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謎のメイドさん
4話 学校に行こう②
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「さて、母さん今日もバリバリ働いて来るからね」
「昨日みたいに飲み過ぎて帰ってきちゃダメですよ」
「わかってるよ。あー、そうだそうだ、陸ーー!その子の名前なんて言うんだ?」
食事中2人とも、美咲の事について何も言わず聞かずで俺は機嫌が悪くなっていた。玄関にいる両親の所に行って聞いた。
「お父さん。この人何なの?教えてよ‼︎」
「見てわからんか?メイドさんじゃないか!我が家にもメイドさんがいる生活が出来るなんて素晴らしいじゃないか!で、名前は何なんだ?」
お父さんはとても楽しそうに話す反面、俺はその一言一言に苛立っていた。
「美咲だよ。でもそれは俺が勝手に呼んでるだけで、こいつの本当の名前じゃないよ。この人、俺と学校行くって言ってるけど、歳も俺より上だよね?」
「そうかー。美咲ちゃんか。仲良くしてやってな」
お父さんは、俺の後から玄関に来た美咲に向かって笑顔で言ってからドアを開けて出て行った。
美咲の事が何もわからず、2人で学校に行く事になった。
久しぶりの学校で俺は心臓がドキドキしていた。不安であった。半年ぶりの学校で状況はきっと前と変わらないはず。もしかしたら、もっと酷い事になっているのかも……
俺の席がなかったらどうしようかと、沢山の不安要素が頭に過った。
足を前に踏み出すのが怖く、震えまで出てきてしまった時、美咲が俺の手を握って引っ張ってくれた。
美咲は微笑みながら「大丈夫ですよ」と一言だけ言って学校に向かった。
6年1組。ここが俺の教室だ。教室の中にはクラスメイトがもうほとんど来ていた。それも当たり前か。そろそろ先生が来る時間だからだ。
ドアの外で教室の中を覗いていると、校庭でサッカーをしていたクラスメイトが、ボールを持って数名でやってきた。
俺を見るなり声を掛けてきた。
「あれ?お前学校来てたの?」
「……う、うん。まぁね…」
「ふーん。ん?君は誰?見ないよね。もしかして転入生?」
クラスメイトが美咲に向かって言った。
美咲は俺の手を握ってから、堂々と言った。
「ご主人様のメイドです」
聞いた本人が美咲の言葉に頬を赤くしていた。それから話の中心は美咲へと移った。
お陰で心が少しだけホッとした。美咲はみんなから質問攻めにあっていたが、特に多くを答える事はなかった。
俺のメイドである事。俺と同じ家に住んでいる事。
クラスメイトたちは、俺の親戚で同い年であると解釈している様であった。
みんなが美咲に夢中になっている時に、俺はゆっくりと教室の中に入り、自分の席を探した。教室に入っても、久しぶりに来た俺に話し掛けてくれる人はいなく、まるで空気の様だった。
教室の後ろでポツンと立っていた俺に声を掛けたのは美咲だった。
美咲に群がっていた男たちを払い除け、真っ直ぐ俺の所に向かって来た。
「ご主人様。大丈夫ですか?」
「…え……ぅん。席がわからなくてね。」
「かしこまりました。直ぐに聞いて参ります」
美咲はそう言うと、先程の男たちの元に行き、俺の席の事を聞いていた。その時の美咲はとても頼もしく思えた。そして、心が凄く暖かく感じた。
「ご主人様。わかりました。こちらで御座います」
「昨日みたいに飲み過ぎて帰ってきちゃダメですよ」
「わかってるよ。あー、そうだそうだ、陸ーー!その子の名前なんて言うんだ?」
食事中2人とも、美咲の事について何も言わず聞かずで俺は機嫌が悪くなっていた。玄関にいる両親の所に行って聞いた。
「お父さん。この人何なの?教えてよ‼︎」
「見てわからんか?メイドさんじゃないか!我が家にもメイドさんがいる生活が出来るなんて素晴らしいじゃないか!で、名前は何なんだ?」
お父さんはとても楽しそうに話す反面、俺はその一言一言に苛立っていた。
「美咲だよ。でもそれは俺が勝手に呼んでるだけで、こいつの本当の名前じゃないよ。この人、俺と学校行くって言ってるけど、歳も俺より上だよね?」
「そうかー。美咲ちゃんか。仲良くしてやってな」
お父さんは、俺の後から玄関に来た美咲に向かって笑顔で言ってからドアを開けて出て行った。
美咲の事が何もわからず、2人で学校に行く事になった。
久しぶりの学校で俺は心臓がドキドキしていた。不安であった。半年ぶりの学校で状況はきっと前と変わらないはず。もしかしたら、もっと酷い事になっているのかも……
俺の席がなかったらどうしようかと、沢山の不安要素が頭に過った。
足を前に踏み出すのが怖く、震えまで出てきてしまった時、美咲が俺の手を握って引っ張ってくれた。
美咲は微笑みながら「大丈夫ですよ」と一言だけ言って学校に向かった。
6年1組。ここが俺の教室だ。教室の中にはクラスメイトがもうほとんど来ていた。それも当たり前か。そろそろ先生が来る時間だからだ。
ドアの外で教室の中を覗いていると、校庭でサッカーをしていたクラスメイトが、ボールを持って数名でやってきた。
俺を見るなり声を掛けてきた。
「あれ?お前学校来てたの?」
「……う、うん。まぁね…」
「ふーん。ん?君は誰?見ないよね。もしかして転入生?」
クラスメイトが美咲に向かって言った。
美咲は俺の手を握ってから、堂々と言った。
「ご主人様のメイドです」
聞いた本人が美咲の言葉に頬を赤くしていた。それから話の中心は美咲へと移った。
お陰で心が少しだけホッとした。美咲はみんなから質問攻めにあっていたが、特に多くを答える事はなかった。
俺のメイドである事。俺と同じ家に住んでいる事。
クラスメイトたちは、俺の親戚で同い年であると解釈している様であった。
みんなが美咲に夢中になっている時に、俺はゆっくりと教室の中に入り、自分の席を探した。教室に入っても、久しぶりに来た俺に話し掛けてくれる人はいなく、まるで空気の様だった。
教室の後ろでポツンと立っていた俺に声を掛けたのは美咲だった。
美咲に群がっていた男たちを払い除け、真っ直ぐ俺の所に向かって来た。
「ご主人様。大丈夫ですか?」
「…え……ぅん。席がわからなくてね。」
「かしこまりました。直ぐに聞いて参ります」
美咲はそう言うと、先程の男たちの元に行き、俺の席の事を聞いていた。その時の美咲はとても頼もしく思えた。そして、心が凄く暖かく感じた。
「ご主人様。わかりました。こちらで御座います」
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