転生したらBL学園ゲームのモブでチャラい会計に愛されることになった件

陌屋

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BL学園に転生した件

俺、ピンチです。

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寮に着きメイさんとはロビーで別れた、今から俺の足を引っ掛けたあの少年にお灸を据えに行くらしい。
古鬼田くんと二人で部屋に向かう。
「Amberってのはそんなにうめぇんか?」
「美味しいよ!特にデザートが格別!」
今夜はメイさんの発案で三人でAmberに行くのだ。
メイさんは古鬼田くんをいたく気に入ったらしい。
外出届けはメイさんが手配してくれると言うのでお願いした。
「...ふーん。」
「古鬼田くん甘いの苦手?」
「いや......寧ろ好きだな。...引くか?」
「ううん!寧ろ好みが合って嬉しい!」
古鬼田くんに向かってニカッと笑うと頭を撫でられた。
古鬼田くんの撫で方は少し乱暴だけど嫌いじゃない。
そんな風にじゃれ合っていると部屋の前に着いた。
「それじゃあ一時間後に!」
「おう。」
古鬼田くんは短く返事を返すと部屋に入って行った、俺も鍵を開け部屋へと入る。
着替えて時間まで宿題でもやろう、俺はこの後の楽しみに胸を踊らせながらクローゼットを開けた。


スマホを確認すると集合十分前だった、丁度宿題も終わらせた事だし少し早いけど出る事にした。
カバンを肩に掛け、鏡の前に行き手櫛で髪を整える。
「よし。」
全身の確認を終えると俺は部屋を出た。
ロビーを抜け外へ出る、夜はまだ肌寒い。
俺は羽織っただけだったカーディガンの前を留めながら門へと歩いて行く。
人気のない中、門へ背を預けスマホを開く。
メイさんと今日連絡先を交換した古鬼田くんに『先に門にいる。』とメッセージを送った直後だった。
「おい。お前、嶋崎御形だな?」
見知らぬ声に訝しみながら振り返ると、鳩尾に痛みが走りそこで俺の意識は途切れた。


「......ッう...?」
じんじんと痛む鳩尾に手をやろうとして、腕を動かせないことに気付く。
「へへ、お姫様のお目覚めか?」
聞こえてきた声に朧気な意識が急速にハッキリしてきた。
飛び起きようとするも、失敗する。
「...何だこれ。」
足は縄で両足纏めて縛られていた、おそらく腕もだろう後ろに回された腕を動かそうとするも自由が効かない。
慌てて周囲を見渡すと何処かの倉庫の様だった。
そんな倉庫にそぐわないマットレスが引いてあり、俺はその上にいた。
「目が覚めたんだ。」
聞き覚えのある声に視線をやると、ガタイのいい男子六人の前に俺の足を引っ掛けたあの少年がいた。
「地味男の分際でメイ様に並ぶなんて...目障りなんだよ...精々メイ様に顔向け出来ない身体にして貰いなよ。」
「何を...。」
「今からアンタはコイツらにぐちゃぐちゃに犯されるんだよ。」
「なっ...!?」
「じゃあ、よろしく。」
少年がそう言い残し扉の奥に消えれば、六人の男子達が此方に向かって下卑た笑いを浮かべながら歩み寄って来た。
俺は反射的に逃げようとマットレスをずり上がるが、一人が腕を伸ばし足を引っ張ると元の位置に戻されてしまった。
足と腕に巻かれた縄が引き攣れ痛みが走る。
「いッ...ッ!」
「ほらほら~暴れない方がいいよ、お姫様~!」
ゲラゲラと笑い合う男達をギッと睨み上げる。
「へぇ~?ツラの割に意外と反抗的じゃん?」
「そっちのがヤり甲斐あんじゃん?」
横から顎を取られまじまじと顔を見られる。
「ふーん?地味顔って言ってたけど悪くねぇな。」
「可哀想だからゆっくり可愛がってやるか。」
二人がかりで仰向けにされ、腕が擦れて痛む。
「ッ...離せっ!」
「抵抗しなくなったらな。」
リーダーらしき男が正面に立ちしゃがみこむ。
カーディガンに手をかけると力任せに引きちぎられた、ボタンが弾け飛ぶ。
中に着ていたシャツを捲られ肌がヒヤリとした外気に触れ、ふるりと身体が震えた。


