姉弟日和

我妻 夕希子

文字の大きさ
上 下
14 / 28

第4話・手操る思案③

しおりを挟む



「え、どういう事?」

ベッドから上半身を起こし、胡座を掻くと姉さんを見つめた。

「ふふ、早速、今度の日曜日にでも遊びましょうって」


ーー動揺している。


正に、その言葉通りの心境だ。


「え、ちょ、早くない?」
「なんで?こんなもんでしょ?」

顔で微笑みながら、ギリッと歯を軋ませる。

「俺も行きたい」

動揺しながらも出た言葉。
姉さんは目をパチクリとさせながら俺を見ていた。

「だーめ」
「なっ!」
「女の子同士で遊ぶの」

悪戯っ子の様に姉さんが笑う。

その顔は可愛い、充分に、だ。

だけど違う。

〝俺〟意外がさせた顔なんてーーー


「そんなに膨れないの」

ツン。と、姉さんは俺の頬を人差し指で突いた。

「だっーー」
「また、?唯衣は、直ぐにヤキモチ妬いちゃうね?」
「ーッ」

姉さんの視線が合わさる。
真っ直ぐと俺を見つめる姉さんから、視線が外せない。

「ねっ、ねぇ、さんは」

ゴクリと生唾を呑んで、渇いた喉を少しだけ潤す。

「俺のだから!姉さん、好きだよ」

(言った!言ったぞ、考えていた順番とは違うけど、言ってやった)

「ふふっ」

姉さんは手を口許に当てるとクスクス笑い出した。

「私も好きよ、だってですもの」


(ーーーッ!!)


眼球を見開きながら俺の息がヒュッと鳴った。


そうだ、そうだ、そうなんだッ!!!


結局は〝血〟が俺の邪魔をする。

こんな血、要らない。

(こんな、忌々しい、血なんか、俺はッッ…)


「ぅ、れしいよ…仲良し、だね…俺達」
「そうね、仲良し姉弟だわ」

ダメだ、泣くな。
泣くな、ダメだ。

「姉さん、楽しんできてね」

絞り出したセリフ。
姉さんは嬉しそうに頷くと部屋を出て行った。



再度、ベッドに横たわると俺は思案した。


(久城理玖、一体なんなんだ)


ーーまぁ、良い。
明日にでも直接、問い質そう。


手繰るようにジワジワと詰めて行こう。



(俺の計画は始まったばかりじゃないか)




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【R18】メイドはご主人様のオナニーを見てしまった

ねんごろ
恋愛
ふとしたときに、メイドがご主人様のオナニーを見てしまい。 その後いろいろされてしまうお話。

【R18 大人女性向け】会社の飲み会帰りに年下イケメンにお持ち帰りされちゃいました

utsugi
恋愛
職場のイケメン後輩に飲み会帰りにお持ち帰りされちゃうお話です。 がっつりR18です。18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。

【R18】お父さんとエッチした日

ねんごろ
恋愛
「お、おい……」 「あっ、お、お父さん……」  私は深夜にディルドを使ってオナニーしているところを、お父さんに見られてしまう。  それから私はお父さんと秘密のエッチをしてしまうのだった。

とりあえず、後ろから

ZigZag
恋愛
ほぼ、アレの描写しかないアダルト小説です。お察しください。

【R18】お父さんは娘に夢中

ねんごろ
恋愛
 いけない関係のお話。

処理中です...