしくお願いします」
美咲は真顔で言った。メイドごっこを貫く意味がわからなかったが、美咲の笑顔が見れた事が嬉しかった。
家に帰ると、お母さんが凄い喜んで美咲に駆け寄った。
学校でも、みんな不思議がっている。
本人はメイドごっこをずっと続けているが、これもなんなんだろうか?
趣味なのか… それともわざとか…
この日の朝、お母さんが急にお金をくれたのに俺は驚いた。
「お母さん、お小遣い多くない?何かあったの?」
「陸にじゃないわ。これで美咲のお洋服買ってきなさい。美咲も毎日同じ服じゃ可哀想でしょ」
「俺、女の服なんかわからないよ」
「大丈夫よ!たまには美咲と遊んでらっしゃい。その分に余計渡したのよ」
「えーー……まぁ、今日は光も麟太郎も空いてないからいいけどさ……。じゃあ、美咲行くぞ」
「はい。ご主人様」
俺たちは電車で30分の所にある、ショッピングモールに向かった。
沢山のお店があり、土日はセールをしているから、いつもより安く買い物が出来て得である。
ゴルフ場ぐらいの広さがある、その場所には俺の好きなアニメグッズの置いているお店も有り、たまに光と行く場所でもある。
美咲がどんな服に興味があるか、趣味は何なのか、美咲と暮らしてから結構な時間が経つのに美咲の事を何も知らなかった。
取り敢えず、適当に女の服が売っている店に入ってみた。
「美咲、取り敢えずはここからな。好きに見ていいよ。あっこに試着室もあるから気に入ったのあれば着てみれば?」
「ご主人様。ここまで来てあれなのですが、私に新しい洋服は必要ありません」
「いいから選べよ。買って帰らないと俺がお母さんに怒られるだろ」
「はぁ……かしこまりました」
美咲は困った顔をしながら、店内の壁に掛かっている服を見上げた。
それから30分。美咲は店内をグルグル回る様に、店内にある服を手に取って見ていたが、気に入ったのが見つからないのか、店員さんが声を掛けてくれて勧められた服があったのだが、それも気に入らなかったのか、試着すらしなかった。
「美咲。他の店も見てみようぜ。時間はまだいっぱいあるしさ」
「はい。かしこまりました」
それから更に2時間。いろんな店を見て回ったが、美咲は手に取っては戻すの繰り返しであった。
店と店との間の移動の時、アニメグッズのある店の前を通った時は、立ち寄りたかったが、今日は美咲の日にしようと思い、我慢する事にした。
夏休みになったら光と来る事にした。
服探しに夢中になっていた俺たちは、時間の感覚がなくなっていた。
時計を見ると、16時を過ぎていて俺は焦った。いつも遊びに行く時は、17時には帰るからだ。
「美咲、そろそろ帰らないとまずいな…。今日は見つからなかったけど、また来週の休みにでも来ようぜ」
「……申し訳ございません。ありがとうございます」
美咲は悲しそうな顔をしていた。
俺たちは急いで駅に向かった。その道中に小さなお店の窓際で美咲が足を止めた。
「どうした?何かあったか?」
ガラス越しにマネキンが着ている服をジッと見つめていた。
急いでいたが、俺はゆっくりと店内に入り、店員さんに聞いた。
「はい。そのサイズの在庫は御座います。少々お待ち下さい」
「よろしくお願いします」
少しして店員さんが、白のワンピースを持ってきた。フリルが付いていて、胸元に薄らと花の刺繍が見えた。
外でマネキンを眺める美咲に、声を掛けた。
「美咲。これ試着してみろよ。サイズ合うかみないとな」
「えっ…ご主人様。良いのですか?」
「今更何言ってんだよ。早く着替えて来い」
「…か…かしこまりました」
店員さんが試着室に美咲を案内した。数分後に美咲が戻って来ると、俺はそのあまりの綺麗さに見惚れて声が出なかった。
「あの…ご主人様?どこか変でしょうか?……」
「……あっ、いや、何でもない。似合うじゃん。これ買って帰ろう。今日はその格好のままでいいんじゃないか?」
「えっ、でも、これ値段が……」
「大丈夫!お母さん、結構くれたからさ! すみません。これ下さい。このまま着て帰るので、着ていた服を大き目の袋に入れてもらえますか?」
店員さんは笑顔で対応してくれた。
どこが隅でクスクスと笑う声が聞こえたが、俺は気にしなかった。
「メイドの私に、こんな素敵な服をありがとうございます」
「美咲いつも同じ服なんだもんな。たまにはこうゆ服も良いよな。でもさ、何でメイドごっこ続けてるんだ?疲れない?」
「ごっ…こ?私はご主人様の専属メイドです。これからもよろしくお願いします」
美咲は真顔で言った。メイドごっこを貫く意味がわからなかったが、美咲の笑顔が見れた事が嬉しかった。
家に帰ると、お母さんが凄い喜んで美咲に駆け寄った。
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