「古鬼田くん!」
「...うっす。」
キョロキョロと周りを見渡す。
「待たせてごめんねェ...御形くんは?」
「...それが連絡つかねぇんすよ。」
「え?」
俺もスマホを取り出し御形くんにかける、しかし数分待っても繋がらない。
冷や汗が背中を伝う、脳内で警報器が鳴る...嫌な予感がする。
すると夜道から少し前まで顔を突き合わせていた少年が現れた。
満足気に歩いて来た彼は、俺と目が合った瞬間顔を引き攣らせる。
走り出そうとする少年の腕を瞬間、左腕を伸ばし捕まえる。
「...君、御形くん何処にやったの。」
自分でびっくりするくらい低い唸る様な声が出る、少年は真っ青な顔で首を横に振る。
「し、知りません!」
「嘘をつくな。」
本能のまま右腕を振り上げる、それをガシリと掴まれた。
そちらに目をやると真剣な目をした古鬼田くんが俺の腕を掴んだまま、首を横に振っていた。
「...お前、今のうちに答えれば警察沙汰にはしない。」
冷静な古鬼田くんの対応に頭から少し血が下がる。
深呼吸する。
「全部話して。」
「......外れの倉庫に...」


「へぇ~綺麗な乳首してんじゃねぇか!」
「や、めろ!男の乳首ッなんて触って何が面白いんだ!クソ!」
「知らねぇのか?男の方が乳首が敏感なんだ、ぜっ!」
やわやわと乳輪を撫でていた指で乳頭を強く弾かれビリッと腰に電気が走った気がする。
「うッッ...あぅ...!」
「そうそう、そうやって啼いてればいいんだよ。」
ニヤニヤと見下ろされ唇を噛む、こんな男達にいいようにされてたまるか。
脳裏にメイさんと古鬼田くんが浮かぶ...心配かけてるよな、俺が迂闊なばっかりに...。
「考え事か?余裕だな?」
弾かれたのと反対の乳首をぎゅうと抓られる。
「ッ...ぅッ...!」
痛みに口を開きかけたが、せめてもの抵抗に唇を噛み締め声を耐える。
口の中にじんわりと鉄の味が広がる。
「へぇ...まだ抵抗すんのか、まぁ今の内だけよ!」
男がそう言った瞬間、ガシャーンっと凄い音が倉庫内に鳴り響いた。
「だっ誰だ!?」
「やべぇぞ!」
男達が口々に騒ぎ始める、上に覆い被さっていた男の隙間からなんとか目線だけそちらにやる。
「...メイさん...古鬼田くん。」
「...お前ら覚悟は出来てるよね?」
メイさんがそう言うと助走をつけ一人の男の顔面にドロップキックを決めた、男は凄い音を立てて壁まで飛んでいった。
目を丸くしていると次は悲鳴が聞こえて来た。
そちらに目をやると古鬼田くんが拳を振り上げるところだった、ガタイのいい男が顎に食らったのかその場で崩れ落ちる。
男達は逃げようと我先にと出口へ走るが、次々とメイさんと古鬼田くんに伸されていった。
最後に残ったのは俺に覆い被さったまま震えている男だった。
「...御形くんに触れたな。」
「ひぃ...ッ!」
メイさんはいつもからは想像もつかない位に冷えた目で男を見つめていた。
ゆっくりと此方に歩み寄ると男のネクタイを掴み立ち上がらせ、拳を握ると男の鳩尾に入れた次いで頬へ、最後は回し蹴りで男を壁まで吹き飛ばした。
暫く肩で息をしていたメイさんが此方に歩いて来た。
ポカンと見上げている俺の手足に結われた縄を解くと痛いくらい力強く抱き締めてきた。
「御形くんッ...ごめん!ごめんね!」
「...なんでメイさんが謝るの?」
「俺が油断してたばっかりにッ!」
「油断してたのは俺だよ、だから謝らないで。」
トントンと背中を叩くと落ち着いて来たのか、抱き締める力が緩んだ。
「...何された?」
「えっ...うっ...」
「辛いかもだけど、教えて...?」
心配そうに見つめられ、頬を撫でられる。
「その......乳首、を触られた...。」
古鬼田くんも居るのに...顔から火が出そうだ。
「......殺そう。」
メイさんは物騒なことを呟くと立ち上がろうとしたので、慌てて腕を掴んだ。
「お、俺は大丈夫だから!メイさん待って!」
「いーや、待てない。」
そんな押し問答を繰り返していると、古鬼田くんがメイさんの視界を遮った。
「メイさん落ち着いて、それより嶋崎の手当てが先だろ。」
そう言われてメイさんがハッとした顔で此方を振り返る。
「ごめんね!御形くん!直ぐに寮に戻ろう!歩ける?」
「うん。」
メイさんの手を借り立ち上がる、足首はヒリヒリと痛むけど捻ったりはしてないみたいだ。
「後処理は俺がやっとくんで、メイさんは嶋崎連れて先帰って。」
そう言いながら古鬼田くんは男のブレザーを漁り始めた。
「ありがとう、古鬼田くん後はよろしく。」
あっと思えば抱き上げられ倉庫から出てしまっていた。
明日、古鬼田くんにお礼言わないと...。
「...メイさん。」
「ん?」
「来てくれてありがとう。」
メイさんの首に両腕を回し首筋へ顔を埋めればそう呟いた。
「...大切な御形くんの為だもん。」
そうして寮の前まで二人無言で帰った。
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