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第一章 NICU
生後58日目 さしすせ蘇生だよ~
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今日は家族全員で、リノの担当医の先生から緊急時の蘇生の講義を聞きました。
先生は人形の赤ちゃんと共に、面会室にやってきました。
口を大きく開けたままの、この赤ちゃんの名前は「C病院 新一君」というそうです。ちゃんと足に名前が書いてありましたよ。(笑)
ラクーが前に先生に会った時は、ネムルーが退院する前の、あの辛いお話を聞いた日だったので、ニコニコした満面笑顔の先生を見たのは初めてです。 ( ゜Д゜)
ムコーが、リノの調子がいいから、最近、先生がルンルンしていると言っていましたが、この様子は本当にハイですね。まるで恵比須様が乗り移ったかのようでした。
「気管切開を早く決断してくださったので、リノちゃんの体調がとてもよくなったんですよ!」
今日の研修の途中で、先生は嬉しそうに何度もこう言いました。
研修の後で胃瘻のことや、注入する離乳食のアレルギーの話も聞きましたが、これにも先生は自慢げに答えてくれました。
「夏から秋にかけての時期に胃瘻の増設ができそうですから、普通の子の月齢と同じ時期に離乳食を始められます。そのため医療的な介入は必要ないと思います」
そうなんだ。
今は粉ミルクも飲めているので、離乳食のことも心配ないのかな?
リノのサチュレーションは、ずっと落ち着いています。
今日は昨日よりも目の動きなどが良くなっているように思えます。リノが時たまネムルーの顔をじっと見ている様子を見て、ラクーは思わず先生に目のことを質問してしまいました。
「耳は前回、測定不能でしたが、呼吸が安定したことで意識がクリアになってきていますから、退院前にもう一度詳しい検査をします。目の方はまだどうなるかわかりませんが……これからも様子を診ていきます」
先生のこの言い方や顔色からすると、まだ少しは希望が残っているのかしらん?
なにせ大脳のほとんどが使えない状態ですから、希望といっても微々たるものでしょうが……
少しでも、リノが見た映像の処理を、脳ができるようになればいいなぁ。
ばあばはリノに期待し過ぎでしょうかね。
今日は蘇生のやり方の他に色々な情報を聞くことが出来ました。
ポイントを列挙しておきます。
★ 蘇生・・・アラームが鳴り、心拍が100を切ったら危険。SPO₂の値が常時90未満になると、顔色も悪くなりチアノーゼも出てくる。様子が切迫していない時は、訪問医療の先生に電話する。
心拍が40を切ったら、救急車の要請と蘇生を考える。
⒈ まずは他人を呼ぶ。119番通報をして、救急車がくるまでの6分間を乗り切ることを考える。
⒉ リノの場合は、カニューレの詰まりを一番に確認する。カニューレを抜いて、新しいものと取り換える。そして手動吸入器で一回バギングする。その時に空気の入り具合や胸の動きを見る。
⒊ それでも改善しない場合、心臓マッサージを行う。マッサージは固い床の上でする。
二人の場合・・・一人は両手をリノの両脇に入れ、両方の乳首を結ぶ線上にある、胸の中心の胸骨の上を両手の親指で押す。一秒間に二回押す感じ。ここで注意することは早く押し過ぎないこと。押された心臓が戻る余裕をもたせる。
後の一人は六秒に一回バギングする。この時も一秒をかけてポンプを押して戻す感じ。
一人の場合・・・リノを横にして、片手は吸入器、片手は指を二本、胸に置いて押していく。三十回押して、バギングを二回。このセットを繰り返す。指はずっと身体から離さないようにする。そうしないと押す場所がずれることがある。
心臓は意外と身体の真ん中に位置している。
硬い骨と骨に挟まれているので、骨を押して心臓に圧をかけているイメージでする。
※ 夜の場合、呼吸器の加湿器の電源とお湯を必ずチェックする。痰が固くなって詰まり、救急搬送される人が多い。
★ 気切には、今のところ肉芽も見られない。気切周りの肌荒れは軟膏をぬっている。
★ ミルクの時間が調整できた。
6:00 10:00 13:00 17:00 20:00 の5回は90ml
23:00 は110ml
調整が早いですねぇ。家族の皆さんが手技を覚えたらすぐにでも退院できます!ということらしいです。実際、手技の研修の後で、外出練習・院内外泊・院外外泊・などもあるので、どうしても退院は二月になりそうな感じ。
★ 予防接種・・・生後二か月にする肺炎球菌・ヒブ・B型肝炎は、NICUで先生が接種してくれるそうです。ブログでは皆さん困られていたので、「月末にでも僕が打ちますよ~」と軽く言われて、かえって驚きました。
ロタワクチンは、生のウィルスを使うので、院内では接種できないそうです。これは任意のものだし、リノのようにすぐ保育園に入らない子は、積極的に考えなくてもいいかもしれないということでした。
★ てんかんなどについて・・・これはラクーが質問してみました。すると先生は今の時点では心配はないということでした。今飲んでいる筋緊張の薬も、ものすごく少ない量らしいです。
てんかんは、脳波より、バイタルに現れるのが心配なのだそうです。
リノは気管切開を早くしたことによって、呼吸抑制がなくなったので、SPO₂の値が100で安定しています。その点で、ものすごく安心な状態になったそうです。
なるほどね~
これは聞いてみなくちゃわからなかったわ。
こんな話を聞いていたら、なんだかリノが長生きできるような気がしてきました。
今朝、鈴さんが6歳の頃の話を読んでいたんです。小学校の入学を前に、どの支援学校に通うかでお母さんが悩まれていました。
気が早い話ですが、リノにもそんな未来が待っているのかもしれませんね。^^
先生は人形の赤ちゃんと共に、面会室にやってきました。
口を大きく開けたままの、この赤ちゃんの名前は「C病院 新一君」というそうです。ちゃんと足に名前が書いてありましたよ。(笑)
ラクーが前に先生に会った時は、ネムルーが退院する前の、あの辛いお話を聞いた日だったので、ニコニコした満面笑顔の先生を見たのは初めてです。 ( ゜Д゜)
ムコーが、リノの調子がいいから、最近、先生がルンルンしていると言っていましたが、この様子は本当にハイですね。まるで恵比須様が乗り移ったかのようでした。
「気管切開を早く決断してくださったので、リノちゃんの体調がとてもよくなったんですよ!」
今日の研修の途中で、先生は嬉しそうに何度もこう言いました。
研修の後で胃瘻のことや、注入する離乳食のアレルギーの話も聞きましたが、これにも先生は自慢げに答えてくれました。
「夏から秋にかけての時期に胃瘻の増設ができそうですから、普通の子の月齢と同じ時期に離乳食を始められます。そのため医療的な介入は必要ないと思います」
そうなんだ。
今は粉ミルクも飲めているので、離乳食のことも心配ないのかな?
リノのサチュレーションは、ずっと落ち着いています。
今日は昨日よりも目の動きなどが良くなっているように思えます。リノが時たまネムルーの顔をじっと見ている様子を見て、ラクーは思わず先生に目のことを質問してしまいました。
「耳は前回、測定不能でしたが、呼吸が安定したことで意識がクリアになってきていますから、退院前にもう一度詳しい検査をします。目の方はまだどうなるかわかりませんが……これからも様子を診ていきます」
先生のこの言い方や顔色からすると、まだ少しは希望が残っているのかしらん?
なにせ大脳のほとんどが使えない状態ですから、希望といっても微々たるものでしょうが……
少しでも、リノが見た映像の処理を、脳ができるようになればいいなぁ。
ばあばはリノに期待し過ぎでしょうかね。
今日は蘇生のやり方の他に色々な情報を聞くことが出来ました。
ポイントを列挙しておきます。
★ 蘇生・・・アラームが鳴り、心拍が100を切ったら危険。SPO₂の値が常時90未満になると、顔色も悪くなりチアノーゼも出てくる。様子が切迫していない時は、訪問医療の先生に電話する。
心拍が40を切ったら、救急車の要請と蘇生を考える。
⒈ まずは他人を呼ぶ。119番通報をして、救急車がくるまでの6分間を乗り切ることを考える。
⒉ リノの場合は、カニューレの詰まりを一番に確認する。カニューレを抜いて、新しいものと取り換える。そして手動吸入器で一回バギングする。その時に空気の入り具合や胸の動きを見る。
⒊ それでも改善しない場合、心臓マッサージを行う。マッサージは固い床の上でする。
二人の場合・・・一人は両手をリノの両脇に入れ、両方の乳首を結ぶ線上にある、胸の中心の胸骨の上を両手の親指で押す。一秒間に二回押す感じ。ここで注意することは早く押し過ぎないこと。押された心臓が戻る余裕をもたせる。
後の一人は六秒に一回バギングする。この時も一秒をかけてポンプを押して戻す感じ。
一人の場合・・・リノを横にして、片手は吸入器、片手は指を二本、胸に置いて押していく。三十回押して、バギングを二回。このセットを繰り返す。指はずっと身体から離さないようにする。そうしないと押す場所がずれることがある。
心臓は意外と身体の真ん中に位置している。
硬い骨と骨に挟まれているので、骨を押して心臓に圧をかけているイメージでする。
※ 夜の場合、呼吸器の加湿器の電源とお湯を必ずチェックする。痰が固くなって詰まり、救急搬送される人が多い。
★ 気切には、今のところ肉芽も見られない。気切周りの肌荒れは軟膏をぬっている。
★ ミルクの時間が調整できた。
6:00 10:00 13:00 17:00 20:00 の5回は90ml
23:00 は110ml
調整が早いですねぇ。家族の皆さんが手技を覚えたらすぐにでも退院できます!ということらしいです。実際、手技の研修の後で、外出練習・院内外泊・院外外泊・などもあるので、どうしても退院は二月になりそうな感じ。
★ 予防接種・・・生後二か月にする肺炎球菌・ヒブ・B型肝炎は、NICUで先生が接種してくれるそうです。ブログでは皆さん困られていたので、「月末にでも僕が打ちますよ~」と軽く言われて、かえって驚きました。
ロタワクチンは、生のウィルスを使うので、院内では接種できないそうです。これは任意のものだし、リノのようにすぐ保育園に入らない子は、積極的に考えなくてもいいかもしれないということでした。
★ てんかんなどについて・・・これはラクーが質問してみました。すると先生は今の時点では心配はないということでした。今飲んでいる筋緊張の薬も、ものすごく少ない量らしいです。
てんかんは、脳波より、バイタルに現れるのが心配なのだそうです。
リノは気管切開を早くしたことによって、呼吸抑制がなくなったので、SPO₂の値が100で安定しています。その点で、ものすごく安心な状態になったそうです。
なるほどね~
これは聞いてみなくちゃわからなかったわ。
こんな話を聞いていたら、なんだかリノが長生きできるような気がしてきました。
今朝、鈴さんが6歳の頃の話を読んでいたんです。小学校の入学を前に、どの支援学校に通うかでお母さんが悩まれていました。
気が早い話ですが、リノにもそんな未来が待っているのかもしれませんね。^^
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